この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第3部 第2章 §3.2.7 ★★ 時間分割・完全系の挿入・Trotter の積公式・Gauss 積分の4つで基準から経路積分が出る。順序の問題は評価点の問題として残る
基準の時間発展 を 個の短い時間の因子に分け、そのあいだに位置の完全系を挟むと、伝播関数は「中間の位置のすべての選び方の和」という経路の和の形に厳密に書けた。ここまでは近似を使っておらず、挟む完全系の選び方によって、位置の経路・相空間の経路・状態の列(2準位系)など、さまざまな経路積分が得られる。唯一の近似は、可換でない と の指数関数を積に分ける Trotter の分割で、その誤差は1区間あたり 、全体で (対称に分ければ )である。非有界な場合も、 が自己共役であれば Trotter の積公式によって状態ごとに極限が成り立つ。
1区間の振幅は運動量の Gauss 積分で計算でき、前因子 と作用の1区間分が出た。第3部第1章が要請として置いた形は、これで基準から導かれた。運動量の積分を残すと位相空間の経路積分になり、それを積分することは Legendre 変換の逆に当たる。寄与する経路の1区間の変位は の大きさを持ち()、このため演算子の順序は区間の評価点として経路積分に残る。ポテンシャルの評価点は極限に残らないが、 の形の項では中点(Weyl の順序)だけが正しい答えを与える。
第3部の次の章(第3部第3章)では、この章で導いた形を使って共通例題①③を Gauss 積分で解く。停留位相による古典極限は第3部第4章、逆向きの同値は第3部第5章、時間を虚数にした統計力学は第3部第6章、測度の厳密な定義の難しさは第3部第7章で扱う。
総合問題 磁束を通した輪の上の粒子 ★★★
オリジナル周の長さ の輪の上を動く質量 ・電荷 の粒子を考える。輪の中心を磁束 が貫き、輪に沿ったベクトルポテンシャルの成分は一定値 である(輪の上で磁場は 0)。 とおくと、ハミルトニアンは 、Lagrangian は である。 と書く。
- (1) を と に分けたとき、Trotter の分割が有限の で厳密になることと、 の評価点が結果に残らないことを示せ。(使う道具:3.2.2節・3.2.5節)
- (2) 時間分割した経路積分で伝播関数を求め、()となることを示せ。さらにこれがスペクトルの和 に等しいことを示せ。(使う道具:3.2.3節・3.2.6節の例題 3.2.6)
- (3) 巻き数 の経路が受け取る位相を で書け。エネルギー準位を求め、それが について周期1を持つこと、 で基底状態が2重に縮退することを示せ。(使う道具:(2)・第1部第2章の公理 Q5)
- (4) 電子()で のとき、準位の間隔の単位 を J・eV・温度()で求めよ。 の基底状態のエネルギーと、輪を円としたとき に要る一様な磁場を求めよ。(使う道具:(3))
- (5) ベクトルポテンシャルが一定でない に変わったとき、中点で離散化した経路積分では、巻き数 の経路の位相が だけで決まることを示せ。左端で離散化するとどうなるか。(使う道具:3.2.5節・例題 3.2.5)
解答
(1) は定数なので、 と はどちらも だけの関数で、互いに可換である。BCH の公式 (3.2.6) の交換子が 0 なので、 は厳密で、 によらず分割の誤差はない。評価点については、式 (3.2.18) の余分の項が により消える。 はどこで評価しても同じ値である。
(2) 輪の上でも1区間の行列要素は運動量の完全系 で計算できる。直線の場合の計算(3.2.3節)を被積分関数 に対して行うと、 と積分変数をずらして が直線上の1区間の核になる。指数の は Lagrangian の の1区間分 そのものである。例題 3.2.6 と同じく輪を直線に開くと、各区間の の和は直線上の全変位 に を掛けたものになり、残りは自由粒子の経路積分なので
を得る。スペクトルの和との一致は、Poisson の和の公式で とおけばよい。 なので となる。これは の固有値 によるスペクトルの和 (3.2.20) である。
(3) 巻き数 の経路は、 の経路に比べて位相 を余分に受け取る。 なので、位相は である。輪の上で磁場は 0 なので古典の運動は磁束を感じないが、量子の振幅は巻き数ごとに磁束で決まる位相を受け取る(Aharonov–Bohm の位相。第3部第7章で扱う)。準位は
である。 は の付け替えで同じ準位の集合を与えるので、スペクトルは について周期1を持つ。巻き数の和の側でも が の周期1の関数であることに対応する。 では と がともに を与え、これが最小なので基底状態は2重に縮退する。
(4) で、、温度に直して である。 の基底状態は になる。 に要る磁束は で、 である。円の面積は なので、一様な磁場は である。準位の間隔が の桁なので、この磁束による準位の移動を見るには希釈冷凍機の温度が要る。
(5) の輪に沿った平均を とし、 で を定めると、 なので は輪の上の1価の関数である。中点で離散化すると、例題 3.2.5 の (2) と同じく は に収束する(輪を開いた直線上でも は周期 なので、巻き数によらない)。したがって各経路の位相は で、巻き数ごとの違いは だけに現れる。端の因子 はゲージ変換で、確率に影響しない。左端で離散化すると、式 (3.2.18) により に反エルミートの項 が加わり、例題 3.2.5 のとおりノルムが の割合で変わる。 の輪に沿った積分は 0 なので一様に広がった状態では打ち消し合うが、輪の一部に寄った状態では確率が保存せず、ゲージを変えるだけで答えが変わる。正しい離散化は中点である。
木下の勉強ステータス
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