この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第9部 第3章 §9.3.7 ★★★ 非文脈的な値の割り当てが3次元以上で作れないことを、正方形・射線の着色・KCBS の3つの形で整理し、Bell の不等式と同じ枠に置く
隠れた変数の理論を、物理量ごとに固有値を割り当て、1つの物理量の関数関係を保つ写像 (値の割り当て)として定式化した。この条件から、交換する物理量について和と積の規則が出て、射線の言葉では「どの正規直交基底でもちょうど1本が 」という KS 着色の問題になる。1本の射線が複数の基底(文脈)に属するのに値を1つに決めることが、非文脈性の仮定である。交換しない物理量にまで和の規則を課した von Neumann の仮定は強すぎて、量子ビットでも破れる。量子ビットでは基底が交わらない2本組に分かれるので、非文脈的な模型が実際に作れて Born の規則を完全に再現する。共通例題②の Rabi 振動も、この模型で として出る。4次元では Peres–Mermin の正方形の9個の物理量で、9個の値の積を行と列の2通りに数えると と になって矛盾する。どの状態でも成り立つ証明で、測れる形では非文脈的な上限 に対して量子は である。射線の言葉では、4次元の18本で基底ごとに数えた和(奇数 )と射線ごとに数えた和(偶数)が食い違い、3次元では Peres の33本で着色が無いことを全探索で確かめた。次元を上げる補題で、 のすべてに定理が広がる。3次元で状態を選べば、5本の射影の KCBS 不等式で非文脈的な上限 を まで破ることができる。橋の節では、局所的な模型と非文脈的な模型が同値であることを両向きに示し、Bell の不等式が非文脈性の不等式の特別な場合で、その仮定を相対論で裏付けたものであることを見た。Bohm の理論は文脈的な隠れた変数の例として、定理と矛盾しない。次の 第9部第4章 では、確率の割り当ての側から離れて、状態の全体を凸集合として扱う一般確率論の枠で、古典ビット・量子ビット・PR 箱を並べる。
この章の道具
- 値の割り当て:、 ⇒ 交換する組で和と積の規則。
- KS 着色:どの正規直交基底でもちょうど1本が 。全射線の着色=分散のない状態=値の割り当て。
- Peres–Mermin:行の積 、列の積 。(非文脈的)、(量子・どの状態でも)。
- 18本のパリティ:9基底(奇数)×各射線2回(偶数)。次元の持ち上げで 、33本で 。
- KCBS:(非文脈的)、量子の最大 。
- 局所的な模型 ⇔ 非文脈的な模型(2者の4文脈)。CHSH は非文脈性の不等式の特別な場合。
総合問題 2量子ビットで、非文脈性と局所性の検査を並べる ★★★
オリジナル2量子ビット と、Bell 状態 、およびそれに白色雑音を混ぜた Werner 状態 ()を考える。
- (1) で、Peres–Mermin の正方形 (9.3.5) の9個の物理量の期待値を求めよ。確定値()を持つのはどれか。(使う道具:9.3.3節、第1部第2章の Bell 状態)
- (2) (1) の確定値だけを使って非文脈的な割り当てを作ろうとすると、残りの6個をどう選んでも であることを示し、量子の値 が のどの でも変わらない理由を述べよ。(使う道具:9.3.3節)
- (3) , , として、 での CHSH の値を求めよ。相関は で ( は 面内の測定の向きの角)を使ってよい。破れる の範囲を答えよ。(使う道具:9.3.6節、第1部第2章、相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第5章)
- (4) A の側だけを見たときの状態(部分トレース)を求め、A だけの測定の統計が 9.3.2節の模型で再現できることを示せ。(使う道具:9.3.2節、第9部第2章の2次元での破れ)
- (5) で (2) と (3) の検査の結果を比べ、それぞれの検査がどの仮定を否定し、何を必要とするかをまとめよ。(使う道具:命題 9.3.9、9.3.4節)
解答
(1) は 、 の固有値 の固有状態で、(第3列の関係 (9.3.6))から の固有値 の固有状態でもある。片側だけの4つ( など)は、縮約が なので期待値 。 と も、 を計算すると 、 から 。期待値を正方形の形に並べると
で、確定値を持つのは第3列の3つ()だけである。
(2) 第3列に 、、 を置くと、第3列の積は で量子の予言どおり、。残りの6個を に選ぶと、各行の積の条件から 、、 を満たせば になるが、そのとき第1・2列の積の積は なので、 で一方は 。行の条件を1つ破れば 。どちらにしても6つの項のうち少なくとも1つは で、 である(6つの項の積が常に だという 9.3.3節の議論の具体例)。量子では各行・各列の積が演算子として なので で、 がどの でも成り立つ。完全に混合した でも である。
(3) では の向きが , 、 が , で、、。CHSH は 。 の部分では相関はすべて なので、 では 。命題 9.3.9 から局所的な模型は を満たすので、破れるのは のときである。
(4) 、 でも (Bloch ベクトル )。 と純粋状態の混合に書き、模型の分布を とおけば、 は球面上に一様に分布し、どの でも で Born の規則 と一致する。A だけの測定は量子ビットの文脈しか含まないので、第9部第2章で見た2次元の自由さのとおり、非文脈的な模型で説明することができる。文脈依存性は2つの量子ビットの物理量を組み合わせたときに初めて現れる。
(5) では CHSH が で、局所的な模型で説明できる範囲に入る。一方 Peres–Mermin の は のままで、非文脈的な模型を否定する。Bell の検査(CHSH)は局所性という弱い仮定だけを否定するが、もつれの強い状態()と空間的に離れた2つの系を必要とする。Peres–Mermin の検査は、どの状態でも( でも)非文脈性を否定するが、同じ実験室で同時に測れる物理量の値が文脈によらないという、物理的な根拠の弱い仮定を対象にしている。命題 9.3.9 のとおり局所性は非文脈性の特別な場合なので、CHSH が破れれば非文脈性も破れるが、逆は成り立たない。 の状態は、CHSH の4つの文脈だけなら局所的な模型で説明できるが、正方形の9個の物理量まで含めると非文脈的な模型が無い、という中間の領域にある。9.3.4節の着色の議論は、この状態に依らない検査の背後にある射線の構造である。
木下の勉強ステータス
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