ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第1部 第2章 §1.2.6 ★ 結晶学の流儀(2π を入れない逆格子・軸の切片の逆数で決める Miller 指数)と、この章の形を式で並べる
学部の固体物理の授業と結晶学の教科書では、同じものを少し違う形で書くことが多い。式で並べておく。
逆格子の 2π。この章(固体物理の流儀)では ai⋅bj=2πδij とした。結晶学では 2π を入れず、
ai⋅bj∗=δij,b1∗=a1⋅(a2×a3)a2×a3 (ほかも巡回)
と定めることが多い。両者は bj=2πbj∗ の関係にある。結晶学の流儀では面間隔が d=1/∣bhkl∗∣ になり、回折の条件は散乱ベクトルを (k′−k)/(2π) で書いて bhkl∗ と等しいとおく形になる。式の中身は同じで、2π をどこに置くかだけが違う。
Miller 指数。授業では「格子面が3本の軸を切る点を x1a1、x2a2、x3a3 とし、逆数 1/x1,1/x2,1/x3 を互いに素な整数の比に直したもの」と定義することが多い。第4節で見たように、平面 G⋅r=2π は a1/h,a2/k,a3/l を通るので、切片の逆数は (h,k,l) に比例する。2つの定義は同じものを指す。軸に平行な面(切片が無限遠)は逆数が 0 になり、指数の 0 に当たる。
立方晶の面間隔。授業では dhkl=a/h2+k2+l2 を立方晶のすべてに使い、fcc・bcc で現れない反射を「消滅則」として回折の節で別に学ぶことが多い。この章では、fcc・bcc で a2π(h,k,l) がそもそも逆格子ベクトルでない場合がある(偶奇の規則)と見た。消滅則のうち格子だけで決まる分(fcc の「すべて偶数かすべて奇数」、bcc の「h+k+l が偶数」)は、慣用単位胞を使ったために余分な G を数えたことの訂正である。ダイヤモンド構造の (200) のように、基底の因子 (1.2.7) が 0 になって消える分は別の原因で、第1部第3章で扱う。
Brillouin 域。授業では、1次元の −π/a<k≤π/a を先に習い、3次元の Brillouin 域は図で与えられることが多い。この章の定義(逆格子の Wigner–Seitz 胞)は、1次元では ∣k∣<∣k−2πm/a∣(すべての m=0)となり、∣k∣<π/a に一致する。
例題 1.2.6 軸の切片から Miller 指数と面間隔を出す ★
オリジナル単純立方格子(格子定数 a)の格子面が、x 軸を 2a、y 軸を 3a で切り、z 軸に平行であるとする。
- (1) 切片の逆数から Miller 指数を求めよ。
- (2) 対応する最も短い逆格子ベクトルを書き、その面が G⋅r=2πℓ のどの ℓ に当たるかを答えよ。
- (3) 面間隔を求めよ。
解答
(1) 切片は (2,3,∞)(格子定数を単位として)で、逆数は (21,31,0) である。互いに素な整数の比に直すと、6 を掛けて (320) になる。
(2) G=a2π(3,2,0) である。成分の最大公約数は 1 なので、この向きで最も短い。面 3x+2y=6a の上の点 r ではG⋅r=a2π⋅6a=12π なので、ℓ=6 の面に当たる。原点に最も近い ℓ=1 の面は、軸を a/3 と a/2 で切る。
(3) 式 (1.2.15) から d320=a/9+4=a/13≈0.277a である。確かめとして、面 3x+2y=6a と原点の距離は 6a/13 で、これは 6d320 に等しい。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com