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削り方3:対称性で残った問題を小さくする

2026年10月15日5分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第1章 序章:固体のハミルトニアンから何を削るか
目次
  1. 輪の上の tight-binding
  2. 対称性で分ける操作は何も削らない
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第1部 第1章 §1.1.4 ★★★ 並進対称性を使うと、NN 個のサイトの問題は波数 kk ごとの 1×11\times1(一般には小さな)行列に分かれる。これは近似でなく厳密な操作である

輪の上の tight-binding

前の2節の削り方は近似だった。3つ目の削り方は、模型を選んだあとに使う厳密な操作で、対称性を使って行列を小さなブロックに分けることである。最も簡単な例として、同じ原子 NN 個を間隔 aa で輪に並べ、隣どうしだけをホッピング tt でつないだ模型を考える(電子1個の問題)。サイト jj の軌道を ∣j⟩| j \rangle と書き、∣N+1⟩=∣1⟩| N+1 \rangle =| 1 \rangle と輪を閉じると、

H^=∑j=1N[εa∣j⟩⟨j∣−t(∣j⟩⟨j+1∣+∣j+1⟩⟨j∣)](1.1.10)\hat H=\sum_{j=1}^{N}\Bigl[\varepsilon _{\mathrm a}| j \rangle \langle j |-t\bigl(| j \rangle \langle j+1 |+| j+1 \rangle \langle j |\bigr)\Bigr]\tag{1.1.10}

である。この H^\hat H は、すべての原子を1つ隣へずらす並進 T^∣j⟩=∣j+1⟩\hat T| j \rangle =| j+1 \rangle と交換する:[H^, T^]=0\left[\hat H,\,\hat T\right]=0。

交換する2つの演算子は同時に対角化できる。T^N=1\hat T^N=1 なので T^\hat T の固有値は e−ika\mathrm{e}^{-\mathrm{i} ka} の形で、ka=2πν/Nka=2\pi\nu/N(ν=0,1,…,N−1\nu=0,1,\dots,N-1)に限られる。固有ベクトルは

∣k⟩=1N∑j=1Neikja∣j⟩(1.1.11)| k \rangle =\frac{1}{\sqrt N}\sum_{j=1}^{N}\mathrm{e}^{\mathrm{i} kja}| j \rangle\tag{1.1.11}

で、これに H^\hat H を当てると、∣j⟩| j \rangle の係数が εaeikja−t(eik(j+1)a+eik(j−1)a)\varepsilon _{\mathrm a}\mathrm{e}^{\mathrm{i} kja}-t\bigl(\mathrm{e}^{\mathrm{i} k(j+1)a}+\mathrm{e}^{\mathrm{i} k(j-1)a}\bigr) になるので

H^∣k⟩=ε(k)∣k⟩,ε(k)=εa−2tcos⁡(ka)(1.1.12)\hat H| k \rangle =\varepsilon (k)| k \rangle ,\qquad\varepsilon (k)=\varepsilon _{\mathrm a}-2t\cos(ka)\tag{1.1.12}

を得る。N×NN\times N の行列の固有値問題が、kk ごとの 1×11\times1 の問題に分かれた。固有値は幅 4t4t の区間 [εa−2t,εa+2t][\varepsilon _{\mathrm a}-2t,\varepsilon _{\mathrm a}+2t] に NN 個並び、NN が大きくなると区間を埋めて連続な帯になる(図 1.1.2)。これがバンドで、kk は並進の固有値のラベルとして現れた。kk と k+2π/ak+2\pi/a は同じ固有値 e−ika\mathrm{e}^{-\mathrm{i} ka} を与えるので、kk は幅 2π/a2\pi/a の区間(Brillouin 域)だけを動けばよい。この議論を一般の周期ポテンシャルで行ったものが Bloch の定理である(第2部第3章・第2部第4章)。

図

図 1.1.2 輪の tight-binding 模型の固有値。実線は ε(k)=εa−2tcos⁡(ka)\varepsilon (k)=\varepsilon _{\mathrm a}-2t\cos(ka)、四角は N=6N=6、丸は N=24N=24 の行列を数値で対角化した固有値である。どちらも実線の上に乗り、NN を増やすと点が帯を埋める。

対称性で分ける操作は何も削らない

並進で行列をブロックに分ける操作は、固有値を1つも変えない。図 1.1.2 の点が実線に正確に乗っているのはそのためである。この巻で対称性を使う所(結晶の並進による Bloch の定理、スピンの回転による全スピンの保存、時間反転による Kramers 縮退)は、どれも模型を選んだあとの厳密な操作であり、近似の札を付けない。札は、模型を選ぶ段階(前の2節の削り方)にだけ付く。ただし対称性は、模型が対称性を持つときにしか使えない。表面・不純物・乱れがあると並進対称性が崩れ、kk は良い量子数でなくなる。そうした場合を扱う所(第4部の電気抵抗、第4部第7章の表面のトンネル)では、崩れの小ささを別の近似として扱う。

例題 1.1.4 6個の輪と3個の2量体のエネルギー ★★

オリジナル同じ原子 66 個の輪に、隣どうしのホッピング tt の tight-binding 模型を考える(εa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0)。電子どうしの相互作用は無視する。

  1. (1) 式 (1.1.12) から 66 個の固有値を求めよ。
  2. (2) 電子 66 個を、スピンの上下を考えて低い準位から詰めたときの全エネルギーを求めよ。
  3. (3) 同じ 66 個の原子を、互いにつながらない2原子の組 33 つに分けた場合の全エネルギーと比べよ。
解答

(1) ka=2πν/6ka=2\pi\nu/6(ν=0,…,5\nu=0,\dots,5)で cos⁡(ka)=1,12,−12,−1,−12,12\cos(ka)=1,\frac12,-\frac12,-1,-\frac12,\frac12 なので、固有値は −2t-2t, −t-t(2重), tt(2重), 2t2t である。

(2) −2t-2t に2個、−t-t の2つの準位に2個ずつ計4個を入れて、全エネルギーは 2(−2t)+4(−t)=−8t2(-2t)+4(-t)=-8t。

(3) 2原子の組1つは式 (1.1.7) で準位 ∓t\mp t を持ち、電子2個を −t-t に入れて −2t-2t。33 組で −6t-6t である。輪の方が 2t2t だけ低い。電子が3つの組に閉じ込められず輪全体に広がると、運動エネルギーが下がるからである。これは化学で非局在化エネルギー(共鳴エネルギー)と呼ぶ量の Hückel 法での値と同じで、ベンゼンの例として 第2部第2章 で詳しく扱う。

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