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共通例題②:2準位系を2つの軌道の粒子として解く

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第3章 ボース粒子とフェルミ粒子:交換子と反交換子
目次
  1. 1粒子の部分:Rabi 振動は統計を見ない
  2. 2粒子の部分:統計が見える
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第6部 第3章 §6.3.5 ★★★ 1粒子の Rabi 振動は統計によらず、2粒子では干渉の符号が行列式(フェルミ)と permanent(ボース)に分かれる

1粒子の部分:Rabi 振動は統計を見ない

共通例題②の2準位系 H^=−ℏΔ2σz−ℏΩ2σx\hat H=-\frac{\hbar\Delta}{2}\sigma_z-\frac{\hbar\Omega}{2}\sigma_x(基底 ∣e⟩=(1,0)T| e \rangle =(1,0)^{\mathrm T}、∣g⟩=(0,1)T| g \rangle =(0,1)^{\mathrm T}、第1部第2章)の2つの状態を、2つのモード(軌道)e,ge,g とみなし、その上の消滅演算子を b^e,b^g\hat b_e,\hat b_g と書く。b^\hat b はボース粒子なら a^\hat a、フェルミ粒子なら c^\hat c のどちらでもよいとする。1粒子のハミルトニアンの行列

h=−ℏ2(ΔΩΩ−Δ)(6.3.25)h=-\frac\hbar2\begin{pmatrix}\Delta&\Omega\\\Omega&-\Delta\end{pmatrix}\tag{6.3.25}

を第2章の1体の演算子の規則で書き直すと

H^=∑i,j∈{e,g}hijb^i†b^j=−ℏΔ2(n^e−n^g)−ℏΩ2(b^e†b^g+b^g†b^e)(6.3.26)\hat H=\sum_{i,j\in\{e,g\}}h_{ij}\hat b_i^\dagger\hat b_j=-\frac{\hbar\Delta}{2}\bigl(\hat n_e-\hat n_g\bigr)-\frac{\hbar\Omega}{2}\bigl(\hat b_e^\dagger\hat b_g+\hat b_g^\dagger\hat b_e\bigr)\tag{6.3.26}

になる(第6部第2章の1体の演算子の書き換え)。粒子が1個の部分では、b^e†b^g\hat b_e^\dagger\hat b_g は ∣g⟩| g \rangle の粒子を ∣e⟩| e \rangle へ移す σ+=∣e⟩⟨g∣\sigma_+=| e \rangle \langle g |、n^e−n^g\hat n_e-\hat n_g は σz\sigma_z で、(6.3.26) はもとの H^\hat H そのものである。2準位の原子の遷移を「1個の電子が2つの軌道の間を移る」と書き直したことになる。ここの Δ\Delta は共通例題②の離調で、6.3.17 の対の強さとは別の量である。

運動方程式は (6.3.16) から、どちらの統計でも

b^e(t)=Uee(t)b^e+Ueg(t)b^g,U(t)=e−iht/ℏ=cos⁡Ω′t2+isin⁡Ω′t2 n⋅σ\hat b_e(t)=U_{ee}(t)\hat b_e+U_{eg}(t)\hat b_g,\qquad U(t)=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} ht/\hbar}=\cos\frac{\Omega't}{2}+\mathrm{i}\sin\frac{\Omega't}{2}\,\bm{n}\cdot\bm{\sigma}

である(Ω′=Ω2+Δ2\Omega'=\sqrt{\Omega^2+\Delta^2}、n=(Ω,0,Δ)/Ω′\bm{n}=(\Omega,0,\Delta)/\Omega'。UU の形は第1部第2章と同じ)。粒子を1個 gg に入れた状態 b^g†∣0⟩\hat b_g^\dagger| 0 \rangle から出発すると、b^e(t)b^g†∣0⟩=Ueg(t)∣0⟩\hat b_e(t)\hat b_g^\dagger| 0 \rangle =U_{eg}(t)| 0 \rangle なので

Pe(t)=⟨0∣b^g b^e†(t)b^e(t) b^g†∣0⟩=∣Ueg(t)∣2=(ΩΩ′)2sin⁡2Ω′t2(6.3.27)P_e(t)=\langle 0 | \hat b_g\,\hat b_e^\dagger(t)\hat b_e(t)\,\hat b_g^\dagger | 0 \rangle =\lvert U_{eg}(t)\rvert ^2=\Bigl(\frac{\Omega}{\Omega'}\Bigr)^2\sin^2\frac{\Omega't}{2}\tag{6.3.27}

を得る。共通例題②の正答と同じ形で、計算のどこにも交換関係と反交換関係の区別が入らなかった。粒子が1個なら、2つの統計から同じ1粒子の量子力学が出る(第1章の「粒子1個の部分は基準とユニタリ同値」の、2つの統計に共通の形)。

2粒子の部分:統計が見える

粒子を2個入れる。Schrödinger 描像で生成演算子は e−iH^t/ℏb^j†eiH^t/ℏ=∑iUij(t)b^i†\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat Ht/\hbar}\hat b_j^\dagger\mathrm{e}^{\mathrm{i}\hat Ht/\hbar}=\sum_iU_{ij}(t)\hat b_i^\dagger と変わるので、2つの軌道に1個ずつ入った状態 b^e†b^g†∣0⟩\hat b_e^\dagger\hat b_g^\dagger| 0 \rangle は

e−iH^t/ℏb^e†b^g†∣0⟩=∑i,jUieUjg b^i†b^j†∣0⟩\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat Ht/\hbar}\hat b_e^\dagger\hat b_g^\dagger| 0 \rangle =\sum_{i,j}U_{ie}U_{jg}\,\hat b_i^\dagger\hat b_j^\dagger| 0 \rangle

になる。右辺のうち b^e†b^g†∣0⟩\hat b_e^\dagger\hat b_g^\dagger| 0 \rangle に比例する部分は (i,j)=(e,g)(i,j)=(e,g) と (g,e)(g,e) の2項で、b^g†b^e†=±b^e†b^g†\hat b_g^\dagger\hat b_e^\dagger=\pm\hat b_e^\dagger\hat b_g^\dagger(上の符号がボース粒子)から

1個ずつ残る振幅=UeeUgg±UgeUeg={perm⁡U(ボース粒子)det⁡U(フェルミ粒子)(6.3.28)\text{1個ずつ残る振幅}=U_{ee}U_{gg}\pm U_{ge}U_{eg}= \begin{cases}\operatorname{perm}U&(\text{ボース粒子})\\ \det U&(\text{フェルミ粒子})\end{cases}\tag{6.3.28}

になる。perm⁡U\operatorname{perm}U は行列式の符号を全部 ++ にした permanent である。2つの振幅を足すか引くかは、粒子2個が入れ替わった経路(e→ge\to g と g→eg\to e)を、入れ替わらない経路に対してどの符号で重ねるかで、第2章の対称化の要請の符号 ±\pm そのものである。区別できる2粒子なら、2つの経路は終わりの状態が別なので干渉せず、確率は ∣UeeUgg∣2+∣UgeUeg∣2\lvert U_{ee}U_{gg}\rvert ^2+\lvert U_{ge}U_{eg}\rvert ^2 の和になる。

フェルミ粒子では、2つの軌道に2個入ると空いている所が無いので、状態は c^e†c^g†∣0⟩\hat c_e^\dagger\hat c_g^\dagger| 0 \rangle の1つしかない。det⁡U=e−itTr⁡h/ℏ=1\det U=\mathrm{e}^{-\mathrm{i} t\operatorname{Tr} h/\hbar}=1(Tr⁡h=0\operatorname{Tr} h=0)なので、この状態は時間がたっても変わらず、Rabi 振動は起きない。2個とも gg に入れることはそもそもできない。ボース粒子では、2個とも gg に入れた (a^g†)2∣0⟩/2(\hat a_g^\dagger)^2| 0 \rangle /\sqrt2 から出発すると、2個とも ee に移る振幅は Ueg2U_{eg}^2 で、確率は Pe2P_e^2 になる。同じ軌道から出発したボース粒子2個は、独立な2個の粒子のように振る舞う。

例題 6.3.5 50:50 の結合と、2つの統計の同時計数 ★★★

オリジナル共鳴(Δ=0\Delta=0)で Ωt=π/2\Omega t=\pi/2 の時刻を考える。2つの軌道 e,ge,g を、光のビームスプリッタの2つの出口と読み替えることもできる。

  1. (1) UU を行列で書き、1粒子の PeP_e を求めよ。
  2. (2) ee と gg に1個ずつ入れた状態から出発し、同じ時刻に再び1個ずつ見つかる確率を、ボース粒子・フェルミ粒子・区別できる2粒子について求めよ。
  3. (3) ボース粒子で、2個とも ee にいる確率と2個とも gg にいる確率を求め、(2) と合わせて確率の和が1になることを確かめよ。
解答

(1) n=(1,0,0)\bm{n}=(1,0,0)、Ω′t/2=π/4\Omega't/2=\pi/4 なので

U=cos⁡π4+isin⁡π4 σx=12(1ii1)U=\cos\frac\pi4+\mathrm{i}\sin\frac\pi4\,\sigma_x=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}1&\mathrm{i}\\\mathrm{i}&1\end{pmatrix}

で、Pe=∣Ueg∣2=12P_e=\lvert U_{eg}\rvert ^2=\frac12 である。粒子1個は半分ずつに分かれる。

(2) (6.3.28) から、ボース粒子は perm⁡U=12+i⋅i2=0\operatorname{perm}U=\frac12+\frac{\mathrm{i}\cdot\mathrm{i}}{2}=0 で確率0、フェルミ粒子は det⁡U=12−i⋅i2=1\det U=\frac12-\frac{\mathrm{i}\cdot\mathrm{i}}{2}=1 で確率1、区別できる2粒子は ∣12∣2+∣i⋅i2∣2=12\lvert \frac12\rvert ^2+\lvert \frac{\mathrm{i}\cdot\mathrm{i}}{2}\rvert ^2=\frac12 である。入れ替わらない経路の振幅 12\frac12 と入れ替わる経路の振幅 −12-\frac12 が、ボース粒子では足されて打ち消し合い、フェルミ粒子では引かれて強め合う。光子(ボース粒子)でこの同時計数の消失を測ったのが Hong–Ou–Mandel の実験(C. K. Hong, Z. Y. Ou and L. Mandel (1987), Phys. Rev. Lett. 59, 2044)で、光の巻 光学と量子エレクトロニクス 第33章が波束の重なりまで含めて扱う。

(3) 2個とも ee に入る部分は ∑i=j=eUeeUeg(a^e†)2∣0⟩=UeeUeg2∣2,0⟩\sum_{i=j=e}U_{ee}U_{eg}(\hat a_e^\dagger)^2| 0 \rangle =U_{ee}U_{eg}\sqrt2| 2,0 \rangle で、確率は 2∣UeeUeg∣2=2⋅14=122\lvert U_{ee}U_{eg}\rvert ^2=2\cdot\frac14=\frac12 である。2個とも gg も同じく 12\frac12 で、(2) の0と合わせて和は1になる。ボース粒子は同じ出口にまとまって出て(集群)、フェルミ粒子は必ず別の出口に分かれて出る。verify_ch6-03.py で、Fock 空間の行列 e−iH^t/ℏ\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat Ht/\hbar} を直接作って (2)(3) の確率を確かめ、あわせて Δ≠0\Delta\neq0 の1粒子の Pe(t)P_e(t) が2つの統計で (6.3.27) に一致することを確かめた。

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