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当てる道具:ゲージの固定と自由度の数え方

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第18章 重力波
目次
  1. 跡を反転した場と調和ゲージ
  2. 自由度を数える
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第18章 §2.18.2 ★★★ 調和ゲージで方程式は波動方程式になり、拘束4本とゲージ4つを引くと10成分のうち動く自由度は2つ

跡を反転した場と調和ゲージ

式 (2.18.4) は項が多いので、跡を反転した場

hˉμν≔hμν−12ημνh(hˉ≔ημνhˉμν=−h)(2.18.10)\bar h_{\mu\nu}\coloneqq h_{\mu\nu}-\tfrac12\eta_{\mu\nu}h\qquad(\bar h\coloneqq\eta^{\mu\nu}\bar h_{\mu\nu}=-h)\tag{2.18.10}

を使う。Dν≔∂μhˉμνD_\nu\coloneqq\partial^\mu\bar h_{\mu\nu} と書くと、(2.18.4) は

Gμν(1)=−12□hˉμν+12(∂μDν+∂νDμ)−12ημν∂ρDρ(2.18.11)G^{(1)}_{\mu\nu}=-\tfrac12\Box\bar h_{\mu\nu}+\tfrac12(\partial_\mu D_\nu+\partial_\nu D_\mu)-\tfrac12\eta_{\mu\nu}\partial^\rho D_\rho\tag{2.18.11}

と書き直せる。ゲージ変換 (2.18.8) で DνD_\nu は

Dν ⟶ Dν−□ξν(2.18.12)D_\nu\ \longrightarrow\ D_\nu-\Box\xi_\nu\tag{2.18.12}

と変わる。したがって □ξν=Dν\Box\xi_\nu=D_\nu を解いて ξν\xi_\nu を選べば、いつでも

∂μhˉμν=0(2.18.13)\partial^\mu\bar h_{\mu\nu}=0\tag{2.18.13}

にできる。これを調和ゲージ(de Donder ゲージ、または Lorenz ゲージ)と呼ぶ。電磁気の Lorenz ゲージ ∂μAμ=0\partial_\mu A^\mu=0 が □Λ=∂μAμ\Box\Lambda=\partial_\mu A^\mu を解いて実現できたのと同じ手順である。調和ゲージでは (2.18.11) の後ろの2項が消え、線形化した Einstein 方程式は

□hˉμν=−16πGc4Tμν(2.18.14)\Box\bar h_{\mu\nu}=-\frac{16\pi G}{c^4}T_{\mu\nu}\tag{2.18.14}

という、成分ごとに独立な10本の波動方程式になる(この本の流儀。(−,+,+,+) では □\Box と hˉ\bar h の符号がそろって変わり、同じ式になる)。右辺の符号は静的な場合で確かめられる。□→−∇2\Box\to-\nabla^2、T00=ρc2T_{00}=\rho c^2 で ∇2hˉ00=16πGρ/c2\nabla^2\bar h_{00}=16\pi G\rho/c^2 となり、hˉ00=4Φ/c2\bar h_{00}=4\Phi/c^2 と置けば Poisson 方程式 ∇2Φ=4πGρ\nabla^2\Phi=4\pi G\rho になる。真空では □hˉμν=0\Box\bar h_{\mu\nu}=0 で、重力の擾乱は光の速さ cc で伝わる。

自由度を数える

hμνh_{\mu\nu} は対称なので成分は10個ある。そのうち波として伝わるのがいくつかを、第2部第8章で AμA_\mu に対して行ったのと同じ手順で数える。

第一に、方程式 (2.18.7) のうち μ=0\mu=0 の4本 G0ν(1)=8πGc4T0νG^{(1)}_{0\nu}=\frac{8\pi G}{c^4}T_{0\nu} は、どの hμνh_{\mu\nu} の時間の2階微分も含まない(検算 verify で確かめた)。2次の作用を部分積分で整理すると h0μh_{0\mu} の時間微分は作用から除けて、h0μh_{0\mu} は電磁気の ϕ\phi と同じく未定乗数の役をする(第1部第6章)。この4本は「初期値が満たすべき条件」すなわち拘束で、電磁気の Gauss の法則に当たる。第二に、ゲージ変換 (2.18.8) は任意関数を4つ含む。調和ゲージ (2.18.13) を課した後にも、□ξν=0\Box\xi_\nu=0 を満たす ξν\xi_\nu の分だけ変換の自由が残る。

電磁気では 4−1(拘束)−1(ゲージ)=24-1(\text{拘束})-1(\text{ゲージ})=2 だった。ここでは

10−4 (拘束)−4 (ゲージ)=2(2.18.15)10-4\ (\text{拘束})-4\ (\text{ゲージ})=2\tag{2.18.15}

が各波数ごとに動く自由度の数になる。この2つが次の節の h+h_+ と h×h_\times である。

例題 2.18.2 座標の揺れだけでできた「見かけの波」 ★★

オリジナル定数 ϵμ\epsilon_\mu と波数 k>0k>0 を使って ξμ=ϵμsin⁡(k(x0−z))\xi_\mu=\epsilon_\mu\sin\bigl(k(x^0-z)\bigr) とし、平坦な時空 hμν=0h_{\mu\nu}=0 からゲージ変換 (2.18.8) でhμν=−∂μξν−∂νξμh_{\mu\nu}=-\partial_\mu\xi_\nu-\partial_\nu\xi_\mu を作る。

  1. (1) h00h_{00} と h33h_{33} を求め、これが zz 方向に光速で進む波の形をしていることを確かめよ。
  2. (2) この hμνh_{\mu\nu} の1次の Riemann テンソルが恒等的に 00 であることを示し、自由落下する質点の相対運動に何も起こらないことを説明せよ。
解答

(1) ∂0sin⁡(k(x0−z))=kcos⁡(⋅)\partial_0\sin(k(x^0-z))=k\cos(\cdot)、∂3sin⁡(⋅)=−kcos⁡(⋅)\partial_3\sin(\cdot)=-k\cos(\cdot) である。h00=−2∂0ξ0=−2kϵ0cos⁡(k(x0−z))h_{00}=-2\partial_0\xi_0=-2k\epsilon_0\cos\bigl(k(x^0-z)\bigr)、h33=−2∂3ξ3=2kϵ3cos⁡(k(x0−z))h_{33}=-2\partial_3\xi_3=2k\epsilon_3\cos\bigl(k(x^0-z)\bigr)。どちらも x0−z=ct−zx^0-z=ct-z だけの関数なので、+z+z 方向に速さ cc で進む波の形をしている。

(2) 1次の Riemann テンソルはゲージ変換 (2.18.8) で変わらない(2.18.1節)。hμν=0h_{\mu\nu}=0 の Riemann テンソルは 00 なので、そのゲージ変換であるこの hμνh_{\mu\nu} の Riemann テンソルも 00 である(verify で成分を直接計算して確かめた)。自由落下する2つの質点の間隔の加速度は測地線偏差の方程式で Riemann テンソルに比例するので(第2部第14章)、質点の相対運動には何も起こらない。この「波」は座標の目盛りを時刻と場所で揺らしただけのもので、hμνh_{\mu\nu} の成分が 00 でないことだけでは重力波があるとは言えない。2.18.2節の数え方で落とした4つのゲージの自由度が、まさにこの種類の見かけの波である。

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