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何の実験の量で確かめるか・授業で習った形との対応

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第6章 ブリルアンゾーンと状態密度
目次
  1. 何の実験の量で確かめるか
  2. 授業で習った形との対応
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第6章 §2.6.6 ★★ 比熱と Pauli 磁化率は D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) を、トンネル分光と光吸収は D(ε)D(\varepsilon ) の形(van Hove 特異点)を測る。教科書ごとの状態密度の規格化の違いを式で並べる

何の実験の量で確かめるか

Fermi 準位の状態密度は、低温の電子比熱と Pauli 磁化率に現れる。電子比熱は、Fermi 分布関数の幅 kBTk_{\mathrm B} T の中の電子だけが熱を受け取れることから

Cel=π23kB2D(εF) T(単位体積あたり)(2.6.19)C_{\mathrm{el}}=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2D(\varepsilon _{\mathrm F})\,T\qquad(\text{単位体積あたり})\tag{2.6.19}

になる(Sommerfeld 展開による導出は第4部第1章)。Pauli 磁化率は、磁束密度 BB の中で上向きと下向きのスピンの準位が ±μBB\pm\mu_{\mathrm B}B ずれ、Fermi 準位の近くの 12D(εF)μBB\frac12D(\varepsilon _{\mathrm F})\mu_{\mathrm B}B 個(単位体積あたり)の電子が一方のスピンから他方へ移ることから出る。磁化は M=μB⋅D(εF)μBBM=\mu_{\mathrm B}\cdot D(\varepsilon _{\mathrm F})\mu_{\mathrm B}B で、B≈μ0HB\approx\mu_0H として

χm=μ0μB2D(εF)(2.6.20)\chi_{\mathrm m}=\mu_0\mu_{\mathrm B}^2D(\varepsilon _{\mathrm F})\tag{2.6.20}

である。どちらも D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) に比例するので、比 (Cel/T)/χm=π2kB2/(3μ0μB2)(C_{\mathrm{el}}/T)/\chi_{\mathrm m}=\pi^2 k_{\mathrm B}^2/(3\mu_0\mu_{\mathrm B}^2) は状態密度によらない普遍的な値になる。この比を普遍値で割ったもの(Wilson 比)が 11 からずれることは、電子どうしの相互作用の目印になる(第5部第1章)。

状態密度の形は、エネルギーを選んで準位を数える測定に現れる。走査トンネル顕微鏡(STM)の探針と試料の間の電流を電圧 VbV_{\mathrm b} で微分した dI/dVb\mathrm{d} I/\mathrm{d} V_{\mathrm b} は、試料の表面の局所的な状態密度を εF+eVb\varepsilon _{\mathrm F}+eV_{\mathrm b} で測った量にほぼ比例する(第4部第7章)。1次元に近い炭素ナノチューブでは、dI/dVb\mathrm{d} I/\mathrm{d} V_{\mathrm b} に1次元の van Hove 特異点の鋭い山が並ぶことが観測された(J. W. G. Wildöer ほか(1998)、Nature 391、59。T. W. Odom ほか(1998)、Nature 391、62)。光の吸収は、占有された準位から空の準位への遷移を数えるので、2つのバンドの差 εn′(k)−εn(k)\varepsilon _{n'}(\bm{k})-\varepsilon _n(\bm{k}) についての状態密度(結合状態密度)を測る。その臨界点が吸収スペクトルの折れや山として現れることは第4部第6章で扱う。光電子分光は、占有された準位の状態密度を、角度分解すれば εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) そのものを測る。

授業で習った形との対応

学部の授業では、状態密度を結晶全体について数えることが多い。体積 VcrV_{\mathrm{cr}}(この章の NvcNv_{\mathrm c})の結晶の自由電子について、「波数空間で1つの状態が占める体積は (2π/L)3(2\pi/L)^3」から

D全体(E)=Vcr2π2(2mℏ2)3/2ED_{\text{全体}}(E)=\frac{V_{\mathrm{cr}}}{2\pi^2}\Bigl(\frac{2m}{\hbar^2}\Bigr)^{3/2}\sqrt E

と書く。この章の D(ε)D(\varepsilon ) との関係は D全体=VcrDD_{\text{全体}}=V_{\mathrm{cr}}D で、式 (2.6.10) の1行目に結晶の体積を掛けただけである。スピンを数えない(1スピンあたりの)状態密度を使う教科書では、さらに 1/21/2 倍になる。D(E)D(E)・g(E)g(E)・N(E)N(E) と記号も揺れるので、どの規格化かは式の積分(全電子数になるか、1サイトあたり1になるか)で確かめるのが確実である。

1次元の状態密度を、授業では「dE\mathrm{d} E の間の状態の数は L2π⋅2∣dk∣\frac{L}{2\pi}\cdot2\lvert \mathrm{d} k\rvert」と ±k\pm k の2つの向きを数えて出す。この章の式 (2.6.9) で d=1d=1 とし、「面」を2点とした場合と同じ計算である。van Hove 特異点は、授業では3次元の M0M_0〜M3M_3 の x\sqrt{\phantom{x}} の折れを図で示すことが多い。この章では、それを臨界点のまわりの2次の展開 (2.6.14) と変数変換で導き、個数の下限を Brillouin 域がトーラスであることから出した。授業でバンド図を Γ\Gamma–X–M–Γ\Gamma のような対称性の高い点を結ぶ線の上で描くのは、多くの臨界点が対称性の高い点にあり(勾配が対称性によって 00 になるため)、その線の上で状態密度の特異点のエネルギーが読めるからである。

例題 2.6.6 状態密度の規格化を換え、比熱と磁化率を出す ★

オリジナル例題 2.6.3 の bcc 金属(εF=3.13 eV\varepsilon _{\mathrm F}=3.13\,\mathrm{eV}、D(εF)=12.1 eV−1 nm−3D(\varepsilon _{\mathrm F})=12.1\,\mathrm{eV^{-1}\,nm^{-3}})について答えよ。

  1. (1) 1原子あたり(両スピン)の D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) と、1 cm31\,\mathrm{cm^3} の結晶全体の D全体(εF)D_{\text{全体}}(\varepsilon _{\mathrm F}) を求めよ。
  2. (2) 1 mol あたりの電子比熱の係数 γ=Cel/T\gamma=C_{\mathrm{el}}/T を mJ mol−1 K−2\mathrm{mJ\,mol^{-1}\,K^{-2}} で求めよ。
  3. (3) Pauli 磁化率 χm\chi_{\mathrm m}(SI、無次元)を求めよ。単位体積あたりの Cel/TC_{\mathrm{el}}/T と χm\chi_{\mathrm m} の比が D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) によらないことを確かめよ。
解答

(1) 1原子の体積は a3/2=0.0398 nm3a^3/2=0.0398\,\mathrm{nm^3} なので、1原子あたり 12.1×0.0398=0.479 eV−112.1\times0.0398=0.479\,\mathrm{eV^{-1}} である。式 (2.6.11) から1原子あたりでは 3/(2εF)3/(2\varepsilon _{\mathrm F}) に等しい(1原子1電子のとき)。1 cm3=1021 nm31\,\mathrm{cm^3}=10^{21}\,\mathrm{nm^3} を掛けると D全体=1.21×1022 eV−1D_{\text{全体}}=1.21\times10^{22}\,\mathrm{eV^{-1}} である。

(2) 1 mol あたりの状態密度は NA⋅32εFN_{\mathrm A}\cdot\frac{3}{2\varepsilon _{\mathrm F}} なので、式 (2.6.19) から γ=π23kB2NA32εF=π22RkBεF\gamma=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2N_{\mathrm A}\frac{3}{2\varepsilon _{\mathrm F}}=\frac{\pi^2}{2}\frac{R k_{\mathrm B}}{\varepsilon _{\mathrm F}}(R=NAkBR=N_{\mathrm A} k_{\mathrm B} は気体定数)である。kB/εF=1/TF=1/(3.63×104 K)k_{\mathrm B}/\varepsilon _{\mathrm F}=1/T_{\mathrm F}=1/(3.63\times10^4\,\mathrm K) を入れて γ=4.935×8.314/(3.63×104) J mol−1 K−2=1.13 mJ mol−1 K−2\gamma=4.935\times8.314/(3.63\times10^4)\,\mathrm{J\,mol^{-1}\,K^{-2}}=1.13\,\mathrm{mJ\,mol^{-1}\,K^{-2}} である。

(3) D(εF)=12.1 eV−1 nm−3=7.52×1046 J−1 m−3D(\varepsilon _{\mathrm F})=12.1\,\mathrm{eV^{-1}\,nm^{-3}}=7.52\times10^{46}\,\mathrm{J^{-1}\,m^{-3}}、μB=9.274×10−24 J T−1\mu_{\mathrm B}=9.274\times10^{-24}\,\mathrm{J\,T^{-1}} からχm=4π×10−7×(9.274×10−24)2×7.52×1046=8.13×10−6\chi_{\mathrm m}=4\pi\times10^{-7}\times(9.274\times10^{-24})^2\times7.52\times10^{46}=8.13\times10^{-6} である。単位体積あたりの Cel/T=π23kB2D(εF)C_{\mathrm{el}}/T=\frac{\pi^2}{3} k_{\mathrm B}^2D(\varepsilon _{\mathrm F}) と χm\chi_{\mathrm m} の比は π2kB23μ0μB2=5.80×106 J m−3 K−2\frac{\pi^2 k_{\mathrm B}^2}{3\mu_0\mu_{\mathrm B}^2}=5.80\times10^{6}\,\mathrm{J\,m^{-3}\,K^{-2}} で、D(εF)D(\varepsilon _{\mathrm F}) が約分されて消える。自由電子の値を使わなくても、同じ試料の比熱と磁化率を測れば、この比が自由な電子の値に合うかを確かめることができる。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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