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当てる道具:任意の関数をパラメータにもつ対称性

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第8章 ゲージ不変性という制約
目次
  1. 第1定理との違い
  2. 定理
  3. 電磁場に当てる
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第8章 §2.8.2 ★★★ パラメータが定数なら保存則(第1定理)、任意の関数なら Euler–Lagrange 式どうしの恒等式(第2定理)

第1定理との違い

第1部第10章と第2部第7章で使った Noether の定理は、変換の大きさ ϵ\epsilon が定数の場合のものだった。その場合、作用が変わらないことから、運動方程式の解の上でだけ成り立つ保存則 ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 が出る。ゲージ変換 (2.8.4) では、ずらす量 Λ(x)\Lambda(x) が時空の点ごとに勝手に選べる関数である。このように変換のパラメータが任意の関数であるとき、作用が変わらないことから出てくる結論は性質が違う。Noether は1918年の同じ論文でこの場合も扱っており(第1部第10章の脚注)、こちらをNoether の第2定理と呼ぶ。

まず記号を用意する。場の作用 S[A]=1c∫L(A,∂A) d4xS[A]=\frac1c\int\mathcal L(A,\partial A)\,\mathrm{d}^4x に対して、Euler–Lagrange 方程式の左辺を

Eν(x)≔∂L∂Aν−∂μ∂L∂(∂μAν)(2.8.9)\mathcal E^\nu(x)\coloneqq\frac{\partial \mathcal L}{\partial A_\nu}-\partial_\mu\frac{\partial \mathcal L}{\partial (\partial_\mu A_\nu)}\tag{2.8.9}

と書く。これは第1部第10章の Ei\mathcal E_i の場の版で、解でない AA を入れても計算できる量である。第2部第5章で示したとおり、AνA_\nu を δAν\delta A_\nu だけずらしたときの作用の1次の変化は、境界の項を除いてδS=1c∫Eν δAν d4x\delta S=\frac1c\int\mathcal E^\nu\,\delta A_\nu\,\mathrm{d}^4x で、運動方程式は Eν=0\mathcal E^\nu=0 である。

定理

定理 2.8.1(Noether の第2定理(ゲージ変換の場合)★★★)

有界な領域の外で 00 になるすべての関数 Λ(x)\Lambda(x) と、すべての AμA_\mu(運動方程式の解でなくてよい)についてS[A−∂Λ]=S[A]S[A-\partial\Lambda]=S[A] が成り立つとする。このとき、すべての AμA_\mu について

∂νEν(x)=0(2.8.10)\partial_\nu\mathcal E^\nu(x)=0\tag{2.8.10}

が恒等的に成り立つ。

証明

Λ\Lambda を ϵΛ\epsilon\Lambda に置き換えて ϵ\epsilon の1次を取る。δAν=−ϵ∂νΛ\delta A_\nu=-\epsilon\partial_\nu\Lambda で、Λ\Lambda は領域の外で 00 なので境界の項は残らない。作用が変わらないので、部分積分して

0=δS=1c∫Eν (−ϵ ∂νΛ) d4x=ϵc∫Λ ∂νEν d4x.0=\delta S=\frac1c\int\mathcal E^\nu\,(-\epsilon\,\partial_\nu\Lambda)\,\mathrm{d}^4x=\frac{\epsilon}{c}\int\Lambda\,\partial_\nu\mathcal E^\nu\,\mathrm{d}^4x .

これが勝手な Λ\Lambda で成り立つので、第1部第3章の変分法の基本補題から ∂νEν=0\partial_\nu\mathcal E^\nu=0 が各点で成り立つ。仮定が「すべての AA で」なので、結論もすべての AA で成り立つ。

第1定理と並べると違いがはっきりする。第1定理の結論 ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 は、運動方程式を使って初めて成り立つ物理の法則である。第2定理の結論 (2.8.10) は運動方程式を使わずに成り立つ恒等式で、運動方程式 Eν=0\mathcal E^\nu=0 の4本が互いに独立でないことを言っている。

第1定理(第1部第10章)第2定理(この節)
変換のパラメータ定数 ϵ\epsilon時空の任意の関数 Λ(x)\Lambda(x)
結論保存則 ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0恒等式 ∂νEν≡0\partial_\nu\mathcal E^\nu\equiv0
成り立つ範囲運動方程式の解の上すべての場の配置
意味保存する量がある運動方程式が独立でなく、解が1つに決まらない

電磁場に当てる

作用 (2.8.2) の場の部分 S0=−14μ0c∫FμνFμνd4xS_0=-\frac{1}{4\mu_0c}\int F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}\mathrm{d}^4x は、式 (2.8.6) によりどんな AA と Λ\Lambda でも変わらない。∂(FαβFαβ)∂(∂μAν)=4Fμν\frac{\partial (F_{\alpha\beta}F^{\alpha\beta})}{\partial (\partial_\mu A_\nu)}=4F^{\mu\nu} なので E0ν=1μ0∂μFμν\mathcal E_0^\nu=\frac{1}{\mu_0}\partial_\mu F^{\mu\nu} で、定理 2.8.1 から

∂ν∂μFμν=0(すべての Aμ で)(2.8.11)\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}=0\qquad(\text{すべての }A_\mu\text{ で})\tag{2.8.11}

が出る。これは直接にも確かめることができる。∂ν∂μ\partial_\nu\partial_\mu は添字 μ,ν\mu,\nu について対称、FμνF^{\mu\nu} は反対称なので、和を取ると 00 になる。

恒等式 (2.8.11) は運動方程式について2つのことを言っている。1つ目は、4本の運動方程式 (2.8.3) の左辺の間に1つの関係があるので、右辺 JνJ^\nu も同じ関係を満たさなければ解が無いことである。これを 2.8.3節で扱う。2つ目は、4つの未知関数 AμA_\mu に対して独立な方程式が実質3本しか無いので、AμA_\mu が方程式だけでは決まらないことである。実際、AμA_\mu が解なら Aμ−∂μΛA_\mu-\partial_\mu\Lambda も解である。Λ\Lambda を時刻 t=0t=0 の近くでは 00、その後では 00 でないように選べば、初期の AμA_\mu とその時間微分がまったく同じで、後の時刻の AμA_\mu が違う解を2つ作ることができる。粒子の力学では初期の座標と速度で運動が1つに決まったが、AμA_\mu ではそれが成り立たない。決まるのは FμνF_{\mu\nu} だけである。この決まらなさを Hamilton 形式でどう扱うかが 2.8.4節の話になる。

Gauss の法則は時間の2階微分を含まない

恒等式の ν\nu についての和を時間の部分と空間の部分に分けると ∂0(∂μFμ0)=−∂i(∂μFμi)\partial_0(\partial_\mu F^{\mu0})=-\partial_i(\partial_\mu F^{\mu i}) となる。右辺の ∂μFμi\partial_\mu F^{\mu i} は AA の時間の2階微分までを含むので、左辺の ∂μFμ0\partial_\mu F^{\mu0} は時間の1階微分までしか含まない。実際 ∂μFμ0=∇⋅E/c\partial_\mu F^{\mu0}=\nabla\cdot\bm{E}/c で、E=−∇ϕ−∂tA\bm{E}=-\nabla\phi-\partial_t\bm{A} は時間の1階微分しか含まない。Gauss の法則は「時刻を進める方程式」でなく「各時刻の場が満たすべき条件」であり、2.8.4節でこれが拘束として現れる。

例題 2.8.2 恒等式を3次元の成分で確かめる ★★

オリジナルϕ(r,t)\phi(\bm{r},t)、A(r,t)\bm{A}(\bm{r},t) を任意の滑らかな関数とし、E=−∇ϕ−∂tA\bm{E}=-\nabla\phi-\partial_t\bm{A}、B=∇×A\bm{B}=\nabla\times\bm{A} とおく。

  1. (1) 恒等式 (2.8.11) を E,B\bm{E},\bm{B} で書くと

∂∂t(ε0∇⋅E)+∇⋅(1μ0∇×B−ε0∂E∂t)=0\frac{\partial }{\partial t}\bigl(\varepsilon_0\nabla\cdot\bm{E}\bigr)+\nabla\cdot\Bigl(\frac{1}{\mu_0}\nabla\times\bm{B}-\varepsilon_0\frac{\partial \bm{E}}{\partial t}\Bigr)=0

となることを示せ。2. (2) この式を、ϕ,A\phi,\bm{A} を使わずに ∇⋅(∇×v)=0\nabla\cdot(\nabla\times\bm{v})=0 だけで示せ。

解答

(1) ∂μFμ0=∇⋅E/c\partial_\mu F^{\mu0}=\nabla\cdot\bm{E}/c と、∂μFμi=(∇×B−1c2∂tE)i\partial_\mu F^{\mu i}=\bigl(\nabla\times\bm{B}-\frac{1}{c^2}\partial_t\bm{E}\bigr)^i を使う(第2部第6章で Maxwell 方程式を成分に分けたときの計算と同じ)。∂ν∂μFμν=1c∂t(∂μFμ0)+∂i(∂μFμi)\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}=\frac1c\partial_t(\partial_\mu F^{\mu0})+\partial_i(\partial_\mu F^{\mu i}) なので

0=1c2∂t(∇⋅E)+∇⋅(∇×B−1c2∂tE).0=\frac{1}{c^2}\partial_t(\nabla\cdot\bm{E})+\nabla\cdot\Bigl(\nabla\times\bm{B}-\frac{1}{c^2}\partial_t\bm{E}\Bigr).

両辺に 1/μ01/\mu_0 を掛け、1/(μ0c2)=ε01/(\mu_0c^2)=\varepsilon_0 を使うと求める式になる。

(2) 第2項のうち ∇⋅(∇×B)/μ0\nabla\cdot(\nabla\times\bm{B})/\mu_0 は恒等的に 00。残りは ε0∂t(∇⋅E)−ε0∇⋅(∂tE)\varepsilon_0\partial_t(\nabla\cdot\bm{E})-\varepsilon_0\nabla\cdot(\partial_t\bm{E}) で、時間微分と発散の順序を入れ替えれば打ち消し合う。

この恒等式に ϕ,A\phi,\bm{A} の形はまったく入っていない。Ampère–Maxwell の法則の左辺の発散が、Gauss の法則の左辺の時間微分と必ず打ち消し合う。運動方程式の側から見ると、この打ち消し合いのために8本の Maxwell 方程式が矛盾なく両立している。

木下の勉強ステータス

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