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何を削ったか

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第6章 ブリルアンゾーンと状態密度
目次
  1. 削ったもの
  2. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第6章 §2.6.5 ★★ 状態密度を滑らかな関数として扱うために、結晶の大きさを無限にし、準位の幅を 00 とし、次元とホッピングの範囲を限っている。特異点はこれらで丸まる

削ったもの

この章の状態密度は、4つのものを削って得たものである。

1つめは結晶の有限の大きさである。NN が有限なら準位は飛び飛びで、式 (2.6.6) の D(ε)D(\varepsilon ) はデルタ関数の和である。滑らかな D(ε)D(\varepsilon ) は N→∞N\to\infty の極限でしか意味を持たず、しかもその極限は点ごとの値の極限ではない。極限が意味を持つのは積分した状態密度 N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) の側で、周期境界条件のもとでは固有値が格子点の上の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) そのものなので、N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) は Brillouin 域の積分の Riemann 和になり、等エネルギー面の測度が 00 である限り収束する。次の例題で見るように、有限の NN では van Hove 特異点の所にデルタ関数の大きな重みが集まることがあるが、その重みは N→∞N\to\infty で 00 になる。

2つめは準位の幅である。この章の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) は、寿命が無限に長い1電子の準位として扱った。実在の電子は、不純物・フォノン・他の電子に散乱されて有限の寿命 τ\tau を持ち、準位はエネルギーの幅 ℏ/τ\hbar/\tau 程度にぼける。状態密度はこの幅で平均されるので、対数発散は有限の山(高さはおよそ 12π2tln⁡tℏ/τ\frac{1}{2\pi^2t}\ln\frac{t}{\hbar/\tau})に、x\sqrt{\phantom{x}} の折れは丸い肩になる。不規則さが強くなると、帯の端にも状態が染み出す。

3つめは次元である。層状の結晶を2次元の正方格子として扱うと、層の間のホッピング t⊥t_\perp を削ったことになる。t⊥t_\perp を戻すとε=−2t(cos⁡kxa+cos⁡kya)−2t⊥cos⁡kzc\varepsilon =-2t(\cos k_xa+\cos k_ya)-2t_\perp\cos k_zc(cc は層の間隔)で、状態密度は式 (2.6.17) と同じ形の平均Dsite(ε)=1π∫0πdθ Dsitesq(ε+2t⊥cos⁡θ)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon )=\frac1\pi\int_0^\pi\mathrm{d}\theta\,D^{\mathrm{sq}}_{\mathrm{site}}(\varepsilon +2t_\perp\cos\theta) になる。t⊥≪tt_\perp\ll t なら ε=εa\varepsilon =\varepsilon _{\mathrm a} で式 (2.6.15) を入れて

Dsite(εa)≈1π∫0πdθ2π2tln⁡16t2t⊥∣cos⁡θ∣=12π2tln⁡16tt⊥(2.6.18)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon _{\mathrm a})\approx\frac1\pi\int_0^\pi\frac{\mathrm{d}\theta}{2\pi^2t}\ln\frac{16t}{2t_\perp\lvert \cos\theta\rvert }=\frac{1}{2\pi^2t}\ln\frac{16t}{t_\perp}\tag{2.6.18}

を得る(1π∫0πln⁡∣cos⁡θ∣ dθ=−ln⁡2\frac1\pi\int_0^\pi\ln\lvert \cos\theta\rvert \,\mathrm{d}\theta=-\ln2 を使った)。2次元の対数発散は、t⊥t_\perp によって ln⁡(t/t⊥)\ln(t/t_\perp) の高さで頭打ちになり、εa±2t⊥\varepsilon _{\mathrm a}\pm2t_\perp の2つの3次元の折れに分かれる。

4つめはホッピングの範囲と軌道の数である。この章の数値例は、1サイトに軌道1個、最近接のホッピングだけを残した。例題 2.6.4 で見たように、第2近接を入れると特異点の位置と係数は変わる。ただし特異点の種類と最小個数は定理 2.6.6 で決まっていて、ホッピングの細部によらない。状態密度の形のうち、ホッピングを削っても残るのはこの位相的な部分であり、削ると変わるのは特異点の位置と係数である。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/N→01/N\to0(単位胞の数 NN が無限大。状態密度は積分した N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) の意味で比べる) | 証明 証明済み(周期境界条件の tight-binding では固有値が格子点上の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) そのもので、N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) は Riemann 和として収束する。等エネルギー面の測度が 00 であることが前提。点ごとの D(ε)D(\varepsilon ) は収束しない。連続の周期 Schrödinger 作用素でも、積分した状態密度 N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) は境界条件によらず同じ極限になる(第V巻 第12章)) | 行き先 近似の数理 第12章

近似の裏付け

型 A(射影) | 小さいもの 各格子点に局在した原子軌道1個が張る部分空間(最近接のホッピングだけを残す) | 証明 条件付き(原子間距離が大きい深い井戸の極限で、トンネル積分の形まで証明されている〔Simon 1984、Helffer–Sjöstrand 1984〕。第2近接以降を落とす誤差の実在の結晶での大きさは要確認) | 行き先 近似の数理 第4章・近似の数理 第12章

例題 2.6.5 有限の正方格子で状態密度を数える ★★

オリジナルN×NN\times N 個の格子点からなる正方格子(NN は偶数、周期境界条件、εa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0)の準位 ε=−2t(cos⁡2πm1N+cos⁡2πm2N)\varepsilon =-2t(\cos\frac{2\pi m_1}{N}+\cos\frac{2\pi m_2}{N})(m1,m2=0,…,N−1m_1,m_2=0,\dots,N-1)を考える。

  1. (1) ちょうど ε=0\varepsilon =0 になる準位の数が 2N−22N-2 であることを示せ。N=100N=100 ではそれは全体の何割か。
  2. (2) N=100N=100 で ∣ε∣≤0.1t\lvert \varepsilon \rvert \le0.1t の準位の割合を、式 (2.6.16) を積分した値 ∫−0.1t0.1tDsite dε\int_{-0.1t}^{0.1t}D_{\mathrm{site}}\,\mathrm{d}\varepsilon と比べよ。
  3. (3) (1)(2) から、有限の NN の状態密度と N→∞N\to\infty の状態密度がどういう意味で近いかを述べよ。
解答

(1) 例題 2.6.2 により ε=0\varepsilon =0 は ∣kx∣+∣ky∣=π/a\lvert k_x\rvert +\lvert k_y\rvert =\pi/a の菱形の上である。mim_i を −N/2<mi≤N/2-N/2<m_i\le N/2 の範囲に取り直すと、条件は ∣m1∣+∣m2∣=N/2\lvert m_1\rvert +\lvert m_2\rvert =N/2 になる。菱形の4辺の上の格子点は 4⋅N2=2N4\cdot\frac N2=2N 個だが、頂点 (±N/2,0)(\pm N/2,0) は m1=N/2m_1=N/2 と m1=−N/2m_1=-N/2 が同じ点(NN だけずれた点)なので2個が1個に、(0,±N/2)(0,\pm N/2) も同様に1個になる。したがって 2N−22N-2 個である。N=100N=100 では 198198 個で、全体 10410^4 個の 1.98%1.98\% である。割合はおよそ 2/N2/N で、N→∞N\to\infty で 00 になる。

(2) 数値で数えると、N=100N=100 の ∣ε∣≤0.1t\lvert \varepsilon \rvert \le0.1t の準位の割合は 0.05900.0590 で、このうち 0.01980.0198 が (1) の ε=0\varepsilon =0 ちょうどの準位である。式 (2.6.16) を数値積分すると ∫−0.1t0.1tDsite dε=0.0616\int_{-0.1t}^{0.1t}D_{\mathrm{site}}\,\mathrm{d}\varepsilon =0.0616 である。幅 0.2t0.2t の窓で数えた割合は、4%4\% 程度の差で積分の値に近い。

(3) 有限の NN の状態密度はデルタ関数の和で、ε=0\varepsilon =0 には 2/N2/N 程度の重みを持つデルタ関数がある。N→∞N\to\infty の状態密度は ε=0\varepsilon =0 で対数発散するが、有限の幅の窓で積分した量(窓の中の準位の割合)どうしで比べれば、両者は近い。状態密度の N→∞N\to\infty の極限は、点ごとの値でなく、積分した量 N(ε)\mathcal N(\varepsilon ) の意味で取るものである。

木下の勉強ステータス

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