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出てくるもの(3):エタンデュが増えないのは Liouville の定理

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第10章 光線の解析力学
目次
  1. 相空間の体積
  2. 明るさの保存と集光の上限
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第10章 §2.10.5 ★★★ 光線の相空間 (x,y,px,py)(x,y,p_x,p_y) の体積はエタンデュ n2cos⁡θ dA dΩn^2\cos\theta\,\mathrm{d} A\,\mathrm{d}\Omega で、光学系を通しても変わらない。集光の上限と明るさの保存がそこから出る

相空間の体積

zz を時刻とみた光線の流れ (x,y,px,py)z1↦(x,y,px,py)z2(x,y,p_x,p_y)_{z_1}\mapsto(x,y,p_x,p_y)_{z_2} は、Hamiltonian (2.10.8) が zz を含んでいても正準変換で、第1部第12章で示した Liouville の定理により、相空間の体積

dx dy dpx dpy(2.10.24)\mathrm{d} x\,\mathrm{d} y\,\mathrm{d} p_x\,\mathrm{d} p_y\tag{2.10.24}

を保つ。ここで使ったのは Hamilton 方程式の形だけで、近軸近似は使っていない。収差のある系でも体積は保たれ、相空間の中の領域の形が変わるだけである。

光線の向きを、光軸からの角 θ\theta と方位角 φ\varphi で dr/ds=(sin⁡θcos⁡φ,sin⁡θsin⁡φ,cos⁡θ)\mathrm{d}\bm{r}/\mathrm{d} s=(\sin\theta\cos\varphi,\sin\theta\sin\varphi,\cos\theta) と書くと px=nsin⁡θcos⁡φp_x=n\sin\theta\cos\varphi, py=nsin⁡θsin⁡φp_y=n\sin\theta\sin\varphi で、Jacobi 行列式を計算すると dpx dpy=n2sin⁡θcos⁡θ dθ dφ=n2cos⁡θ dΩ\mathrm{d} p_x\,\mathrm{d} p_y=n^2\sin\theta\cos\theta\,\mathrm{d}\theta\,\mathrm{d}\varphi=n^2\cos\theta\,\mathrm{d}\Omega(dΩ=sin⁡θ dθ dφ\mathrm{d}\Omega=\sin\theta\,\mathrm{d}\theta\,\mathrm{d}\varphi は立体角の要素)になる。したがって

dG≔n2cos⁡θ dA dΩ=dx dy dpx dpy(2.10.25)\mathrm{d}\mathcal G\coloneqq n^2\cos\theta\,\mathrm{d} A\,\mathrm{d}\Omega=\mathrm{d} x\,\mathrm{d} y\,\mathrm{d} p_x\,\mathrm{d} p_y\tag{2.10.25}

は光線の束に沿って変わらない。dG\mathrm{d}\mathcal G をエタンデュ(光の束の「広がり」)と呼ぶ。面積 dA\mathrm{d} A と立体角 dΩ\mathrm{d}\Omega を同時に小さくすることはできず、光の束を小さな面積に絞れば角の広がりが増え、平行に近づければ面積が増える。

図

図 2.10.3 光線の束が占める相空間 (x,p)(x,p) の領域。入口の長方形(∣x∣≤1\lvert x\rvert \le1, ∣p∣≤12\lvert p\rvert \le\frac12)は、伝搬 TT(d/n=2d/n=2)で xx の向きにずれた平行四辺形になり、レンズ Λ\Lambda(f=2f=2)で pp の向きにずれる。面積はどれも 22 で変わらない

明るさの保存と集光の上限

光の束が運ぶ放射のパワーを dP=Lecos⁡θ dA dΩ\mathrm{d} P=L_{\mathrm e}\cos\theta\,\mathrm{d} A\,\mathrm{d}\Omega と書いたときの LeL_{\mathrm e} を放射輝度(単位 W m−2 sr−1\mathrm{W\,m^{-2}\,sr^{-1}}、「明るさ」)と呼ぶ。吸収も反射の損失もない光学系では dP\mathrm{d} P が光線の束に沿って保存し、式 (2.10.25) から cos⁡θ dA dΩ∝1/n2\cos\theta\,\mathrm{d} A\,\mathrm{d}\Omega\propto1/n^2 なので

Len2=一定(2.10.26)\frac{L_{\mathrm e}}{n^2}=\text{一定}\tag{2.10.26}

になる。レンズや鏡をどう組み合わせても、同じ屈折率の媒質の中で物体より明るい像は作れない。

太陽の光を集める場合に当てはめる。地球から見た太陽の角半径を θs\theta_{\mathrm s} とすると、面積 AinA_{\mathrm{in}} の入口に入る光のエタンデュは、θ≤θs\theta\le\theta_{\mathrm s} の円錐について∫cos⁡θ dΩ=πsin⁡2θs\int\cos\theta\,\mathrm{d}\Omega=\pi\sin^2\theta_{\mathrm s} なので Gin=πsin⁡2θsAin\mathcal G_{\mathrm{in}}=\pi\sin^2\theta_{\mathrm s}A_{\mathrm{in}} である。屈折率 nn の中に置いた面積 AoutA_{\mathrm{out}} の受光面が受け取れるエタンデュは、半球全体(θ≤π/2\theta\le\pi/2)でも πn2Aout\pi n^2A_{\mathrm{out}} を超えない。エタンデュが増えないので

AinAout≤n2sin⁡2θs(2.10.27)\frac{A_{\mathrm{in}}}{A_{\mathrm{out}}}\le\frac{n^2}{\sin^2\theta_{\mathrm s}}\tag{2.10.27}

が集光の倍率の上限になる。上限に達した受光面は、半球のすべての方向から太陽の表面と同じ明るさの光を受けるので、太陽の表面の温度より熱くはならない。集光の上限は、熱力学の第二法則と矛盾しないための条件にもなっている。

例題 2.10.5 太陽光の集光の上限 ★★

オリジナル太陽の半径を R⊙=6.957×108 mR_\odot=6.957\times10^{8}\,\mathrm m(IAU 2015 Resolution B3 の公称値)、地球と太陽の距離を 1 au=1.495978707×1011 m1\,\mathrm{au}=1.495978707\times10^{11}\,\mathrm m(IAU 2012 Resolution B2)とする。

  1. (1) 角半径の正弦 sin⁡θs=R⊙/1 au\sin\theta_{\mathrm s}=R_\odot/1\,\mathrm{au} と、空気中(n=1n=1)の受光面での集光の上限 (2.10.27) を求めよ。
  2. (2) 受光面を屈折率 1.51.5 のガラスの中に置くと上限は何倍になるか。
  3. (3) 一方向にだけ集める溝型の集光器(xzxz 面内の光線だけを考える)では、相空間 (x,p)(x,p) の面積が保存する。上限が n/sin⁡θsn/\sin\theta_{\mathrm s} になることを示し、空気中の値を求めよ。
解答

(1) sin⁡θs=6.957×108/1.496×1011=4.65×10−3\sin\theta_{\mathrm s}=6.957\times10^8/1.496\times10^{11}=4.65\times10^{-3}(角半径 0.266∘0.266^\circ)。上限は 1/sin⁡2θs≈4.62×1041/\sin^2\theta_{\mathrm s}\approx4.62\times10^4。

(2) n2=2.25n^2=2.25 倍で、約 1.04×1051.04\times10^5。受光面の側で光線が ∣p∣≤n\lvert p\rvert \le n の広い範囲を使えるので、相空間に余裕ができる。

(3) 入口の幅 winw_{\mathrm{in}} の相空間の面積は、∣p∣≤sin⁡θs\lvert p\rvert \le\sin\theta_{\mathrm s} なので 2sin⁡θs win2\sin\theta_{\mathrm s}\,w_{\mathrm{in}}。出口の幅 woutw_{\mathrm{out}} では ∣p∣≤n\lvert p\rvert \le n なので高々 2n wout2n\,w_{\mathrm{out}}。面積が増えないので win/wout≤n/sin⁡θsw_{\mathrm{in}}/w_{\mathrm{out}}\le n/\sin\theta_{\mathrm s} で、空気中では約 215215。3次元の上限 4.62×1044.62\times10^4 はこの2乗で、xx と yy の2つの向きに独立に相空間の面積が保たれることに当たる。

ほかの巻では

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