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共通例題を流体で読む

2026年10月17日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第1章 波動関数を密度と位相に分ける:Madelung 変換と量子ポテンシャル
目次
  1. ① 調和振動子の定常状態:静止した流体
  2. ③ 自由粒子の波束:量子圧力で膨らむ流れ
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第7部 第1章 §7.1.5 ★★★ 共通例題①の定常状態は静水圧のつり合い、③の波束の広がりは量子圧力で膨らむ流れとして解く

① 調和振動子の定常状態:静止した流体

実数の固有関数 ψn(x)\psi_n(x) を持つ定常状態 ψ=ψn(x)e−iEnt/ℏ\psi=\psi_n(x)\mathrm{e}^{-\mathrm{i} E_nt/\hbar} では、節の外で S=−EntS=-E_nt(ψn<0\psi_n<0 の区間では S=πℏ−EntS=\pi\hbar-E_nt)なのでv=0v=0 である。流体は止まっていて、量子 HJ 方程式 (7.1.7) は

V(x)+Q(x)=En(ρ>0 の所)(7.1.15)V(x)+Q(x)=E_n\qquad(\rho>0\ \text{の所})\tag{7.1.15}

になる。外のポテンシャルの起伏を量子ポテンシャルがちょうど打ち消して、和が一定値 EnE_n になる。Euler 方程式の言葉では −∂xP=ρ ∂xV-\partial_xP=\rho\,\partial_xV で、量子圧力の勾配が外の力とつり合う静水圧のつり合いである。

共通例題①の調和振動子 V=mω2x2/2V=m\omega^2x^2/2 で確かめる。長さの単位を ℓ=ℏ/(mω)\ell=\sqrt{\hbar/(m\omega)} とする。基底状態 ψ0∝e−x2/(2ℓ2)\psi_0\propto\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)} は、例題 7.1.2 で σ2=ℓ2/2\sigma^2=\ell^2/2 と置いた場合で、

Q0=ℏ24mσ2−ℏ2x28mσ4=ℏω2−mω2x22,V+Q0=ℏω2Q_0=\frac{\hbar^2}{4m\sigma^2}-\frac{\hbar^2x^2}{8m\sigma^4}=\frac{\hbar\omega}{2}-\frac{m\omega^2x^2}{2},\qquad V+Q_0=\frac{\hbar\omega}{2}

となる。これが共通例題①の基底状態の流体での答え「v=0\bm{v}=0 で V+Q=ℏω/2V+Q=\hbar\omega/2」で、零点エネルギー ℏω/2\hbar\omega/2 は流体の言葉では量子圧力が調和ポテンシャルの力とつり合うために要るエネルギーである。量子圧力は例題 7.1.3 の (1) で kBTeff=ℏ2/(4mσ2)=ℏω/2k_{\mathrm B} T_{\mathrm{eff}}=\hbar^2/(4m\sigma^2)=\hbar\omega/2 と置いたもので、P0=(ℏω/2)ρ0P_0=(\hbar\omega/2)\rho_0 となる。n=0n=0 から 44 まで、Hermite 多項式を使った ψn\psi_n で (7.1.15) が En=ℏω(n+12)E_n=\hbar\omega(n+\frac12) で成り立つことを検算で確かめた。

図 図

図 7.1.1 調和振動子の定常状態を流体で見る(ℓ=ℏ/(mω)\ell=\sqrt{\hbar/(m\omega)})。点線が外のポテンシャル VV、青の実線が量子ポテンシャル QQ、赤の実線がその和、灰色が密度 ρ\rho(縦の大きさは見やすく拡大)。どちらの状態でも V+QV+Q は一定で、左が ℏω/2\hbar\omega/2、右が 3ℏω/23\hbar\omega/2 である。右の n=1n=1 では節 x=0x=0 で密度が 00 になり、QQ はその1点で定義されない(白丸)。

例題 7.1.5 第1励起状態の量子ポテンシャルと節 ★★

オリジナル調和振動子の第1励起状態 ψ1∝x e−x2/(2ℓ2)\psi_1\propto x\,\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)} について、x≠0x\neq0 での量子ポテンシャル Q1(x)Q_1(x) を求め、V+Q1V+Q_1 が一定であることを確かめよ。また x=0x=0 で何が起きているかを、速度場と量子化条件の言葉で説明せよ。

解答

x>0x>0 では ρ∝x e−x2/(2ℓ2)\sqrt\rho\propto x\,\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)}、x<0x<0 では ρ∝−x e−x2/(2ℓ2)\sqrt\rho\propto-x\,\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)} で、どちらも ρ\sqrt\rho の比 (ρ)′′/ρ(\sqrt\rho)''/\sqrt\rho は同じになる。f=x e−x2/(2ℓ2)f=x\,\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)} を微分すると

f′=(1−x2ℓ2)e−x2/(2ℓ2),f′′=(−3xℓ2+x3ℓ4)e−x2/(2ℓ2),f′′f=−3ℓ2+x2ℓ4.f'=\Bigl(1-\frac{x^2}{\ell^2}\Bigr)\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)},\qquad f''=\Bigl(-\frac{3x}{\ell^2}+\frac{x^3}{\ell^4}\Bigr)\mathrm{e}^{-x^2/(2\ell^2)}, \qquad\frac{f''}{f}=-\frac{3}{\ell^2}+\frac{x^2}{\ell^4}.

よって Q1=−ℏ22m(x2ℓ4−3ℓ2)=3ℏω2−mω2x22Q_1=-\dfrac{\hbar^2}{2m}\Bigl(\dfrac{x^2}{\ell^4}-\dfrac{3}{\ell^2}\Bigr)=\dfrac{3\hbar\omega}{2}-\dfrac{m\omega^2x^2}{2} で(ℏ2/(mℓ2)=ℏω\hbar^2/(m\ell^2)=\hbar\omega、ℏ2/(mℓ4)=mω2\hbar^2/(m\ell^4)=m\omega^2)、V+Q1=3ℏω/2=E1V+Q_1=3\hbar\omega/2=E_1 が x≠0x\neq0 のすべての点で成り立つ。

x=0x=0 では ρ=0\rho=0 なので速度場も QQ も定義されず、流体の領域 DD は x<0x<0 と x>0x>0 の2つの連結成分に分かれる。定理 7.1.4 の証明の作り方では、位相 SS を成分ごとに別々に決めてよく、ここでは x<0x<0 の側の位相が x>0x>0 の側より πℏ\pi\hbar だけずれている(ψ1\psi_1 の符号が変わる)。1次元では節を囲む閉曲線が無いので条件 (iv) は何も言わず、2つの成分の位相の差 πℏ\pi\hbar は流体の方程式からは決まらない。この差は、ψ\psi が x=0x=0 を越えて滑らかにつながる(ψ1′(0)≠0\psi_1'(0)\neq0)という要求で決まる。第4節の終わりに書いた「節の上での扱い」の具体例である。

③ 自由粒子の波束:量子圧力で膨らむ流れ

共通例題③の自由なガウス波束(初めの位置と運動量の相関なし、平均運動量 00)は、時刻 tt でρ(x,t)=(2πσ(t)2)−1/2exp⁡(−x2/(2σ(t)2))\rho(x,t)=(2\pi\sigma(t)^2)^{-1/2}\exp(-x^2/(2\sigma(t)^2))、

σ(t)2=σ02+(ℏt2mσ0)2(7.1.16)\sigma(t)^2=\sigma_0^2+\Bigl(\frac{\hbar t}{2m\sigma_0}\Bigr)^2\tag{7.1.16}

と広がる(伝播関数からの導出は 第3部第3章)。流体の言葉では、これを「量子圧力で一様に膨らむ流れ」として、Schrödinger 方程式を解かずに導ける。

ガウス分布の形を保ったまま幅だけが変わる流れを探し、速度場を v(x,t)=a(t) xv(x,t)=a(t)\,x と置く。連続の式に入れると、∂tρ=ρ (σ˙/σ)(x2/σ2−1)\partial_t\rho=\rho\,(\dot\sigma/\sigma)(x^2/\sigma^2-1)、∂x(ρv)=ρ a (1−x2/σ2)\partial_x(\rho v)=\rho\,a\,(1-x^2/\sigma^2) なので、a=σ˙/σa=\dot\sigma/\sigma と選べば連続の式が成り立つ。つまり

v(x,t)=σ˙σ x.(7.1.17)v(x,t)=\frac{\dot\sigma}{\sigma}\,x .\tag{7.1.17}

中心からの距離に比例した速さで外へ流れる一様な膨張である。次に Euler 方程式 (7.1.9)(V=0V=0)に入れる。左辺は∂tv+v ∂xv=x(σ¨/σ−σ˙2/σ2)+x σ˙2/σ2=x σ¨/σ\partial_tv+v\,\partial_xv=x\bigl(\ddot\sigma/\sigma-\dot\sigma^2/\sigma^2\bigr)+x\,\dot\sigma^2/\sigma^2=x\,\ddot\sigma/\sigma、右辺は例題 7.1.2 の QQ から −∂xQ/m=ℏ2x/(4m2σ4)-\partial_xQ/m=\hbar^2x/(4m^2\sigma^4) なので、

σ¨=ℏ24m2σ3(7.1.18)\ddot\sigma=\frac{\hbar^2}{4m^2\sigma^3}\tag{7.1.18}

が出る。幅 σ\sigma は、1/σ31/\sigma^3 に比例する外向きの力を受けて加速される。初期条件 σ(0)=σ0\sigma(0)=\sigma_0、σ˙(0)=0\dot\sigma(0)=0(相関なし)で解くと、ddt(σ˙2+ℏ24m2σ2)=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\bigl(\dot\sigma^2+\tfrac{\hbar^2}{4m^2\sigma^2}\bigr)=0 より σ˙2=ℏ24m2(1σ02−1σ2)\dot\sigma^2=\tfrac{\hbar^2}{4m^2}\bigl(\tfrac{1}{\sigma_0^2}-\tfrac{1}{\sigma^2}\bigr)、これを積分すれば (7.1.16) になる((7.1.16) を2回微分して (7.1.18) に戻ることを検算で確かめた)。十分時間が経つと σ˙/σ→1/t\dot\sigma/\sigma\to1/t で、v→x/tv\to x/t となる。これは時刻 00 に原点を出た粒子がそれぞれの速さで等速に飛んだときの速度場である。量子圧力の力は 1/σ31/\sigma^3 に比例して弱まるので、波束が広がったあとの流れは等速の自由な流れに近づく。

図 図

図 7.1.2 自由なガウス波束を流体で見る。時間の単位は t∗=2mσ02/ℏt_*=2m\sigma_0^2/\hbar(このとき σ(t)2=σ02(1+t2/t∗2)\sigma(t)^2=\sigma_0^2(1+t^2/t_*^2))。左は密度、右は速度場 v=(σ˙/σ)x=t x/(t∗2+t2)v=(\dot\sigma/\sigma)x=t\,x/(t_*^2+t^2) で、どの時刻でも原点を通る直線になる。速度場の傾きは t=t∗t=t_* で最大の 1/(2t∗)1/(2t_*) になり、その後は自由に飛ぶ粒子の傾き 1/t1/t に近づく。

例題 7.1.6 電子の波束が2倍に広がる時間 ★★

オリジナル標準偏差 σ0=1 nm\sigma_0=1\ \mathrm{nm} のガウス波束で準備した自由な電子(m=9.109×10−31 kgm=9.109\times10^{-31}\ \mathrm{kg})の幅が 2σ02\sigma_0 になる時刻を求めよ。そのとき、中心から x=σ0x=\sigma_0 の所の流体の速さはいくらか。ℏ=1.0546×10−34 J s\hbar=1.0546\times10^{-34}\ \mathrm{J\,s} とする。

解答

(7.1.16) で σ2=4σ02\sigma^2=4\sigma_0^2 と置くと (ℏt/(2mσ0))2=3σ02(\hbar t/(2m\sigma_0))^2=3\sigma_0^2、よって

t=23 mσ02ℏ=23×9.109×10−31×10−181.0546×10−34 s≈2.99×10−14 s≈30 fs.t=\frac{2\sqrt3\,m\sigma_0^2}{\hbar}=\frac{2\sqrt3\times9.109\times10^{-31}\times10^{-18}}{1.0546\times10^{-34}}\ \mathrm{s}\approx2.99\times10^{-14}\ \mathrm{s}\approx30\ \mathrm{fs}.

速度場は (7.1.17) から v=xσ˙/σv=x\dot\sigma/\sigma で、σσ˙=12dσ2dt=ℏ2t/(4m2σ02)\sigma\dot\sigma=\tfrac12\frac{\mathrm{d} \sigma^2}{\mathrm{d} t}=\hbar^2t/(4m^2\sigma_0^2) よりv=ℏ2t4m2σ02σ2 xv=\dfrac{\hbar^2t}{4m^2\sigma_0^2\sigma^2}\,x。t=23mσ02/ℏt=2\sqrt3m\sigma_0^2/\hbar、σ2=4σ02\sigma^2=4\sigma_0^2、x=σ0x=\sigma_0 を入れると

v=ℏ24m2σ02⋅4σ02⋅23mσ02ℏ⋅σ0=38 ℏmσ0≈38×1.16×105 m/s≈2.5×104 m/sv=\frac{\hbar^2}{4m^2\sigma_0^2\cdot4\sigma_0^2}\cdot\frac{2\sqrt3m\sigma_0^2}{\hbar}\cdot\sigma_0=\frac{\sqrt3}{8}\,\frac{\hbar}{m\sigma_0}\approx\frac{\sqrt3}{8}\times1.16\times10^{5}\ \mathrm{m/s}\approx2.5\times10^{4}\ \mathrm{m/s}

となる(ℏ/(mσ0)=1.158×105 m/s\hbar/(m\sigma_0)=1.158\times10^5\ \mathrm{m/s})。nm の大きさに絞った電子は 30 fs ほどで幅が倍になり、その間に波束の縁は秒速数十 km で外へ流れる。

熱平衡(共通例題①の ZZ と ⟨n⟩\langle n \rangle)は1つの波動関数で書けない混合状態なので、1つの流体 (ρ,v)(\rho,\bm{v}) では表せない。第7部では、熱平衡を Nelson の確率過程の言葉で第5章(第7部第5章)と第6章で扱う。

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