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出てくるもの (3):QED の発散と、数え方の例外

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第8章 ループと発散
目次
  1. QED の数え方
  2. 対称性による次数の低下
  3. 部分図形の発散と Weinberg の定理
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第8章 §5.8.5 ★★ QED では D=4−32Eψ−EγD=4-\frac32E_\psi-E_\gamma。表で D≥0D\ge0 の振幅のうち、Furry の定理とゲージ不変性とカイラル対称性によって次数が下がり、実際に発散するのは真空偏極・電子の自己エネルギー・頂点の3つ(いずれも対数)。部分図形の発散は Weinberg の定理で扱う

QED の数え方

第5部第5章の QED の Lagrangian 密度は、Dirac 場 ψ\psi と光子の場 AμA_\mu を頂点 −qψˉγμψAμ-q\bar\psi\gamma^\mu\psi A_\mu でつないだものだった。頂点からは電子の線が2本と光子の線が1本出る。電子の伝播関数は i(γμkμ+m)k2−m2\frac{\mathrm{i}(\gamma^\mu k_\mu+m)}{k^2-m^2} で、大きい kk では k−1k^{-1} でしか減らない。光子の伝播関数(Feynman ゲージ)は −iημνk2\frac{-\mathrm{i}\eta_{\mu\nu}}{k^2} で k−2k^{-2} である。電子の内線を IψI_\psi、光子の内線を IγI_\gamma、外線をそれぞれ EψE_\psi、EγE_\gamma とすると、

D=4ℓ−2Iγ−Iψ,2V=2Iψ+Eψ,V=2Iγ+Eγ,ℓ=Iψ+Iγ−V+1D=4\ell-2I_\gamma-I_\psi,\qquad 2V=2I_\psi+E_\psi,\qquad V=2I_\gamma+E_\gamma,\qquad \ell=I_\psi+I_\gamma-V+1

で、IψI_\psi と IγI_\gamma と ℓ\ell を消すと

D=4−32Eψ−Eγ(5.8.27)D=4-\frac32E_\psi-E_\gamma\tag{5.8.27}

を得る。電荷 qq は4次元で無次元([ψ]=32[\psi]=\frac32、[Aμ]=1[A_\mu]=1 から [q]=4−3−1=0[q]=4-3-1=0)なので、DD は頂点の数によらない。(5.8.26) と同じ構造である。D≥0D\ge0 になる振幅を表にすると次のようになる。

EψE_\psiEγE_\gammaDD振幅
001133光子1個が真空から出る(00:Furry の定理)
002222真空偏極 Πμν(k)\Pi^{\mu\nu}(k)(ゲージ不変性で実際は対数)
003311光子3個(00:Furry の定理)
004400光と光の散乱(ゲージ不変性で有限)
220011電子の自己エネルギー Σ(p)\Sigma(p)(カイラル対称性で実際は対数)
221100頂点の補正 Γμ\Gamma^\mu(対数)

対称性による次数の低下

表の6つのうち、表面的発散次数どおりに発散するものは1つもない。次数が下がる仕組みは3つある。

1つ目は荷電共役の対称性である。QED は電子と陽電子を入れ替える変換(荷電共役 C)で変わらず、光子の場はこの変換で符号を変える。したがって光子の外線だけが奇数本ある振幅は 00 になる(Furry の定理)。表の1行目と3行目が消える。

2つ目はゲージ不変性である。光子の2点関数 Πμν(k)\Pi^{\mu\nu}(k) は、電荷の保存 ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 の帰結として kμΠμν=0k_\mu\Pi^{\mu\nu}=0 を満たす(第2部第8章のゲージ不変性という制約を、量子論の振幅で言い直したもの)。Lorentz 不変性で使える2階のテンソルは ημν\eta^{\mu\nu} と kμkνk^\mu k^\nu だけなので

Πμν(k)=(k2ημν−kμkν)Π(k2)(5.8.28)\Pi^{\mu\nu}(k)=\bigl(k^2\eta^{\mu\nu}-k^\mu k^\nu\bigr)\Pi(k^2)\tag{5.8.28}

の形に限られる。外の運動量の2次が前に出たので、残りの Π(k2)\Pi(k^2) の表面的発散次数は 2−2=02-2=0 で、対数発散になる。D=2D=2 のままなら Λ2ημν\Lambda^2\eta^{\mu\nu} という項が出て光子の質量の項になるはずだが、(5.8.28) はそれを禁じている。光と光の散乱も、4本の光子の外線それぞれについて同じ条件が付くので外の運動量が4つ前に出て、D=0−4<0D=0-4<0 で有限になる。

3つ目はカイラル対称性である。電子の自己エネルギーは D=1D=1 で、Λ\Lambda の1次の項は Σ⊃aΛ\Sigma\supset a\Lambda(定数)の形しか取ることができない。ところが m=0m=0 の QED は ψ→eiθγ5ψ\psi\to\mathrm{e}^{\mathrm{i}\theta\gamma^5}\psi で変わらず、この対称性のもとで ψˉψ\bar\psi\psi の形の質量の項は生じない。質量の補正は mm に比例するしかなく、m×Λ0m\times\Lambda^0 の次元を ln⁡Λ\ln\Lambda がまかなうので、対数発散になる。結局、QED で実際に発散するのは図 5.8.3 の3つで、どれも対数発散である。

図

図 5.8.3 QED で実際に発散する3つの1ループの図。波線が光子、実線が電子。表面的発散次数は (a) 22、(b) 11、(c) 00 だが、ゲージ不変性とカイラル対称性のため3つとも対数発散になる。

部分図形の発散と Weinberg の定理

D(G)<0D(G)<0 でも図が収束するとは限らない。例えば ϕ4\phi^4 理論の6点関数は (5.8.24) で D=−2D=-2 だが、6点の2ループの図(V=4V=4, I=5I=5)の中に4点の泡(D=0D=0)が部分図形として入っていると、その泡の部分の運動量だけが大きくなる領域で対数発散する。全体を一斉に大きくする見方では、この領域は見えない。

正しい判定は、図 GG 自身だけでなく、GG のすべての部分図形 γ\gamma(内線の一部とそれにつながる頂点からなる図)について表面的発散次数を調べることである。Weinberg の定理は、すべての部分図形 γ\gamma(GG 自身を含む)で D(γ)<0D(\gamma)<0 ならば Euclid の Feynman 積分は絶対収束することを述べる(S. Weinberg(1960)、Phys. Rev. 118、838)。逆に言えば、発散はいつも D≥0D\ge0 の部分図形に由来する。くりこみ可能な理論では D≥0D\ge0 の部分図形の外線の数は限られているので、部分図形の発散も3種類(ϕ4\phi^4)や3種類(QED)の形をしていて、同じ係数の取り直しで吸収することができる。このことを全次数で示すのが第5部第10章で引用する BPHZ の定理である。表面的発散次数による QED の数え方は Dyson(1949)が最初に組み立てた(F. J. Dyson(1949)、Phys. Rev. 75、1736)。

最後に、表面的発散次数は運動量の大きい側(紫外)の発散だけを数えることを注意しておく。光子のように質量の無い粒子があると、運動量の小さい側で積分が発散すること(赤外発散)があり、これは DD では判定することができない。赤外発散は、検出器が分解できない軟らかい光子の放出を足し合わせると打ち消し合う別の種類の問題で、この章では扱わない。

例題 5.8.5 Yukawa 理論は ϕ4\phi^4 の項を要求する ★★

オリジナルDirac 場 ψ\psi と実スカラー場 ϕ\phi を L⊃−gψˉψϕ\mathcal L\supset-g\bar\psi\psi\phi で結合した4次元の Yukawa 理論を考える(はじめは ϕ4\phi^4 の項を入れない)。

  1. (1) [g][g] を求め、表面的発散次数を EψE_\psi と EϕE_\phi(スカラーの外線の数)で書け。
  2. (2) 電子の線の輪に4本のスカラーの外線が付いた1ループの図(Eψ=0E_\psi=0, Eϕ=4E_\phi=4)の DD を求め、この理論について何が言えるか述べよ。
  3. (3) Eϕ=3E_\phi=3 の振幅を消すには何を要求すればよいか。
解答

(1) [ψ]=32[\psi]=\frac32、[ϕ]=1[\phi]=1 から [g]=4−3−1=0[g]=4-3-1=0 で、くりこみ可能である。頂点からは Dirac の線が2本、スカラーの線が1本出て、スカラーの伝播関数は光子と同じく k−2k^{-2} なので、数え方は QED と同じになり

D=4−32Eψ−Eϕ.D=4-\frac32E_\psi-E_\phi .

(2) D=4−4=0D=4-4=0 で、この図は対数発散しうる(QED の光と光の散乱と違い、スカラーにはゲージ不変性の条件が無いので次数は下がらない)。発散する部分は外の運動量によらない定数で、ϕ4\phi^4 と同じ形をしている。したがって ϕ4\phi^4 の項を入れずに始めても、ループの補正がその項を作り出し、発散を吸収するために −λ4!ϕ4-\frac{\lambda}{4!}\phi^4 の項を Lagrangian 密度に加えなければならない。くりこみ可能な理論では、対称性が禁じない限り、質量次元 44 以下の項はすべて L\mathcal L に入れておく必要がある。

(3) Eϕ=3E_\phi=3 では D=1D=1 で、ϕ3\phi^3 の形の発散が出うる。ϕ→−ϕ\phi\to-\phi と同時に ψ→γ5ψ\psi\to\gamma^5\psi とする変換で ψˉψ→−ψˉψ\bar\psi\psi\to-\bar\psi\psi となり、gψˉψϕg\bar\psi\psi\phi は変わらない(擬スカラーとしての対称性)。この対称性を L\mathcal L 全体に要求すれば、ϕ\phi の奇数次の項は作られず、Eϕ=3E_\phi=3 の振幅は 00 になる。ただしこの変換は Dirac の質量項 mψˉψm\bar\psi\psi の符号も変えるので、m=0m=0 の場合に限る。m≠0m\ne0 のときは ϕ3\phi^3(と ϕ\phi の1次)の項も加える。

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