解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第9章 §2.9.2 ★★★ 2次の作用に1次の源を足したものを停留させて戻すと、停留値は −21j⋅K−1j。場の方程式と、場を消去した源の Lagrangian が同時に出る
有限次元の補題
場を消去する操作は、有限次元の2次形式で先に1周しておくと見通しがよい。n 個の変数 x=(x1,…,xn) の関数
Φ(x)=21i,k∑Kikxixk−i∑jixi(2.9.2)
を考える。K は実対称で正則な行列、j は固定したベクトルである。停留の条件 ∂Φ/∂xi=0 は∑kKikxk=ji、つまり x∗=K−1j である。これを Φ に戻すと
Φ(x∗)=21j⋅K−1j−j⋅K−1j=−21j⋅K−1j=−21j⋅x∗(2.9.3)
になる。結合の項 −j⋅x∗ が2次の項 21x∗⋅Kx∗=21j⋅x∗ のちょうど −2 倍になっていることが、この式の要点である。さらに、停留値を j の関数とみなして微分すると
∂ji∂Φ(x∗)=−(K−1j)i=−xi∗(2.9.4)
となる。これは第1部第7章の Legendre 変換の性質と同じ形で、停留点での値を源で微分すると、源に共役な変数(ここでは場)が戻る。x∗ で ∂Φ/∂x=0 なので、x∗ が j に依ることを考えなくてよい。K が正定値なら Φ は下に凸で、停留点は最小点になり、任意の x について Φ(x)≥−21j⋅K−1j が成り立つ。
場への読み替え
電磁場の Lagrangian (2.9.1) で、静電場(A=0, ϕ が時間に依らない)だけを考えると
Le[ϕ]=∫d3x[2ε0∣∇ϕ∣2−ρϕ]=21∫d3xϕ(−ε0∇2)ϕ−∫d3xρϕ
となる(無限遠で ϕ→0 として部分積分した)。x↔ϕ(r)、K↔−ε0∇2、j↔ρ と読めば式 (2.9.2) と同じ形で、−∇2 は正定値な作用素である。K−1 は Green 関数 G(r,r′)=1/(4πε0∣r−r′∣) を核とする積分作用素になる。静磁場(ϕ=0, A が時間に依らない)では
Lm[A]=∫d3x[−2μ01(∇×A)2+J⋅A]
で、K↔−μ01∇×∇×、j↔−J と読む。こちらは K が負(半)定値なので、停留点は最大点の側になる。時間に依る場では K が波動作用素 □ になり、K−1 を決めるのに時間の境界条件(遅延か先進か)を選ぶ必要が出る。これが2.9.5節の主題である。
この補題を場に当てると、2つのものが同時に出る。1つは停留の条件で、これは場の Euler–Lagrange 方程式(第2部第5章)、つまり Maxwell 方程式のうち源を含む2本である。もう1つは停留値 −21j⋅K−1j で、これは源だけで書かれた量になる。場の自由度を解いて消去したので、この量を場を消去した源の Lagrangian と呼び、Leff と書く。
例題 2.9.2 格子2点の Poisson 方程式 ★★
オリジナル区間 [0,3] を幅 1 の3つに分け、両端で x0=x3=0 とした格子の内部の2点の値 x1,x2 を変数とする。−ds2d2 の差分を K=(2−1−12) とし、点1にだけ源 j=(1,0) を置く。
- (1) Φ(x) の停留点 x∗ と停留値 Φ(x∗) を求めよ。
- (2) 停留値を j1 で微分した値が −x1∗ になることを確かめよ。
- (3) K の固有値を求め、停留点が最小点であることを示せ。
解答
(1) K−1=31(2112) なので x∗=K−1j=(2/3,1/3) である。値は 21x∗⋅Kx∗=21j⋅x∗=31、結合の項は −j⋅x∗=−32 で、和は Φ(x∗)=−31 になる。x∗ は源の点で最大の値をとり、両端へ向かって直線的に下がる。これは1次元の Poisson 方程式の解(点電荷の電位)の格子版である。
(2) j を一般に残すと Φ(x∗)=−21j⋅K−1j=−31(j12+j1j2+j22) で、∂/∂j1 は −31(2j1+j2)、j=(1,0) で −32=−x1∗ になる。
(3) 固有値は det(K−λ)=(2−λ)2−1=0 から λ=1,3 で、どちらも正である。したがって Φ は下に凸な2次関数で、停留点はただ1つの最小点であり、任意の x で Φ(x)≥−31 となる。
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