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Noether の定理の幾何

2026年10月22日12分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第13章 Lie 微分・流れ・対称性
目次
  1. 流れを接束へ持ち上げる
  2. Noether の定理
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第13章 §13.4 ★★★ 配位空間の流れを接束へ持ち上げ、Lagrangian を保つなら運動量1形式と生成子の縮約 piXip_iX^i が保存する

流れを接束へ持ち上げる

第3章 §3.5 で見たとおり、Lagrangian は配位空間 QQ の接束 TQTQ の上の関数である。配位空間の流れで軌道全体を動かすと、各点の位置だけでなく速度も動く。速度は接ベクトルなので、押し出しで運ばれる。

Φ~s(q,q˙)=(Φs(q),  (Φs)∗q˙).(13.17)\tilde\Phi_s(q,\dot q)=\bigl(\Phi_s(q),\;(\Phi_s)_*\dot q\bigr).\tag{13.17}

これを流れの接持ち上げと呼ぶ。

接持ち上げも流れなので、生成子のベクトル場 X~\tilde X が接束の上にある。座標 (qi,q˙i)(q^i,\dot q^i) で時間について1次まで展開すると、生成子の成分が読み取れる。

Φs(q)i=qi+sXi(q)+O(s2),((Φs)∗q˙)i=q˙i+s q˙j∂jXi+O(s2).\Phi_s(q)^i=q^i+sX^i(q)+\mathcal{O}(s^2),\qquad \bigl((\Phi_s)_*\dot q\bigr)^i=\dot q^i+s\,\dot q^j\partial_jX^i+\mathcal{O}(s^2).

したがって生成子は次の形になる。

X~=Xi∂∂qi+q˙j ∂Xi∂qj ∂∂q˙i.(13.18)\tilde X=X^i\frac{\partial}{\partial q^i}+\dot q^j\,\frac{\partial X^i}{\partial q^j}\,\frac{\partial}{\partial\dot q^i}.\tag{13.18}

速度の成分の変化率 q˙j∂jXi\dot q^j\partial_jX^i は、軌道に沿った Xi(q(t))X^i(q(t)) の時間微分に等しい。

定義 13.16(対称性と準対称性)

配位空間のベクトル場 XX を考える。

  1. X~L=0\tilde XL=0 のとき、XX を Lagrangian の対称性と呼ぶ。
  2. 配位空間の関数 Λ(q)\Lambda(q) があって次の式が成り立つとき、XX を準対称性と呼ぶ。

X~L=q˙i∂iΛ.\tilde XL=\dot q^i\partial_i\Lambda.

準対称性の右辺は、軌道に沿った Λ(q(t))\Lambda(q(t)) の時間微分である。Lagrangian に時間の全微分を足しても Euler–Lagrange 方程式は変わらないので、準対称性の流れも運動方程式の解を解へ写す。

Noether の定理

定理 13.17(Noether の定理)

XX が準対称性で、X~L=q˙i∂iΛ\tilde XL=\dot q^i\partial_i\Lambda が成り立つとする。このとき Euler–Lagrange 方程式の解に沿って、次の量が一定である。

Q=piXi−Λ,pi=∂L∂q˙i.(13.19)Q=p_iX^i-\Lambda,\qquad p_i=\frac{\partial L}{\partial\dot q^i}.\tag{13.19}

対称性(Λ=0\Lambda=0)なら Q=piXiQ=p_iX^i である。

証明

解に沿って QQ を時間で微分する。Euler–Lagrange 方程式 p˙i=∂L/∂qi\dot p_i=\partial L/\partial q^i と、X˙i=q˙j∂jXi\dot X^i=\dot q^j\partial_jX^i を使う。

dQdt=p˙iXi+piX˙i−Λ˙=∂L∂qiXi+∂L∂q˙i q˙j∂jXi−q˙i∂iΛ.\frac{\mathrm{d} Q}{\mathrm{d} t}=\dot p_iX^i+p_i\dot X^i-\dot\Lambda =\frac{\partial L}{\partial q^i}X^i+\frac{\partial L}{\partial\dot q^i}\,\dot q^j\partial_jX^i-\dot q^i\partial_i\Lambda.

最初の2項は、(13.18) の生成子を Lagrangian に作用させたもの X~L\tilde XL にちょうど等しい。仮定から X~L\tilde XL は最後の項と打ち消し、全体が0になる。

保存量 piXip_iX^i の幾何の意味を確かめておく。第3章 §3.4 で見たとおり、運動量 p=pi dqip=p_i\,\mathrm{d} q^i は配位空間の1形式(点ごとの余接ベクトル)である。対称性の生成子はベクトル場なので、2つを縮約した値はどの座標で計算しても同じスカラーになる(確認テスト 13.4-4)。Noether の保存量は、運動量1形式を対称性のベクトルに当てた値である。

Lagrangian が運動エネルギーとポテンシャルの差の形をしているときを考える。

L=12m gijq˙iq˙j−V(q).L=\tfrac12m\,g_{ij}\dot q^i\dot q^j-V(q).

生成子を作用させると、運動エネルギーの部分は計量の Lie 微分 (13.10) を与える。

X~L=m2 (LXg)ij q˙iq˙j−XV.(13.20)\tilde XL=\frac m2\,(\mathcal L_Xg)_{ij}\,\dot q^i\dot q^j-XV.\tag{13.20}

したがって、運動エネルギーの計量の Killing ベクトル XX が XV=0XV=0 も満たせば、それは対称性である。保存量は Q=m g(X,q˙)Q=m\,g(X,\dot q) で、ポテンシャルが無い場合が §13.3 の定理 13.14 である。

例(物理):中心力と角運動量

平面の中心力の Lagrangian を考える。

L=m2(x˙2+y˙2)−V(r).L=\tfrac m2(\dot x^2+\dot y^2)-V(r).

回転 R=x ∂y−y ∂xR=x\,\partial_y-y\,\partial_x は Euclid 計量の Killing ベクトルで(§13.3)、原点からの距離を変えない。したがって回転は対称性で、保存量は次の式になる。

Q=pxRx+pyRy=mx˙⋅(−y)+my˙⋅x=m(xy˙−yx˙).Q=p_xR^x+p_yR^y=m\dot x\cdot(-y)+m\dot y\cdot x=m(x\dot y-y\dot x).

これは角運動量 ℓz\ell_z である。

時間の並進と Hamilton 形式の側

  • 時間の並進によるエネルギー保存は、配位空間の流れ(時刻を動かさない流れ)の枠には入らない。時刻を座標に含めた拡大配位空間で扱うことになる。計算は虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第1部第10章に送る。
  • 相空間では、保存量 QQ が Hamilton ベクトル場 XQX_Q を通じて元の流れを生成する(第14章 §14.2)。ここで ω=dpi∧dqi\omega=\mathrm{d} p_i\wedge\mathrm{d} q^i とし、XQX_Q は次の式で定める。

ιXQω=−dQ.\iota_{X_Q}\omega=-\mathrm{d} Q.

  • 1次元で符号を確かめる。XQ=a ∂q+b ∂pX_Q=a\,\partial_q+b\,\partial_p とおくと、内部積は ιXQω=b dq−a dp\iota_{X_Q}\omega=b\,\mathrm{d} q-a\,\mathrm{d} p である。

a=∂Q∂p,b=−∂Q∂q.a=\frac{\partial Q}{\partial p},\qquad b=-\frac{\partial Q}{\partial q}.

Q=HQ=H なら q˙=∂H/∂p\dot q=\partial H/\partial p となり、巻の約束どおりの符号である。Q=pQ=p なら XQ=∂qX_Q=\partial_q で、運動量は並進を生成する。

例題 13.4 一様磁場の中の荷電粒子の保存量 ★★★

オリジナル質量 mm、電荷 ee の粒子が、平面の中を動いている。平面に垂直な一様磁場 BB があり、ベクトルポテンシャルを A=B2(−y, x)\bm A=\tfrac B2(-y,\,x) とする。Lagrangian は次の式である。

L=m2(x˙2+y˙2)+e x˙⋅A=m2(x˙2+y˙2)+eB2(xy˙−yx˙).L=\frac m2(\dot x^2+\dot y^2)+e\,\dot{\bm x}\cdot\bm A=\frac m2(\dot x^2+\dot y^2)+\frac{eB}2(x\dot y-y\dot x).

  1. 回転 R=x ∂y−y ∂xR=x\,\partial_y-y\,\partial_x が対称性であることを示し、保存量 QRQ_R を求めよ。
  2. 横方向の並進 ∂x\partial_x は対称性ではないが、準対称性であることを示せ。縦方向の並進 ∂y\partial_y についても同じことを調べ、2つの保存量 Qx,QyQ_x,Q_y を求めよ。
  3. 粒子は角振動数 ωc=eB/m\omega_c=eB/m で半径 ρ\rho の円運動をする。円の中心を (Xc,Yc)(X_c,Y_c) として、3つの保存量をこれらで表せ。
  4. 次の値をとる。

m=1,e=1,B=2.m=1,\qquad e=1,\qquad B=2.

粒子が点 (1,0)(1,0) を速度 (0,1)(0,1) で通るとき、3つの保存量と円の中心・半径を求めよ。

解答

(1) 回転の成分は (Rx,Ry)=(−y,x)(R^x,R^y)=(-y,x) である。(13.18) から、速度の成分の変化率は (−y˙,x˙)(-\dot y,\dot x) になる。

R~=−y ∂x+x ∂y−y˙ ∂x˙+x˙ ∂y˙.\tilde R=-y\,\partial_x+x\,\partial_y-\dot y\,\partial_{\dot x}+\dot x\,\partial_{\dot y}.

運動エネルギーには R~(x˙2+y˙2)=2x˙(−y˙)+2y˙x˙=0\tilde R(\dot x^2+\dot y^2)=2\dot x(-\dot y)+2\dot y\dot x=0 となる。磁場の項には次のとおりになる。

R~(xy˙−yx˙)=(−y)y˙−xx˙+xx˙−y(−y˙)=0.\tilde R(x\dot y-y\dot x)=(-y)\dot y-x\dot x+x\dot x-y(-\dot y)=0.

よって R~L=0\tilde RL=0 で、回転は対称性である。

正準運動量は次のとおりである。

px=mx˙−eB2y,py=my˙+eB2x.p_x=m\dot x-\tfrac{eB}2y,\qquad p_y=m\dot y+\tfrac{eB}2x.

(13.19) から保存量を作る。

QR=px(−y)+py x=m(xy˙−yx˙)+eB2(x2+y2).Q_R=p_x(-y)+p_y\,x=m(x\dot y-y\dot x)+\frac{eB}2(x^2+y^2).

運動学的な角運動量だけでは保存せず、磁場の項を足したものが保存する。

(2) 並進の成分は定数なので、持ち上げは X~=∂x\tilde X=\partial_x のままである。Lagrangian を横の座標で偏微分すると、次の式になる。

X~L=eB2 y˙=ddt(eB2 y).\tilde XL=\frac{eB}2\,\dot y=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} t}\Bigl(\frac{eB}2\,y\Bigr).

0ではないので対称性ではないが、Λx=eB2y\Lambda_x=\tfrac{eB}2y の準対称性である。保存量は Qx=px−Λx=mx˙−eByQ_x=p_x-\Lambda_x=m\dot x-eBy になる。

縦方向も同じで、∂yL=−eB2x˙\partial_yL=-\tfrac{eB}2\dot x なので Λy=−eB2x\Lambda_y=-\tfrac{eB}2x の準対称性である。保存量は Qy=py−Λy=my˙+eBxQ_y=p_y-\Lambda_y=m\dot y+eBx になる。運動方程式から直接確かめることもできる。

mx¨=eBy˙,my¨=−eBx˙⟹Q˙x=Q˙y=0.m\ddot x=eB\dot y,\quad m\ddot y=-eB\dot x\qquad\Longrightarrow\qquad \dot Q_x=\dot Q_y=0.

(3) 円運動を位相 ψ\psi で表す。

x=Xc+ρcos⁡ψ,y=Yc+ρsin⁡ψ,ψ˙=−ωc.x=X_c+\rho\cos\psi,\qquad y=Y_c+\rho\sin\psi,\qquad \dot\psi=-\omega_c.

位相の変化率は運動方程式から決まり、このとき速度は次の形になる。

x˙=ωc(y−Yc),y˙=−ωc(x−Xc).\dot x=\omega_c(y-Y_c),\qquad \dot y=-\omega_c(x-X_c).

これを並進の保存量に代入すると、次の結果になる。

Qx=mωc(y−Yc)−eBy=−eBYc,Qy=eBXc.Q_x=m\omega_c(y-Y_c)-eBy=-eBY_c,\qquad Q_y=eBX_c.

回転の保存量も代入して計算する。次の式を使う。

xy˙−yx˙=−ωc(ρ2+ρ(Xccos⁡ψ+Ycsin⁡ψ)).x\dot y-y\dot x=-\omega_c\bigl(\rho^2+\rho(X_c\cos\psi+Y_c\sin\psi)\bigr).

代入して整理する。

QR=−eB(ρ2+ρ(Xccos⁡ψ+Ycsin⁡ψ))+eB2(Xc2+Yc2+ρ2+2ρ(Xccos⁡ψ+Ycsin⁡ψ))=eB2(Xc2+Yc2−ρ2).\begin{aligned}Q_R&=-eB\bigl(\rho^2+\rho(X_c\cos\psi+Y_c\sin\psi)\bigr)\\ &\quad+\frac{eB}2\bigl(X_c^2+Y_c^2+\rho^2+2\rho(X_c\cos\psi+Y_c\sin\psi)\bigr)\\ &=\frac{eB}2\bigl(X_c^2+Y_c^2-\rho^2\bigr).\end{aligned}

並進の保存量は円の中心の位置、回転の保存量は中心の原点からの距離と半径の組み合わせである。

(4) 与えられた値では eB=2eB=2、ωc=2\omega_c=2 である。初期値を代入する。

Qx=0−2⋅0=0,Qy=1+2⋅1=3,QR=1⋅(1⋅1−0)+1⋅(1+0)=2.Q_x=0-2\cdot0=0,\qquad Q_y=1+2\cdot1=3,\qquad Q_R=1\cdot(1\cdot1-0)+1\cdot(1+0)=2.

(3) から中心は (Xc,Yc)=(3/2, 0)(X_c,Y_c)=(3/2,\,0) である。半径は速さを角振動数で割って ρ=1/2\rho=1/2 になる。検算として eB2(Xc2−ρ2)=94−14=2\tfrac{eB}2(X_c^2-\rho^2)=\tfrac94-\tfrac14=2 が回転の保存量と一致する。

確認テスト

オリジナル

  1. 13.4-1 Euclid 平面の回転 R=x ∂y−y ∂xR=x\,\partial_y-y\,\partial_x の接持ち上げを (13.18) で求めよ。それが x˙2+y˙2\dot x^2+\dot y^2 を変えないことも確かめよ。
  2. 13.4-2 次の Lagrangian について、対称性となる並進の向きを求め、保存量を書け。

L=m2(x˙2+y˙2)−V(x−2y).L=\tfrac m2(\dot x^2+\dot y^2)-V(x-2y). 3. 13.4-3 半径 aa の球面振り子を考える(θ\theta は鉛直下向きからの角)。

L=ma22(θ˙2+sin⁡2θ φ˙2)+mgacos⁡θ.L=\tfrac{ma^2}2\bigl(\dot\theta^2+\sin^2\theta\,\dot\varphi^2\bigr)+mga\cos\theta.

(13.14) の3つの回転のうちどれが対称性かを (13.20) で調べ、保存量を書け。次の初期値で動き出すときの保存量の値も求めよ。

θ=π3,θ˙=0,φ˙=2g/a.\theta=\frac\pi3,\qquad \dot\theta=0,\qquad \dot\varphi=2\sqrt{g/a}. 4. 13.4-4 座標変換で piXip_iX^i の値が変わらないことを、運動量と生成子の成分の変換則から示せ。

木下の勉強ステータス

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