tecktom.com

出てくるもの2:時計の進みは高さで変わる

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第11章 等価原理と重力赤方偏移
目次
  1. 静止した時計の固有時
  2. 光の信号で比べる
  3. Noether の保存量で見る
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第11章 §2.11.4 ★★★ 計量が時刻によらないことに Noether の定理を当てると、静止した時計の固有時は g00 dt\sqrt{g_{00}}\,\mathrm{d} t、光の振動数は νg00\nu\sqrt{g_{00}} が一定。弱い場で Δν/ν=−ΔΦ/c2\Delta\nu/\nu=-\Delta\Phi/c^2

静止した時計の固有時

時刻によらない計量(gμνg_{\mu\nu} が x0x^0 によらず、g0i=0g_{0i}=0)を考える。場所 x\bm{x} に静止した時計の世界線は dx=0\mathrm{d}\bm{x}=0 なので、その時計の固有時は

dτ=dsc=g00(x) dt(2.11.18)\mathrm{d}\tau=\frac{\mathrm{d} s}{c}=\sqrt{g_{00}(\bm{x})}\,\mathrm{d} t\tag{2.11.18}

である。座標時刻 tt は全空間に共通の目盛りだが、実際に時計が刻むのは τ\tau で、その比 g00\sqrt{g_{00}} が場所によって違う。弱い場の式 (2.11.5) では dτ≈(1+Φ/c2)dt\mathrm{d}\tau\approx(1+\Phi/c^2)\mathrm{d} t で、Φ\Phi の低い所(重力源に近い所)の時計ほど遅い。ただし、これだけでは「dt\mathrm{d} t は誰も持っていない目盛り」なので、2つの時計を比べる手続きが要る。比べるには光の信号を送る。

光の信号で比べる

場所 A の時計が、光の山を一定の間隔で場所 B へ送る(図 2.11.2)。A を出た1つ目の山が B に着くまでの座標時間を tABt_{\mathrm{AB}} とする。計量が時刻によらないので、2つ目の山の経路は1つ目の経路を時刻の向きにずらしただけのもので、所要の座標時間は同じ tABt_{\mathrm{AB}} である。したがって、A で山を出す座標時刻の間隔 Δt\Delta t と、B で山を受ける座標時刻の間隔は等しい。それぞれの時計で測る間隔は式 (2.11.18) から ΔτA=g00(A) Δt\Delta\tau_{\mathrm A}=\sqrt{g_{00}(\mathrm A)}\,\Delta t、ΔτB=g00(B) Δt\Delta\tau_{\mathrm B}=\sqrt{g_{00}(\mathrm B)}\,\Delta t で、振動数は間隔の逆数なので

νBνA=g00(A)g00(B)(2.11.19)\frac{\nu_{\mathrm B}}{\nu_{\mathrm A}}=\sqrt{\frac{g_{00}(\mathrm A)}{g_{00}(\mathrm B)}}\tag{2.11.19}

を得る。弱い場で展開すると

νBνA=1+ΦA−ΦBc2+O(c−4),Δνν≡νB−νAνA≈−ΦB−ΦAc2(2.11.20)\frac{\nu_{\mathrm B}}{\nu_{\mathrm A}}=1+\frac{\Phi_{\mathrm A}-\Phi_{\mathrm B}}{c^2}+\mathcal{O}(c^{-4}),\qquad \frac{\Delta\nu}{\nu}\equiv\frac{\nu_{\mathrm B}-\nu_{\mathrm A}}{\nu_{\mathrm A}}\approx-\frac{\Phi_{\mathrm B}-\Phi_{\mathrm A}}{c^2}\tag{2.11.20}

となる。B が A より高い所(ΦB>ΦA\Phi_{\mathrm B}>\Phi_{\mathrm A})にあれば、B で受ける光の振動数は低い(赤い方へずれる)。これを重力赤方偏移と呼ぶ。地表付近では ΦB−ΦA=gh\Phi_{\mathrm B}-\Phi_{\mathrm A}=gh で Δν/ν=−gh/c2\Delta\nu/\nu=-gh/c^2 である。

図

図 2.11.2 時刻によらない計量の中で、A から B へ送る光の山。2つ目の山の経路は1つ目を時刻の向きにずらしただけなので、出す間隔と受ける間隔は座標時刻 tt で等しい。各時計が刻む固有時は g00 Δt\sqrt{g_{00}}\,\Delta t で場所によって違い、その比が振動数の比になる

Noether の保存量で見る

同じ結果を、時刻をずらす変換の Noether の保存量から出す。作用 (2.11.3) を tt を径数として書き、gij=−δijg_{ij}=-\delta_{ij} の場合を考えると L=−mcg00c2−v2L=-mc\sqrt{g_{00}c^2-v^2} で、エネルギー関数は

E=v⋅∂L∂v−L=mc3g00g00c2−v2E=\bm{v}\cdot\frac{\partial L}{\partial \bm{v}}-L=\frac{mc^3g_{00}}{\sqrt{g_{00}c^2-v^2}}

である。LL が tt によらないので EE は保存する。その場所に静止した観測者が測る速さは、距離 dx\mathrm{d}\bm{x} を自分の固有時 dτ=g00 dt\mathrm{d}\tau=\sqrt{g_{00}}\,\mathrm{d} t で割った vloc=v/g00v_{\mathrm{loc}}=v/\sqrt{g_{00}} なので、g00c2−v2=g00 c1−vloc2/c2\sqrt{g_{00}c^2-v^2}=\sqrt{g_{00}}\,c\sqrt{1-v_{\mathrm{loc}}^2/c^2} となり

E=g00 Eloc,Eloc=mc21−vloc2/c2(2.11.21)E=\sqrt{g_{00}}\,E_{\mathrm{loc}},\qquad E_{\mathrm{loc}}=\frac{mc^2}{\sqrt{1-v_{\mathrm{loc}}^2/c^2}}\tag{2.11.21}

を得る。ElocE_{\mathrm{loc}} はその場の観測者が特殊相対論の式で測るエネルギーである。保存するのは ElocE_{\mathrm{loc}} でなく g00Eloc\sqrt{g_{00}}E_{\mathrm{loc}} なので、低い所(g00g_{00} が小さい所)ほど ElocE_{\mathrm{loc}} が大きい。落ちる物体が速くなるのはこのためである。光の粒子についても同じ形が成り立ち(m→0m\to0 の極限は第2部第12章で扱う)、Eloc=hνlocE_{\mathrm{loc}}=h\nu_{\mathrm{loc}} とおけば g00 νloc\sqrt{g_{00}}\,\nu_{\mathrm{loc}} が光の経路に沿って一定である。これは式 (2.11.19) そのものである。前の小節の「経路を時刻の向きにずらす」議論と、この節の Noether の保存量は、計量が時刻によらないという同じ対称性の2つの表し方になっている。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ∣Φ∣/c2→0\lvert \Phi\rvert /c^2\to0(g00\sqrt{g_{00}} の比を 1/c21/c^2 の1次で打ち切る) | 証明 証明済み((1+2ΦA/c2)/(1+2ΦB/c2)\sqrt{(1+2\Phi_{\mathrm A}/c^2)/(1+2\Phi_{\mathrm B}/c^2)} は ∣2Φ∣/c2<1\lvert 2\Phi\rvert /c^2<1 で収束する級数で、剰余は O(Φ2/c4)\mathcal{O}(\Phi^2/c^4)) | 行き先 近似の数理 第7章

例題 2.11.4 塔の上下で光の振動数を比べる ★★

オリジナル高さ h=22.5 mh=22.5\,\mathrm m の塔の下で原子核が出したガンマ線を、塔の上で同じ種類の原子核に吸収させる。g=9.807 m s−2g=9.807\,\mathrm{m\,s^{-2}} とする。

  1. (1) 塔の上で受けるガンマ線の振動数のずれ Δν/ν\Delta\nu/\nu を求めよ。
  2. (2) 吸収する側の原子核を動かして、Doppler 効果でこのずれを打ち消したい。どちら向きに、どれだけの速さで動かせばよいか。
  3. (3) 上から下へ送る場合と合わせて、上向きと下向きのずれの差はいくらか。
解答

(1) 式 (2.11.20) から Δν/ν=−gh/c2=−9.807×22.5/(2.998×108)2=−2.46×10−15\Delta\nu/\nu=-gh/c^2=-9.807\times22.5/(2.998\times10^8)^2=-2.46\times10^{-15} である。

(2) 受ける側が光源に向かって速さ uu で近づくと、受ける振動数は 1+u/c1+u/c 倍になる(u≪cu\ll c)。u/c=2.46×10−15u/c=2.46\times10^{-15} から u=7.36×10−7 m s−1u=7.36\times10^{-7}\,\mathrm{m\,s^{-1}}、つまり毎秒 0.74 μm0.74\,\mu\mathrm m で下向き(光源に近づく向き)に動かす。

(3) 下向きでは Φ\Phi が下がるので Δν/ν=+2.46×10−15\Delta\nu/\nu=+2.46\times10^{-15}(青い方へずれる)。差は 4.91×10−154.91\times10^{-15} である。Pound と Rebka はこの配置で、上下を入れ替えた測定の差を取り、実測と予言の比を 1.05±0.101.05\pm0.10 と報告した1R. V. Pound and G. A. Rebka, Jr. (1960), Phys. Rev. Lett. 4, 337。鉄 57 の 14.4 keV のガンマ線を Mössbauer 効果で反跳なしに出し入れした。下の脚注へ。10−1510^{-15} の振動数のずれが測れたのは、Mössbauer 効果で線幅がきわめて狭いガンマ線を使えたからである。

ほかの巻では

1 R. V. Pound and G. A. Rebka, Jr. (1960), Phys. Rev. Lett. 4, 337。鉄 57 の 14.4 keV のガンマ線を Mössbauer 効果で反跳なしに出し入れした。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ