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対称性と Bianchi 恒等式

2026年10月22日16分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第11章 曲率テンソル
目次
  1. 1点で接続を消す座標
  2. 4つの添字の対称性
  3. 第2 Bianchi 恒等式
  4. 独立な成分の数
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第11章 §11.2 ★★★ 4つの添字の対称性と2つの Bianchi 恒等式を示し、独立な成分の数 n2(n2−1)/12n^2(n^2-1)/12 を数える

1点で接続を消す座標

この節の証明では、1点で Γ=0\Gamma=0 になる座標を何度も使う。その存在を先に示す。

補題 11.5(1点で接続を消す座標)

対称な接続と点 pp に対して、その点で接続の成分がすべて 00 になる座標がある。

証明

接続の成分は座標の取り替え x→yx\to y で次のように変わる(第4章 §4.4)。

Γ′ρμν=∂yρ∂xλ∂xα∂yμ∂xβ∂yνΓλαβ−∂xα∂yμ∂xβ∂yν∂2yρ∂xα∂xβ.\Gamma'^\rho{}_{\mu\nu}=\frac{\partial y^\rho}{\partial x^\lambda}\frac{\partial x^\alpha}{\partial y^\mu}\frac{\partial x^\beta}{\partial y^\nu}\Gamma^\lambda{}_{\alpha\beta} -\frac{\partial x^\alpha}{\partial y^\mu}\frac{\partial x^\beta}{\partial y^\nu}\frac{\partial^2y^\rho}{\partial x^\alpha\partial x^\beta}.

新しい座標を yρ=(xρ−xpρ)+12Γραβ(p)(xα−xpα)(xβ−xpβ)y^\rho=(x^\rho-x^\rho_p)+\tfrac12\Gamma^\rho{}_{\alpha\beta}(p)(x^\alpha-x^\alpha_p)(x^\beta-x^\beta_p) と選ぶ。pp での1階微分は単位行列で、2階微分は Γραβ(p)\Gamma^\rho{}_{\alpha\beta}(p) である(下の添字の対称性を使う)。したがって pp で Γ′=Γ−Γ=0\Gamma'=\Gamma-\Gamma=0 である。

この座標は pp でしか接続を消さないので、接続の微分は一般に 00 にならない。その残った微分がちょうど曲率である。

4つの添字の対称性

最初の添字を計量で下げた Rρσμν=gρλRλσμνR_{\rho\sigma\mu\nu}=g_{\rho\lambda}R^\lambda{}_{\sigma\mu\nu} を使う。

定理 11.6(Riemann テンソルの対称性 ★★★)

Levi-Civita 接続の Riemann テンソルは次を満たす。

Rρσμν=−Rρσνμ,Rρσμν=−Rσρμν,Rρσμν+Rρμνσ+Rρνσμ=0(第1 Bianchi 恒等式),Rρσμν=Rμνρσ.\begin{align*}&R_{\rho\sigma\mu\nu}=-R_{\rho\sigma\nu\mu},\tag{11.9}\\&R_{\rho\sigma\mu\nu}=-R_{\sigma\rho\mu\nu},\tag{11.10}\\&R_{\rho\sigma\mu\nu}+R_{\rho\mu\nu\sigma}+R_{\rho\nu\sigma\mu}=0\quad(\text{第1 Bianchi 恒等式}),\tag{11.11}\\&R_{\rho\sigma\mu\nu}=R_{\mu\nu\rho\sigma}.\tag{11.12}\end{align*}

証明

(11.9) は定義 (11.3) の形そのものから従う(確認テスト 11.1-1)。

(11.10) には計量との両立 ∇g=0\nabla g=0 を使う。gρσg_{\rho\sigma} に交換子を作用させると左辺は 00 で、右辺は下の添字2つに (11.5) の項が付く。

0=[∇μ,∇ν]gρσ=−Rλρμνgλσ−Rλσμνgρλ=−Rσρμν−Rρσμν.0=[\nabla_\mu,\nabla_\nu]g_{\rho\sigma}=-R^\lambda{}_{\rho\mu\nu}g_{\lambda\sigma}-R^\lambda{}_{\sigma\mu\nu}g_{\rho\lambda}=-R_{\sigma\rho\mu\nu}-R_{\rho\sigma\mu\nu}.

(11.11) は補題 11.5 の座標で示す。pp では Γ=0\Gamma=0 なので、(11.3) の積の項が落ちて次の形になる。

Rρσμν(p)=∂μΓρνσ−∂νΓρμσ.R^\rho{}_{\sigma\mu\nu}(p)=\partial_\mu\Gamma^\rho{}_{\nu\sigma}-\partial_\nu\Gamma^\rho{}_{\mu\sigma}.

(σ,μ,ν)(\sigma,\mu,\nu) を巡回させて足すと、6項は次のように組になって消える。

(∂μΓρνσ−∂μΓρσν)+(∂νΓρσμ−∂νΓρμσ)+(∂σΓρμν−∂σΓρνμ)=0.(\partial_\mu\Gamma^\rho{}_{\nu\sigma}-\partial_\mu\Gamma^\rho{}_{\sigma\nu}) +(\partial_\nu\Gamma^\rho{}_{\sigma\mu}-\partial_\nu\Gamma^\rho{}_{\mu\sigma}) +(\partial_\sigma\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}-\partial_\sigma\Gamma^\rho{}_{\nu\mu})=0.

ここで下の添字の対称性を使った。テンソルの式なので、1つの座標で成り立てばすべての座標で成り立つ。添字を下げても式の形は変わらない。

(11.12) は上の3つから代数で導く。第1 Bianchi の左辺を CρσμνC_{\rho\sigma\mu\nu} と書き、次の組み合わせを作る。

Cρσμν+Cσρνμ−Cμνρσ−Cνμσρ.C_{\rho\sigma\mu\nu}+C_{\sigma\rho\nu\mu}-C_{\mu\nu\rho\sigma}-C_{\nu\mu\sigma\rho}.

12項を書き出し、(11.9)・(11.10) で添字を並べ替える。すると Rσρνμ=RρσμνR_{\sigma\rho\nu\mu}=R_{\rho\sigma\mu\nu} と Rνμσρ=RμνρσR_{\nu\mu\sigma\rho}=R_{\mu\nu\rho\sigma} が残り、ほかの8項は次の4組で打ち消し合う。

Rρμνσ=Rμρσν,Rρνσμ=Rνρμσ,Rσνμρ=Rνσρμ,Rσμρν=Rμσνρ.R_{\rho\mu\nu\sigma}=R_{\mu\rho\sigma\nu},\quad R_{\rho\nu\sigma\mu}=R_{\nu\rho\mu\sigma},\quad R_{\sigma\nu\mu\rho}=R_{\nu\sigma\rho\mu},\quad R_{\sigma\mu\rho\nu}=R_{\mu\sigma\nu\rho}.

組み合わせ全体は 2Rρσμν−2Rμνρσ2R_{\rho\sigma\mu\nu}-2R_{\mu\nu\rho\sigma} に等しい。C=0C=0 だから、これは 00 である。

対称性の読み方

RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} の後ろの組 (μν)(\mu\nu) は「どの向きの小さな面に沿って1周するか」を表し、(11.9) は周回の向きを逆にすると符号が変わることを言う。前の組 (ρσ)(\rho\sigma) は「ベクトルがどの面の中で回るか」を表す。(11.10) は、平行移動が長さを保つのでずれが回転(反対称な行列)になることの表れである。(11.12) は、周回する面と回転する面を入れ替えても係数が同じことを言う。

第2 Bianchi 恒等式

定理 11.7(第2 Bianchi 恒等式 ★★★)

対称な接続について

∇λRρσμν+∇μRρσνλ+∇νRρσλμ=0.(11.13)\nabla_\lambda R^\rho{}_{\sigma\mu\nu}+\nabla_\mu R^\rho{}_{\sigma\nu\lambda}+\nabla_\nu R^\rho{}_{\sigma\lambda\mu}=0 .\tag{11.13}

証明

補題 11.5 の座標で点 pp を見る。pp では Γ=0\Gamma=0 なので、共変微分は偏微分に等しい。さらに (11.3) の積の項 ΓΓ\Gamma\Gamma の微分は、積の微分の公式からどの項にも Γ(p)=0\Gamma(p)=0 が掛かるので消える。

したがって pp で ∇λRρσμν=∂λ∂μΓρνσ−∂λ∂νΓρμσ\nabla_\lambda R^\rho{}_{\sigma\mu\nu}=\partial_\lambda\partial_\mu\Gamma^\rho{}_{\nu\sigma}-\partial_\lambda\partial_\nu\Gamma^\rho{}_{\mu\sigma} である。(λ,μ,ν)(\lambda,\mu,\nu) を巡回させて足すと、6項は次のように組になる。

(∂λ∂μ−∂μ∂λ)Γρνσ+(∂μ∂ν−∂ν∂μ)Γρλσ+(∂ν∂λ−∂λ∂ν)Γρμσ=0.(\partial_\lambda\partial_\mu-\partial_\mu\partial_\lambda)\Gamma^\rho{}_{\nu\sigma} +(\partial_\mu\partial_\nu-\partial_\nu\partial_\mu)\Gamma^\rho{}_{\lambda\sigma} +(\partial_\nu\partial_\lambda-\partial_\lambda\partial_\nu)\Gamma^\rho{}_{\mu\sigma}=0.

偏微分は交換するので、どの組も 00 である。テンソルの式なので、すべての座標で成り立つ。

第2 Bianchi 恒等式は、電磁気の ∂λFμν+∂μFνλ+∂νFλμ=0\partial_\lambda F_{\mu\nu}+\partial_\mu F_{\nu\lambda}+\partial_\nu F_{\lambda\mu}=0 と同じ形をしている。これは偶然ではなく、どちらも「接続の曲率は恒等式を満たす」という同じ事実の現れである(第12章 §12.6・第15章 §15.4)。

独立な成分の数

命題 11.8(独立な成分の数 ★★)

nn 次元で、対称性 (11.9)〜(11.12) を満たす4階の配列の独立な成分の数は

Nn=n2(n2−1)12(11.14)N_n=\frac{n^2(n^2-1)}{12}\tag{11.14}

である。n=1,2,3,4n=1,2,3,4 で Nn=0,1,6,20N_n=0,1,6,20 になる。

証明

(11.9)・(11.10) から、RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} は反対称な組の対 ([ρσ],[μν])([\rho\sigma],[\mu\nu]) を添字とする行列とみなせる。反対称な組の数は M=n(n−1)/2M=n(n-1)/2 である。(11.12) からこの行列は対称なので、成分は M(M+1)/2M(M+1)/2 個である。

ここに第1 Bianchi 恒等式が新しい条件を足すのは、4つの添字がすべて異なるときだけである。添字が重なる場合を確かめる。σ=μ\sigma=\mu なら、(11.11) の左辺は次の形になる。

Rρσσν+Rρσνσ+Rρνσσ.R_{\rho\sigma\sigma\nu}+R_{\rho\sigma\nu\sigma}+R_{\rho\nu\sigma\sigma}.

(11.9) から第1項と第2項は打ち消し合い、第3項は 00 なので、条件は自動的に成り立つ。

ρ=σ\rho=\sigma なら第1項は (11.10) で 00 になる。残りは Rρμνρ+RρνρμR_{\rho\mu\nu\rho}+R_{\rho\nu\rho\mu} である。(11.12) と (11.9) から Rρνρμ=Rρμρν=−RρμνρR_{\rho\nu\rho\mu}=R_{\rho\mu\rho\nu}=-R_{\rho\mu\nu\rho} なので、これも自動的に 00 になる。ほかの重なり方も同じである。

4つの添字がすべて異なるとき、上の3つの対称性のもとで巡回和は4つの添字について完全反対称になる(確認テスト 11.2-4)。したがって相異なる4つの添字の組1つにつき条件は1つで、条件の数は (n4)\binom n4 である。

Nn=M(M+1)2−(n4)=n(n−1)4(n(n−1)2+1)−n(n−1)(n−2)(n−3)24=n2(n2−1)12.N_n=\frac{M(M+1)}{2}-\binom n4=\frac{n(n-1)}{4}\Bigl(\frac{n(n-1)}{2}+1\Bigr)-\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{24}=\frac{n^2(n^2-1)}{12}.

最後の等号は展開して整理すれば確かめられる。

表 11.1 Riemann テンソルの独立な成分の数。n=3n=3 で Ricci テンソル(§11.3)の成分の数と一致する。
次元 nn反対称な組 MMM(M+1)/2M(M+1)/2(n4)\binom n4NnN_nRicci の成分 n(n+1)/2n(n+1)/2
100001
211013
336066
462112010

表から読み取れることを並べる。

  • 1次元の曲線には内在的な曲率が無い。第6章の曲率 κ\kappa は、曲線が周りの空間の中でどう曲がるかを表す量である。
  • 2次元では成分が1つしかない。それが Gauss 曲率 KK に当たることを、次の例題で示す。
  • 3次元では Riemann の6成分が Ricci の6成分で決まる(§11.3 の命題 11.12)。
  • 4次元の時空では20成分のうち10個が Ricci で、残りの10個が Weyl テンソルになる。Einstein 方程式は Ricci を物質で決め、Weyl は物質の無い所の潮汐と重力波を担う(『相対論入門』第10章 §10.3・第13章 §13.3)。

例題 11.2 2次元では曲率は1つの数 ★★★

オリジナル2次元の計量 gμνg_{\mu\nu}(座標 x1,x2x^1,x^2)について、次を示せ。

  1. RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} の0でない成分は R1212=R2121=−R1221=−R2112R_{1212}=R_{2121}=-R_{1221}=-R_{2112} の4つだけである。
  2. K=R1212/det⁡gK=R_{1212}/\det g と置くと、Rρσμν=K(gρμgσν−gρνgσμ)R_{\rho\sigma\mu\nu}=K(g_{\rho\mu}g_{\sigma\nu}-g_{\rho\nu}g_{\sigma\mu}) が成り立つ。
  3. 半径 aa の球面で K=1/a2K=1/a^2 を確かめよ。
解答

(1) (11.10) から、ρ≠σ\rho\neq\sigma でなければ成分は 00 である。同じく (11.9) から μ≠ν\mu\neq\nu が要る。添字は1と2しかないので、前の組も後ろの組も (12)(12) か (21)(21) である。4通りの成分は、(11.9)・(11.10) で R1212R_{1212} に ±1\pm1 を掛けたものになる。

(2) 右辺を Tρσμν=K(gρμgσν−gρνgσμ)T_{\rho\sigma\mu\nu}=K(g_{\rho\mu}g_{\sigma\nu}-g_{\rho\nu}g_{\sigma\mu}) と書く。TT も (11.9)・(11.10) を満たすので、(1) と同じく全成分が T1212T_{1212} で決まる。その値は次のとおりで、R1212R_{1212} に一致する。

T1212=K(g11g22−g12g21)=Kdet⁡g=R1212.T_{1212}=K(g_{11}g_{22}-g_{12}g_{21})=K\det g=R_{1212}.

したがって R=TR=T である。

(3) (11.8) を下げると Rθφθφ=gθθRθφθφ=a2sin⁡2θR_{\theta\varphi\theta\varphi}=g_{\theta\theta}R^\theta{}_{\varphi\theta\varphi}=a^2\sin^2\theta である。det⁡g=a4sin⁡2θ\det g=a^4\sin^2\theta なので K=1/a2K=1/a^2 を得る。これは第8章 §8.3 の Gauss の方程式 R1212=K(EG−F2)R_{1212}=K(EG-F^2) と同じ量で、Gauss 曲率が Riemann テンソルのただ1つの成分であることが分かる。

確認テスト

オリジナル

  1. 11.2-1 (11.14) から n=5n=5 の独立な成分の数を求め、M(M+1)/2−(54)M(M+1)/2-\binom 54 と一致することを確かめよ。
  2. 11.2-2 和をとらない成分 RρρμνR_{\rho\rho\mu\nu} と、和をとった RρρμνR^\rho{}_{\rho\mu\nu} がどちらも消えることを示せ。
  3. 11.2-3 半径 aa の球面で、0でない RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} の成分をすべて書け。
  4. 11.2-4 4階の配列 RρσμνR_{\rho\sigma\mu\nu} が (11.9)・(11.10)・(11.12) を満たすとき、巡回和 Cρσμν=Rρσμν+Rρμνσ+RρνσμC_{\rho\sigma\mu\nu}=R_{\rho\sigma\mu\nu}+R_{\rho\mu\nu\sigma}+R_{\rho\nu\sigma\mu} が4つの添字について完全反対称であることを示せ。

木下の勉強ステータス

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