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2026年10月15日20分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第5章 半導体
目次
  1. 平衡の pn 接合: が平らになる
  2. Einstein の関係
  3. 空乏層:Poisson 方程式
  4. 電圧をかけた接合:擬 Fermi 準位と少数キャリアの注入
  5. 整流:Shockley の式
  6. 光起電力
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第5章 §4.5.4 ★★★ p 型と n 型をつなぐと、平衡で μ\mu が平らになるためにバンドが eVbi=kBTln⁡(NAND/ni2)eV_{\mathrm{bi}}= k_{\mathrm B} T\ln(N_{\mathrm A}N_{\mathrm D}/n_{\mathrm i}^2) だけ曲がり、境目に空乏層ができる。電圧をかけると障壁の高さが変わり、少数キャリアの注入が eeV/(kBT)\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)} 倍になって整流が起きる

平衡の pn 接合:μ\mu が平らになる

同じ結晶の中で、x<0x<0 をアクセプター(密度 NAN_{\mathrm A})で p 型に、x>0x>0 をドナー(密度 NDN_{\mathrm D})で n 型にした接合を考える。不純物は室温で全部イオン化しているとする。離れた2つの結晶では、n 型の μ\mu は伝導帯の近くに、p 型の μ\mu は価電子帯の近くにある。つなぐと、μ\mu の高い n 側から μ\mu の低い p 側へ電子が流れ込み、正孔は逆向きに流れ込む。流れ込んだ電子と正孔は境目の近くで出会って消え(再結合し)、境目の n 側にはイオン化したドナーの正の電荷が、p 側にはイオン化したアクセプターの負の電荷が、キャリアに打ち消されずに残る。この電荷の作る静電ポテンシャル ϕ(x)\phi(x) が、n 側の電子のエネルギーを −eϕ-e\phi だけ下げ、それ以上の流れ込みは止まる。平衡では、電子の化学ポテンシャル(電気化学ポテンシャル)が結晶全体で一定でなければならない。一定でなければ、μ\mu の高い所から低い所へ電子が流れ続けるからである。バンドの端は εc(x)=εc(0)−eϕ(x)\varepsilon _{\mathrm c}(x)=\varepsilon _{\mathrm c}^{(0)}-e\phi(x) と静電ポテンシャルに沿って曲がり、μ\mu は平らなまま残る(図 4.5.2)。

両側の深い所で ϕ\phi の差 Vbi=ϕ(+∞)−ϕ(−∞)V_{\mathrm{bi}}=\phi(+\infty)-\phi(-\infty) を内蔵電位と呼ぶ。それぞれの側の μ\mu の位置を真性の μi\mu_{\mathrm i} から測ると、式 (4.5.9) と nin_{\mathrm i} の式からn 側で μ−μi=kBTln⁡(ND/ni)\mu-\mu_{\mathrm i}= k_{\mathrm B} T\ln(N_{\mathrm D}/n_{\mathrm i})、p 側で μi−μ=kBTln⁡(NA/ni)\mu_{\mathrm i}-\mu= k_{\mathrm B} T\ln(N_{\mathrm A}/n_{\mathrm i}) である。μ\mu が平らになるには、バンド全体が両者の和だけずれればよいので

eVbi=kBTln⁡NANDni2=Eg−(εc−μ)n−(μ−εv)p(4.5.16)eV_{\mathrm{bi}}= k_{\mathrm B} T\ln\frac{N_{\mathrm A}N_{\mathrm D}}{n_{\mathrm i}^2}=E_{\mathrm g}-(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu)_{\mathrm n}-(\mu-\varepsilon _{\mathrm v})_{\mathrm p}\tag{4.5.16}

になる。2つめの形は、ギャップから両側の「μ\mu とバンドの端の隙間」を引いたもので、eVbieV_{\mathrm{bi}} は EgE_{\mathrm g} を超えない。

Einstein の関係

μ\mu が平らであることを電流の言葉で言い直しておく。キャリアは電場で流され(ドリフト)、密度の勾配で拡散する。電子の電流密度は

Jn=enμeE+eDndndx,Jp=epμhE−eDpdpdx(4.5.17)J_n=en\mu_{\mathrm e}E+eD_n\frac{\mathrm{d} n}{\mathrm{d} x},\qquad J_p=ep\mu_{\mathrm h}E-eD_p\frac{\mathrm{d} p}{\mathrm{d} x}\tag{4.5.17}

と書ける(E=−dϕ/dxE=-\mathrm{d}\phi/\mathrm{d} x は電場、μe\mu_{\mathrm e}・μh\mu_{\mathrm h} は移動度、DnD_n・DpD_p は拡散係数。電子の拡散電流は、電子が密度の低い側へ流れ、電荷が負なので +eDn dn/dx+eD_n\,\mathrm{d} n/\mathrm{d} x になる)。これは Boltzmann 方程式の緩和時間近似(第4部第2章)で、外場と密度がゆっくり変わるときに出る形である。平衡では n(x)∝eeϕ(x)/(kBT)n(x)\propto\mathrm{e}^{e\phi(x)/( k_{\mathrm B} T)}(μ\mu が一定で εc(x)\varepsilon _{\mathrm c}(x) が −eϕ-e\phi だけずれるため)なので dn/dx=n (e/kBT) dϕ/dx=−n (e/kBT)E\mathrm{d} n/\mathrm{d} x=n\,(e/ k_{\mathrm B} T)\,\mathrm{d}\phi/\mathrm{d} x=-n\,(e/ k_{\mathrm B} T)E で、Jn=0J_n=0 には

Dn=kBTeμe,Dp=kBTeμh(4.5.18)D_n=\frac{ k_{\mathrm B} T}{e}\mu_{\mathrm e},\qquad D_p=\frac{ k_{\mathrm B} T}{e}\mu_{\mathrm h}\tag{4.5.18}

が要る。これがEinstein の関係である。空乏層の中では、ドリフト電流と拡散電流がそれぞれ大きいのに、ちょうど打ち消し合って Jn=0J_n=0 になっている。

空乏層:Poisson 方程式

境目の近くの幅 W=xn+xpW=x_{\mathrm n}+x_{\mathrm p} の層(−xp<x<xn-x_{\mathrm p}<x<x_{\mathrm n})ではキャリアがほとんどいなくなり、イオン化した不純物の電荷だけが残る。これを空乏層と呼ぶ。空乏層の中ではキャリアを完全に 00 とし、外では完全に中性とする(空乏近似。どれだけ良いかは4.5.5節)。Poisson 方程式は

d2ϕdx2=−ρ(x)ε0εr,ρ(x)={−eNA(−xp<x<0)+eND(0<x<xn)0(それ以外)(4.5.19)\frac{\mathrm{d}^2\phi}{\mathrm{d} x^2}=-\frac{\rho(x)}{\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}},\qquad \rho(x)=\begin{cases}-eN_{\mathrm A}&(-x_{\mathrm p}<x<0)\\ +eN_{\mathrm D}&(0<x<x_{\mathrm n})\\ 0&(\text{それ以外})\end{cases}\tag{4.5.19}

である。空乏層の外で電場が 00 という条件で積分すると、電場は三角形で、x=0x=0 で最大値

∣Emax∣=eNDxnε0εr=eNAxpε0εr\lvert E_{\mathrm{max}}\rvert =\frac{eN_{\mathrm D}x_{\mathrm n}}{\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}}=\frac{eN_{\mathrm A}x_{\mathrm p}}{\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}}

をとる。第2の等号は、電場が x=0x=0 で連続であること、言い換えると両側の電荷が等しいこと NAxp=NDxnN_{\mathrm A}x_{\mathrm p}=N_{\mathrm D}x_{\mathrm n} から出る。電位差は三角形の面積 ∣Emax∣W/2\lvert E_{\mathrm{max}}\rvert W/2 で、これが VbiV_{\mathrm{bi}} に等しい。以上を解くと

W=2ε0εr(Vbi−V)e NA+NDNAND,xn=NANA+NDW,xp=NDNA+NDW(4.5.20)W=\sqrt{\frac{2\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}(V_{\mathrm{bi}}-V)}{e}\,\frac{N_{\mathrm A}+N_{\mathrm D}}{N_{\mathrm A}N_{\mathrm D}}},\qquad x_{\mathrm n}=\frac{N_{\mathrm A}}{N_{\mathrm A}+N_{\mathrm D}}W,\qquad x_{\mathrm p}=\frac{N_{\mathrm D}}{N_{\mathrm A}+N_{\mathrm D}}W\tag{4.5.20}

を得る。外から p 側が正になる向きに電圧 VV(順方向)をかけると、障壁の電位差が Vbi−VV_{\mathrm{bi}}-V に減るので、ここに VV を含めて書いた。空乏層は密度の低い側に大きく広がる。NA≫NDN_{\mathrm A}\gg N_{\mathrm D} なら空乏層はほぼ全部が n 側にあり、W≈2ε0εr(Vbi−V)/(eND)W\approx\sqrt{2\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r}(V_{\mathrm{bi}}-V)/(eN_{\mathrm D})} になる。

図

図 4.5.2 Si の pn 接合のバンドの曲がり(NA=1017 cm−3N_{\mathrm A}=10^{17}\,\mathrm{cm^{-3}}、ND=1016 cm−3N_{\mathrm D}=10^{16}\,\mathrm{cm^{-3}}、ni=1010 cm−3n_{\mathrm i}=10^{10}\,\mathrm{cm^{-3}}、300 K300\,\mathrm K)。空乏近似 (4.5.19) の解で、縦の細線が空乏層の端 −xp-x_{\mathrm p} と xnx_{\mathrm n}。化学ポテンシャル μ\mu(破線)は平らで、バンドの端が eVbi=0.774 eVeV_{\mathrm{bi}}=0.774\,\mathrm{eV} だけ曲がる。空乏層は密度の低い n 側に大きく広がる。

例題 4.5.6 Si の pn 接合の空乏層 ★★★

オリジナルSi(εr=11.7\varepsilon_{\mathrm r}=11.7、300 K300\,\mathrm K で ni=1.0×1010 cm−3n_{\mathrm i}=1.0\times10^{10}\,\mathrm{cm^{-3}} とする)で、NA=1017 cm−3N_{\mathrm A}=10^{17}\,\mathrm{cm^{-3}}、ND=1016 cm−3N_{\mathrm D}=10^{16}\,\mathrm{cm^{-3}} の接合を作る。

  1. (1) 内蔵電位 VbiV_{\mathrm{bi}} を求めよ。
  2. (2) バイアスなしの空乏層の幅 WW、xnx_{\mathrm n}、xpx_{\mathrm p}、最大の電場 ∣Emax∣\lvert E_{\mathrm{max}}\rvert を求めよ。
  3. (3) 逆方向に 5 V5\,\mathrm V(V=−5 VV=-5\,\mathrm V)かけると WW はいくらになるか。
解答

(1) kBT/e=0.02585 Vk_{\mathrm B} T/e=0.02585\,\mathrm V、NAND/ni2=1013N_{\mathrm A}N_{\mathrm D}/n_{\mathrm i}^2=10^{13}、ln⁡1013=29.93\ln10^{13}=29.93 から Vbi=0.774 VV_{\mathrm{bi}}=0.774\,\mathrm V である。

(2) SI に直して NA=1023 m−3N_{\mathrm A}=10^{23}\,\mathrm{m^{-3}}、ND=1022 m−3N_{\mathrm D}=10^{22}\,\mathrm{m^{-3}} とし、式 (4.5.20) に入れるとW=2×8.854×10−12×11.7×0.774×1.1×1023/(1.602×10−19×1045)=3.32×10−7 m=0.332 μmW=\sqrt{2\times8.854\times10^{-12}\times11.7\times0.774\times1.1\times10^{23}/(1.602\times10^{-19}\times10^{45})}=3.32\times10^{-7}\,\mathrm m=0.332\,\mu\mathrm m である。xn=W×10/11=0.302 μmx_{\mathrm n}=W\times10/11=0.302\,\mu\mathrm m、xp=W/11=0.0302 μmx_{\mathrm p}=W/11=0.0302\,\mu\mathrm m で、空乏層の 91% が n 側にある。最大の電場は ∣Emax∣=eNDxn/(ε0εr)=4.66×106 V m−1\lvert E_{\mathrm{max}}\rvert =eN_{\mathrm D}x_{\mathrm n}/(\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm r})=4.66\times10^6\,\mathrm{V\,m^{-1}} で、∣Emax∣W/2=0.774 V\lvert E_{\mathrm{max}}\rvert W/2=0.774\,\mathrm V が VbiV_{\mathrm{bi}} に戻ることで検算することができる。厚さ 0.3 μm0.3\,\mu\mathrm m の層に 0.77 V0.77\,\mathrm V がかかるので、電場は 50 kV cm−150\,\mathrm{kV\,cm^{-1}} ほどの大きさになる。

(3) W∝Vbi−VW\propto\sqrt{V_{\mathrm{bi}}-V} なので W=0.332×5.774/0.774=0.906 μmW=0.332\times\sqrt{5.774/0.774}=0.906\,\mu\mathrm m である。逆バイアスは空乏層を広げる。

電圧をかけた接合:擬 Fermi 準位と少数キャリアの注入

順方向に VV をかけると、電圧は抵抗の大きい空乏層にほとんどかかり、障壁の高さが e(Vbi−V)e(V_{\mathrm{bi}}-V) に下がる。系はもう平衡でなく、電子と正孔を1つの μ\mu で書くことはできない。そこで、電子と正孔が別々にそれぞれのバンドの中で速く平衡に達し(バンド内の緩和は再結合よりはるかに速い)、それぞれの化学ポテンシャル μn\mu_n・μp\mu_p を持つとみなす。これを擬 Fermi 準位と呼ぶ。このとき n=Nce−β(εc−μn)n=N_{\mathrm c}\mathrm{e}^{-\beta(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu_n)}、p=Nve−β(μp−εv)p=N_{\mathrm v}\mathrm{e}^{-\beta(\mu_p-\varepsilon _{\mathrm v})} で、積は

np=ni2 e(μn−μp)/(kBT)(4.5.21)np=n_{\mathrm i}^2\,\mathrm{e}^{(\mu_n-\mu_p)/( k_{\mathrm B} T)}\tag{4.5.21}

になる。μn−μp\mu_n-\mu_p は、両端の電極の間の電子の化学ポテンシャルの差、すなわち eVeV である。空乏層は薄く、そこを横切る間に再結合はほとんど起きないので、μn\mu_n と μp\mu_p はそれぞれ空乏層の中で一定とみなすことができる。すると空乏層の n 側の端 x=xnx=x_{\mathrm n} では n≈NDn\approx N_{\mathrm D} のまま、正孔の密度が

p(xn)=ni2NDeeV/(kBT)=pn0 eeV/(kBT)(4.5.22)p(x_{\mathrm n})=\frac{n_{\mathrm i}^2}{N_{\mathrm D}}\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)}=p_{\mathrm n0}\,\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)}\tag{4.5.22}

に上がる(pn0=ni2/NDp_{\mathrm n0}=n_{\mathrm i}^2/N_{\mathrm D} は n 側の平衡の正孔の密度)。障壁が eVeV だけ下がったので、Boltzmann 因子の分だけ多くの正孔が p 側から n 側へ越えてくる、と読むことができる。これを少数キャリアの注入と呼ぶ。この式は、注入された pp が多数キャリア NDN_{\mathrm D} に比べて小さい(低注入)ことを使っている。

整流:Shockley の式

n 側に注入された正孔は、空乏層の外の電場の無い領域を拡散しながら、寿命 τp\tau_p で電子と再結合して消える。過剰な正孔 δp=p−pn0\delta p=p-p_{\mathrm n0} の定常の連続の式は

Dpd2δpdx2=δpτpD_p\frac{\mathrm{d}^2\delta p}{\mathrm{d} x^2}=\frac{\delta p}{\tau_p}

で、x→∞x\to\infty で 00 になる解は δp(x)=δp(xn) e−(x−xn)/Lp\delta p(x)=\delta p(x_{\mathrm n})\,\mathrm{e}^{-(x-x_{\mathrm n})/L_p}、Lp=DpτpL_p=\sqrt{D_p\tau_p} である。LpL_p を拡散長と呼ぶ。空乏層の端での正孔の拡散電流は Jp=−eDp dδp/dx=eDp δp(xn)/LpJ_p=-eD_p\,\mathrm{d}\delta p/\mathrm{d} x=eD_p\,\delta p(x_{\mathrm n})/L_p で、式 (4.5.22) を入れると Jp=eDppn0Lp(eeV/(kBT)−1)J_p=\frac{eD_pp_{\mathrm n0}}{L_p}(\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)}-1) になる。p 側に注入される電子についても同じ計算をし、空乏層の中では再結合が無いので2つの電流をそのまま足すと、

J=Js(eeV/(kBT)−1),Js=eni2(DpLpND+DnLnNA)(4.5.23)J=J_{\mathrm s}\bigl(\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)}-1\bigr),\qquad J_{\mathrm s}=en_{\mathrm i}^2\Bigl(\frac{D_p}{L_pN_{\mathrm D}}+\frac{D_n}{L_nN_{\mathrm A}}\Bigr)\tag{4.5.23}

を得る。これが Shockley の式である(W. Shockley (1949), Bell Syst. Tech. J. 28, 435)。

順方向(V>0V>0)では電流が eeV/(kBT)\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)} で増え、逆方向(V<0V<0)では −Js-J_{\mathrm s} で頭打ちになる。この非対称が整流である。非対称の理由は、電流を運ぶのが少数キャリアであることにある。順方向では障壁が下がり、向こう側の多数キャリアが少数キャリアとして大量に注入される。逆方向では障壁が上がり、流れるのは自分の側にもともといる少数キャリア(pn0p_{\mathrm n0} と np0n_{\mathrm p0})が空乏層の端に拡散してきて電場に掃き出される分だけで、その数は ni2n_{\mathrm i}^2 に比例してごくわずかである。Js∝ni2∝e−Eg/(kBT)J_{\mathrm s}\propto n_{\mathrm i}^2\propto\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/( k_{\mathrm B} T)} なので、逆方向の漏れ電流はギャップの大きい材料ほど小さく、温度とともに急に増える。

光起電力

接合にギャップより大きいエネルギーの光を当てると、電子と正孔の対ができる。空乏層とその両側の拡散長の範囲でできた少数キャリアは、空乏層の電場に掃き出され、電子は n 側へ、正孔は p 側へ集まる。これは逆方向の電流で、光の強さに比例する。その電流密度を JLJ_{\mathrm L} とすると、接合の電流は

J=Js(eeV/(kBT)−1)−JL(4.5.24)J=J_{\mathrm s}\bigl(\mathrm{e}^{eV/( k_{\mathrm B} T)}-1\bigr)-J_{\mathrm L}\tag{4.5.24}

になる。端子を開いて J=0J=0 にすると、n 側に電子が、p 側に正孔がたまり、順方向の電圧

Voc=kBTeln⁡(1+JLJs)(4.5.25)V_{\mathrm{oc}}=\frac{ k_{\mathrm B} T}{e}\ln\Bigl(1+\frac{J_{\mathrm L}}{J_{\mathrm s}}\Bigr)\tag{4.5.25}

が現れる(開放電圧)。これが光起電力で、太陽電池はこの接合に負荷をつないで電力を取り出す。V>0V>0 かつ J<0J<0 の範囲(図 4.5.3 の第4象限)では、接合が外へ電力 −JV>0-JV>0 を出している。VocV_{\mathrm{oc}} は JLJ_{\mathrm L} の対数でしか増えないが、JsJ_{\mathrm s} を小さくすれば上がる。Js∝e−Eg/(kBT)J_{\mathrm s}\propto\mathrm{e}^{-E_{\mathrm g}/( k_{\mathrm B} T)} なので、eVoceV_{\mathrm{oc}} はギャップに近づこうとし、EgE_{\mathrm g} を超えることはない。

図

図 4.5.3 Shockley の式 (4.5.23)・(4.5.24) の電流と電圧の関係(例題 4.5.7 の値、Js=5.78×10−12 A cm−2J_{\mathrm s}=5.78\times10^{-12}\,\mathrm{A\,cm^{-2}})。暗いときは原点を通る整流の曲線で、光電流 JL=30 mA cm−2J_{\mathrm L}=30\,\mathrm{mA\,cm^{-2}} を加えると曲線がそのまま下にずれ、第4象限で電力を出す。

例題 4.5.7 Si のダイオードと太陽電池 ★★★

オリジナル例題 4.5.6 の接合で、n 側の正孔の拡散係数と寿命を Dp=10 cm2 s−1D_p=10\,\mathrm{cm^2\,s^{-1}}、τp=1 μs\tau_p=1\,\mu\mathrm s、p 側の電子を Dn=20 cm2 s−1D_n=20\,\mathrm{cm^2\,s^{-1}}、τn=1 μs\tau_n=1\,\mu\mathrm s とする。

  1. (1) 拡散長 LpL_p・LnL_n と飽和電流密度 JsJ_{\mathrm s} を求めよ。電流のうち正孔が運ぶ割合はいくらか。
  2. (2) V=+0.6 VV=+0.6\,\mathrm V と V=−0.6 VV=-0.6\,\mathrm V の電流密度の比を求めよ。
  3. (3) 光電流 JL=30 mA cm−2J_{\mathrm L}=30\,\mathrm{mA\,cm^{-2}} のときの開放電圧 VocV_{\mathrm{oc}} と、取り出せる電力が最大になる電圧 VmV_{\mathrm m}、そのときの電力密度、曲線因子 VmJ(Vm)/(VocJL)V_{\mathrm m}J(V_{\mathrm m})/(V_{\mathrm{oc}}J_{\mathrm L}) を求めよ。
解答

(1) Lp=10×10−6 cm=31.6 μmL_p=\sqrt{10\times10^{-6}}\,\mathrm{cm}=31.6\,\mu\mathrm m、Ln=20×10−6 cm=44.7 μmL_n=\sqrt{20\times10^{-6}}\,\mathrm{cm}=44.7\,\mu\mathrm m である。括弧の中は Dp/(LpND)=10/(3.16×10−3×1016)=3.16×10−13 cm4 s−1D_p/(L_pN_{\mathrm D})=10/(3.16\times10^{-3}\times10^{16})=3.16\times10^{-13}\,\mathrm{cm^4\,s^{-1}}、Dn/(LnNA)=20/(4.47×10−3×1017)=4.47×10−14 cm4 s−1D_n/(L_nN_{\mathrm A})=20/(4.47\times10^{-3}\times10^{17})=4.47\times10^{-14}\,\mathrm{cm^4\,s^{-1}} で、Js=1.602×10−19×1020×3.61×10−13=5.78×10−12 A cm−2J_{\mathrm s}=1.602\times10^{-19}\times10^{20}\times3.61\times10^{-13}=5.78\times10^{-12}\,\mathrm{A\,cm^{-2}} である。正孔の割合は 3.16/3.61=0.8763.16/3.61=0.876 で、密度の低い n 側へ注入される少数キャリア(正孔)が電流の大部分を運ぶ。

(2) 順方向は Js(e0.6/0.02585−1)=5.78×10−12×1.20×1010=0.0695 A cm−2J_{\mathrm s}(\mathrm{e}^{0.6/0.02585}-1)=5.78\times10^{-12}\times1.20\times10^{10}=0.0695\,\mathrm{A\,cm^{-2}}、逆方向は −Js(1−e−23.2)≈−Js-J_{\mathrm s}(1-\mathrm{e}^{-23.2})\approx-J_{\mathrm s} で、大きさの比は 1.20×10101.20\times10^{10} である。

(3) Voc=0.02585×ln⁡(1+0.030/5.78×10−12)=0.02585×22.37=0.578 VV_{\mathrm{oc}}=0.02585\times\ln(1+0.030/5.78\times10^{-12})=0.02585\times22.37=0.578\,\mathrm V である。取り出す電力 P(V)=V[JL−Js(eβeV−1)]P(V)=V[J_{\mathrm L}-J_{\mathrm s}(\mathrm{e}^{\beta eV}-1)] を VV で微分して 00 とおくと JL+Js=JseβeVm(1+βeVm)J_{\mathrm L}+J_{\mathrm s}=J_{\mathrm s}\mathrm{e}^{\beta eV_{\mathrm m}}(1+\beta eV_{\mathrm m}) で、これを数値で解くと Vm=0.500 VV_{\mathrm m}=0.500\,\mathrm V、そこでの電流密度は 28.5 mA cm−228.5\,\mathrm{mA\,cm^{-2}}、電力密度は 14.3 mW cm−214.3\,\mathrm{mW\,cm^{-2}}、曲線因子は 0.8230.823 である。VocV_{\mathrm{oc}} はギャップ 1.12 eV1.12\,\mathrm{eV} の約半分にとどまる。JLJ_{\mathrm L} を10倍にしても VocV_{\mathrm{oc}} は (kBT/e)ln⁡10=59.5 mV( k_{\mathrm B} T/e)\ln10=59.5\,\mathrm{mV} しか上がらない。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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