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この章のまとめ

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第9部 第3章 Kochen–Specker の定理と文脈依存性

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第9部 第3章 §9.3.7 ★★★ 非文脈的な値の割り当てが3次元以上で作れないことを、正方形・射線の着色・KCBS の3つの形で整理し、Bell の不等式と同じ枠に置く

隠れた変数の理論を、物理量ごとに固有値を割り当て、1つの物理量の関数関係を保つ写像 vv(値の割り当て)として定式化した。この条件から、交換する物理量について和と積の規則が出て、射線の言葉では「どの正規直交基底でもちょうど1本が 11」という KS 着色の問題になる。1本の射線が複数の基底(文脈)に属するのに値を1つに決めることが、非文脈性の仮定である。交換しない物理量にまで和の規則を課した von Neumann の仮定は強すぎて、量子ビットでも破れる。量子ビットでは基底が交わらない2本組に分かれるので、非文脈的な模型が実際に作れて Born の規則を完全に再現する。共通例題②の Rabi 振動も、この模型で Pe=(Ω/Ω′)2sin⁡2(Ω′t/2)P_e=(\Omega/\Omega')^2\sin^2(\Omega't/2) として出る。4次元では Peres–Mermin の正方形の9個の物理量で、9個の値の積を行と列の2通りに数えると +1+1 と −1-1 になって矛盾する。どの状態でも成り立つ証明で、測れる形では非文脈的な上限 χ≤4\chi\le4 に対して量子は χ=6\chi=6 である。射線の言葉では、4次元の18本で基底ごとに数えた和(奇数 99)と射線ごとに数えた和(偶数)が食い違い、3次元では Peres の33本で着色が無いことを全探索で確かめた。次元を上げる補題で、dim⁡H≥3\dim\mathcal{H}\ge3 のすべてに定理が広がる。3次元で状態を選べば、5本の射影の KCBS 不等式で非文脈的な上限 22 を 5\sqrt5 まで破ることができる。橋の節では、局所的な模型と非文脈的な模型が同値であることを両向きに示し、Bell の不等式が非文脈性の不等式の特別な場合で、その仮定を相対論で裏付けたものであることを見た。Bohm の理論は文脈的な隠れた変数の例として、定理と矛盾しない。次の 第9部第4章 では、確率の割り当ての側から離れて、状態の全体を凸集合として扱う一般確率論の枠で、古典ビット・量子ビット・PR 箱を並べる。

この章の道具

  • 値の割り当て:v(A^)∈spec⁡A^v(\hat A)\in\operatorname{spec}\hat A、v(f(A^))=f(v(A^))v(f(\hat A))=f(v(\hat A)) ⇒ 交換する組で和と積の規則。
  • KS 着色:どの正規直交基底でもちょうど1本が 11。全射線の着色=分散のない状態=値の割り当て。
  • Peres–Mermin:行の積 +1,+1,+1+1,+1,+1、列の積 +1,+1,−1+1,+1,-1。χ≤4\chi\le4(非文脈的)、χ=6\chi=6(量子・どの状態でも)。
  • 18本のパリティ:9基底(奇数)×各射線2回(偶数)。次元の持ち上げで dim⁡≥4\dim\ge4、33本で dim⁡=3\dim=3。
  • KCBS:∑jPr⁡(P^j=1)≤2\sum_j\Pr(\hat P_j=1)\le2(非文脈的)、量子の最大 5\sqrt5。
  • 局所的な模型 ⇔ 非文脈的な模型(2者の4文脈)。CHSH は非文脈性の不等式の特別な場合。

総合問題 2量子ビットで、非文脈性と局所性の検査を並べる ★★★

オリジナル2量子ビット C2⊗C2\mathbb{C}^2\otimes\mathbb{C}^2 と、Bell 状態 ∣Φ+⟩=12(∣↑↑⟩+∣↓↓⟩)| \Phi^+ \rangle =\frac{1}{\sqrt2}(| \uparrow\uparrow \rangle +| \downarrow\downarrow \rangle )、およびそれに白色雑音を混ぜた Werner 状態 ρ^V=V∣Φ+⟩⟨Φ+∣+(1−V)1^/4\hat\rho_V=V| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |+(1-V)\hat 1/4(0≤V≤10\le V\le1)を考える。

  1. (1) ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle で、Peres–Mermin の正方形 (9.3.5) の9個の物理量の期待値を求めよ。確定値(±1\pm1)を持つのはどれか。(使う道具:9.3.3節、第1部第2章の Bell 状態)
  2. (2) (1) の確定値だけを使って非文脈的な割り当てを作ろうとすると、残りの6個をどう選んでも χ≤4\chi\le4 であることを示し、量子の値 χ=6\chi=6 が ρ^V\hat\rho_V のどの VV でも変わらない理由を述べよ。(使う道具:9.3.3節)
  3. (3) A^0=σz\hat A_0=\sigma_z, A^1=σx\hat A_1=\sigma_x, B^0,1=(σz±σx)/2\hat B_{0,1}=(\sigma_z\pm\sigma_x)/\sqrt2 として、ρ^V\hat\rho_V での CHSH の値を求めよ。相関は ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle で E(α,β)=cos⁡(α−β)E(\alpha,\beta)=\cos(\alpha-\beta)(α,β\alpha,\beta は xzxz 面内の測定の向きの角)を使ってよい。破れる VV の範囲を答えよ。(使う道具:9.3.6節、第1部第2章、相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部第5章)
  4. (4) A の側だけを見たときの状態(部分トレース)を求め、A だけの測定の統計が 9.3.2節の模型で再現できることを示せ。(使う道具:9.3.2節、第9部第2章の2次元での破れ)
  5. (5) V=0.6V=0.6 で (2) と (3) の検査の結果を比べ、それぞれの検査がどの仮定を否定し、何を必要とするかをまとめよ。(使う道具:命題 9.3.9、9.3.4節)
解答

(1) ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle は σx⊗σx\sigma_x\otimes\sigma_x、σz⊗σz\sigma_z\otimes\sigma_z の固有値 +1+1 の固有状態で、σy⊗σy=−(σx⊗σx)(σz⊗σz)\sigma_y\otimes\sigma_y=-(\sigma_x\otimes\sigma_x)(\sigma_z\otimes\sigma_z)(第3列の関係 (9.3.6))から σy⊗σy\sigma_y\otimes\sigma_y の固有値 −1-1 の固有状態でもある。片側だけの4つ(σx⊗1^\sigma_x\otimes\hat 1 など)は、縮約が 1^/2\hat 1/2 なので期待値 00。σx⊗σy\sigma_x\otimes\sigma_y と σy⊗σx\sigma_y\otimes\sigma_x も、⟨Φ+∣σx⊗σy∣Φ+⟩=12(⟨↑↑∣⋅∣↓↓⟩+c.c.)\langle \Phi^+ | \sigma_x\otimes\sigma_y | \Phi^+ \rangle =\frac12\bigl(\langle \uparrow\uparrow | \cdot | \downarrow\downarrow \rangle +\text{c.c.}\bigr) を計算すると σx∣↓⟩=∣↑⟩\sigma_x| \downarrow \rangle =| \uparrow \rangle、σy∣↓⟩=−i∣↑⟩\sigma_y| \downarrow \rangle =-\mathrm{i}| \uparrow \rangle から 12(−i+i)=0\frac12(-\mathrm{i}+\mathrm{i})=0。期待値を正方形の形に並べると

00+100−100+1\begin{array}{ccc}0&0&+1\\0&0&-1\\0&0&+1\end{array}

で、確定値を持つのは第3列の3つ(+1,−1,+1+1,-1,+1)だけである。

(2) 第3列に v13=+1v_{13}=+1、v23=−1v_{23}=-1、v33=+1v_{33}=+1 を置くと、第3列の積は −1-1 で量子の予言どおり、−C3=+1-C_3=+1。残りの6個を ±1\pm1 に選ぶと、各行の積の条件から v11v12=+1v_{11}v_{12}=+1、v21v22=−1v_{21}v_{22}=-1、v31v32=+1v_{31}v_{32}=+1 を満たせば R1=R2=R3=+1R_1=R_2=R_3=+1 になるが、そのとき第1・2列の積の積は ∏ivi1vi2=(+1)(−1)(+1)=−1\prod_{i}v_{i1}v_{i2}=(+1)(-1)(+1)=-1 なので、C1C2=−1C_1C_2=-1 で一方は −1-1。行の条件を1つ破れば Ri=−1R_i=-1。どちらにしても6つの項のうち少なくとも1つは −1-1 で、χ≤4\chi\le4 である(6つの項の積が常に −1-1 だという 9.3.3節の議論の具体例)。量子では各行・各列の積が演算子として ±1^\pm\hat 1 なので χ^=6⋅1^\hat\chi=6\cdot\hat 1 で、Tr⁡(ρ^Vχ^)=6\operatorname{Tr}(\hat\rho_V\hat\chi)=6 がどの VV でも成り立つ。完全に混合した V=0V=0 でも 66 である。

(3) ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle では A^0,A^1\hat A_0,\hat A_1 の向きが α0=0\alpha_0=0, α1=π2\alpha_1=\frac\pi2、B^0,B^1\hat B_0,\hat B_1 が β0=π4\beta_0=\frac\pi4, β1=−π4\beta_1=-\frac\pi4 で、E00=E01=E10=cos⁡π4=12E_{00}=E_{01}=E_{10}=\cos\frac\pi4=\frac{1}{\sqrt2}、E11=cos⁡3π4=−12E_{11}=\cos\frac{3\pi}{4}=-\frac{1}{\sqrt2}。CHSH は 42=22\frac{4}{\sqrt2}=2\sqrt2。1^/4\hat 1/4 の部分では相関はすべて 00 なので、ρ^V\hat\rho_V では S=22 VS=2\sqrt2\,V。命題 9.3.9 から局所的な模型は ∣S∣≤2\lvert S\rvert \le2 を満たすので、破れるのは V>12≈0.707V>\frac{1}{\sqrt2}\approx0.707 のときである。

(4) Tr⁡B∣Φ+⟩⟨Φ+∣=121^\operatorname{Tr}_B| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |=\frac12\hat 1、ρ^V\hat\rho_V でも Tr⁡Bρ^V=121^\operatorname{Tr}_B\hat\rho_V=\frac12\hat 1(Bloch ベクトル r=0\bm{r}=0)。1^/2=12(∣↑⟩⟨↑∣+∣↓⟩⟨↓∣)\hat 1/2=\frac12(| \uparrow \rangle \langle \uparrow |+| \downarrow \rangle \langle \downarrow |) と純粋状態の混合に書き、模型の分布を 12(qez+q−ez)\frac12(q_{\bm{e}_z}+q_{-\bm{e}_z}) とおけば、λ\lambda は球面上に一様に分布し、どの n\bm{n} でも Pr⁡(n⋅σ=+1)=12\Pr(\bm{n}\cdot\bm{\sigma}=+1)=\frac12 で Born の規則 12(1+0)\frac12(1+0) と一致する。A だけの測定は量子ビットの文脈しか含まないので、第9部第2章で見た2次元の自由さのとおり、非文脈的な模型で説明することができる。文脈依存性は2つの量子ビットの物理量を組み合わせたときに初めて現れる。

(5) V=0.6V=0.6 では CHSH が 22×0.6≈1.697≤22\sqrt2\times0.6\approx1.697\le2 で、局所的な模型で説明できる範囲に入る。一方 Peres–Mermin の χ\chi は 6>46>4 のままで、非文脈的な模型を否定する。Bell の検査(CHSH)は局所性という弱い仮定だけを否定するが、もつれの強い状態(V>1/2V>1/\sqrt2)と空間的に離れた2つの系を必要とする。Peres–Mermin の検査は、どの状態でも(V=0V=0 でも)非文脈性を否定するが、同じ実験室で同時に測れる物理量の値が文脈によらないという、物理的な根拠の弱い仮定を対象にしている。命題 9.3.9 のとおり局所性は非文脈性の特別な場合なので、CHSH が破れれば非文脈性も破れるが、逆は成り立たない。V=0.6V=0.6 の状態は、CHSH の4つの文脈だけなら局所的な模型で説明できるが、正方形の9個の物理量まで含めると非文脈的な模型が無い、という中間の領域にある。9.3.4節の着色の議論は、この状態に依らない検査の背後にある射線の構造である。

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