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出てくるもの(1):TT ゲージと2つの偏極

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第18章 重力波
目次
  1. TT ゲージ
  2. 自由落下する質点の輪
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第18章 §2.18.3 ★★★ 真空の重力波は進む向きに垂直な面の中の跡 0 の対称行列で書け、h+h_+ と h×h_\times が質点の輪を互いに 45° 回った向きに伸び縮みさせる

TT ゲージ

真空(Tμν=0T_{\mu\nu}=0)で +z+z 方向へ進む単色の波 hˉμν=Re⁡[εμνe−ik(x0−z)]\bar h_{\mu\nu}=\operatorname{Re}[\varepsilon_{\mu\nu}\mathrm{e}^{-\mathrm{i} k(x^0-z)}] を考える。調和ゲージの後に残る □ξν=0\Box\xi_\nu=0 のゲージの自由を使うと、さらに

h0μ=0,h=0 (跡が 0),∂jhij=0 (横波)(2.18.16)h_{0\mu}=0,\qquad h=0\ (\text{跡が }0),\qquad \partial^jh_{ij}=0\ (\text{横波})\tag{2.18.16}

にできる。これを TT ゲージ(transverse-traceless)と呼ぶ。跡が 00 なので hˉμν=hμν\bar h_{\mu\nu}=h_{\mu\nu} である。+z+z 方向へ進む波では横波の条件から hi3=0h_{i3}=0 になり、残るのは x,yx,y の2行2列の跡が 00 の対称行列だけである。ひずみ h^ij=−hij\hat h_{ij}=-h_{ij} で書くと

h^ijTT=(h+h×0h×−h+0000),h+=h+(t−z/c),h×=h×(t−z/c)(2.18.17)\hat h_{ij}^{\mathrm{TT}}=\begin{pmatrix}h_+&h_\times&0\\ h_\times&-h_+&0\\ 0&0&0\end{pmatrix},\qquad h_+=h_+(t-z/c),\quad h_\times=h_\times(t-z/c)\tag{2.18.17}

である。h+h_+ をプラス偏極、h×h_\times をクロス偏極と呼ぶ。この形が真空の線形化した Einstein 方程式 Gμν(1)=0G^{(1)}_{\mu\nu}=0 と調和条件を満たすことは verify で直接確かめた。2.18.2節で数えた2つの自由度がこの2つである。

自由落下する質点の輪

TT ゲージの座標は、自由落下する質点に固定した目盛りになっている。実際、静止した質点 uμ=(c,0,0,0)u^\mu=(c,0,0,0) の測地線方程式の加速度は Γi00\Gamma^i{}_{00} に比例し、(2.18.3) で h0μ=0h_{0\mu}=0 なら Γi00=0\Gamma^i{}_{00}=0 なので、質点の座標 xix^i は時間がたっても変わらない。変わるのは座標の差に対する固有の長さである。xx 軸に沿って座標の長さ LL だけ離れた2つの質点の間の固有の長さは

L固有=∫0L1+h^xx dx=L(1+12h+)+O(h2)(2.18.18)L_{\mathrm{固有}}=\int_0^L\sqrt{1+\hat h_{xx}}\,\mathrm{d} x=L\Bigl(1+\tfrac12h_+\Bigr)+\mathcal{O}(h^2)\tag{2.18.18}

となる(波長が LL より十分長いとした)。同じことを座標に依らない形で書くのが測地線偏差の方程式(第2部第14章)で、1次の Riemann テンソル Ri0j0=12∂02h^ijR_{i0j0}=\frac12\partial_0^2\hat h_{ij} を使うと、質点の間隔 ξi\xi^i の固有の長さで測った加速度は

d2ξidt2=12∑j∂2h^ij∂t2 ξj(2.18.19)\frac{\mathrm{d}^2\xi^i}{\mathrm{d} t^2}=\frac12\sum_j\frac{\partial^2\hat h_{ij}}{\partial t^2}\,\xi^j\tag{2.18.19}

になる。これを積分すると、間隔のずれは δξi=12∑jh^ijξj\delta\xi^i=\frac12\sum_j\hat h_{ij}\xi^j で、(2.18.18) と同じ結果になる。重力波は潮汐力として質点の間隔に作用する。

xyxy 面に円形に並べた質点の輪で (2.18.19) を見ると、h+h_+ は xx 方向に伸ばすときに yy 方向に縮め、半周期後には逆になる。h×h_\times は同じ変形を 45° 回した向きに起こす(図 2.18.1)。

図

図 2.18.1 +z+z 方向(紙面の手前向き)へ進む重力波が、自由落下する質点の輪(点線の円)を変形させるようす。変形の大きさは見やすいように誇張してある(実際の h^\hat h は 10−2110^{-21} 程度)。左の2つが h+h_+ の山と谷、右の2つが h×h_\times の山と谷で、h×h_\times の変形は h+h_+ の変形を 45° 回したものになっている

例題 2.18.3 偏極の回転と、干渉計の腕の伸び ★★

オリジナル

  1. (1) xyxy 面の中で座標軸を角 θ\theta だけ回すと、偏極の組 (h+,h×)(h_+,h_\times) はどう変わるか。e+=(100−1)e_+=\begin{pmatrix}1&0\\0&-1\end{pmatrix}、e×=(0110)e_\times=\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix} と書き、回転行列 R(θ)R(\theta) について R(θ) e+R(θ)TR(\theta)\,e_+R(\theta)^{\mathsf T} を計算して答えよ。
  2. (2) 腕の長さ L=4 kmL=4\,\mathrm{km} の2本の腕を xx 軸と yy 軸に沿って置いた干渉計に、+z+z 方向から h+=1.0×10−21h_+=1.0\times10^{-21} の波が来た。各腕の固有の長さの変化と、2本の腕の長さの差の変化を求めよ。
解答

(1) R(θ)=(cos⁡θ−sin⁡θsin⁡θcos⁡θ)R(\theta)=\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\ \sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix} として掛け算すると

R(θ) e+R(θ)T=(cos⁡2θ−sin⁡2θ2sin⁡θcos⁡θ2sin⁡θcos⁡θsin⁡2θ−cos⁡2θ)=cos⁡2θ e++sin⁡2θ e×.R(\theta)\,e_+R(\theta)^{\mathsf T}=\begin{pmatrix}\cos^2\theta-\sin^2\theta&2\sin\theta\cos\theta\\ 2\sin\theta\cos\theta&\sin^2\theta-\cos^2\theta\end{pmatrix}=\cos2\theta\,e_++\sin2\theta\,e_\times .

同様に R e×RT=−sin⁡2θ e++cos⁡2θ e×R\,e_\times R^{\mathsf T}=-\sin2\theta\,e_++\cos2\theta\,e_\times である。したがって座標軸を θ\theta 回すと、(h+,h×)(h_+,h_\times) は角 2θ2\theta だけ回る。θ=45∘\theta=45^\circ で e+e_+ が e×e_\times になり、図 2.18.1 の 45° の関係が出る。θ=180∘\theta=180^\circ で元に戻ることは、この変形が向きを持たない「楕円」であることの表れである。ベクトル(電磁波の偏光)が θ\theta で1回りするのに対し、ここでは 2θ2\theta になる。これがスピン2(ヘリシティ ±2\pm2)と呼ばれる理由である。

(2) (2.18.18) から、xx の腕の固有の長さの変化は 12h+L=12×1.0×10−21×4×103 m=2×10−18 m\frac12h_+L=\frac12\times1.0\times10^{-21}\times4\times10^3\,\mathrm m=2\times10^{-18}\,\mathrm m。yy の腕は h^yy=−h+\hat h_{yy}=-h_+ なので −2×10−18 m-2\times10^{-18}\,\mathrm m。差の変化は h+L=4×10−18 mh_+L=4\times10^{-18}\,\mathrm m で、陽子の半径(約 10−15 m10^{-15}\,\mathrm m)の千分の一より小さい。Michelson 型の干渉計は2本の腕の長さの差を光の位相差として読むので、++ 偏極に最も感度が高く、×\times 偏極(腕に対して 45° 回った向き)には xx と yy の腕が同じだけ伸びるので感度を持たない。

この長さを光で測るときの限界は、光そのものの量子的なゆらぎ(光子の数のゆらぎによる散射雑音と、鏡を押す放射圧のゆらぎ)で決まる。LIGO は 2019 年から、真空のゆらぎを一方の直交成分で小さくしたスクイーズド光を干渉計に入れて、散射雑音を下げている(M. Tse et al.(2019)、Phys. Rev. Lett. 123、231107)。スクイーズド光の量子状態は光学と量子エレクトロニクス 第31章、それで測定の精度の限界がどう変わるかは相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第8章で扱う。

木下の勉強ステータス

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