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共通例題①:エネルギー表示の熱平衡と量子統計

2026年10月17日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第4章 熱平衡と量子統計
目次
  1. 等比数列の固有値
  2. 調和振動子の熱力学
  3. 1つのモードの量子統計:Bose 分布と Fermi 分布
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第4部 第4章 §4.4.3 ★★★ 等間隔のスペクトルを持つハミルトニアンの熱平衡は、固有値が等比数列 (1−q)qn(1-q)q^n の密度演算子で、逆に固有値が等比数列の密度演算子はどれも調和振動子の熱平衡と見なすことができる。共通例題①の正答表の ZZ と ⟨n⟩\langle n \rangle はここから出る

等比数列の固有値

命題 4.4.4(等間隔のスペクトルと等比数列)

(a) H^\hat H の固有値が En=E0+nεE_n=E_0+n\varepsilon(n=0,1,2,…n=0,1,2,\dots、ε>0\varepsilon >0)で縮退が無いとき、ρ^β\hat\rho_\beta の固有値は

pn=(1−q) qn,q=e−βε(4.4.12)p_n=(1-q)\,q^n,\qquad q=\mathrm{e}^{-\beta\varepsilon }\tag{4.4.12}

である。(b) 逆に、密度演算子 ρ^\hat\rho の固有値が (4.4.12) の形(0<q<10<q<1)で、固有ベクトルが正規直交基底 {∣en⟩}\{| e_n \rangle \} をなすなら、ρ^\hat\rho はH^′=ε∑nn∣en⟩⟨en∣\hat H'=\varepsilon \sum_nn| e_n \rangle \langle e_n | の逆温度 β′=−ln⁡q/ε\beta'=-\ln q/\varepsilon での熱平衡状態に等しい(ε>0\varepsilon >0 は任意に選べる)。

証明

(a) e−βEn=e−βE0qn\mathrm{e}^{-\beta E_n}=\mathrm{e}^{-\beta E_0}q^n で、Z=e−βE0∑nqn=e−βE0/(1−q)Z=\mathrm{e}^{-\beta E_0}\sum_nq^n=\mathrm{e}^{-\beta E_0}/(1-q) だから pn=e−βEn/Z=(1−q)qnp_n=\mathrm{e}^{-\beta E_n}/Z=(1-q)q^n。(b) H^′\hat H' の熱平衡状態の固有ベクトルは ∣en⟩| e_n \rangle で、固有値は (a) により (1−q′)q′n(1-q')q'^n、q′=e−β′ε=qq'=\mathrm{e}^{-\beta'\varepsilon }=q である。固有ベクトルも固有値も ρ^\hat\rho と一致する。

(b) は、等比数列の固有値を持つ密度演算子が、どの由来で作られたものであれ、適当な調和振動子の熱平衡と同じ形をしていることを言う。第4部第2章で数値で確かめた混合した Gauss 波束の固有値 (1−q)qn(1-q)q^n は、第4.4.4節でこの命題の (a) の側から証明する。

調和振動子の熱力学

共通例題①の調和振動子のスペクトル En=ℏω(n+12)E_n=\hbar\omega(n+\tfrac12) は、第2部第4章(第2部第4章)で生成消滅演算子の代数だけから出す。命題 4.4.4 (a) に E0=ℏω/2E_0=\hbar\omega/2、ε=ℏω\varepsilon =\hbar\omega を入れ、x≔βℏωx\coloneqq\beta\hbar\omega、q=e−xq=\mathrm{e}^{-x} と書くと

Z=e−x/21−e−x=1ex/2−e−x/2=12sinh⁡(βℏω/2),pn=(1−e−x)e−nx(4.4.13)Z=\frac{\mathrm{e}^{-x/2}}{1-\mathrm{e}^{-x}}=\frac{1}{\mathrm{e}^{x/2}-\mathrm{e}^{-x/2}}=\frac{1}{2\sinh(\beta\hbar\omega/2)},\qquad p_n=(1-\mathrm{e}^{-x})\mathrm{e}^{-nx}\tag{4.4.13}

で、正答表の ZZ の形である。数演算子 n^=a^†a^\hat n=\hat a^\dagger\hat a の期待値は ∑nnqn=q/(1−q)2\sum_nnq^n=q/(1-q)^2 から

nˉ≔⟨n^⟩=(1−q)q(1−q)2=q1−q=1eβℏω−1(4.4.14)\bar n\coloneqq\langle \hat n \rangle =(1-q)\frac{q}{(1-q)^2}=\frac{q}{1-q}=\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta\hbar\omega}-1}\tag{4.4.14}

で、これも正答表の形である。nˉ\bar n を使うと pn=nˉn/(nˉ+1)n+1p_n=\bar n^n/(\bar n+1)^{n+1} と書ける(第4部第3章の熱平衡の振動子と同じ形)。

熱力学の量を ln⁡Z=−ln⁡(2sinh⁡(x/2))\ln Z=-\ln(2\sinh(x/2)) から出す。内部エネルギーは

U=−∂ln⁡Z∂β=ℏω2coth⁡βℏω2=ℏω(nˉ+12),(4.4.15)U=-\frac{\partial \ln Z}{\partial \beta}=\frac{\hbar\omega}{2}\coth\frac{\beta\hbar\omega}{2}=\hbar\omega\Big(\bar n+\frac12\Big),\tag{4.4.15}

エントロピーは (4.4.11) の S(ρ^β)=βU+ln⁡ZS(\hat\rho_\beta)=\beta U+\ln Z を nˉ\bar n で書き直して

S(ρ^β)=(nˉ+1)ln⁡(nˉ+1)−nˉln⁡nˉ(4.4.16)S(\hat\rho_\beta)=(\bar n+1)\ln(\bar n+1)-\bar n\ln\bar n\tag{4.4.16}

である(βU=x(nˉ+12)\beta U=x(\bar n+\tfrac12)、ln⁡Z=−x2−ln⁡(1−q)\ln Z=-\tfrac x2-\ln(1-q)、ln⁡(nˉ+1)=−ln⁡(1−q)\ln(\bar n+1)=-\ln(1-q)、x=ln⁡((nˉ+1)/nˉ)x=\ln((\bar n+1)/\bar n) を代入すると確かめられる)。熱容量 C=dU/dTC=\mathrm{d} U/\mathrm{d} T は、dx/dT=−x/T\mathrm{d} x/\mathrm{d} T=-x/T を使って

CkB=(x/2)2sinh⁡2(x/2),x=ℏωkBT(4.4.17)\frac{C}{ k_{\mathrm B}}=\frac{(x/2)^2}{\sinh^2(x/2)},\qquad x=\frac{\hbar\omega}{ k_{\mathrm B} T}\tag{4.4.17}

となる。純粋度は Tr⁡ρ^β2=∑npn2=(1−q)2/(1−q2)=(1−q)/(1+q)=tanh⁡(x/2)\operatorname{Tr}\hat\rho_\beta^2=\sum_np_n^2=(1-q)^2/(1-q^2)=(1-q)/(1+q)=\tanh(x/2) である。図 4.4.1 に CC と SS を温度の関数として示す。kBT≪ℏωk_{\mathrm B} T\ll\hbar\omega では励起が起きず CC も SS も 00 に近づき、kBT≫ℏωk_{\mathrm B} T\gg\hbar\omega では C→kBC\to k_{\mathrm B}(等分配)に近づく。

図

図 4.4.1 調和振動子の熱平衡の熱容量 (4.4.17)(青)と von Neumann エントロピー (4.4.16)(赤)。どちらも厳密な式(点線)で、黒の実線は古典の等分配 C=kBC= k_{\mathrm B}(高温の近似)。kBT/(ℏω)=0.2k_{\mathrm B} T/(\hbar\omega)=0.2 で C/kB=0.171C/ k_{\mathrm B}=0.171 と、低温では古典の値より大きく下がる。

1つのモードの量子統計:Bose 分布と Fermi 分布

粒子数が変わる系では、粒子数演算子 N^\hat N と化学ポテンシャル μ\mu を入れた大正準の状態 ρ^=e−β(H^−μN^)/Ξ\hat\rho=\mathrm{e}^{-\beta(\hat H-\mu\hat N)}/\Xi を使う。H^−μN^\hat H-\mu\hat N を新しいハミルトニアンと見れば、これも定理 4.4.3 の形の熱平衡状態で、N^\hat N の期待値を決めたときのエントロピー最大の状態である。エネルギー ε\varepsilon の1粒子状態(モード)1つだけを考え、その占有数を nn とする。H^−μN^=(ε−μ)n^\hat H-\mu\hat N=(\varepsilon -\mu)\hat n である。

ボース粒子では n=0,1,2,…n=0,1,2,\dots が許され、スペクトルは間隔 ε−μ\varepsilon -\mu(>0>0)の等間隔なので、命題 4.4.4 により占有数の分布は等比数列で、(4.4.14) の ℏω\hbar\omega を ε−μ\varepsilon -\mu に替えて ⟨n⟩=1/(eβ(ε−μ)−1)\langle n \rangle =1/(\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon -\mu)}-1)(Bose 分布)を得る。調和振動子の量子数 nn は、そのモードに入っているボース粒子の数と読むことができる。フェルミ粒子では Pauli の排他律で n=0,1n=0,1 だけなので

⟨n⟩=0⋅1+1⋅e−β(ε−μ)1+e−β(ε−μ)=1eβ(ε−μ)+1\langle n \rangle =\frac{0\cdot1+1\cdot\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)}}{1+\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon -\mu)}}=\frac{1}{\mathrm{e}^{\beta(\varepsilon -\mu)}+1}

(Fermi 分布)になる。2つの違いは、占有数の取りうる値が「全部の非負整数」か「0 と 1 だけ」かにある。多くのモードがあり、ハミルトニアンが ∑k(εk−μ)n^k\sum_k(\varepsilon _k-\mu)\hat n_k と各モードの和なら e−β(H^−μN^)\mathrm{e}^{-\beta(\hat H-\mu\hat N)} はモードごとの積になり、熱平衡状態はモードごとの熱平衡の積状態になる。この書き直しは第二量子化の部(第6部第5章)で、粒子の入れ替えの対称性から同じ分布を出す道は解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第1章で扱われている。

例題 4.4.3 q=12q=\tfrac12 の振動子 ★★

オリジナル調和振動子の熱平衡で q=e−βℏω=12q=\mathrm{e}^{-\beta\hbar\omega}=\tfrac12 とする。kBT/(ℏω)k_{\mathrm B} T/(\hbar\omega)、pnp_n、nˉ\bar n、UU、S(ρ^β)S(\hat\rho_\beta)、純粋度、C/kBC/ k_{\mathrm B} を求めよ。

解答

βℏω=ln⁡2\beta\hbar\omega=\ln2 なので kBT/(ℏω)=1/ln⁡2=1.443k_{\mathrm B} T/(\hbar\omega)=1/\ln2=1.443。(4.4.12) から pn=12⋅2−n=2−(n+1)p_n=\tfrac12\cdot2^{-n}=2^{-(n+1)} で、p0=12p_0=\tfrac12、p1=14p_1=\tfrac14、p2=18p_2=\tfrac18、…。nˉ=q/(1−q)=1\bar n=q/(1-q)=1、U=ℏω(1+12)=32ℏωU=\hbar\omega(1+\tfrac12)=\tfrac32\hbar\omega。(4.4.16) で nˉ=1\bar n=1 とすると S=2ln⁡2−0=2ln⁡2=1.386S=2\ln2-0=2\ln2=1.386。これは公正な硬貨を表が出るまで投げたときの回数の分布のエントロピーと同じ値である(各回の表裏の不確かさ ln⁡2\ln2 に、投げる回数の期待値 2 を掛けたもの)。純粋度は (1−q)/(1+q)=13(1-q)/(1+q)=\tfrac13。熱容量は x=ln⁡2x=\ln2 で (x/2)2/sinh⁡2(x/2)=0.1201/0.1250=0.961(x/2)^2/\sinh^2(x/2)=0.1201/0.1250=0.961 で、等分配の値に近い。純粋度 13\tfrac13 と固有値 2−(n+1)2^{-(n+1)} は、第4部第2章の μ=13\mu=\tfrac13 の混合した Gauss 波束と同じ組である(第4.4.4節で、この一致が偶然でないことを示す)。

木下の勉強ステータス

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