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この章で選ぶ L:源を固定した電磁場の作用

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第9章 静電・静磁・放射を作用の言葉で見直す
目次
  1. 選ぶ Lagrangian
  2. 2つの部分の役割
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第9章 §2.9.1 ★★★ 源 ρ,J\rho,\bm{J} を外から決めた関数とし、場の部分(2次)と結合(1次)に分けた作用を選ぶ

前の章までで、電磁場の Lagrangian 密度L=ε02E2−12μ0B2−ρϕ+J⋅A\mathcal L=\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A}から Maxwell 方程式が出ること(第2部第6章)、時間の並進に対する Noether の定理からPoynting の定理が出ること(第2部第7章)、ポテンシャルにはゲージの自由度があり、それが電荷の保存と組になっていること(第2部第8章)を見た。この章では、同じ Lagrangian を、学部の電磁気学で最初に習う3つの場面に当てはめる。電荷が止まっている静電場、電流が一定の静磁場、そして電荷が加速して電磁波を出す放射である。

3つの場面に共通する操作は1つである。電荷密度 ρ\rho と電流密度 J\bm{J} を外から決めた関数として固定し、場(ポテンシャル)について作用を停留させ、その解を作用に戻す。場の部分は2次式、源との結合は1次式なので、停留値は源の2次式になり、場を含まない「源どうしの Lagrangian」が得られる。2.9.2節でこの操作を有限次元の2次形式の補題として準備し、2.9.3節で静電場に当てると、停留値が静電エネルギーの符号を変えたもの −Ue-U_{\mathrm e} になり、Coulomb の相互作用と、容量を上から見積もる変分原理(Dirichlet の原理)が出る。2.9.4節で静磁場に当てると、停留値は磁場のエネルギーそのもの +Um+U_{\mathrm m} になり、磁場のエネルギーが Lagrangian の中で運動エネルギーの側に入ることがわかる。インダクタンスは回路の「質量」になる。2.9.5節では時間に依る源を扱う。遅延の解は時間の向きを区別するが、2次形式に入るのは時間について対称な部分だけである。対称な部分からは Darwin の Lagrangian が出て、反対称な部分からは放射の反作用と Larmor の公式が出る。2.9.6節では、学部の授業での書き方(エネルギーの微分で力を出す式、Neumann の公式、遠方の Poynting ベクトルの積分)と並べる。

選ぶ Lagrangian

この章で選ぶ Lagrangian は、電荷密度 ρ(r,t)\rho(\bm{r},t) と電流密度 J(r,t)\bm{J}(\bm{r},t) を固定したときの電磁場の Lagrangian

L[ϕ,A]=∫d3x [ε02E2−12μ0B2−ρϕ+J⋅A],E=−∇ϕ−∂A∂t,B=∇×A(2.9.1)L[\phi,\bm{A}]=\int\mathrm{d}^3x\,\Bigl[\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A}\Bigr],\qquad \bm{E}=-\nabla\phi-\frac{\partial \bm{A}}{\partial t},\quad \bm{B}=\nabla\times\bm{A}\tag{2.9.1}

である。共変な形では L=−14μ0FμνFμν−JμAμ\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}-J^\mu A_\mu で、FμνFμν=2(B2−E2/c2)F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}=2(\bm{B}^2-\bm{E}^2/c^2) とJμAμ=ρϕ−J⋅AJ^\mu A_\mu=\rho\phi-\bm{J}\cdot\bm{A} を使うと式 (2.9.1) の被積分関数に戻る。作用は S=∫L dtS=\int L\,\mathrm{d} t である。力学変数は場 ϕ(r,t)\phi(\bm{r},t) と A(r,t)\bm{A}(\bm{r},t) で、ρ\rho と J\bm{J} は変分しない。ρ\rho と J\bm{J} には連続の式∂tρ+∇⋅J=0\partial_t\rho+\nabla\cdot\bm{J}=0 だけを課す。この条件がないと、ゲージ変換 ϕ→ϕ−∂tΛ\phi\to\phi-\partial_t\Lambda, A→A+∇Λ\bm{A}\to\bm{A}+\nabla\Lambda で作用が全微分以外の分だけ変わってしまい、作用からゲージの自由度が消える(第2部第8章)。

源を固定するという選び方には、荷電粒子の運動を同時に解かないという意味がある。粒子の運動まで含めた作用は、これに粒子の Lagrangian(第2部第2章の 12mr˙2\frac12m\dot{\bm{r}}^2 や、第2部第3章の −mc21−v2/c2-mc^2\sqrt{1-v^2/c^2})を足したものになる。そのとき ρ\rho と J\bm{J} は粒子の位置と速度で書かれ、結合の項 −ρϕ+J⋅A-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A} は第2部第2章の一般化ポテンシャル −qϕ+qr˙⋅A-q\phi+q\dot{\bm{r}}\cdot\bm{A} に戻る。この章では、まず場だけを解き、その結果を粒子の側に戻すという2段の手順を取る。

2つの部分の役割

式 (2.9.1) の被積分関数は、場だけの2次式 ε02E2−12μ0B2\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2 と、場について1次の結合 −ρϕ+J⋅A-\rho\phi+\bm{J}\cdot\bm{A} に分かれる。場だけの部分のうち、E2\bm{E}^2 は ∂tA\partial_t\bm{A} を含むので質点の運動エネルギー 12mq˙2\frac12m\dot q^2 の役をし、B2\bm{B}^2 は空間微分だけを含むので位置エネルギーの役をする。時間に依る場では、この見方のとおり E2\bm{E}^2 が正、B2\bm{B}^2 が負の符号で入る。ところが静的な場では ∂tA=0\partial_t\bm{A}=0 なので、この区別をそのまま使うことはできない。静電場と静磁場で何が運動エネルギーの側に入るかは、場を消去したあとの源の Lagrangian で決まる。その答えは2.9.3節と2.9.4節で出る。

例題 2.9.1 平面波と一様な場の Lagrangian 密度 ★★

オリジナル(1) 真空中を zz 方向へ進む平面波 E=E0cos⁡(kz−ωt) ex\bm{E}=E_0\cos(kz-\omega t)\,\bm{e}_x, B=(E0/c)cos⁡(kz−ωt) ey\bm{B}=(E_0/c)\cos(kz-\omega t)\,\bm{e}_y がMaxwell 方程式を満たす条件を求め、そのとき Lagrangian 密度 L0=ε02E2−12μ0B2\mathcal L_0=\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2 が各点・各時刻で 00 になることを示せ。エネルギー密度 u=ε02E2+12μ0B2u=\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2+\frac{1}{2\mu_0}\bm{B}^2 と比べよ。

(2) 一様な静電場 E\bm{E} だけがある場合と、一様な静磁場 B\bm{B} だけがある場合について、L0\mathcal L_0 の符号を答えよ。

解答

(1) Faraday の法則の yy 成分 ∂zEx=−∂tBy\partial_zE_x=-\partial_tB_y に入れると、左辺は −kE0sin⁡(kz−ωt)-kE_0\sin(kz-\omega t)、右辺は −(ωE0/c)sin⁡(kz−ωt)-(\omega E_0/c)\sin(kz-\omega t) なので ω=ck\omega=ck が要る。Ampère–Maxwell の式の xx 成分 −∂zBy=μ0ε0∂tEx-\partial_zB_y=\mu_0\varepsilon _0\partial_tE_x も、μ0ε0=1/c2\mu_0\varepsilon _0=1/c^2 を使うと同じ ω=ck\omega=ck で成り立つ。このとき B2=E2/c2\bm{B}^2=\bm{E}^2/c^2 なので

L0=ε02E2−E22μ0c2=ε02E2−ε02E2=0\mathcal L_0=\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{\bm{E}^2}{2\mu_0c^2}=\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2-\frac{\varepsilon _0}{2}\bm{E}^2=0

である。一方、エネルギー密度は u=ε0E2=ε0E02cos⁡2(kz−ωt)u=\varepsilon _0\bm{E}^2=\varepsilon _0E_0^2\cos^2(kz-\omega t) で、00 にならない。平面波では運動エネルギーの側(E2\bm{E}^2)と位置エネルギーの側(B2\bm{B}^2)が各点で等しく、調和振動子の T=VT=V を各点で満たしている。L0=−FμνFμν/(4μ0)\mathcal L_0=-F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}/(4\mu_0) は Lorentz 変換で変わらないので、どの慣性系で見ても平面波の L0\mathcal L_0 は 00 である。

(2) 静電場だけなら L0=ε0E2/2>0\mathcal L_0=\varepsilon _0\bm{E}^2/2>0、静磁場だけなら L0=−B2/(2μ0)<0\mathcal L_0=-\bm{B}^2/(2\mu_0)<0 である。場だけの部分の符号は電場と磁場で逆になる。この符号の違いが、2.9.3節と2.9.4節で停留値の符号の違いとして現れる。

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