実験計画法 第1章 §1.5
1.1 実験計画法とは
1.1-1 反復は、同じ処理を2回以上行うことで、誤差分散 σ2 をデータから推定できるようにし(誤差の自由度を正にする)、平均の分散を σ2/r に下げる。無作為化は、処理の割り付けや順序を乱数で決めることで、未知の系統的な影響を処理の効果と交絡させず、偏りでなく偶然の誤差として扱えるようにする(誤差の独立性の仮定を手続きで保証する)。局所管理は、条件のそろったブロックの中で処理を比べることで、ブロック間の変動を比較から除き、誤差分散を小さくする。
1.1-2 (a) 2つの順序の偏りは次のとおり。
- 順序 A1A1A2A2:前の水準の枠は1, 2、後の水準の枠は3, 4 である。偏りは
δ{(1+2)/2−(3+4)/2}=δ(1.5−3.5)=−2δ.
- 順序 A1A2A2A1:A1 の枠は1, 4、もう一方の枠は2, 3 である。偏りは
δ{(1+4)/2−(2+3)/2}=0.
(b) A1 に選んだ枠の組と、そのときの差 uˉS−uˉSc を並べる(単位はデルタ)。
{1,2}:−2,{1,3}:−1,{1,4}:0,{2,3}:0,{2,4}:1,{3,4}:2
期待値と分散(2乗の平均)は次のようになる。
期待値分散=(−2−1+0+0+1+2)/6=0,=(4+1+0+0+1+4)/6⋅δ2=610δ2=35δ2.
補題 1.2 では N=4、n=2 で、平均とばらつきは次のとおり。
uˉ=2.5δ,su2=δ2{(1.52+0.52+0.52+1.52)/4}=45δ2
よって
V[uˉS]V[uˉS−uˉSc]=32⋅25δ2/4=125δ2,=4×125δ2=35δ2((1.4) を使った)
で、書き出した結果と一致する。
1.1-3 2つの計画の差の分散は次のとおり。
完全無作為化:ブロックを設ける:V[xˉ1−xˉ2]=2(σ2+σR2)/r=2×16/5=6.4,V[xˉ1−xˉ2]=2σ2/r=2×4/5=1.6.
完全無作為化で 2×16/r′≤1.6 とするには r′≥32/1.6=20 が必要である。各処理20回以上(ブロックを設けた計画の4倍)である。
1.1-4 半幅は 1.9602×4/r=1.9608/r である。これが1以下となる条件は
r8≤1.96021,すなわちr≥8×1.9602=8×3.8416=30.73.
r は整数なので最小値は r=31。
1.1-5 2つの水準に割り付けた枠の平均は次のとおり。
A1(枠1, 4)A2(枠2, 3): δ(1+16)/2=8.5δ,: δ(4+9)/2=6.5δ.
よって偏りは 2δ である。一次の傾向 uk=δk では、枠の番号の平均がどちらも2.5でそろうので偏りが消える。二次の傾向では枠の番号の2乗の平均がそろわない(8.5と6.5)ので偏りが残る。順序 A1A2A2A1 は傾向の形を一次と仮定した対策であり、形が分からないときは無作為化で偏りを期待値0にする必要がある。
1.2 検定と推定の復習
1.2-1 有意水準 α は、帰無仮説 H0 が正しいときにそれを棄却してしまう確率の上限である。検出力は、対立仮説 H1 が正しいときに H0 を正しく棄却する確率である。「有意でない」は、観測された差が誤差の範囲を超えると言える証拠が無かったことを示すだけで、効果が小さい場合や繰返しが少なく検出力が低い場合にも起こる。H0 が正しい確率を評価しているわけではないので、効果が0だと結論することはできない。
1.2-2 Z を標準正規変数、W∼χϕ2 をそれと独立なカイ二乗変数とする。T∼tϕ は次のように書ける。
T=W/ϕZ,T2=W/ϕZ2=W/ϕZ2/1
分子の Z2 は、定義から1個の標準正規の2乗なので自由度1のカイ二乗分布に従う。分子と分母は独立だから、F 分布の定義より T2∼F1,ϕ。
c=tϕ(α/2)>0 とおく。t 分布の対称性から
P(T2≥c2)=P(T≥c)+P(T≤−c)=α/2+α/2=α.
したがって c2 は F1,ϕ の上側の点で、次が成り立つ。
F1,ϕ(α)=tϕ(α/2)2
1.2-3 平均・偏差平方和・分散を順に求める。
xˉ1S1V=38/4=9.5,=2.25+0.25+0.25+2.25=5,=10/6=1.667,xˉ2S22V/4=50/4=12.5,=0.25+2.25+0.25+2.25=5,=0.8333=0.9129.
検定統計量は t0=(9.5−12.5)/0.9129=−3.286 である。∣t0∣≥t6(0.025)=2.447 なので有意水準5%で H0 を棄却する。μ2−μ1 の95%信頼区間は次のとおり。
3±2.447×0.9129=3±2.234,すなわち0.766≤μ2−μ1≤5.234
分散分析では次のようになる。
SAVe=r(xˉ1−xˉ2)2/2=4×9/2=18,=10/6=1.667,SeF0=S1+S2=10,=18/1.667=10.8.
t02=3.2862=10.8 で一致する(正確には t02=9/(5/6)=10.8)。
1.2-4 自由度は ϕ=9、検定統計量は χ02=S/σ02=18 である。両側検定の棄却域は次のとおり。
χ02≤χ92(0.975)=2.700またはχ02≥χ92(0.025)=19.02
18はどちらにも入らないので、有意水準5%で H0 は棄却されない。信頼区間は (1.5) より
18/19.02≤σ2≤18/2.700,すなわち0.946≤σ2≤6.67
で、1を含む(検定の結論と整合する)。
1.2-5 W=S/σ2∼χn−12 なので、次が成り立つ。
E[W]=n−1,V[W]=2(n−1)
V=σ2W/(n−1) だから
E[V]V[V]=n−1σ2(n−1)=σ2,=(n−1)2σ4⋅2(n−1)=n−12σ4.
1.3 この解説の使い方
1.3-1 データ数は N=6 である。合計・平均・修正項は次のとおり。
T1⋅=10,T2⋅=16,T3⋅=4,T=30,xˉ1⋅=5,xˉ2⋅=8,xˉ3⋅=2,xˉˉ=30/6=5,CT=302/6=150.
1.3-2 自由度から水準数と繰返し数を出し、表を埋める。
ϕAϕeVeSA=a−1=2=a(r−1)=3(r−1)=9=Se/ϕe=18/9=2,=ϕAVA=24,VAST⟹ a=3,⟹ r=4,=F0Ve=12,=SA+Se=42(ϕT=11).
F0=6.0 は5%点4.26以上で、1%点8.02未満である。よって有意水準5%で有意(6.0∗)、1%では有意でない。
1.3-3 期待平均平方は E(VA)=σ2+rσA2、E(Ve)=σ2 である。よって E(VA−Ve)=rσA2 となり、
σ^A2=rVA−Ve
は σA2 の不偏推定量である。確認テスト 1.3-2 では (12−2)/4=2.5。
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