解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第10章 §2.10.6 ★★ Snell の法則・反射の法則・レンズの公式・レンズメーカーの式・Lagrange–Helmholtz の不変量・Huygens の原理を、この章の式と並べる
式の対応
解析力学を使わない光学の授業では、Huygens の原理か Fermat の原理から反射と屈折の法則を出し、球面での屈折を1面ずつ作図して薄いレンズの公式と倍率を求め、近軸の光線を高さ y と角 u の組で表す光線行列を導入する、という順に進むことが多い。この章ではそれぞれが次の所から出た。
| 授業での書き方 | この章での出どころ | 式 |
| 反射の法則 | 光路長の停留(1階の条件) | 例題 2.10.1 |
| Snell の法則 n1sinθ1=n2sinθ2 | 境界面に沿った並進の Noether の保存量 | (2.10.10) |
| Huygens の原理(波面の各点から出る素元波) | Hamilton–Jacobi 方程式の特性曲線 | (2.10.13) |
| 光線は波面に直交 | p=∇S | (2.10.11) |
| レンズの公式 a1+b1=f1 | ABCD 行列の B=0 | 例題 2.10.4 |
| 光線行列 (y,u) の行列式 n1/n2 | (x,p) では行列式 1 | (2.10.28) |
| Lagrange–Helmholtz の不変量 nyu=n′y′u′ | 相空間の面積の保存 | (2.10.29) |
| 明るさは光学系で増えない | Liouville の定理 | (2.10.26) |
光線行列の変数の選び方
授業の光線行列は、光線の高さ y と光軸からの角 u(≈θ)を変数にとることが多い。この章の (x,p)=(y,nu) との違いは運動量に屈折率が掛かるかどうかだけで、入口の屈折率 n1、出口の屈折率 n2 の系の行列の関係は
(AyumathbbCyuByuDyu)=(1001/n2)(AmathbbCBD)(100n1),AyuDyu−ByuCyu=n2n1(2.10.28)
である。(y,u) は正準変数の組になっていないので、行列式が 1 にならない。入口と出口がどちらも空気なら2つの書き方は一致する。
物体の高さ y、そこから出る光線の角 u、像の高さ y′、像に集まる光線の角 u′ の間には、授業で Lagrange–Helmholtz の不変量として習う関係
nyu=n′y′u′(2.10.29)
が成り立つ。結像では B=0 なので y′=Ay、p′=Dp=p/A(AD=1)で、n′u′y′=(nu/A)(Ay)=nuy となる。物体側で幅 y・角の幅 u の束が占める相空間の面積が、像の側で保たれていることの言い換えである。
例題 2.10.6 厚いレンズのレンズメーカーの式 ★★
オリジナル屈折率 n=1.5 のガラスの両面が曲率半径 R1=20cm, R2=−20cm の球面で、中心の厚さが d のレンズを空気中に置く。
- (1) 第1面・厚さ d の伝搬・第2面の行列を掛けた ABCD 行列 M を求め、detM=1 を確かめよ。
- (2) 焦点距離を −1/C で定める。d=0 で式 (2.10.21) が出ることを確かめ、d=1cm の焦点距離を求めよ。
解答
(1) 第1面 (1−(n−1)/R101)、伝搬 (10d/n1)、第2面 (1−(1−n)/R201) を右から順に掛けて、P1=(n−1)/R1, P2=(1−n)/R2 と置くと
M=1−ndP1−P1−P2+ndP1P2nd1−ndP2.
各因子の行列式が 1 なので detM=1。直接展開しても (1−ndP1)(1−ndP2)+nd(P1+P2−ndP1P2)=1 になる。
(2) f1=−C=P1+P2−ndP1P2=(n−1)[R11−R21+nR1R2(n−1)d]。d=0 で式 (2.10.21) に戻り、数値では f=20cm。d=1cm では P1=P2=0.025cm−1 で 1/f=0.05−1.51×0.0252=0.049583cm−1、f≈20.17cm。厚さの分だけ2つの面の働きが弱め合い、焦点距離が少し伸びる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com