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出てくるもの (2):長さをゆっくり変える振り子

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第14章 作用角変数と断熱不変量
目次
  1. 振り子の と作用変数
  2. 数値積分の結果
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第14章 §1.14.4 ★★ 糸を引き上げて振り子を短くすると振幅が l−3/4l^{-3/4} で増える。数値積分で JJ が保たれることと、速く変えると保たれないことを確かめる

振り子の HH と作用変数

支点から長さ ll の糸で質量 mm のおもりをつるし、糸を支点の穴から引き上げて長さを l(t)l(t) と時間とともに変える。鉛直下向きからの振れの角を φ\varphi とする(この章では θ\theta を角変数に使うので、振り子の角度には φ\varphi を使う)。おもりの速度の2乗は l˙2+l2φ˙2\dot l^2+l^2\dot\varphi^2 なので

L=12m(l˙2+l2φ˙2)+mglcos⁡φ.L=\frac12m\bigl(\dot l^2+l^2\dot\varphi^2\bigr)+mgl\cos\varphi .

l(t)l(t) は与えられた関数なので、12ml˙2\frac12m\dot l^2 は時刻だけの関数で、Euler–Lagrange 方程式に寄与しない(時刻だけの関数は、ある関数の時間微分として書けるので第1部第5章の「LL に全微分を足しても運動は変わらない」という結果をそのまま使う)。これを落とすと、p=ml2φ˙p=ml^2\dot\varphi と

H(φ,p;l)=p22ml2−mglcos⁡φ(1.14.15)H(\varphi,p;l)=\frac{p^2}{2ml^2}-mgl\cos\varphi\tag{1.14.15}

を得る。ll を止めればこれは第1部第8章の振り子そのもので、ll がパラメータ λ\lambda にあたる。運動方程式は ddt(ml2φ˙)=−mglsin⁡φ\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}(ml^2\dot\varphi)=-mgl\sin\varphi、すなわち lφ¨+2l˙φ˙+gsin⁡φ=0l\ddot\varphi+2\dot l\dot\varphi+g\sin\varphi=0 である。

振れが小さければ cos⁡φ≈1−φ2/2\cos\varphi\approx1-\varphi^2/2 で、HH は定数 −mgl-mgl を除いて質量 ml2ml^2・角振動数 ω=g/l\omega=\sqrt{g/l} の調和振動子になる。振れの振幅を φmax\varphi_{\mathrm{max}} とすると、振動のエネルギーは Eosc=12mglφmax2E_{\mathrm{osc}}=\frac12mgl\varphi_{\mathrm{max}}^2 なので

J=Eoscω=12mg l3/2φmax2.(1.14.16)J=\frac{E_{\mathrm{osc}}}{\omega}=\frac12m\sqrt g\,l^{3/2}\varphi_{\mathrm{max}}^2 .\tag{1.14.16}

JJ が一定なら

φmax∝l−3/4,Eosc=ωJ∝l−1/2(1.14.17)\varphi_{\mathrm{max}}\propto l^{-3/4},\qquad E_{\mathrm{osc}}=\omega J\propto l^{-1/2}\tag{1.14.17}

となる。糸をゆっくり引き上げて振り子を短くすると、振れの角は大きくなり、振動のエネルギーも増える。引き上げる手が、糸の張力に逆らって仕事をするためである(その仕事を直接数える計算は1.14.6節)。

振れが大きいときも JJ は正確に計算することができる。H=EH=E の等エネルギー線の面積を楕円積分で書くと、k=sin⁡(φmax/2)k=\sin(\varphi_{\mathrm{max}}/2) として

J=8πmgl3 [E(k)−(1−k2)K(k)]J=\frac{8}{\pi}m\sqrt{gl^3}\,\bigl[\mathrm{E}(k)-(1-k^2)\mathrm{K}(k)\bigr]

になる(K\mathrm K, E\mathrm E は第1種・第2種の完全楕円積分)。k→0k\to0 で E−(1−k2)K≈π4k2\mathrm E-(1-k^2)\mathrm K\approx\frac{\pi}{4}k^2 となって式 (1.14.16) に戻る。数値積分では、各時刻の (φ,p)(\varphi,p) と ll からエネルギーを出し、この式(または面積の数値積分)で JJ を計算して追う。

数値積分の結果

m=g=1m=g=1 とし、長さを l=1l=1 から l=1/4l=1/4 まで、l(t)=1−34⋅12(1−cos⁡(πt/ts))l(t)=1-\frac34\cdot\frac12\bigl(1-\cos(\pi t/t_{\mathrm s})\bigr)(0≤t≤ts0\le t\le t_{\mathrm s})と滑らかに変える。初めの振幅は φmax=0.1\varphi_{\mathrm{max}}=0.1、初めの周期は T=2πl/g≈6.28T=2\pi\sqrt{l/g}\approx6.28 である。変える時間 tst_{\mathrm s} を 100100(ゆっくり。T/ts≈0.06T/t_{\mathrm s}\approx0.06)と33(速い。T/ts≈2T/t_{\mathrm s}\approx2)の2通りにとり、運動方程式を数値で積分して JJ を追った結果が図 1.14.2 である。

図

図 1.14.2 長さを l=1l=1 から 1/41/4 へ変える振り子の作用変数(m=g=1m=g=1、初めの振幅 0.10.1)。ゆっくり変えると JJ は ±1.2%\pm1.2\% ほど揺れるだけで、変え終わった後(t/ts>1t/t_{\mathrm s}>1)は初めの値に 10−410^{-4} 以下の差で戻る。速く変えると変える途中で JJ が倍近くまで動き、変え終わった後も 1.271.27 倍に残る。縦の破線は長さを変え終わる時刻

ゆっくり変えた場合、JJ は式 (1.14.14) と同じ形で1周期ごとに揺れるが、揺れは ±1.2%\pm1.2\% ほどで、長さを変え終わった後の JJ は初めの値と 2×10−52\times10^{-5} の差しかない。エネルギー EoscE_{\mathrm{osc}} はこの間に 4=2\sqrt4=2 倍になっているので、JJ が保たれているのはエネルギーが保たれているのとはまったく別のことである。速く変えた場合は、JJ は変える途中で 1.951.95 倍まで動き、変え終わった後も 1.271.27 倍が残る。このときの値は、変え始めたときの振り子の位相によって変わる。

振幅の変化を長さの関数として描いたのが図 1.14.3 である。ゆっくり変えた数値積分の振幅は、式 (1.14.17) の φmax=0.1 l−3/4\varphi_{\mathrm{max}}=0.1\,l^{-3/4} に沿って増え、長さ 1/41/4 では 0.1×43/4=0.2830.1\times4^{3/4}=0.283 に対して数値は 0.28340.2834 になる。わずかな差は、振幅 0.280.28 では cos⁡φ≈1−φ2/2\cos\varphi\approx1-\varphi^2/2 の近似の誤差が見え始めるためで、正確な JJ の式で計算した予測とは数値の桁まで一致する。

図

図 1.14.3 ゆっくり(ts=100t_{\mathrm s}=100)長さを縮めたときの振幅。横軸は右へ行くほど短い。点は数値積分で得た振れの極大(1周期おきに表示)、実線は JJ が一定とした近似の予測

例題 1.14.4 振り子の糸を半分にする ★★

オリジナル長さ l0l_0 の糸で振れの角 5∘5^\circ で振れている振り子の糸を、周期に比べてゆっくり引き上げて長さ l0/2l_0/2 にする。

  1. (1) 引き上げた後の振れの角を求めよ。
  2. (2) 振動のエネルギー Eosc=12mglφmax2E_{\mathrm{osc}}=\frac12mgl\varphi_{\mathrm{max}}^2 は何倍になるか。式 (1.14.17) の2つ目の式と一致することを確かめよ。
  3. (3) 周期は何倍になるか。振動のエネルギーと周期の積はどうなるか。
解答

(1) 式 (1.14.16) の J∝l3/2φmax2J\propto l^{3/2}\varphi_{\mathrm{max}}^2 が一定なので φmax∝l−3/4\varphi_{\mathrm{max}}\propto l^{-3/4}、長さを半分にすると 23/4≈1.682^{3/4}\approx1.68 倍になり、5∘×1.682≈8.41∘5^\circ\times1.682\approx8.41^\circ。この程度の角度なら小振動の近似は十分よい。

(2) Eosc∝lφmax2∝l⋅l−3/2=l−1/2E_{\mathrm{osc}}\propto l\varphi_{\mathrm{max}}^2\propto l\cdot l^{-3/2}=l^{-1/2} なので 2≈1.41\sqrt2\approx1.41 倍。Eosc=ωJE_{\mathrm{osc}}=\omega J で ω=g/l\omega=\sqrt{g/l} が 2\sqrt2 倍、JJ は一定なので同じ答えになる。

(3) 周期 T=2πl/gT=2\pi\sqrt{l/g} は 1/21/\sqrt2 倍。EoscT=2πJE_{\mathrm{osc}}T=2\pi J なので積は変わらない。振動のエネルギーと周期の積(=2πJ=2\pi J)が保たれる、というのが断熱不変性の言い換えである。

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