この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第10章 §2.10.7 ★★★ 光線の力学は、光路長を作用に選んだ解析力学そのもの。Snell・アイコナール・ABCD・エタンデュは Noether・Hamilton–Jacobi・正準変換・Liouville の姿
光線は光路長 を停留させる経路を通る(Fermat の原理)。光が進む向き を時刻とみると Lagrangian は で、Euler–Lagrange 方程式は光線の方程式 になる。Legendre 変換で得る正準運動量は の横の成分、Hamiltonian は である。屈折率が層をなす媒質では並進の Noether の保存量 が一定で、これが Snell の法則と全反射・蜃気楼を与える。光路長を終点の関数とみたアイコナール は を満たし、これは光線の の Hamilton–Jacobi 方程式である。Helmholtz 方程式に を入れて とすると同じ式が出て、 の置き換えで Schrödinger 方程式の古典極限と重なる。光軸の近くでは が2次式になり、伝搬・屈折・レンズは行列式 の ABCD 行列(線形正準変換)で、結像の条件は 、倍率と角の倍率の積は である。屈折率が放物型の媒質は調和振動子で、振幅の大きい光線では周期が縮む。相空間の体積 (エタンデュ)は Liouville の定理で保たれ、明るさ と集光の上限 を決める。
光の巻(光学と量子エレクトロニクス 第2章)は、この章の原理の上に結像と光線追跡の実際を、光学と量子エレクトロニクス 第3章は を近軸から4次まで展開した残りとしての収差を扱う。光学と量子エレクトロニクス 第4章の近軸波動方程式は、2次の (2.10.17) を で量子化した Schrödinger 方程式と同じ形をしている。重力による光の曲がりは、曲がった時空での Fermat の原理として 第2部第16章で扱う。
この章の道具
- Fermat の原理:。 を時刻にとると 。
- 光線の方程式:、径数 では 。
- 光線の Hamiltonian:、。層状の媒質で 一定(Snell)。
- アイコナール方程式 は光線の Hamilton–Jacobi 方程式。光線は波面に直交。
- 近軸:、ABCD 行列は 。伝搬 、レンズ 。
- エタンデュ は保存(Liouville)。 が一定、集光の上限 。
総合問題 屈折率が放物型のファイバーの中の光線を5通りに見る ★★★
オリジナル屈折率が の媒質(, )の中を、 面内で の正の向きに進む光線を考える。
- (1) (使う道具:2.10.4節・第1部第12章)近軸の Hamiltonian (2.10.22) で、長さ 進む ABCD 行列を求め、行列式が であることを確かめよ。長さ (4分の1周期)の行列が、平行な光の束を1点に集めるレンズとして働くことを示せ。
- (2) (使う道具:2.10.2節・2.10.4節)光軸上から出て振幅 に達する光線について、近軸の周期と厳密な周期 (2.10.23) を求めよ。光軸での光線の傾き ()も求めよ。
- (3) (使う道具:第1部第14章の作用変数と断熱不変量)近軸の光線の作用変数 を で表せ。長い距離をかけて を から までゆっくり変えたファイバーの出口で、振幅 と最大の運動量 を求めよ。
- (4) (使う道具:2.10.5節)(3) の光線の相空間の軌道が囲む面積が に等しいことを確かめ、(3) の結果をエタンデュの保存として読め。
- (5) (使う道具:2.10.3節・第1部第14章の Bohr–Sommerfeld の条件)波の位相が で の役を がすることから、()の光線だけが波として許されると考える。真空中の波長 のとき、(2) の光線はおよそ何番目の に当たるか。 番目の波が の向きに進むときの位相の増え方 (伝搬定数)を求めよ。
解答
(1) 式 (2.10.22) の Hamilton 方程式は , で、調和振動子の流れなので
では で、(平行な光の束)なら になり、高さによらずすべての光線が出口の光軸上の1点に集まる。出口の面に焦点のあるレンズとして働き、 から焦点距離に当たる量は ()である。
(2) 近軸の周期は 。厳密には なので で、約 短い。光軸での運動量は厳密な解で で、、()。
(3) 近軸では , で、相空間の軌道は半軸 と の楕円である。 は楕円の面積 なので ( から定数 を除いた値 を使えば とも書ける)。はじめは 。 を変える長さが周期 よりずっと長ければ は断熱不変量で保たれるので、、。 が 倍になると 、。光の束は太くなり、角の広がりは半分になる。
(4) 楕円の面積は 。はじめ 、出口で で等しい。相空間の面積の保存(Liouville の定理)はゆっくり変える必要のない厳密な性質で、断熱不変量は「1本の光線の楕円が、形を変えながらも別の楕円に移る」ことを加えて主張している。同じ面積の楕円の中で太さと角の広がりを交換したのが (3) の結果である。
(5) なので 、 から 。Hamiltonian の値は (調和振動子の )で、時間発展の位相 の , が なので、位相は について
の割合で増える。隣り合う の差は で、どの の波も が 進むごとに位相の差が の整数倍に戻る。近軸の光線が周期 で同じ形に戻ることの、波の側の言い換えである。
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