この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
近似の数理 第6章 §6.9 ★★★ 平均場が「どのスケーリングで、どの意味で」厳密になるかの一覧
| 系 | スケーリング | 収束の意味 | 速さ・条件 |
| 古典粒子 Vlasov | 力 | 経験測度の 距離(弱収束) | 初期誤差 、 リプシッツ |
| カオスの伝播 | 同上 | 粒子周辺分布 | |
| ボソン Hartree(時間発展) | のトレースノルム | 、 有界(特異な場合は別の方法) | |
| ボソンの基底状態 | 同上 | ( 正定値)、一般は de Finetti | |
| 原子 TF | 、 | 、密度の弱収束 | 誤差 (Scott)、(Schwinger) |
この章の要点
- 平均場近似には二つの顔がある。第5章の変分の顔(A 型)が与えるのは上界だけだが、極限の顔(B 型)では、相互作用を 倍するスケーリングの下で多体の解が一体方程式の解に収束することが定理になる。
- 古典系では、粒子系の経験測度が Vlasov 方程式の厳密解であり(命題 6.2)、平均場近似の正しさは Vlasov 方程式の安定性(Dobrushin の定理、 距離と Grönwall)に帰着する。
- 収束するのは波動関数や 体の分布そのものではなく、少数粒子の周辺分布・縮約密度行列・1粒子あたりのエネルギーである。全エネルギーには の相関が残る。
- 量子系の BBGKY 階層は閉じず、積状態の仮定が第1段で閉じて Hartree 方程式を与える。Pickl の方法は、凝縮から外れた粒子の割合 に Grönwall をかけて、有界な相互作用で を示す。Hartree の場は凝縮どうしの寄与を正確に打ち消すように選ばれている。
- 特異な相互作用(クーロン)では、古典・量子とも短い証明は使えず、近接した粒子の相関の制御が難所になる。
- 原子では で平均場と半古典が組になり、TF 理論はエネルギーの比の意味で厳密(Lieb–Simon)。誤差は で増え、化学結合は落ちる(Teller の定理)。
この章で正当化した近似は、すべて B 型(極限)である。Vlasov 方程式・Hartree 方程式・Thomas–Fermi 理論は、それぞれ (と )の極限で厳密になる有効方程式として、収束の意味(経験測度の弱収束・縮約密度行列のトレースノルム・エネルギー比)と速さ(、、 の相対誤差)まで含めて定理で裏付けられた。第5章で A 型(射影)として見た Hartree–Fock 近似が「上界」以上のことを言えなかったのに対し、同じ平均場の考え方がB 型として見直されると下界と収束が得られる。ただし保証は「極限で消える量」の大きさまでであり、その誤差より小さい現象(化学結合、長時間の振る舞い)は極限定理の外にある。その外側を埋めようとするのが、第9章で扱う C 型(閉じる)の近似である。
例題 6.10 保証の続く時間は でしか伸びない ★★
オリジナル定理 6.10 の評価 で とする。
- (1) が保証される時間の上限 を式で書け。
- (2) と で を求めよ。
- (3) 粒子数を1万倍にして伸びる保証時間が小さい理由を、評価の形から説明せよ。
解答
(1) を解いて 。
(2) で 、 で 。
(3) 誤差の源は だが、それを時間方向に増やす係数が なので、許容誤差を固定すると となる。 を1万倍にしても は だけ伸びる。これは第6.2節の注意「 の時間で破綻しうる」と同じ構造で、Grönwall の不等式で得る評価はどれも最悪の指数増大を仮定している。数値の2モード模型では で、実際の誤差は評価よりはるかに小さい(検算スクリプト)。
総合問題 2モードのボソン模型を上下から挟む ★★★
オリジナル第6.5節の2モード模型
()の基底状態を、変分(A 型)と平均場極限(B 型)の両側から調べる。
- (1) 1粒子状態 について Hartree 汎関数 を求め、最小値 と最小化元を求めよ。(使う道具:第6章 §1 の例題、第5章の積状態に制限した変分問題)
- (2) 占有数基底 ()で の行列要素を書き、 を説明せよ。対称部分空間が 次元であることの意味も述べよ。(使う道具:第3章の min-max 原理、第4章の Rayleigh–Ritz 法)
- (3) 、 で を厳密に求め、 が定理 6.12 の範囲 に入ることを確かめよ。(使う道具:第6章 §5 の定理)
- (4) (3) の基底状態の1体密度行列 を求め、 に対する と を計算して補題 6.11 と比べよ。(使う道具:第6章 §4 の補題、§3 の縮約密度行列)
- (5) で数値対角化すると は で 、、、、 となる。1粒子あたりの誤差と全エネルギーの誤差について何が言えるか。(使う道具:第6章 §5 の調和結合ボソンの例題、第5章の Hartree–Fock の上界)
解答
(1) 一体の項は各粒子で 。対 が同じモードにいる確率は で、対は 個、係数は なので、相互作用は1粒子あたり 。 とおくと
は の上に凸な2次関数なので、 での最小値は端点 のどちらかでとり、。よって最小化元は (、2つのモードに均等)で、。 では 。
(2) ボソンの対称な状態は各モードの粒子数で決まるので、基底 ()の 次元で足りる。 は同じモードにいる対を数えるので対角で 、跳び移りの項は を与える。よって
積状態 は対称部分空間の1つのベクトルなので、min-max 原理(最低固有値は Rayleigh 商の最小値)から 。Rayleigh–Ritz 法で見ると、部分空間を「積状態」という パラメータの多様体に狭めたのが Hartree 近似であり、部分空間を 次元の対称部分空間全体にとれば近似は厳密になる。この模型で厳密解が計算できるのは、空間全体が の1次でしか大きくならないからである。
(3) では 。対称部分空間の基底 で
の入れ替えで対称な組 に制限すると で、最低固有値は 。 で 、 で、範囲 に入る(反対称な組の固有値は で、これより高い)。
(4) 固有ベクトルを とすると、固有方程式の第1行 から 。 では、規格化して 、。対称性から の形で、 を計算すると、 と の2つの寄与から。 なので
で、補題の範囲 の下の端に近い。 と が同じ固有ベクトル を持ち、凝縮と外れた成分の干渉項が無いので、例題 6.5 の混合状態の場合に当たる。 でも凝縮から外れた割合は 1.5% と小さく、相互作用が と同程度でも積状態がよい近似になっている。
(5) 差 は負で((2) の上界と整合)、 で約 に収束し 0 にはならない。1粒子あたりでは で で消える。これは調和結合ボソンの例題と同じ構図で、平均場極限が保証するのは1粒子あたりのエネルギーまでであり、全エネルギーには平均場が落とした相関(Bogoliubov の揺らぎ)の の寄与が残る。第5章の見方では Hartree(ボソンの Hartree–Fock)は上界を与えるだけだったが、定理 6.12 の下界と合わせると誤差が の幅に挟まれ、「上界がどれほど真値に近いか」に答えが出る(数値は 検算スクリプト で検算)。
木下の勉強ステータス
木下はまだこの記事を勉強していません。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com
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