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運動量は1形式

2026年10月22日11分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第3章 1形式と双対
目次
  1. 点変換での運動量の変換則
  2. 物理の例:電磁場中の荷電粒子の正準運動量
  3. Legendre 変換は接束から余接束への写像
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第3章 §3.4 ★★★ 一般化運動量は余接ベクトルの成分として変換する。Legendre 変換は接束から余接束への写像である

点変換での運動量の変換則

nn 自由度の力学系の配位空間を QQ とする(第1章 §1.3)。その座標を qiq^i と書く。運動する系の速度は接ベクトル q˙∈TqQ\dot q\in T_qQ で、成分 q˙i\dot q^i は上付きの添字を持つ。別の座標 q′a=q′a(q)q'^a=q'^a(q) に取り替えると、速度の成分は (3.5) の VaV^a と同じ規則で変わる。

q˙′a=∂q′a∂qj(q) q˙j(3.19)\dot q'^a=\frac{\partial q'^a}{\partial q^j}(q)\,\dot q^j\tag{3.19}

Lagrangian L(q,q˙,t)L(q,\dot q,t) から、一般化運動量を pi=∂L/∂q˙ip_i=\partial L/\partial\dot q^i で定める。ここでは qq と q˙\dot q を独立に動かして偏微分する。その操作が意味を持つ理由は §3.5 で説明する。

定理 3.14(運動量の変換則)

点変換 q′a=q′a(q)q'^a=q'^a(q) のもとで、一般化運動量は余接ベクトルの成分として変換する。

pa′=∂qj∂q′a pj(3.20)p'_a=\frac{\partial q^j}{\partial q'^a}\,p_j\tag{3.20}

したがって p=pi dqip=p_i\,\mathrm{d} q^i は座標に依らない余接ベクトル p∈Tq∗Qp\in T^*_qQ を定める。

証明

新しい座標での Lagrangian は、古い変数を新しい変数で書いて代入したものである。

L′(q′,q˙′,t)=L(q(q′), q˙(q′,q˙′), t),q˙j=∂qj∂q′a(q′) q˙′aL'(q',\dot q',t)=L\bigl(q(q'),\,\dot q(q',\dot q'),\,t\bigr),\qquad \dot q^j=\frac{\partial q^j}{\partial q'^a}(q')\,\dot q'^a

2番目の式の係数は q′q' だけの関数である。したがって、q′q' を固定した偏微分は ∂q˙j/∂q˙′a=∂qj/∂q′a\partial\dot q^j/\partial\dot q'^a=\partial q^j/\partial q'^a となる。一方、関数 qj(q′)q^j(q') は速度を含まないので、q˙′\dot q' で微分すると0である。連鎖律を使う。

pa′=∂L′∂q˙′a=∂L∂qj∂qj∂q˙′a⏟=0+∂L∂q˙j∂q˙j∂q˙′a=∂qj∂q′a pjp'_a=\frac{\partial L'}{\partial \dot q'^a}=\frac{\partial L}{\partial q^j}\underbrace{\frac{\partial q^j}{\partial \dot q'^a}}_{=0}+\frac{\partial L}{\partial \dot q^j}\frac{\partial \dot q^j}{\partial \dot q'^a}=\frac{\partial q^j}{\partial q'^a}\,p_j

これは (3.5) の ωa′\omega'_a の規則そのものである。

証明では、q′q' を固定して q˙′\dot q' だけを動かした。その間に配位 qq は動かないので、∂L/∂q\partial L/\partial q の項は寄与しない。定理 3.14 と (3.19) を組み合わせると、命題 3.3 の最後の主張から次の数が座標に依らない。

p(q˙)=piq˙i(3.21)p(\dot q)=p_i\dot q^i\tag{3.21}

Hamiltonian H=piq˙i−LH=p_i\dot q^i-L の第1項はこの組み合わせで、座標に依らない量になっている。

平面の自由粒子の極座標

Lagrangian は L=m2(x˙2+y˙2)=m2(r˙2+r2θ˙2)L=\frac m2(\dot x^2+\dot y^2)=\frac m2(\dot r^2+r^2\dot\theta^2) である。極座標の運動量は pr=mr˙p_r=m\dot r と pθ=mr2θ˙p_\theta=mr^2\dot\theta になる。変換則 (3.20) に x=rcos⁡θx=r\cos\theta と y=rsin⁡θy=r\sin\theta を使っても、同じ結果が出る。

pθ=∂x∂θpx+∂y∂θpy=−rsin⁡θ px+rcos⁡θ py=xpy−ypxp_\theta=\frac{\partial x}{\partial \theta}p_x+\frac{\partial y}{\partial \theta}p_y=-r\sin\theta\,p_x+r\cos\theta\,p_y=xp_y-yp_x

pθp_\theta は角運動量の zz 成分である。単位は J s\mathrm{J\,s} で、運動量の単位と違う。座標基底での運動量の成分の単位は、その座標の単位で決まる。

物理の例:電磁場中の荷電粒子の正準運動量

電荷 ee の粒子が電磁ポテンシャル (ϕ,A)(\phi,\bm A) の中を運動するとき、Lagrangian は次の形である(SI 単位)。

L=m2∣x˙∣2+e Ai(x) x˙i−e ϕ(x)L=\frac m2\left\vert \dot{\bm x}\right\vert ^2+e\,A_i(\bm x)\,\dot x^i-e\,\phi(\bm x)

正準運動量は pi=mx˙i+eAip_i=m\dot x_i+eA_i で、運動学的な運動量 mx˙im\dot x_i と異なる。Aix˙iA_i\dot x^i が座標に依らない数になるためには、A=Ai dxiA=A_i\,\mathrm{d} x^i は1形式でなければならない。

ゲージ変換 A→A+∇χ\bm A\to\bm A+\nabla\chi は、1形式で書くと A→A+dχA\to A+\mathrm{d}\chi である。このとき Lagrangian は全微分 e dχ(x˙)=e ddtχ(x(t))e\,\mathrm{d}\chi(\dot x)=e\,\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} t}\chi(\bm x(t)) だけ変わり、正準運動量は p→p+e dχp\to p+e\,\mathrm{d}\chi と変わる。運動量も dχ\mathrm{d}\chi も1形式なので、この式は座標に依らない形をしている。ベクトルポテンシャルを接続として読む見方は、第15章 §15.4 で扱う。

Legendre 変換は接束から余接束への写像

各点の接空間を集めた TQTQ を接束と呼ぶ。余接空間を集めた T∗QT^*Q を余接束と呼ぶ。TQTQ の点は配位と速度の組 (q,q˙)(q,\dot q) である。T∗QT^*Q の点は配位と運動量の組 (q,p)(q,p) である。

接束が座標 (q,q˙)(q,\dot q) を持つ 2n2n 次元の多様体になることは §3.5 で示す。余接束 T∗QT^*Q は第14章 §14.1 で相空間として扱う。

定義 3.15(Legendre 写像)

Lagrangian LL のLegendre 写像 FL:TQ→T∗Q\mathbb FL:TQ\to T^*Q を、次の対応で定める。

(qi,q˙i) ⟼ (qi, pi=∂L∂q˙i(q,q˙))(3.22)(q^i,\dot q^i)\ \longmapsto\ \Bigl(q^i,\ p_i=\frac{\partial L}{\partial \dot q^i}(q,\dot q)\Bigr)\tag{3.22}

定理 3.14 により、右辺の pp は座標に依らない余接ベクトルなので、FL\mathbb FL は座標に依らない写像である。FL\mathbb FL は配位を変えない。各点の接空間 TqQT_qQ を、同じ点の余接空間 Tq∗QT^*_qQ へ移す。

命題 3.16(Legendre 写像の局所可逆性)

ある点で次の行列が正則なら、FL\mathbb FL はその点の近くで滑らかな逆写像を持つ。

Wij=∂2L∂q˙i ∂q˙j(3.23)W_{ij}=\frac{\partial^2L}{\partial\dot q^i\,\partial\dot q^j}\tag{3.23}

このとき LL はその点で正則であるという。

証明

FL\mathbb FL を座標 (q,q˙)↦(q,p)(q,\dot q)\mapsto(q,p) で書くと、Jacobi 行列は次のブロックの形になる。

(δij0∂pi/∂qjWij)\begin{pmatrix}\delta^i{}_j&0\\[2pt] \partial p_i/\partial q^j&W_{ij}\end{pmatrix}

その行列式は det⁡W\det W に等しい。det⁡W≠0\det W\ne0 なら、逆関数定理(第1章 §1.1)から局所的な滑らかな逆写像が存在する。

運動エネルギーが速度の2次形式 L=12gij(q)q˙iq˙j−V(q)L=\frac12g_{ij}(q)\dot q^i\dot q^j-V(q) の場合、pi=gijq˙jp_i=g_{ij}\dot q^j である。Wij=gijW_{ij}=g_{ij} で、運動エネルギーが正定値なら LL は正則である。この場合の Legendre 写像は、運動エネルギーの係数 gijg_{ij} で添字を下げる操作にあたる(第5章 §5.4)。

正則でない例として L=m2(q˙1+q˙2)2L=\frac m2(\dot q^1+\dot q^2)^2 を考える。運動量は p1=p2=m(q˙1+q˙2)p_1=p_2=m(\dot q^1+\dot q^2) である。したがって FL\mathbb FL の像は、余接束の中の部分集合 p1=p2p_1=p_2 に限られる。このとき運動量は速度を決めず、拘束 p1−p2=0p_1-p_2=0 が現れる。

正則な場合の Hamiltonian の構成と Hamilton 方程式の計算は、虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第1部第7章と第8章に送る。

図

図 3.4 Legendre 写像 FL\mathbb FL は、点 q0q_0 の上の接空間(速度の直線)を同じ点の上の余接空間(運動量の直線)へ移す。図は Q=RQ=\mathbb{R} で L=12m(q)q˙2L=\frac12m(q)\dot q^2 の場合で、各点の上では p=m(q0)q˙p=m(q_0)\dot q の倍率で移る(図は m(q0)=2/3m(q_0)=2/3)。

例題 3.4 斜めの座標での運動量 ★★

オリジナル平面の自由粒子 L=m2(x˙2+y˙2)L=\frac m2(\dot x^2+\dot y^2) を、次の座標 (u,v)(u,v) で記述する。

x=u,y=v+12u2x=u,\qquad y=v+\tfrac12u^2

  1. LL を (u,v,u˙,v˙)(u,v,\dot u,\dot v) で書け。さらに運動量 pu,pvp_u,p_v を求めよ。
  2. 結果が変換則 (3.20) と一致することを確かめよ。
  3. u˙=pu/m\dot u=p_u/m が一般には成り立たないことを示し、速度を運動量で表せ。
解答
  1. x˙=u˙\dot x=\dot u と y˙=v˙+uu˙\dot y=\dot v+u\dot u を代入する。

L=m2[u˙2+(v˙+uu˙)2]L=\frac m2\Bigl[\dot u^2+(\dot v+u\dot u)^2\Bigr]

uu を固定して偏微分すると、運動量は次のようになる。

pu=m[u˙+u(v˙+uu˙)],pv=m(v˙+uu˙)p_u=m\bigl[\dot u+u(\dot v+u\dot u)\bigr],\qquad p_v=m(\dot v+u\dot u) 2. 直交座標の運動量は px=mx˙=mu˙p_x=m\dot x=m\dot u と py=my˙=m(v˙+uu˙)p_y=m\dot y=m(\dot v+u\dot u) である。変換則の係数は、Jacobi 行列の成分である。

∂x∂u=1,∂y∂u=u,∂x∂v=0,∂y∂v=1\frac{\partial x}{\partial u}=1,\qquad \frac{\partial y}{\partial u}=u,\qquad \frac{\partial x}{\partial v}=0,\qquad \frac{\partial y}{\partial v}=1

したがって次の関係を得る。

pu=px+u py,pv=pyp_u=p_x+u\,p_y,\qquad p_v=p_y

これは (1) の結果と一致する。3. (1) から pu=mu˙+u pvp_u=m\dot u+u\,p_v なので、u˙=(pu−upv)/m\dot u=(p_u-up_v)/m である。u pv≠0u\,p_v\ne0 なら u˙≠pu/m\dot u\ne p_u/m となる。v˙\dot v は pv=m(v˙+uu˙)p_v=m(\dot v+u\dot u) を解いて得られる。

v˙=pvm−uu˙=(1+u2) pv−u pum\dot v=\frac{p_v}{m}-u\dot u=\frac{(1+u^2)\,p_v-u\,p_u}{m}

座標基底 ∂u,∂v\partial_u,\partial_v は直交しないので、速度の成分と運動量の成分は単純な比例関係にならない。

確認テスト

オリジナル

  1. 3.4-1 3次元の自由粒子 L=m2∣x˙∣2L=\frac m2\left\vert \dot{\bm x}\right\vert ^2 を考える。球座標 (r,θ,φ)(r,\theta,\varphi) の3つの運動量を求めよ。
  2. 3.4-2 一様な磁場 B=Bz^\bm B=B\hat{\bm z} のベクトルポテンシャルを A=B2(x dy−y dx)A=\frac B2(x\,\mathrm{d} y-y\,\mathrm{d} x) と選ぶ。平面の極座標で AA の成分を求めよ。さらに、電荷 ee の粒子の正準運動量 pθp_\theta を書け。
  3. 3.4-3 2自由度の Lagrangian L=m2[(q˙1)2+q˙1q˙2+(q˙2)2]L=\frac m2\bigl[(\dot q^1)^2+\dot q^1\dot q^2+(\dot q^2)^2\bigr] について、Legendre 写像を書いて正則であることを示し、速度を運動量で表せ。さらに H=piq˙i−LH=p_i\dot q^i-L を運動量で書け。
  4. 3.4-4 点変換 q′=q′(q)q'=q'(q) のもとで、piq˙ip_i\dot q^i が座標に依らないことを、(3.19) と (3.20) から直接示せ。

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