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この章で選ぶ HH:近軸の先の4次の項

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3章 収差
目次
  1. 光線の Hamiltonian と近軸近似の位置づけ
  2. 回転対称な の形
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第3章 §3.1 ★★★ 光線の Hamiltonian を4次まで展開すると、回転対称な系の4次の項は3つの不変量の2次式になる

第2章(第2章)までの結像の理論は、光線の Hamiltonian を光軸からのずれの2次で打ち切った近軸光学だった。2次で打ち切ると Hamilton 方程式は線形になり、光学系は行列式 11 の 2×22\times2 行列(ABCD 行列)で書け、物体の1点を出た光線はすべて像の1点に集まる。実際のレンズで像がぼけたりゆがんだりするのは、2次の先の項を捨てたからである。この章では、その捨てた項のうち最初の4次の項を取り戻す。

この章で取り出すモードは光線そのもので(波としてのモードはまだ使わない)、物質のモデルは屈折率 n(r)n(\bm{r}) と、屈折率が跳ぶ球面である。光と物質の結合は、光線の Hamiltonian H=−n2−∣p∣2H=-\sqrt{n^2-\lvert \bm{p}\rvert ^2} に屈折率が入ることに尽きる。3.1節でこの HH を4次まで展開し、4次の部分 H4H_4 が光軸のまわりの回転で変わらない3つの量 ∣x∣2\lvert \bm{x}\rvert ^2, x⋅p\bm{x}\cdot\bm{p}, ∣p∣2\lvert \bm{p}\rvert ^2 の2次式になることを示す。3.2節では、近軸の流れを基準にとった相互作用描像の1次摂動を当て、像の上のずれがただ1つの関数(この章では収差関数と呼ぶ)の微分で書けることを示す。3.3節と3.4節が「出てくるもの」で、収差関数の6つの係数のうち5つが像に現れる5つの収差(球面収差・コマ・非点収差・像面湾曲・歪曲)になること、コマの像が3対1の比を持つ円になることが正準変換であることの帰結であること、球面1枚の球面収差を厳密な光線追跡と比べ、非球面で消せることを順に見る。3.5節で置いた近似と、収差を測る量(Strehl 比と色のにじみ)を述べ、3.6節で学部の光学で習う波面収差の展開と並べる。

光線の Hamiltonian と近軸近似の位置づけ

光が全体として進む向きを zz 軸(光軸)にとり、zz を時刻の代わりの径数にする。光線の横の位置を x=(x,y)\bm{x}=(x,y)、それに共役な運動量を p=(px,py)\bm{p}=(p_x,p_y) と書く。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章で示したとおり、p\bm{p} は屈折率 nn に光線の向きの単位ベクトルを掛けたものの横の成分で、光線の Hamiltonian は

H(x,p;z)=−n(x,z)2−∣p∣2(3.1)H(\bm{x},\bm{p};z)=-\sqrt{n(\bm{x},z)^2-\lvert \bm{p}\rvert ^2}\tag{3.1}

である。この章では x\bm{x}, p\bm{p} を光軸に垂直な面の中の2成分のベクトルとして太字で書く。∣p∣=nsin⁡θ\lvert \bm{p}\rvert =n\sin\theta(θ\theta は光線が光軸となす角)なので、∣p∣/n\lvert \bm{p}\rvert /n は光線の傾きの正弦である。

近軸近似は、∣p∣/n\lvert \bm{p}\rvert /n と、光軸からの距離 ∣x∣\lvert \bm{x}\rvert を屈折率が変わる長さで割ったものを小さいとして、HH を2次で打ち切る近似だった。同じ展開を1段先まで進めると、HH は

H=H0+H2+H4+O(6),Hk は (x,p) について k 次の同次式(3.2)H=H_0+H_2+H_4+\mathcal{O}(6),\qquad H_k\ \text{は}\ (\bm{x},\bm{p})\ \text{について}\ k\ \text{次の同次式}\tag{3.2}

となる。奇数次の項が無いのは、系が光軸のまわりに回転対称で、(x,p)→(−x,−p)(\bm{x},\bm{p})\to(-\bm{x},-\bm{p})(180∘180^\circ の回転)で HH が変わらないからである。H0H_0 は x\bm{x}, p\bm{p} によらない定数で光線の形に関係しない。H2H_2 が近軸光学で、その係数で ABCD 行列が決まる。H4H_4 は Hamilton 方程式に x\bm{x}, p\bm{p} の3次の項を足す。それが光線の位置に3次のずれを作るので、H4H_4 から出る収差を3次収差と呼ぶ。同じ理由で H6H_6 から出るものは5次収差である。

回転対称な H4H_4 の形

光学系が光軸のまわりの回転と、光軸を含む面についての鏡映で変わらないとする(普通のレンズ系はこの2つの対称性を持つ)。x\bm{x}, p\bm{p} の多項式でこの2つの変換で変わらないものは、3つの量

ξ=∣x∣2,η=x⋅p,ζ=∣p∣2(3.3)\xi =\lvert \bm{x}\rvert ^2,\qquad \eta =\bm{x}\cdot\bm{p},\qquad \zeta =\lvert \bm{p}\rvert ^2\tag{3.3}

の多項式に限る。回転だけなら外積の zz 成分 x×p\bm{x}\times\bm{p} も不変だが、鏡映で符号が変わるので、偶数乗でしか入らない。その2乗は (x×p)2=ξζ−η2(\bm{x}\times\bm{p})^2=\xi\zeta-\eta^2 で、新しいものにならない。H4H_4 は4次なので ξ\xi, η\eta, ζ\zeta の2次式で、

H4=g1ζ2+g2ζη+g3η2+g4ξζ+g5ξη+g6ξ2(3.4)H_4=g_1\zeta^2+g_2\zeta\eta+g_3\eta^2+g_4\xi\zeta+g_5\xi\eta+g_6\xi^2\tag{3.4}

の6つの係数で決まる(係数は一般に zz の関数)。4次の同次式は一般には x\bm{x}, p\bm{p} の4成分について35個の係数を持つので、対称性が係数を6個にまで減らしたことになる。

一様な媒質(nn が一定)では H=−n1−ζ/n2H=-n\sqrt{1-\zeta /n^2} を ζ\zeta で展開して

H=−n+ζ2n+ζ28n3+O(ζ3)(3.5)H=-n+\frac{\zeta }{2n}+\frac{\zeta ^2}{8n^3}+\mathcal{O}(\zeta ^3)\tag{3.5}

となり、H4=ζ2/(8n3)H_4=\zeta ^2/(8n^3) である。ここには x\bm{x} が入らない。一様な媒質では光線は直線で、横のずれ x\bm{x} は zz について厳密に dx/dz=p/n2−ζ\mathrm{d}\bm{x}/\mathrm{d} z=\bm{p}/\sqrt{n^2-\zeta } で増える。近軸ではこれを p/n\bm{p}/n に置き換えたので、その差が H4H_4 に入っている。

例題 3.1 一様な媒質と放物型の媒質の H4H_4 ★★

オリジナル

  1. (1) 一様な媒質で、光線の傾きが 10∘10^\circ のときの H4/H2H_4/H_2 を求めよ。
  2. (2) 屈折率が n2=n02(1−α2ξ)n^2=n_0^2(1-\alpha^2\xi )(α>0\alpha>0、ξ=∣x∣2\xi =\lvert \bm{x}\rvert ^2)の放物型の媒質で、H4H_4 を求め、それが H2H_2 の2乗で H4=H22/(2n0)H_4=H_2^2/(2n_0) と書けることを示せ。
解答

(1) 式 (3.5) から H4/H2=ζ/(4n2)=sin⁡2θ/4H_4/H_2=\zeta /(4n^2)=\sin^2\theta/4。θ=10∘\theta=10^\circ で sin⁡2θ/4=7.54×10−3\sin^2\theta/4=7.54\times10^{-3} である。傾き 10∘10^\circ の光線でも、近軸の項に対する補正は1パーセントに満たない。この小ささが、近軸の理論が実用になり、4次の項を摂動として扱ってよい理由である。

(2) H=−n01−γH=-n_0\sqrt{1-\gamma}、γ=α2ξ+ζ/n02\gamma=\alpha^2\xi +\zeta /n_0^2 と書くと、1−γ=1−γ/2−γ2/8+O(γ3)\sqrt{1-\gamma}=1-\gamma/2-\gamma^2/8+\mathcal{O}(\gamma^3) なので

H=−n0+n02(α2ξ+ζn02)+n08(α2ξ+ζn02)2+O(γ3).H=-n_0+\frac{n_0}{2}\Bigl(\alpha^2\xi +\frac{\zeta }{n_0^2}\Bigr)+\frac{n_0}{8}\Bigl(\alpha^2\xi +\frac{\zeta }{n_0^2}\Bigr)^2+\mathcal{O}(\gamma^3).

2次の部分は H2=ζ/(2n0)+n0α2ξ/2H_2=\zeta /(2n_0)+n_0\alpha^2\xi /2 で、質量 n0n_0・角振動数 α\alpha の2次元の調和振動子である(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第10章)。α2ξ+ζ/n02=2H2/n0\alpha^2\xi +\zeta /n_0^2=2H_2/n_0 なので、4次の部分は

H4=n08(2H2n0)2=H222n0H_4=\frac{n_0}{8}\Bigl(\frac{2H_2}{n_0}\Bigr)^2=\frac{H_2^2}{2n_0}

となる。式 (3.4) の係数で書くと g1=1/(8n03)g_1=1/(8n_0^3), g4=α2/(4n0)g_4=\alpha^2/(4n_0), g6=n0α4/8g_6=n_0\alpha^4/8 で、η=x⋅p\eta =\bm{x}\cdot\bm{p} を含む項は無い。

木下の勉強ステータス

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