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1つ目の道具:Legendre 変換は力学と熱力学で同じ操作

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第1章 序章:どのラグランジアンを選んだか
目次
  1. 傾きと切片で曲線を表し直す
  2. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第1章 §1.1.3 ★★★ L↔HL\leftrightarrow H と U↔FU\leftrightarrow F が同じ図の上の同じ操作であることを先に見る

傾きと切片で曲線を表し直す

1変数の関数 f(v)f(v) が下に凸(f′′(v)>0f''(v)>0)だとする。グラフの各点には接線が1本引け、凸なので傾き p=f′(v)p=f'(v) と点 vv は1対1に対応する。傾き pp の接線は縦軸を切片 f(v)−pvf(v)-pv で切る。この切片の符号を変えたもの

f∗(p)=pv−f(v)∣p=f′(v)=max⁡v[pv−f(v)](1.1.3)f^*(p)=pv-f(v)\Big|_{p=f'(v)}=\max_v\bigl[pv-f(v)\bigr]\tag{1.1.3}

を ff の Legendre 変換と呼ぶ。2つ目の等号は、pv−f(v)pv-f(v) を vv で微分して 00 とおくと p=f′(v)p=f'(v) が出ること、凸なのでそこが最大であることによる。曲線は「各点の座標 (v,f(v))(v,f(v)) の集まり」としても「各傾きの接線の集まり」としても表すことができ、Legendre 変換は前者から後者への持ち替えにあたる(図 1.1.3)。

図

図 1.1.3 f(v)=v2/2f(v)=v^2/2 の点 v=1v=1 での接線(破線)。傾きは p=1p=1、縦軸の切片は −f∗(p)=−1/2-f^*(p)=-1/2。傾き pp を決めると接線が1本決まり、その切片から f∗(p)f^*(p) を読み取ることができる。

力学では ff に LL を、vv に速度 q˙\dot q を当てはめる。傾き p=∂L∂q˙p=\frac{\partial L}{\partial \dot q} が正準運動量で、

H(q,p)=pq˙−L(q,q˙)∣p=∂L/∂q˙(1.1.4)H(q,p)=p\dot q-L(q,\dot q)\Big|_{p=\partial L/\partial\dot q}\tag{1.1.4}

がハミルトニアンである(qq は変換のあいだ止めておく)。L=12mq˙2−V(q)L=\frac12m\dot q^2-V(q) なら p=mq˙p=m\dot q, H=p22m+V(q)H=\frac{p^2}{2m}+V(q) となり、HH は全エネルギーを運動量で書いたものになる。

熱力学では ff に内部エネルギー U(S)U(S) を、vv にエントロピー SS を当てはめる(体積は止めておく)。傾き ∂U∂S\frac{\partial U}{\partial S} が温度 TT で、Helmholtz の自由エネルギーは

F(T)=U−TS∣T=∂U/∂S(1.1.5)F(T)=U-TS\Big|_{T=\partial U/\partial S}\tag{1.1.5}

である。式 (1.1.3) と比べると F=−U∗(T)F=-U^*(T) で、全体の符号が逆になっている。熱力学では切片そのものを、力学では切片の符号を変えたものを使う、という慣習の違いにすぎず、接線の傾きで曲線を表し直すという操作は同じである。この対応は 第3部第4章 で、Gibbs のエネルギー GG まで含めて扱う。

Legendre 変換をもう一度当てると元に戻る。f∗f^* の傾きは df∗dp=v\frac{\mathrm{d} f^*}{\mathrm{d} p}=v で、f∗∗(v)=pv−f∗(p)f^{**}(v)=pv-f^*(p) は f(v)f(v) に一致する。力学ではこれが ∂H∂p=q˙\frac{\partial H}{\partial p}=\dot q(Hamilton 方程式の片方)にあたり、熱力学では −∂F∂T=S-\frac{\partial F}{\partial T}=S にあたる。HH を q˙\dot q でなく pp の関数として書く理由、単なる変数の置き換えでは情報が落ちる理由は 第1部第7章 で扱う。

例題 1.1.3 相対論的粒子の HH を Legendre 変換で求める ★★★

オリジナル相対論的な自由粒子の Lagrangian は L=−mc21−v2/c2L=-mc^2\sqrt{1-v^2/c^2} である(この LL を選ぶ理由は 第2部第3章 で扱う)。1次元で考える。

  1. (1) 正準運動量 p=∂L∂vp=\frac{\partial L}{\partial v} を求めよ。
  2. (2) H=pv−LH=pv-L を pp の関数として表せ。
  3. (3) dHdp=v\frac{\mathrm{d} H}{\mathrm{d} p}=v を確かめよ。
  4. (4) 電子(mc2=0.511 MeVmc^2=0.511\,\mathrm{MeV})が p=mcp=mc を持つとき、HH と速さ vv を求めよ。
解答

(1) γ=1/1−v2/c2\gamma=1/\sqrt{1-v^2/c^2} とおくと p=∂L∂v=−mc2⋅−v/c21−v2/c2=γmvp=\frac{\partial L}{\partial v}=-mc^2\cdot\dfrac{-v/c^2}{\sqrt{1-v^2/c^2}}=\gamma mv。LL は vv について下に凸(∂p∂v=γ3m>0\frac{\partial p}{\partial v}=\gamma^3m>0)なので、vv と pp は1対1に対応する。

(2) H=pv−L=γmv2+mc2γ=γm(v2+c2(1−v2c2))=γmc2H=pv-L=\gamma mv^2+\dfrac{mc^2}{\gamma}=\gamma m\Bigl(v^2+c^2\Bigl(1-\dfrac{v^2}{c^2}\Bigr)\Bigr)=\gamma mc^2。p=γmvp=\gamma mv から γ2=1+p2m2c2\gamma^2=1+\dfrac{p^2}{m^2c^2} なので

H(p)=p2c2+m2c4.H(p)=\sqrt{p^2c^2+m^2c^4}.

p<mcp<mc では H=mc2+p22m−p48m3c2+⋯H=mc^2+\dfrac{p^2}{2m}-\dfrac{p^4}{8m^3c^2}+\cdots と収束する級数に展開でき、第2項が非相対論の運動エネルギーである。第1項の mc2mc^2 は、LL の中の定数 −mc2-mc^2 が Legendre 変換で HH に現れたもので、静止した粒子の持つエネルギーにあたる。

(3) dHdp=pc2p2c2+m2c4=γmv c2γmc2=v\frac{\mathrm{d} H}{\mathrm{d} p}=\dfrac{pc^2}{\sqrt{p^2c^2+m^2c^4}}=\dfrac{\gamma mv\,c^2}{\gamma mc^2}=v。もう一度 Legendre 変換すると vp−H(p)vp-H(p) は LL に戻る。

(4) H=2 mc2=1.414×0.511≈0.723 MeVH=\sqrt{2}\,mc^2=1.414\times0.511\approx0.723\,\mathrm{MeV}。v=pc2H=c2≈0.707 cv=\dfrac{pc^2}{H}=\dfrac{c}{\sqrt2}\approx0.707\,c。

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