解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第2章 §2.2.2 ★★★ L を Euler–Lagrange 方程式に入れ、ベクトルの恒等式を1つ使うと mr¨=q(E+r˙×B) が出る
当てる道具は Euler–Lagrange 方程式(第1部第4章)だけである。直交座標の成分ごとに dtd∂x˙i∂L−∂xi∂L=0 を書く(x1=x, x2=y, x3=z)。
偏微分を2つ計算する
式 (2.2.2) を速度で偏微分すると
∂r˙∂L=mr˙+qA(r,t).(2.2.5)
これを粒子の軌道に沿って時間で微分する。A は時刻と位置の両方を通して変わるので、
dtdA=∂t∂A+(r˙⋅∇)A,成分ではdtdAi=∂t∂Ai+j∑x˙j∂xj∂Ai(2.2.6)
となる。右辺第2項は、時刻を止めても粒子が場所を移ることで見る A が変わる分である。
位置で偏微分するときは速度を止めるので、
∂r∂L=−q∇ϕ+q∇(r˙⋅A),成分では∂xi∂L=−q∂xi∂ϕ+qj∑x˙j∂xi∂Aj(2.2.7)
である。
Lorentz 力の式
式 (2.2.5)〜(2.2.7) を Euler–Lagrange 方程式に入れ、mr¨ だけを左辺に残すと
mr¨=−q∇ϕ−q∂t∂A+q[∇(r˙⋅A)−(r˙⋅∇)A].
角括弧は、r˙ を位置によらない定数とみなした恒等式
∇(v⋅A)−(v⋅∇)A=v×(∇×A)(2.2.8)
で書き直すことができる(成分では ∑jvj(∂iAj−∂jAi) で、i=1 なら v2(∂1A2−∂2A1)−v3(∂3A1−∂1A3)=v2B3−v3B2=(v×B)1)。よって
mr¨=q(E+r˙×B),E=−∇ϕ−∂t∂A,B=∇×A(2.2.9)
が得られる。これが Lorentz 力の式である。
導出の中で A の役は2つに分かれた。時間微分 −∂A/∂t は電場に入り、回転 ∇×A は磁場になった。磁場の項は、∂L/∂r˙ の中の qA を軌道に沿って微分したとき出る (r˙⋅∇)A と、位置の偏微分で出る ∇(r˙⋅A) の差で、例題 2.2.1 の反対称な行列 bij と同じものである。
運動方程式 (2.2.9) には ϕ と A そのものは現れず、組み合わせ E と B だけが現れる。この事実から、E と B を変えない (ϕ,A) の取り替えが運動を変えないことがわかる。これを2.2.4節で L の言葉で確かめる。
ポテンシャルから自動的に出る2本の Maxwell 方程式
E と B を式 (2.2.9) の形で書くと、恒等式 ∇⋅(∇×A)=0 と ∇×∇ϕ=0 から
∇⋅B=0,∇×E=−∂t∂B
が場の運動とは無関係に成り立つ。磁荷が無いことと Faraday の法則は、ポテンシャルで書いた時点で決まっている。残りの2本(Gauss の法則と Ampère–Maxwell の法則)は、場の Lagrangian を選んで初めて出てくる(第2部第6章)。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com