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この巻の章の型と地図:何を削り、何で確かめるか

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第1章 序章:固体のハミルトニアンから何を削るか
目次
  1. 章の型
  2. 5つの部の地図
  3. 近似の裏付けの札の読み方
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第1部 第1章 §1.1.5 ★★★ 各章は「選ぶ H^\hat H → 当てる道具 → 出てくるもの → 何を削ったか → 何の実験の量で確かめるか」の順に書かれる

章の型

この巻の第2章以降は、同じ順で書く。まずその章で選ぶ H^\hat H を1行で書き、次にどの道具(対角化・摂動・平均場・統計力学)を当てるかを述べ、道具を当てて出てくる量を導く。そのあとに、この巻に特有の2つの節を置く。1つは何を削ったかの節で、選んだ H^\hat H が式 (1.1.1) からどの自由度を捨てたものかを書き出し、末尾に近似の裏付けの札を置く。もう1つは何の実験の量で確かめるかの節で、出てきた量のうち実験で測れるものを挙げ、測り方と、模型が合わなくなる条件を述べる。最後に授業で習った形との対応と、この章のまとめを置く。

5つの部の地図

表 1.1.1 は、5つの部で選ぶ H^\hat H と、削ったもの、確かめる量を1行ずつ並べたものである。

表 1.1.1 各部で選ぶ H^\hat H、削ったもの、確かめる実験の量
部選ぶもの削ったもの確かめる量
第1部 結晶と周期性原子の並び(周期関数としての電子密度)原子の運動・電子の状態の中身回折の像(Bragg の条件)
第2部 分子からバンドへ1電子の H^\hat H(tight-binding・ほぼ自由な電子)電子どうしの相互作用(平均に置き換える)・多くの軌道光の吸収端・分子の色・バンド図
第3部 格子原子核を質点とばねにした LL電子の励起(Born–Oppenheimer)・非調和性の大部分比熱・フォノンの分散(中性子・Raman)
第4部 電子の輸送と光バンドの電子+外場+散乱散乱の中身(緩和時間に置き換える)伝導度・Hall 係数・熱電係数・吸収スペクトル
第5部 相互作用・秩序・トポロジーHubbard・Heisenberg・BCS 模型着目する相互作用以外の全部磁化率・比熱の跳び・超伝導ギャップ・Hall 伝導度

表の右の2列が、この巻で毎章書く2つの節にあたる。「削ったもの」の列を上から読むと、部が進むにつれて削るものが減り、相互作用を少しずつ戻していることが分かる。第2部では電子どうしの相互作用を平均に置き換えて1電子の問題にし、第4部で散乱として一部を戻し、第5部で着目する相互作用だけを残す。

近似の裏付けの札の読み方

「何を削ったか」の節の末尾には、削った近似ごとに1行の札を置く。札は第V巻(近似の数理)の近似の分類(近似の数理 第1章)を使い、4つの欄を持つ。1つ目の欄は近似の型で、扱いやすい部分空間の中で解を探す A 型(射影)、小さいパラメータを 00 に送った極限の問題の解を使う B 型(極限)、未知の量を既知の量の関数で置き換えて方程式を閉じる C 型(閉じる)の3つがある。2つ目の欄はその近似の小さいパラメータか部分空間、3つ目の欄は数学の側で近似がどこまで正当化されているか(証明済み・条件付き・未解決・C 型で内部の評価なし・要確認)、4つ目の欄は証明の筋を置いた第V巻の章である。この章では 1.1.2節と 1.1.3節に札を4枚置いた。証明はこの巻には書かず、第V巻へ送る。固体の近似には B 型が多く、しかもエネルギーのギャップがあることを前提にした定理が多い。ギャップが閉じる所(金属の Fermi 面・トポロジカル相転移)で近似の前提が崩れることが、第4部と第5部を通す筋の1つになる。終章(第5部第6章)では、巻全体の札を1枚の表に集め、第V巻の終章の表と並べる。

例題 1.1.5 銅の伝導電子の数を2通りに数え、Hall 係数を予言する ★★★

オリジナル銅は面心立方格子(立方体の単位胞に原子 44 個)で、格子定数を a=0.3615 nma=0.3615\,\mathrm{nm}、密度を 8.96 g cm−38.96\,\mathrm{g\,cm^{-3}}、モル質量を 63.55 g mol−163.55\,\mathrm{g\,mol^{-1}} とする(与えられた値として使う)。原子1個が伝導電子を1個出すと仮定する(1.1.2節で 2828 個の電子をイオンにまとめた)。

  1. (1) 格子定数から伝導電子の数密度 nn を求めよ。
  2. (2) 密度とモル質量から nn を求め、(1) と比べよ(NA=6.022×1023 mol−1N_{\mathrm A}=6.022\times10^{23}\,\mathrm{mol^{-1}})。
  3. (3) 自由電子の模型では Hall 係数が RH=−1/(ne)R_{\mathrm H}=-1/(ne) になる(第4部第4章)。(1) の nn で RHR_{\mathrm H} を求めよ。測った RHR_{\mathrm H} がこの値からずれたら、表 1.1.1 のどの削り方を見直すことになるかを述べよ。
解答

(1) n=4/a3=4/(0.3615×10−9)3=4/4.724×10−29≈8.47×1028 m−3n=4/a^3=4/(0.3615\times10^{-9})^3=4/4.724\times10^{-29}\approx8.47\times10^{28}\,\mathrm{m^{-3}}。

(2) n=8.96×103 kg m−363.55×10−3 kg mol−1×6.022×1023≈8.49×1028 m−3n=\dfrac{8.96\times10^{3}\,\mathrm{kg\,m^{-3}}}{63.55\times10^{-3}\,\mathrm{kg\,mol^{-1}}}\times6.022\times10^{23}\approx8.49\times10^{28}\,\mathrm{m^{-3}}。(1) との差は 0.3%0.3\% で、2通りの数え方が合う。これは「原子1個が電子1個を出す」という仮定の確認ではなく、格子定数と密度が同じ結晶を表していることの確認である。電子の数を数える仮定は、(3) のように電子の運動に依る量で確かめる必要がある。

(3) RH=−1/(ne)=−1/(8.47×1028×1.602×10−19)≈−7.37×10−11 m3 C−1R_{\mathrm H}=-1/(ne)=-1/(8.47\times10^{28}\times1.602\times10^{-19})\approx-7.37\times10^{-11}\,\mathrm{m^3\,C^{-1}}。符号が負であることは、電荷を運ぶものが負の電荷を持つことを表す。測った値の大きさがこれと違えば、まず「伝導電子は自由電子のように動く」という第4部の削り方を見直す。バンドの形が自由電子の放物線から外れると、Hall 係数は −1/(ne)-1/(ne) からずれ、正孔のように振る舞う部分があれば符号まで変わりうる。その扱いは第4部第4章で行う。

木下の勉強ステータス

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