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2水準系直交配列表実験とは

2026年10月15日16分で読めますAI生成教科書『資格試験』第8章 2水準系直交配列表実験
目次
  1. の形
  2. 「直交」の2つの意味
  3. 列平方和と総平方和の分解
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第8章 §8.1 ★★★ 「どの2列をとっても水準の組合せが同じ回数ずつ現れる」ことから、平方和が列ごとに分解できる

第5章の2元配置法と第7章の多元配置法では、因子の水準の組合せをすべて実験した。2水準の因子が7つあれば、組合せは 27=1282^7=128 通りになる。実際の工程の改善では、因子は多いが、効果があるのは主効果と一部の2因子交互作用だけだろうと見込めることが多い。

そこで、組合せの一部だけを選んで実験し、それでも主効果と必要な交互作用を互いに混ざらない形で推定できるように組合せを選ぶ。その選び方を表にしたものが直交配列表(直交表)である。

この章では、2水準の直交配列表 L8(27)L_8(2^7) と L16(215)L_{16}(2^{15}) を道具として作る。節の流れは次のとおりである。

  1. 表の「直交」が何を意味し、なぜ総平方和が列ごとの平方和にきれいに分かれるのかを証明する(§8.1)。
  2. 交互作用がどの列に現れるかを決める規則を導き、それを使って因子を列に割り付ける手順を述べる(§8.2)。
  3. データの構造式を列の符号の線形モデルとして書き直し、列平方和の分布、期待平均平方、プーリング、最適条件での母平均の点推定と区間推定(有効反復数)までを導く(§8.3)。
  4. 自作の数値例で、分散分析表の作成から最適条件の予測区間までを一通り計算する(§8.4)。

1級の統計応用(理工学)では、実験計画法の大問は「割り付けを決める → 平方和と自由度を求める → 分散分析表を作る →最適条件を決めて母平均を推定する → 有効反復数を使って信頼区間を作る」という小問の連鎖になりやすい。この章の4つの節は、その連鎖の各段に対応している。

L8(27)L_8(2^7) の形

表 8.1 が2水準系で最も小さい実用的な直交配列表 L8(27)L_8(2^7) である。記号 L8(27)L_8(2^7) は「8行(8回の実験)で、2水準の列が7本ある」ことを表す。各行が1回の実験、各列が1つの因子(または交互作用、または誤差)に対応し、表の中の 1, 2 はその実験で使う水準の番号である。

表の下の段に書いた a,b,ab,c,…a,b,ab,c,\dots を成分記号と呼ぶ。成分記号の意味は §8.2 で説明する。

表 8.1 直交配列表 L8(27)L_8(2^7)。最下段は成分記号
実験 No.[1][2][3][4][5][6][7]
11111111
21112222
31221122
41222211
52121212
62122121
72211221
82212112
成分aabbababccacacbcbcabcabc

この表には2つの性質がある。第一に、どの列も水準1と水準2をちょうど4回ずつ含む。第二に、どの2列を取り出しても、水準の組 (1,1),(1,2),(2,1),(2,2)(1,1),(1,2),(2,1),(2,2) がちょうど2回ずつ現れる。たとえば列[1]と列[4]の組は、実験 No. 1〜8 の順に (1,1),(1,2),(1,1),(1,2),(2,1),(2,2),(2,1),(2,2)(1,1),(1,2),(1,1),(1,2),(2,1),(2,2),(2,1),(2,2) で、4種類が2回ずつである。

定義 8.1(2水準の直交配列表)

NN 行 mm 列で、各成分が 1 か 2 の表を考える。この表が次の2条件を満たすとき、2水準の直交配列表と呼び LN(2m)L_N(2^m) と書く。

  1. どの列でも、水準1と水準2がそれぞれ N/2N/2 回現れる。
  2. どの2列をとっても、4種類の水準の組 (1,1),(1,2),(2,1),(2,2)(1,1),(1,2),(2,1),(2,2) がそれぞれ N/4N/4 回現れる。

2水準系で標準的に使うのは N=2p, m=N−1N=2^p,\ m=N-1 の表で、具体的には L4(23),L8(27),L16(215),L32(231)L_4(2^3),L_8(2^7),L_{16}(2^{15}),L_{32}(2^{31}) である。

1本の列が表す因子の自由度は、2水準なので 1 である。LN(2N−1)L_N(2^{N-1}) の列の自由度の合計は N−1N-1 である。これは、データ全体の総平方和の自由度に等しい。この一致が、次に示す平方和の分解の背景になっている。

「直交」の2つの意味

表の「直交」という語には、組合せの釣り合いとしての意味と、ベクトルの直交としての意味の2つがあり、両者は同値である。それを示すために、水準を符号に置き換える。

定義 8.2(列の符号ベクトル)

列[kk]の第 rr 行の水準を、次の符号に置き換える。

urk={+1(水準1),−1(水準2).u_{rk}=\begin{cases}+1&(\text{水準1}),\\-1&(\text{水準2}).\end{cases}

ベクトル uk=(u1k,…,uNk)⊤\bm u_k=(u_{1k},\dots,u_{Nk})^\top を、その列の符号ベクトルと呼ぶ。また 1=(1,…,1)⊤\bm 1=(1,\dots,1)^\top と書く。

命題 8.3(釣り合いと直交の同値)

各列が水準1と水準2を半数ずつ含むとする(すなわち 1⊤uk=0\bm 1^\top\bm u_k=0)。このとき2つの列[jj]・[kk]について、次の2つは同値である。

  1. 水準の組 (1,1),(1,2),(2,1),(2,2)(1,1),(1,2),(2,1),(2,2) がそれぞれ N/4N/4 回現れる。
  2. 符号ベクトルが直交する。すなわち uj⊤uk=0\bm u_j^\top\bm u_k=0。
証明

組 (1,1),(1,2),(2,1),(2,2)(1,1),(1,2),(2,1),(2,2) の出現回数を n11,n12,n21,n22n_{11},n_{12},n_{21},n_{22} とする。符号の積 urjurku_{rj}u_{rk} は次のようになる。

  • 組が (1,1),(2,2)(1,1),(2,2) のどちらかなら +1+1。
  • 組が (1,2),(2,1)(1,2),(2,1) のどちらかなら −1-1。

したがって

uj⊤uk=n11+n22−n12−n21.\bm u_j^\top\bm u_k=n_{11}+n_{22}-n_{12}-n_{21}.

各列が水準1を N/2N/2 回含むことから

n11+n12=N2,n11+n21=N2,n11+n12+n21+n22=Nn_{11}+n_{12}=\frac N2,\qquad n_{11}+n_{21}=\frac N2,\qquad n_{11}+n_{12}+n_{21}+n_{22}=N

が成り立つ。これらから他の回数を n11n_{11} で表す。

n12=n21=N2−n11(最初の2式)n22=N−n11−2(N2−n11)=n11(第3式)\begin{aligned}n_{12}&=n_{21}=\frac N2-n_{11}&&\text{(最初の2式)}\\ n_{22}&=N-n_{11}-2\Bigl(\frac N2-n_{11}\Bigr)=n_{11}&&\text{(第3式)}\end{aligned}

これらを代入すると

uj⊤uk=2n11−2(N2−n11)=4n11−N.\bm u_j^\top\bm u_k=2n_{11}-2\Bigl(\frac N2-n_{11}\Bigr)=4n_{11}-N .

したがって uj⊤uk=0\bm u_j^\top\bm u_k=0 と n11=N/4n_{11}=N/4 は同値である。そのとき他の3つの回数もすべて N/4N/4 になる。

この同値性から、LN(2N−1)L_N(2^{N-1}) の符号ベクトルすべてと 1\bm 1 を合わせたものは、互いに直交する。本数はちょうど NN なので、これらは RN\mathbb{R}^N の直交基底になる(長さはどれも等しい)。以後の平方和の分解と推定量の独立性は、すべてこの事実から導かれる。

組合せの釣り合いが推定で何をするか

列[1]に因子 AA、列[2]に因子 BB を置いたとする。AA が水準1の4回の実験では、BB の水準1と水準2が2回ずつ含まれる。AA が水準2の4回でも同じである。

したがって「A1A_1 の平均 − A2A_2 の平均」を計算すると、もう一方の因子の効果は両方の平均に同じ重みで入る。そのため差を取ると打ち消し合う。ほかの列に置いた因子についても同じことが言える。この釣り合いによって、すべての組合せを実験しなくても主効果を互いに混ざらない形で推定することができる。

列平方和と総平方和の分解

データを x1,…,xNx_1,\dots,x_N とし、次の記号を使う。

T=∑rxr (総和),CT=T2N (修正項),ST=∑rxr2−CT (総平方和)T=\sum_r x_r\ (\text{総和}),\qquad CT=\frac{T^2}{N}\ (\text{修正項}),\qquad S_T=\sum_r x_r^2-CT\ (\text{総平方和})

列[kk]で水準1に当たるデータの和を Tk1T_{k1} とする。水準2に当たるデータの和を Tk2T_{k2} とする。

定義 8.4(列平方和)

列[kk]の列平方和を

S[k]=(Tk1−Tk2)2N(8.1)S_{[k]}=\frac{(T_{k1}-T_{k2})^2}{N}\tag{8.1}

で定める。自由度は 1 である。

この式は、列[kk]を2水準の1因子とみなしたときの1元配置の平方和と一致する。第2章で導いた1元配置の要因平方和は、各水準の繰返し数が nn のとき SA=∑iTi2/n−CTS_A=\sum_i T_{i}^2/n-CT であった。ここで n=N/2n=N/2 を代入すると

Tk12+Tk22N/2−(Tk1+Tk2)2N=2Tk12+2Tk22−Tk12−2Tk1Tk2−Tk22N=(Tk1−Tk2)2N\frac{T_{k1}^2+T_{k2}^2}{N/2}-\frac{(T_{k1}+T_{k2})^2}{N} =\frac{2T_{k1}^2+2T_{k2}^2-T_{k1}^2-2T_{k1}T_{k2}-T_{k2}^2}{N} =\frac{(T_{k1}-T_{k2})^2}{N}

となる。また Tk1−Tk2=uk⊤xT_{k1}-T_{k2}=\bm u_k^\top\bm x なので、S[k]=(uk⊤x)2/NS_{[k]}=(\bm u_k^\top\bm x)^2/N とも書ける。

定理 8.5(総平方和の列分解 ★★★)

LN(2N−1)L_N(2^{N-1}) で得たデータについて

ST=∑k=1N−1S[k].(8.2)S_T=\sum_{k=1}^{N-1}S_{[k]} .\tag{8.2}

証明

ベクトルを長さ1にそろえて

e0=1N,ek=ukN(k=1,…,N−1)\bm e_0=\frac{\bm 1}{\sqrt N},\qquad\bm e_k=\frac{\bm u_k}{\sqrt N}\quad(k=1,\dots,N-1)

とおく。命題 8.3 より、これらは RN\mathbb{R}^N の正規直交基底である。正規直交基底での展開については、Parseval の等式

∥x∥2=∑k=0N−1(ek⊤x)2\lVert \bm x\rVert ^2=\sum_{k=0}^{N-1}(\bm e_k^\top\bm x)^2

が成り立つ。各項は

(e0⊤x)2=T2N=CT,(ek⊤x)2=(uk⊤x)2N=S[k](\bm e_0^\top\bm x)^2=\frac{T^2}{N}=CT,\qquad(\bm e_k^\top\bm x)^2=\frac{(\bm u_k^\top\bm x)^2}{N}=S_{[k]}

なので

∑rxr2=CT+∑k=1N−1S[k],\sum_r x_r^2=CT+\sum_{k=1}^{N-1}S_{[k]} ,

すなわち ST=∑kS[k]S_T=\sum_{k}S_{[k]} を得る。

自由度も ϕT=N−1=∑k1\phi_T=N-1=\sum_k 1 と分解される。各要因の平方和は、次のように列平方和から読む。

  • 因子を列[kk]に置けば、その平方和は SA=S[k]S_A=S_{[k]} である。
  • 交互作用が列[jj]に現れるなら、その平方和は SA×B=S[j]S_{A\times B}=S_{[j]} である。
  • 何も割り付けなかった列の平方和を合計したものが、誤差平方和 SeS_e になる。

分散分析表は、この分解をそのまま並べたものである。

例題 8.1 L8L_8 での列平方和の計算と分解の確認 ★★

オリジナル3つの2水準因子 A,B,CA,B,C を、直交表の列[1]・[2]・[4]に割り付けた。実験 No. 1〜8 の順に

12, 14, 13, 17, 15, 19, 22, 2412,\ 14,\ 13,\ 17,\ 15,\ 19,\ 22,\ 24

を得た。

  1. 修正項 CTCT と総平方和 STS_T を求めよ。
  2. 7本の列平方和 S[1],…,S[7]S_{[1]},\dots,S_{[7]} を求め、その和が STS_T に一致することを確かめよ。
  3. この割り付けは 232^3 の全組合せを1回ずつ実験したものと同じであることを示せ。
解答

(1) 総和と2乗和は

T=12+14+13+17+15+19+22+24=136,CT=1362/8=2312,∑xr2=144+196+169+289+225+361+484+576=2444\begin{aligned}T&=12+14+13+17+15+19+22+24=136,\qquad CT=136^2/8=2312,\\ \textstyle\sum x_r^2&=144+196+169+289+225+361+484+576=2444\end{aligned}

なので ST=2444−2312=132S_T=2444-2312=132。

(2) 列[1]は No. 1〜4 が水準1、No. 5〜8 が水準2 なので

T11=12+14+13+17=56,T12=15+19+22+24=80,S[1]=(56−80)28=72T_{11}=12+14+13+17=56,\qquad T_{12}=15+19+22+24=80,\qquad S_{[1]}=\frac{(56-80)^2}{8}=72

である。同様に表 8.1 の水準を読んで和を取ると次のようになる。

列[1][2][3][4][5][6][7]
Tk1T_{k1}56607262686870
Tk2T_{k2}80766474686866
S[k]S_{[k]}7232818002

たとえば列[3]の水準1は No. 1,2,7,8 なので T31=12+14+22+24=72T_{31}=12+14+22+24=72、S[3]=(72−64)2/8=8S_{[3]}=(72-64)^2/8=8 である。合計は 72+32+8+18+0+0+2=132=ST72+32+8+18+0+0+2=132=S_T で、定理 8.5 のとおりに一致する。

(3) 列[1]・[2]・[4]の水準の組を No. 1〜8 の順に並べると

(1,1,1),(1,1,2),(1,2,1),(1,2,2),(2,1,1),(2,1,2),(2,2,1),(2,2,2)(1,1,1),(1,1,2),(1,2,1),(1,2,2),(2,1,1),(2,1,2),(2,2,1),(2,2,2)

で、8通りがちょうど1回ずつ現れる。したがってこの実験は、3因子の3元配置(繰返しなし)と同じである。残りの列が表す交互作用は次のとおりである(理由は §8.2 で示す)。

  • 列[3]は A×BA\times B、列[5]は A×CA\times C。
  • 列[6]は B×CB\times C、列[7]は A×B×CA\times B\times C。

落とし穴

直交配列表で直交しているのは「2列ずつ」である。3列を同時に見ると、すべての組合せがそろうとは限らない。たとえば列[1]・[2]・[3]の組は (1,1,1),(1,2,2),(2,1,2),(2,2,1)(1,1,1),(1,2,2),(2,1,2),(2,2,1) の4種類しか現れず、それぞれ2回ずつである。

列[3]が列[1]と列[2]から決まってしまうので、列[1]・[2]の交互作用と列[3]に置いた因子は区別できない。この現象が次節の主題である。

確認テスト

オリジナル

  1. 8.1-1 L16(215)L_{16}(2^{15}) の行数と列数を答えよ。各列の各水準は何回現れるか。任意の2列で各水準の組は何回現れるか。列平方和の自由度の合計はいくつか。
  2. 8.1-2 列平方和を、L8L_8 のデータ x1,…,x8x_1,\dots,x_8 の1元配置(2水準・繰返し4)の要因平方和として計算せよ。そして S[k]=(Tk1−Tk2)2/8S_{[k]}=(T_{k1}-T_{k2})^2/8 となることを示せ。さらに、平均 xˉk1=Tk1/4, xˉ=T/8\bar x_{k1}=T_{k1}/4,\ \bar x=T/8 を使って S[k]=8 (xˉk1−xˉ)2S_{[k]}=8\,(\bar x_{k1}-\bar x)^2 とも書けることを示せ。
  3. 8.1-3 L8(27)L_8(2^7) で実験 No. 1〜8 の順に 5,7,6,4,9,11,8,65,7,6,4,9,11,8,6 を得た。STS_T と7本の列平方和を求め、分解 (8.2) を確かめよ。
  4. 8.1-4 2水準の表で、各列が水準を N/2N/2 回ずつ含み、どの2列の符号ベクトルも直交しているとする。2つの列の水準の組 (1,2)(1,2) の出現回数が N/4N/4 であることを、命題 8.3 の記号を使って示せ。
  5. 8.1-5 L8L_8 の列[1]・[2]・[3]を見ると、3列の水準の組は4種類しか現れない。列[3]の符号ベクトルが列[1]と列[2]の符号ベクトルの成分ごとの積に等しいことを確かめ、これを使って理由を説明せよ。

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