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出てくるもの2:交換相関汎関数(LDA・GGA・混成汎関数)

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第10章 実際のバンド計算:密度汎関数理論
目次
  1. 局所密度近似
  2. 勾配近似と混成汎関数
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第10章 §2.10.3 ★★★ 形の分からない ExcE_{\mathrm{xc}} を、一様電子気体の値を各点の密度で使う LDA で閉じ、勾配と厳密交換を足して改良していく

局所密度近似

ExcE_{\mathrm{xc}} の形は分からないが、1つだけ答えの分かる系がある。正の電荷を一様に広げた背景の中の、密度 nn の一様な電子気体(ジェリウム)である。その1電子あたりの交換相関エネルギーを exc(n)e_{\mathrm{xc}}(n) とし、

ExcLDA[n]=∫n(r) exc(n(r)) d3r,vxcLDA(r)=ddn[n exc(n)]n=n(r)(2.10.9)E_{\mathrm{xc}}^{\mathrm{LDA}}[n]=\int n(\bm{r})\,e_{\mathrm{xc}}\bigl(n(\bm{r})\bigr)\,\mathrm{d}^3r,\qquad v_{\mathrm{xc}}^{\mathrm{LDA}}(\bm{r})=\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} n}\bigl[n\,e_{\mathrm{xc}}(n)\bigr]_{n=n(\bm{r})}\tag{2.10.9}

とおくのが局所密度近似(LDA)である。各点の電子は、その点の密度と同じ密度の一様な電子気体の中にいるかのように交換相関のエネルギーを受け取る。

交換の部分は第5部第1章で Hartree–Fock の計算から求めた。密度を rsr_{\mathrm s}(4π3rs3=1/n\frac{4\pi}{3}r_{\mathrm s}^3=1/n、電子1個あたりの球の半径)で表すと

ex(n)=−34(3π)1/3e24πϵ0n1/3=−0.916rs/a0 Ry,vx=43ex(2.10.10)e_{\mathrm x}(n)=-\frac34\Bigl(\frac3\pi\Bigr)^{1/3}\frac{e^2}{4\pi\epsilon_0}n^{1/3}=-\frac{0.916}{r_{\mathrm s}/a_0}\,\mathrm{Ry},\qquad v_{\mathrm x}=\frac43e_{\mathrm x}\tag{2.10.10}

で、n1/3n^{1/3} に比例するので vxv_{\mathrm x} は exe_{\mathrm x} の 4/34/3 倍になる。相関の部分は解析的には求まらない。一様電子気体の基底エネルギーを量子 Monte Carlo 法で数値的に求めた計算(D. M. Ceperley and B. J. Alder (1980), Phys. Rev. Lett. 45, 566)を、高密度と低密度の極限の形に合わせて補間した式が使われる。広く使われる Perdew–Zunger の補間は、rs≥a0r_{\mathrm s}\ge a_0 で(Hartree 単位、1 Ha=2 Ry=27.2 eV1\,\mathrm{Ha}=2\,\mathrm{Ry}=27.2\,\mathrm{eV})

ec=−0.14231+1.0529rs/a0+0.3334 rs/a0 Ha(2.10.11)e_{\mathrm c}=\frac{-0.1423}{1+1.0529\sqrt{r_{\mathrm s}/a_0}+0.3334\,r_{\mathrm s}/a_0}\,\mathrm{Ha}\tag{2.10.11}

である(J. P. Perdew and A. Zunger (1981), Phys. Rev. B 23, 5048)。rs<a0r_{\mathrm s}<a_0 では高密度の展開の形 Aln⁡rs+B+⋯A\ln r_{\mathrm s}+B+\cdots を使い、2つの式は rs=a0r_{\mathrm s}=a_0 でつながるように作られている。

LDA は2つの点で裏付けを持つ。一様な電子気体で正しく、密度がゆっくり変わる極限でも厳密な汎関数の主要項に一致することが証明されている(近似の数理 第9章)。また、電子1個のまわりにできる交換相関の穴に含まれる電子がちょうど1個という和則を満たす。原子や結合の領域のように密度が急に変わる所はゆっくり変わる極限から遠いが、この和則のおかげで誤差が部分的に打ち消し合い、結合の長さや格子定数は数%以内で合うことが多い。

例題 2.10.5 ナトリウムの価電子の交換相関 ★★

オリジナルナトリウムの価電子は rs=3.99 a0r_{\mathrm s}=3.99\,a_0(第5部第1章)の一様な電子気体に近い。

  1. (1) 交換 exe_{\mathrm x}、相関 ece_{\mathrm c}(式 (2.10.11))を eV で求め、相関と交換の比を出せ。
  2. (2) 交換相関ポテンシャル vxv_{\mathrm x} と vc=ec−rs3decdrsv_{\mathrm c}=e_{\mathrm c}-\frac{r_{\mathrm s}}{3}\frac{\mathrm{d} e_{\mathrm c}}{\mathrm{d} r_{\mathrm s}} を求めよ。vcv_{\mathrm c} がこの形になることを示せ。
  3. (3) Slater が提案した交換のポテンシャル 2ex2e_{\mathrm x}(J. C. Slater (1951), Phys. Rev. 81, 385)は、Kohn–Sham の vxv_{\mathrm x} の何倍か。違いの理由を述べよ。
解答

(1) ex=−0.916/3.99 Ry=−0.2296 Ry=−3.12 eVe_{\mathrm x}=-0.916/3.99\,\mathrm{Ry}=-0.2296\,\mathrm{Ry}=-3.12\,\mathrm{eV}。式 (2.10.11) の分母は 1+1.0529×1.9975+0.3334×3.99=4.431+1.0529\times1.9975+0.3334\times3.99=4.43 で、ec=−0.0321 Ha=−0.873 eVe_{\mathrm c}=-0.0321\,\mathrm{Ha}=-0.873\,\mathrm{eV}。比は 0.873/3.12=0.2800.873/3.12=0.280 で、相関は交換の3割弱である。比は rsr_{\mathrm s} とともに増え、rs=a0r_{\mathrm s}=a_0 では 0.130.13、6a06a_0 では 0.330.33 になる。密度が低いほど運動エネルギーに比べて反発が大きくなり、電子が互いを避ける相関の役割が増すからである。

(2) vx=43ex=−4.17 eVv_{\mathrm x}=\frac43e_{\mathrm x}=-4.17\,\mathrm{eV}。vc=d(nec)dn=ec+ndecdnv_{\mathrm c}=\frac{\mathrm{d} (ne_{\mathrm c})}{\mathrm{d} n}=e_{\mathrm c}+n\frac{\mathrm{d} e_{\mathrm c}}{\mathrm{d} n} で、rs∝n−1/3r_{\mathrm s}\propto n^{-1/3} から ndrsdn=−rs3n\frac{\mathrm{d} r_{\mathrm s}}{\mathrm{d} n}=-\frac{r_{\mathrm s}}{3} なので vc=ec−rs3decdrsv_{\mathrm c}=e_{\mathrm c}-\frac{r_{\mathrm s}}3\frac{\mathrm{d} e_{\mathrm c}}{\mathrm{d} r_{\mathrm s}}。数値微分で vc=−1.03 eVv_{\mathrm c}=-1.03\,\mathrm{eV}。交換相関ポテンシャルの和は −5.20 eV-5.20\,\mathrm{eV} で、εF=3.15 eV\varepsilon _{\mathrm F}=3.15\,\mathrm{eV}(第5部第1章)より大きい。

(3) 2ex/(43ex)=3/22e_{\mathrm x}/(\frac43e_{\mathrm x})=3/2 倍。Slater は Hartree–Fock の交換を、各点の電子が受ける交換の平均を一様電子気体で見積もる形で局所化した。Kohn–Sham の vxv_{\mathrm x} はエネルギー ∫nex\int ne_{\mathrm x} を密度で微分したもので、一様電子気体で言えば Fermi 面上の電子の交換のずれに当たる。平均と Fermi 面上の値の違いが 3/23/2 と 11 の違いになる。Slater の形は後に係数 α\alpha を調整する Xα\alpha 法として使われ、α=2/3\alpha=2/3 が Kohn–Sham の値にあたる。

勾配近似と混成汎関数

LDA は各点の密度しか見ないので、密度が急に変わる所の情報を持たない。そこで密度の勾配も入れる。交換の部分を

ExGGA[n]=∫n ex(n) Fx(s) d3r,s=∣∇n∣2(3π2)1/3n4/3(2.10.12)E_{\mathrm x}^{\mathrm{GGA}}[n]=\int n\,e_{\mathrm x}(n)\,F_{\mathrm x}(s)\,\mathrm{d}^3r,\qquad s=\frac{\lvert \nabla n\rvert }{2(3\pi^2)^{1/3}n^{4/3}}\tag{2.10.12}

と書き、無次元の勾配 ss の関数 FxF_{\mathrm x}(増大因子)で LDA を補正するのが一般化勾配近似(GGA)である。s=0s=0 で Fx=1F_{\mathrm x}=1 となり LDA に戻る。固体で最も広く使われる PBE(J. P. Perdew, K. Burke and M. Ernzerhof (1996), Phys. Rev. Lett. 77, 3865)は、Fx=1+κ−κ/(1+μs2/κ)F_{\mathrm x}=1+\kappa-\kappa/(1+\mu s^2/\kappa) の κ=0.804\kappa=0.804 を Lieb–Oxford の下界から決め、経験的なパラメータを使っていない(その数値の検算は 近似の数理 第9章)。GGA は原子の全エネルギーや分子の結合エネルギーを LDA より大きく改善するが、固体のバンドギャップはほとんど変えない(2.10.4節)。

もう1つの方向は、Hartree–Fock の交換(軌道で書いた厳密な交換)を一定の割合で混ぜることである。

ExcPBE0=14ExHF+34ExPBE+EcPBE(2.10.13)E_{\mathrm{xc}}^{\mathrm{PBE0}}=\frac14E_{\mathrm x}^{\mathrm{HF}}+\frac34E_{\mathrm x}^{\mathrm{PBE}}+E_{\mathrm c}^{\mathrm{PBE}}\tag{2.10.13}

割合 1/41/4 は、断熱接続の積分を摂動論の次数で見積もって決められた(J. P. Perdew, M. Ernzerhof and K. Burke (1996), J. Chem. Phys. 105, 9982)。固体では、遮蔽されていない厳密な交換の長い距離の部分が金属の Fermi 面での速さを対数的に発散させ(第5部第1章)、平面波の計算も重くするので、交換の相互作用を短い距離と長い距離に分け、短い距離の部分だけを混ぜる HSE 型が使われる(J. Heyd, G. E. Scuseria and M. Ernzerhof (2003), J. Chem. Phys. 118, 8207)。厳密な交換は電子が自分自身と反発する分を正確に打ち消すので、混成汎関数は半導体のギャップを LDA・GGA より大きく、実験に近く出す。その代わり、軌道の組ごとの積分が要るので計算の重さは1桁以上増える。

LDA・GGA・混成と進む列は、上の段ほど多くの情報(密度、勾配、軌道)を使う。どの段も、小さいパラメータの極限として導かれたものでなく、一様電子気体などの厳密に分かる場合と厳密条件に合わせて作った形で、近似の型は C 型(閉じる)である。段を上がると多くの系で誤差が減るが、「どの系でもどれだけ誤差が減るか」という保証は無い。

ほかの巻では

  • 近似の数理 第6章:局所密度近似の祖先にあたる Thomas–Fermi 理論が、原子番号の大きい極限で厳密になることが読める

木下の勉強ステータス

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