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積分の拘束:等周問題と固有値

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第6章 拘束と未定乗数
目次
  1. 等周問題
  2. 乗数が固有値になる
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第6章 §1.6.5 ★★★ 拘束が積分 C[q]=cC[q]=c 1本なら乗数は定数1つ。∫q˙2\int\dot q^2 を ∫q2=1\int q^2=1 のもとで停留させると固有値問題になり、乗数が固有値になる

等周問題

ここまでの拘束は各時刻に1本ずつだった。これと別の種類の拘束に、汎関数の値を1つ決める

C[q]=∫t1t2K(q,q˙,t) dt=c(1.6.16)C[q]=\int_{t_1}^{t_2}K(q,\dot q,t)\,\mathrm{d} t=c\tag{1.6.16}

がある。周の長さを決めて囲む面積を最大にする問題が昔からの例で、このため汎関数 F[q]F[q] を積分の拘束のもとで停留させる問題を等周問題と呼ぶ。拘束は全体で1本なので、乗数も時刻によらない定数1つになる。

定理 1.6.2(積分の拘束のもとでの停留)

qq が拘束 (1.6.16) のもとで(端を固定して)F[q]F[q] を停留させ、かつ qq が CC 自身の停留点でない(δC/δq(t)\delta C/\delta q(t) が恒等的に 00 ではない)とする。このとき定数 λ\lambda があって

δFδq(t)=λ δCδq(t)(1.6.17)\frac{\delta F}{\delta q(t)}=\lambda\,\frac{\delta C}{\delta q(t)}\tag{1.6.17}

が成り立つ。これは F−λCF-\lambda C の汎関数微分を 00 とおいたものである。

証明

許される向き η1,η2\eta_1,\eta_2 を2つ取り、2つの実数でずらした q+ϵ1η1+ϵ2η2q+\epsilon_1\eta_1+\epsilon_2\eta_2 を考えると、FF と CC は (ϵ1,ϵ2)(\epsilon_1,\epsilon_2) の普通の2変数関数になる。η2\eta_2 を ∫(δC/δq)η2 dt≠0\int(\delta C/\delta q)\eta_2\,\mathrm{d} t\neq0 となるように選んでおくと、陰関数定理により、拘束 C=cC=c を満たす (ϵ1,ϵ2(ϵ1))(\epsilon_1,\epsilon_2(\epsilon_1)) の曲線が原点の近くに引ける。この曲線の上で FF が ϵ1=0\epsilon_1=0 で停留するので、2変数の未定乗数 (1.6.5) から、ある数 λ\lambda について∫(δF/δq−λ δC/δq)ηi dt=0\int(\delta F/\delta q-\lambda\,\delta C/\delta q)\eta_i\,\mathrm{d} t=0(i=1,2i=1,2)が成り立つ。i=2i=2 の式から λ=∫(δF/δq)η2 dt/∫(δC/δq)η2 dt\lambda=\int(\delta F/\delta q)\eta_2\,\mathrm{d} t\big/\int(\delta C/\delta q)\eta_2\,\mathrm{d} t と決まり、λ\lambda は η2\eta_2 だけで決まって η1\eta_1 によらない。η1\eta_1 は任意なので、基本補題から式 (1.6.17) が出る。

時刻ごとの拘束(定理 1.6.1)では乗数が時刻ごとに違ってよかったのに、ここでは定数になる。拘束の本数(時刻ごとに1本か、全体で1本か)と乗数の個数が一致している。

乗数が固有値になる

[0,1][0,1] 上で q(0)=q(1)=0q(0)=q(1)=0 を満たす経路のうち、∫01q2 dt=1\int_0^1q^2\,\mathrm{d} t=1 を満たすもので F[q]=∫01q˙2 dtF[q]=\int_0^1\dot q^2\,\mathrm{d} t を最小にする問題を考える。第1部第3章の汎関数微分 δF/δq(t)=−2q¨\delta F/\delta q(t)=-2\ddot q, δC/δq(t)=2q\delta C/\delta q(t)=2q を式 (1.6.17) に入れると

−q¨=λ q,q(0)=q(1)=0(1.6.18)-\ddot q=\lambda\,q,\qquad q(0)=q(1)=0\tag{1.6.18}

を得る。これは固有値問題で、解は qn=2sin⁡nπtq_n=\sqrt2\sin n\pi t、乗数は λ=n2π2\lambda=n^2\pi^2(n=1,2,…n=1,2,\dots)に限られる。停留値は、部分積分と式 (1.6.18) から F[qn]=∫(−qnq¨n) dt=λ∫qn2 dt=λF[q_n]=\int(-q_n\ddot q_n)\,\mathrm{d} t=\lambda\int q_n^2\,\mathrm{d} t=\lambda で、乗数そのものになる。最小値は n=1n=1 の π2\pi^2 である。これは第1部第3章の Wirtinger の不等式 ∫η˙2≥π2∫η2\int\dot\eta^2\ge\pi^2\int\eta^2 の定数 π2\pi^2 が、ちょうどこの最小値であることを示している。拘束を ∫q2=c\int q^2=c に変えると最小値は π2c\pi^2c になり、cc で微分して π2=λ\pi^2=\lambda となる。式 (1.6.7) の「乗数は感度」は、積分の拘束でもそのまま成り立つ。数値でも、[0,1][0,1] を 20002000 等分して差分にした行列の最小固有値は 9.869609.86960 で、π2=9.86960\pi^2=9.86960 と5桁一致する。

量子力学の基底状態はこの形の問題である。エネルギーの期待値 ∫(ℏ22m∣ψ′∣2+V∣ψ∣2)dx\int\bigl(\frac{\hbar^2}{2m}\lvert \psi'\rvert ^2+V\lvert \psi\rvert ^2\bigr)\mathrm{d} x を規格化 ∫∣ψ∣2dx=1\int\lvert \psi\rvert ^2\mathrm{d} x=1 のもとで停留させると、式 (1.6.17) は時間によらない Schrödinger 方程式になり、乗数がエネルギー固有値になる。経路を有限個の関数の線型結合に限ってこの停留問題を解くのが Rayleigh–Ritz の方法で、得られる固有値が真の値の上界になることは 近似の数理 第4章で示されている。

図

図 1.6.3 両端 (±a,0)(\pm a,0) を決め、長さ ℓ\ell の曲線で xx 軸との間に囲む面積を最大にする曲線は円弧になる(例題 1.6.5。a=1a=1)。長さを増やすと円弧の半角 α\alpha が増え、ℓ=πa\ell=\pi a で半円になる。乗数 λ\lambda は円弧の半径 RR に等しく(破線は α=1\alpha=1 の半径)、面積の長さについての変化率 dA/dℓ\mathrm{d} A/\mathrm{d}\ell に等しい

例題 1.6.5 決まった長さの紐で囲む面積を最大にする ★★★

オリジナルxx 軸上の2点 (−a,0)(-a,0), (a,0)(a,0) を、長さ ℓ\ell(2a<ℓ<πa2a<\ell<\pi a)の曲線 y(x)≥0y(x)\ge0 で結ぶ。曲線と xx 軸の間の面積 A[y]=∫−aay dxA[y]=\int_{-a}^ay\,\mathrm{d} x を、長さ ℓ[y]=∫−aa1+y′2 dx\ell[y]=\int_{-a}^a\sqrt{1+y'^2}\,\mathrm{d} x を決めて最大にする。

  1. (1) A−λℓA-\lambda\ell の Euler–Lagrange 方程式を書き、曲線の曲率が一定 1/λ1/\lambda であることを示せ。
  2. (2) 解の円弧の半角を α\alpha(a=Rsin⁡αa=R\sin\alpha)として、ℓ\ell と AA を R,αR,\alpha で表せ。a=1a=1, α=π/3\alpha=\pi/3 での R,ℓ,AR,\ell,A の値を求めよ。
  3. (3) 端を止めたまま ℓ\ell を変えたとき、dAdℓ=R=λ\frac{\mathrm{d} A}{\mathrm{d} \ell}=R=\lambda であることを確かめよ。
解答

(1) δA/δy(x)=1\delta A/\delta y(x)=1、δℓ/δy(x)=−ddxy′1+y′2\delta\ell/\delta y(x)=-\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} x}\dfrac{y'}{\sqrt{1+y'^2}}(被積分関数が y′y' だけを含むので、Euler–Lagrange の式の第1項だけが残る)。よって

1+λddxy′1+y′2=0,すなわちy′′(1+y′2)3/2=−1λ.1+\lambda\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} x}\frac{y'}{\sqrt{1+y'^2}}=0,\qquad\text{すなわち}\qquad \frac{y''}{(1+y'^2)^{3/2}}=-\frac1\lambda .

左辺は曲線の(符号つきの)曲率なので、曲率が一定 −1/λ-1/\lambda の曲線、すなわち半径 ∣λ∣\lvert \lambda\rvert の円弧である。上に膨らむ(y′′<0y''<0)解では λ=R>0\lambda=R>0 になる。実際、y=y0+R2−x2y=y_0+\sqrt{R^2-x^2} では y′/1+y′2=−x/Ry'/\sqrt{1+y'^2}=-x/R で、その微分 −1/R-1/R に λ=R\lambda=R を掛けて 11 を足すと 00 になる。

(2) 円弧が中心で張る角は 2α2\alpha なので ℓ=2Rα\ell=2R\alpha。面積は扇形から三角形を引いて A=R2α−R2sin⁡αcos⁡α=R2(α−sin⁡αcos⁡α)A=R^2\alpha-R^2\sin\alpha\cos\alpha=R^2(\alpha-\sin\alpha\cos\alpha)。a=1a=1, α=π/3\alpha=\pi/3 では R=1/sin⁡(π/3)=1.155R=1/\sin(\pi/3)=1.155、ℓ=2.418\ell=2.418、A=43(π3−34)=0.819A=\frac43\bigl(\frac\pi3-\frac{\sqrt3}{4}\bigr)=0.819。

(3) aa を止めて α\alpha を動かすと、R=a/sin⁡αR=a/\sin\alpha も動く。

dℓdα=2a sin⁡α−αcos⁡αsin⁡2α,dAdα=2a2 sin⁡α−αcos⁡αsin⁡3α\frac{\mathrm{d} \ell}{\mathrm{d} \alpha}=2a\,\frac{\sin\alpha-\alpha\cos\alpha}{\sin^2\alpha},\qquad \frac{\mathrm{d} A}{\mathrm{d} \alpha}=2a^2\,\frac{\sin\alpha-\alpha\cos\alpha}{\sin^3\alpha}

(第2式は A=a2(α−sin⁡αcos⁡α)/sin⁡2αA=a^2(\alpha-\sin\alpha\cos\alpha)/\sin^2\alpha を微分して整理した)。比を取ると dAdℓ=asin⁡α=R\frac{\mathrm{d} A}{\mathrm{d} \ell}=\dfrac{a}{\sin\alpha}=R で、(1) の乗数 λ\lambda に等しい。紐を少し長くすると、増えた長さ Δℓ\Delta\ell に半径 RR を掛けた分だけ面積が増える。半径の大きい(平らに近い)円弧ほど、長さを足したときの面積の増え方が大きい。

木下の勉強ステータス

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