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この章のまとめ

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第8章 ゲージ不変性という制約

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第8章 §2.8.7 ★★★ ゲージ不変性は保存量に結びつく対称性でなく、方程式の恒等式・源への条件・Hamilton 形式の拘束として現れる

電磁場の作用は E,B\bm{E},\bm{B} でなく AμA_\mu で書く。粒子の側では、速度に比例する磁場の力を Lagrangian から出すには速度と内積を取るベクトル場が要り、その回転が B\bm{B} になる。場の側では、源を含まない Maxwell 方程式の4本を恒等式にし、残る4本を独立な4変数 AμA_\mu の Euler–Lagrange 方程式として出すことができる。その代わりに、Aμ→Aμ−∂μΛA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\Lambda という、任意の関数をパラメータにもつ不定性が入る。

パラメータが任意の関数であるとき、Noether の第2定理から出るのは保存則でなく恒等式 ∂νEν≡0\partial_\nu\mathcal E^\nu\equiv0 である。電磁場では ∂ν∂μFμν≡0\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}\equiv0 で、ここから、外から与える源は連続の方程式 ∂νJν=0\partial_\nu J^\nu=0 を満たさなければならず(満たさなければ Maxwell 方程式は解を持たない)、そのことは結合の項 −JμAμ-J^\mu A_\mu のゲージ不変性と同値である。同じ恒等式から、方程式は AμA_\mu を1つに決めず、初期条件が同じでも後の AμA_\mu が違う解が作れることが分かる。

Hamilton 形式では ϕ\phi の正準運動量が 00 になり、ϕ\phi は未定乗数、Gauss の法則は拘束になる。その拘束 G[Λ]G[\Lambda] は Poisson 括弧で A→A+ϵ∇Λ\bm{A}\to\bm{A}+\epsilon\nabla\Lambda を生成する。Fourier 成分で数えると、k\bm{k} に平行な成分はゲージと拘束で消え、各点で動く自由度は k\bm{k} に垂直な2成分(光の2つの偏り)である。計算ではゲージ軌道から代表を選び(Lorenz ゲージ・Coulomb ゲージ)、ゲージで消せない閉じた線積分 ∮A⋅dl\oint\bm{A}\cdot\mathrm{d}\bm{l} は、B=0\bm{B}=0 の場所でも Aharonov–Bohm の位相として観測にかかる。

次の章(第2部第9章)では、Lorenz ゲージの波動方程式 (2.8.23) を静電・静磁・放射の場合に解き、作用の言葉で見直す。ゲージ変換を計量の取り替え(座標変換)に置き換えると、一般相対論でも同じ構造が現れる。重力波の章(第2部第18章)では線形化した計量のゲージ変換と TT ゲージを、Einstein 方程式の章(第2部第15章)では座標の取り替えについての第2定理(Bianchi 恒等式とエネルギー運動量の保存)を扱う。

この章の道具

  • ゲージ変換:Aμ→Aμ−∂μΛA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\Lambda(ϕ→ϕ−∂tΛ\phi\to\phi-\partial_t\Lambda、A→A+∇Λ\bm{A}\to\bm{A}+\nabla\Lambda)。FμνF_{\mu\nu} は不変、粒子の LL は q dΛ/dtq\,\mathrm{d}\Lambda/\mathrm{d} t だけ変わる。
  • Noether の第2定理:任意の Λ(x)\Lambda(x) で作用が不変なら、すべての場で ∂νEν≡0\partial_\nu\mathcal E^\nu\equiv0。電磁場では ∂ν∂μFμν≡0\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}\equiv0。
  • 源への条件:∂νJν=0\partial_\nu J^\nu=0 ⇔ 結合の項のゲージ不変性 ⇔ Maxwell 方程式が解を持つための条件。
  • Hamilton 形式:Π=−ε0E\bm{\Pi}=-\varepsilon_0\bm{E}、Πϕ=0\Pi_\phi=0、H=∫(Π22ε0+B22μ0−J⋅A)+∫ϕ(∇⋅Π+ρ)H=\int\bigl(\frac{\bm{\Pi}^2}{2\varepsilon_0}+\frac{\bm{B}^2}{2\mu_0}-\bm{J}\cdot\bm{A}\bigr)+\int\phi(\nabla\cdot\bm{\Pi}+\rho)。ϕ\phi は未定乗数、Gauss の法則は拘束で、G[Λ]G[\Lambda] がゲージ変換を生成する。
  • 自由度:各 k\bm{k} で動くのは A~⊥\tilde{\bm{A}}_\perp の2成分。
  • ゲージで消せない量:FμνF_{\mu\nu} と ∮A⋅dl\oint\bm{A}\cdot\mathrm{d}\bm{l}(Aharonov–Bohm の位相 qΦB/ℏq\Phi_B/\hbar)。

総合問題 質量のあるベクトル場:ゲージ不変性を壊すと何が変わるか ★★★

オリジナル第2部第6章の2.6.7節の総合問題(Proca 場)の続きである。そこでは Euler–Lagrange 方程式・∂νAν=0\partial_\nu A^\nu=0・湯川型のポテンシャルを求めた。ここでは同じ場を、この章の主題であるゲージ不変性・拘束・自由度の数の側から見る。第6章の長さ λ\lambda を κ=1/λ\kappa=1/\lambda と書くと、Lagrangian 密度は

L=−14μ0FμνFμν+κ22μ0AμAμ−JμAμ\mathcal L=-\frac{1}{4\mu_0}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}+\frac{\kappa^2}{2\mu_0}A_\mu A^\mu-J^\mu A_\mu

である。κ>0\kappa>0 は長さの逆数の次元を持つ定数で、κ→0\kappa\to0 で電磁場に戻る。源 JμJ^\mu は連続の方程式を満たすとする。

  1. (1) (使う道具:2.8.1節)ゲージ変換 Aμ→Aμ−∂μΛA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\Lambda で L\mathcal L が Λ\Lambda の1次でどれだけ変わるかを求め、κ≠0\kappa\neq0 ではゲージ不変でないことを示せ。
  2. (2) (使う道具:第2部第6章の総合問題 (1))Euler–Lagrange 方程式を κ\kappa で書け。
  3. (3) (使う道具:2.8.2節・2.8.3節)(2) の発散を取り、∂μAμ=0\partial_\mu A^\mu=0 がゲージの選び方でなく運動方程式の帰結として出ることを示せ。
  4. (4) (使う道具:第2部第6章の総合問題 (3)・2.8.5節)原点に静止した点電荷 QQ のまわりの ϕ\phi を κ\kappa で書け。κ→0\kappa\to0 の極限は、Lorenz ゲージの方程式 (2.8.23) のどの解に戻るか。
  5. (5) (使う道具:2.8.4節/第1部第6章)Hamilton 形式で ϕ\phi を含む項が ϕ(∇⋅Π+ρ)−κ22μ0c2ϕ2\phi(\nabla\cdot\bm{\Pi}+\rho)-\frac{\kappa^2}{2\mu_0c^2}\phi^2 になることを使い、ϕ\phi が未定乗数でなく Π\bm{\Pi} と ρ\rho で決まる量になることを示せ。各 k\bm{k} で動く自由度はいくつか。
  6. (6) (使う道具:(4))κ−1=1 m\kappa^{-1}=1\,\mathrm m のとき、r=1 mr=1\,\mathrm m と r=3 mr=3\,\mathrm m での ϕ\phi は Coulomb のポテンシャルの何倍か。
解答

(1) FμνFμνF_{\mu\nu}F^{\mu\nu} と JμAμJ^\mu A_\mu の項は 2.8.1節・2.8.3節のとおりゲージ不変(後者は全微分だけ変わる)。質量の項はAμAμ→(Aμ−∂μΛ)(Aμ−∂μΛ)=AμAμ−2Aμ∂μΛ+∂μΛ ∂μΛA_\mu A^\mu\to(A_\mu-\partial_\mu\Lambda)(A^\mu-\partial^\mu\Lambda)=A_\mu A^\mu-2A^\mu\partial_\mu\Lambda+\partial_\mu\Lambda\,\partial^\mu\Lambda なので、1次の変化は−κ2μ0Aμ∂μΛ-\frac{\kappa^2}{\mu_0}A^\mu\partial_\mu\Lambda である。これは AA によって決まる量で、勝手な Λ\Lambda について全微分にはならない(例えば AμA^\mu が定数でない場合、Aμ∂μΛ=∂μ(AμΛ)−Λ ∂μAμA^\mu\partial_\mu\Lambda=\partial_\mu(A^\mu\Lambda)-\Lambda\,\partial_\mu A^\mu の2項目が残る)。κ≠0\kappa\neq0 ではゲージ不変でない。

(2) 第6章の総合問題 (1) の方程式で 1/λ21/\lambda^2 を κ2\kappa^2 に置き換えて、∂μFμν+κ2Aν=μ0Jν\partial_\mu F^{\mu\nu}+\kappa^2A^\nu=\mu_0J^\nu である。

(3) 発散を取る計算は第6章の総合問題 (2) と同じである。恒等式 (2.8.11) で ∂ν∂μFμν=0\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}=0、連続の方程式で ∂νJν=0\partial_\nu J^\nu=0 なので、κ2∂νAν=0\kappa^2\partial_\nu A^\nu=0。κ≠0\kappa\neq0 なら ∂νAν=0\partial_\nu A^\nu=0 である。電磁場では Lorenz 条件は自分で課す条件(ゲージの固定)だったが、ここでは運動方程式から必ず従う。ゲージ不変性が無いので運動方程式どうしの間に第2定理の恒等式は無く、かわりに発散を取った式が新しい情報 ∂νAν=0\partial_\nu A^\nu=0 を含む。これを使うと (2) は (□+κ2)Aν=μ0Jν(\Box+\kappa^2)A^\nu=\mu_0J^\nu になる。

(4) 第6章の総合問題 (3) で、静的な ν=0\nu=0 成分が ∇2ϕ−λ−2ϕ=−ρ/ε0\nabla^2\phi-\lambda^{-2}\phi=-\rho/\varepsilon_0 になり、点電荷の解が湯川型になることを示した。λ=1/κ\lambda=1/\kappa と書けば

ϕ=Q e−κr4πε0r\phi=\frac{Q\,\mathrm{e}^{-\kappa r}}{4\pi\varepsilon_0r}

である。κ→0\kappa\to0 では、Lorenz ゲージの方程式 (2.8.23) の静的な場合 −∇2ϕ=ρ/ε0-\nabla^2\phi=\rho/\varepsilon_0 の解、すなわち Coulomb のポテンシャルに戻る。

(5) ϕ\phi について変分すると ∇⋅Π+ρ−κ2μ0c2ϕ=0\nabla\cdot\bm{\Pi}+\rho-\frac{\kappa^2}{\mu_0c^2}\phi=0、すなわち ϕ=μ0c2κ2(∇⋅Π+ρ)=∇⋅Π+ρε0κ2\phi=\frac{\mu_0c^2}{\kappa^2}(\nabla\cdot\bm{\Pi}+\rho)=\frac{\nabla\cdot\bm{\Pi}+\rho}{\varepsilon_0\kappa^2} と決まる。電磁場(κ=0\kappa=0)では ϕ\phi の係数が拘束になり、ϕ\phi そのものは決まらなかった。ここでは ϕ\phi が2次で入るので、ϕ\phi は方程式で決まり、Gauss の法則は拘束でなくなる。ゲージ変換の生成子になる拘束が無いので、A~∥\tilde{\bm{A}}_\parallel も時間発展する自由度として残り、各 k\bm{k} で動く自由度は A~\tilde{\bm{A}} の3成分、すなわち3つになる。κ→0\kappa\to0 で3から2へ不連続に減ることが、ゲージ不変性があるかないかの差である。

(6) ϕ/ϕCoulomb=e−κr\phi/\phi_{\mathrm{Coulomb}}=\mathrm{e}^{-\kappa r} なので、r=1 mr=1\,\mathrm m で e−1=0.368\mathrm{e}^{-1}=0.368 倍、r=3 mr=3\,\mathrm m で e−3=0.0498\mathrm{e}^{-3}=0.0498 倍。質量の項があると静電場は距離 κ−1\kappa^{-1} ほどで指数関数的に弱まる。ゲージ場が質量を持つ例は超伝導体の中の電磁場で、磁場が表面から一定の深さまでしか入らない Meissner 効果になる(第5部第6章)。

木下の勉強ステータス

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