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出てくるもの (1):状態の数え方と hh・N!N!

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第2章 等重率とミクロカノニカル
目次
  1. 理想気体の相空間の体積
  2. なぜ で割るのか
  3. なぜ で割るのか
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第2章 §3.2.3 ★★★ 理想気体の Φ(E)\Phi(E) は 3N3N 次元の球の体積。hh は量子化の条件から、N!N! は粒子を入れ替えても同じ状態であることから入る

理想気体の相空間の体積

相互作用のない NN 個の粒子(理想気体)では、容器の中で V(r1,…,rN)=0V(\bm{r}_1,\dots,\bm{r}_N)=0 で、H=∑i∣pi∣2/(2m)H=\sum_i\lvert \bm{p}_i\rvert ^2/(2m) は位置によらない。Φ(E)\Phi(E) の積分は位置と運動量に分かれる。各粒子の位置の積分は容器の体積 VV を与えるので、位置の積分は VNV^N である。運動量の積分は ∑i∣pi∣2≤2mE\sum_i\lvert \bm{p}_i\rvert ^2\le2mE を満たす領域、つまり 3N3N 次元空間の半径 2mE\sqrt{2mE} の球の体積である。nn 次元の半径 RR の球の体積は

Vn(R)=πn/2Γ(n/2+1)Rn(3.2.12)V_n(R)=\frac{\pi^{n/2}}{\Gamma(n/2+1)}R^n\tag{3.2.12}

で(Γ\Gamma は Gamma 関数。n=2n=2 で πR2\pi R^2、n=3n=3 で 43πR3\frac43\pi R^3)、まとめると

Φ(E,V,N)=VNh3NN!⋅π3N/2(2mE)3N/2Γ(3N/2+1)(3.2.13)\Phi(E,V,N)=\frac{V^N}{h^{3N}N!}\cdot\frac{\pi^{3N/2}(2mE)^{3N/2}}{\Gamma(3N/2+1)}\tag{3.2.13}

となる。Φ\Phi は VNV^N と E3N/2E^{3N/2} に比例する。NN が大きいとき、この依存のしかたが熱力学の式をすべて決める。

NN が大きいときは対数を取り、Stirling の公式 ln⁡N!≈Nln⁡N−N\ln N!\approx N\ln N-N と ln⁡Γ(3N/2+1)≈3N2ln⁡3N2−3N2\ln\Gamma(3N/2+1)\approx\frac{3N}{2}\ln\frac{3N}{2}-\frac{3N}{2} を使うと

ln⁡Φ≈N[ln⁡VN+32ln⁡4πmE3Nh2+52](3.2.14)\ln\Phi\approx N\Bigl[\ln\frac{V}{N}+\frac32\ln\frac{4\pi mE}{3Nh^2}+\frac52\Bigr]\tag{3.2.14}

になる(Stirling の公式の残り 12ln⁡(2πN)\frac12\ln(2\pi N) は NN に比べて小さいので捨てた。捨ててよい理由は3.2.5節で述べる)。括弧の中は V/NV/N と E/NE/N だけで書けていて、ln⁡Φ\ln\Phi は NN に比例する。系を2倍にすれば2倍になる。これは N!N! を入れたおかげで、N!N! が無いと成り立たない(次の小節の例題)。

なぜ hh で割るのか

古典力学だけで考えると、相空間の体積 d3Nq d3Np\mathrm{d}^{3N}q\,\mathrm{d}^{3N}p には(作用)3N{}^{3N} の次元があり、どの単位で測るかで Φ\Phi の値が変わる。エントロピー S=kBln⁡WS= k_{\mathrm B}\ln W は単位の取り方で定数だけずれるので、古典力学だけでは SS の値そのものは決まらない(差だけが決まる)。

量子力学は単位を1つに決める。第1部第14章で見た Bohr–Sommerfeld の量子化条件 J=(n+12)ℏJ=(n+\frac12)\hbar は、エネルギー EE 以下に入る状態の数が、等エネルギー線の囲む面積 2πJ2\pi J を 2πℏ=h2\pi\hbar=h で割ったものにほぼ等しいことを言っている。1つの量子状態が相空間で面積 hh を占める、と言い換えられる。硬い壁の箱では J=nℏJ=n\hbar が厳密に成り立ち、隣り合う nn の面積の差がちょうど hh になる。自由度 3N3N なら1状態あたり h3Nh^{3N} の体積である。dΓ\mathrm{d}\Gamma を h3Nh^{3N} で割って定義しておくと、Φ(E)\Phi(E) は「エネルギー EE 以下の量子状態の数」の古典的な近似になる。

図

図 3.2.2 1次元の調和振動子で、エネルギー EE 以下の状態の数。点線(厳密)は量子力学の準位 (n+12)ℏω(n+\frac12)\hbar\omega を数えた階段、実線(近似)は相空間の面積 2πE/ω2\pi E/\omega を hh で割った Φ(E)\Phi(E)。両者の差は 12\frac12 を超えず、EE が大きいほど相対的な差は小さくなる。

例題 3.2.3 振動子の状態を数える ★★

オリジナル1次元の調和振動子で、エネルギー EE 以下の量子状態の数 Nq(E)N_{\mathrm q}(E)(準位 (n+12)ℏω≤E(n+\frac12)\hbar\omega\le E を満たす n=0,1,2,…n=0,1,2,\dots の個数)と、相空間の面積から求めた Φ(E)\Phi(E) を比べる。

  1. (1) Φ(E)=E/(ℏω)\Phi(E)=E/(\hbar\omega) を示せ。
  2. (2) E=10.3 ℏωE=10.3\,\hbar\omega のときの NqN_{\mathrm q} と Φ\Phi を求めよ。
  3. (3) どんな EE でも ∣Nq(E)−Φ(E)∣≤12\lvert N_{\mathrm q}(E)-\Phi(E)\rvert \le\frac12 であることを示せ。
解答

(1) 等エネルギー線は半軸 2E/(mω2)\sqrt{2E/(m\omega^2)} と 2mE\sqrt{2mE} の楕円で、面積は π2E/(mω2)2mE=2πE/ω\pi\sqrt{2E/(m\omega^2)}\sqrt{2mE}=2\pi E/\omega である。h=2πℏh=2\pi\hbar で割って Φ=E/(ℏω)\Phi=E/(\hbar\omega)。

(2) (n+12)≤10.3(n+\frac12)\le10.3 を満たすのは n=0,1,…,9n=0,1,\dots,9 の10個なので Nq=10N_{\mathrm q}=10、Φ=10.3\Phi=10.3 である。

(3) x=E/(ℏω)x=E/(\hbar\omega) とおくと、n+12≤xn+\frac12\le x を満たす n≥0n\ge0 の個数は Nq=⌊x+12⌋N_{\mathrm q}=\lfloor x+\frac12\rfloor(x<12x<\frac12 では 00)である。x+12−1<⌊x+12⌋≤x+12x+\frac12-1<\lfloor x+\frac12\rfloor\le x+\frac12 から −12<Nq−x≤12-\frac12<N_{\mathrm q}-x\le\frac12。差は 12\frac12 以内で、状態の数 xx が大きくなるほど相対的な差 12x\frac{1}{2x} は小さくなる。NN 粒子の系では状態の数が 10102310^{10^{23}} の桁になるので、この差は見えない。

なぜ N!N! で割るのか

同じ種類の粒子どうしは区別できない。粒子1が点 (r,p)(\bm{r},\bm{p})、粒子2が点 (r′,p′)(\bm{r}',\bm{p}') にいる状態と、ラベルを入れ替えた状態は、物理的には同じ1つの状態である。相空間の点 Γ\Gamma は粒子にラベルを付けて書いているので、ラベルの付け替え N!N! 通りが同じ状態を N!N! 回数えている(粒子どうしが同じ点にいる確率は 00 なので、ちょうど N!N! 回)。N!N! で割ればこの数え過ぎがなくなる。量子力学では、同じ種類の粒子の波動関数がラベルの入れ替えについて対称か反対称に限られるので、この割り算は自動的に入る。

N!N! で割らないと何が困るかは、エントロピーが示量的にならないことに現れる。

例題 3.2.4 N!N! が無いエントロピー ★★

オリジナル熱的波長 λT=h/2πmkBT\lambda_T=h/\sqrt{2\pi m k_{\mathrm B} T} を使うと、式 (3.2.14) に E=32NkBTE=\frac32N k_{\mathrm B} T(次の節で示す)を入れたエントロピーは

S=NkB[ln⁡VNλT3+52]S=N k_{\mathrm B}\Bigl[\ln\frac{V}{N\lambda_T^3}+\frac52\Bigr]

になる。N!N! で割らずに数えたエントロピーを S′S' とする。

  1. (1) S′=S+kBln⁡N!S'=S+ k_{\mathrm B}\ln N! を Stirling の公式で整理し、S′=NkB[ln⁡(V/λT3)+32]S'=N k_{\mathrm B}[\ln(V/\lambda_T^3)+\frac32] を示せ。
  2. (2) 同じ温度の同じ気体 (V,N)(V,N) を2つ並べ、間の仕切りを取り除く。仕切りの前後で SS と S′S' の和がどう変わるかを求めよ。
解答

(1) kBln⁡N!≈kB(Nln⁡N−N)k_{\mathrm B}\ln N!\approx k_{\mathrm B}(N\ln N-N) を SS に足すと、−NkBln⁡N-N k_{\mathrm B}\ln N が消え、52\frac52 が 32\frac32 になる:S′=NkB[ln⁡(V/λT3)+32]S'=N k_{\mathrm B}[\ln(V/\lambda_T^3)+\frac32]。

(2) 仕切りを取った後は (2V,2N)(2V,2N) の1つの気体で、温度は変わらない(λT\lambda_T も変わらない)。SS では

S(2V,2N)−2S(V,N)=2NkB[ln⁡2V2NλT3−ln⁡VNλT3]=0S(2V,2N)-2S(V,N)=2N k_{\mathrm B}\Bigl[\ln\frac{2V}{2N\lambda_T^3}-\ln\frac{V}{N\lambda_T^3}\Bigr]=0

で変わらない。S′S' では ln⁡(2V)−ln⁡V=ln⁡2\ln(2V)-\ln V=\ln2 が残り、S′(2V,2N)−2S′(V,N)=2NkBln⁡2S'(2V,2N)-2S'(V,N)=2N k_{\mathrm B}\ln2 だけ増える。同じ気体の仕切りを外しただけで何も変わっていないのにエントロピーが増えるのは、熱力学と合わない(仕切りを戻せば元の状態に戻るので、その過程でエントロピーが減ることになる)。この食い違いは Gibbs のパラドックスと呼ばれ、N!N! で割ることで消える。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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