物理のための微分幾何入門 第15章 §15.7
- 15.1-1 (15.5) で K=−1 とおくと、内角の和と面積の関係は次のようになる。
α1+α2+α3−π=−A.
内角がすべて π/4 なら、面積は A=π−3π/4=π/4 である。一般に内角は正なので、A=π−(α1+α2+α3)<π となる。双曲平面の三角形は、どれほど大きく描いても面積が π を超えない。2. 15.1-2 角過剰は 90∘+60∘+60∘−180∘=30∘ で、ラジアンでは π/6 である。球面の Gauss 曲率は 1/a2 なので、面積は角過剰の a2 倍になる。
A=6πa2=6π×63712 km2=2.125×107 km2.
3. 15.1-3 外角は π−αi で、辺は測地線なので測地曲率は0である。(15.4) は A+nπ−∑αi=2π となるので、次の式を得る。
i=1∑nαi=(n−2)π+A.
四角形で内角がすべて 2π/3 なら、面積は 4⋅2π/3−2π=2π/3 である。これは 4π/6 に等しく、6面で球面全体の面積 4π を等分していることと合う。4. 15.1-4 2本の測地線が点 P,Q で交わり、円板状の領域 R を囲んだとする。境界は2本の測地線の弧なので、測地曲率は0である。
2つの交点での内角を α,β∈(0,π) とする。外角は π−α と π−β である。(15.4) は次の式になる。
∫RKdA+(π−α)+(π−β)=2π,すなわち∫RKdA=α+β>0.
K≤0 なら左辺は0以下なので矛盾し、このような領域は存在しない。5. 15.2-1 球面は χ=2、トーラスは χ=0 である。種数2の曲面は χ=2−4=−2 である。いたる所で K>0 なら全曲率は正なので、(15.6) から χ>0 が要る。3つのうち候補は球面だけで、実際に半径1の球面の計量がその例である。6. 15.2-2 正八面体の頂点には正三角形が4つ集まり、欠損角は 2π−4π/3=2π/3 である。頂点は6個なので、総和は 4π になる。正二十面体では正三角形が5つ集まって欠損角は π/3 で、頂点12個で総和 4π になる。正十二面体では内角 3π/5 の正五角形が3つ集まって、欠損角は π/5 になる。頂点は20個なので、総和は 4π になる。7. 15.2-3 第一基本形式の係数は E=(a+bcosv)2 と G=b2 で、交差項は0である。面積要素は dA=b(a+bcosv)dudv なので、KdA=cosvdudv となり、次の積分を得る。
∫KdA=∫02π∫02πcosvdvdu=0.
曲率が正の部分は cosv>0 の外側である。その積分は次の値である。
∫02π∫−π/2π/2cosvdvdu=2π×2=4π.
曲率が負の内側の部分は −4π で、両者は打ち消し合う。8. 15.2-4 辺が5本集まる頂点の数を n5、6本集まる頂点の数を n6 とする。面は三角形なので 3F=2E である。頂点から数えると、次の式が成り立つ。
5n5+6n6=2E,V=n5+n6.
これらを Euler 標数の式に入れる。
V−E+F=V−3E=n5+n6−65n5+6n6=6n5=2.
したがって n5=12 である。平らな三角形の網目では各頂点に正三角形が6つ集まって 2π になり、辺が5本の頂点は欠損角 π/3 を持つ。欠損角で数えても、12×π/3=4π で同じ結論になる。9. 15.3-1 ベクトル場は線形で、行列は次のとおりである。
A=(−11−1−1),detA=1+1=2>0.
補題 15.12 から指数は +1 である。吸い込みか湧き出しか、渦を巻くかどうかは指数に関係しない。10. 15.3-2 3乗を展開すると次のようになる。
zˉ3=(x−iy)3=(x3−3xy2)−i(3x2y−y3).
したがって成分は (x3−3xy2, −3x2y+y3) である。単位円 z=eit の上では zˉ3=e−3it である。したがってベクトルの角は円の角の −3 倍である。一周で角は −6π 変わるので、指数は −3 である。11. 15.3-3 高さ関数の偏微分は次のとおりである。
zu=(a+bcosv)cosu,zv=−bsinvsinu.
係数 a+bcosv は正なので、1つ目の条件は cosu=0 と同じである。そのとき sinu=±1 なので、2つ目の条件は sinv=0 となる。臨界点は u=±π/2 と v∈{0,π} の組の4つである。
臨界点では zuv=−bsinvcosu=0 なので、Hesse 行列は対角になる。対角成分は次のとおりである。
zuu=−(a+bcosv)sinu,zvv=−bcosvsinu.
各点の符号は次の表のとおりである。
| (u,v) | zuu | zvv | 種類と z の値 | 指数 |
| (π/2,0) | −(a+b) | −b | 極大点、a+b | +1 |
| (π/2,π) | −(a−b) | b | 鞍点、a−b | −1 |
| (−π/2,π) | a−b | −b | 鞍点、−(a−b) | −1 |
| (−π/2,0) | a+b | b | 極小点、−(a+b) | +1 |
和は 1−1−1+1=0=χ(T2) である。
曲面の座標で Hesse 行列を計算してよいのは、臨界点では1階微分が0だからである。このとき座標を取り替えても Hesse 行列は合同変換を受けるだけで、行列式の符号は変わらない。12. 15.3-4 磁気面 M の上で磁場は面に接するので、M の上の接ベクトル場である。仮定から零点は無いので、(15.8) の左辺は0で、χ(M)=0 となる。球面は χ=2 なので、磁気面になりえない。向きのついた連結な閉曲面で χ=0 のものはトーラスだけなので、磁気面はトーラスになる。13. 15.4-1 変わらないのは、磁場・閉じた道の線積分・確率密度の3つ((b)・(c)・(e))である。ベクトルポテンシャルは ∇Λ だけ変わり、1点での位相は qΛ/ℏ だけ変わる。閉じた道の線積分は Stokes の定理で磁束に等しく、磁場で書けるので変わらない。14. 15.4-2 ポテンシャルの成分は Ax=−By/2 と Ay=Bx/2 である。任意の ψ について交換子を展開すると、2階微分の項とポテンシャルどうしの積の項は打ち消し合う。微分がポテンシャルにかかる項だけが残る。
[Dx,Dy]ψ=−ℏiq(∂xAy−∂yAx)ψ=−ℏiq(2B+2B)ψ=−ℏiqBψ.
Fxy=Bz=B なので、(15.11) と一致する。15. 15.4-3 円柱座標で Aφ=Φ/(2πr)、ほかの成分は0である。回転の z 成分は次のようになり、ほかの成分も0である。
(∇×A)z=r1∂r∂(rAφ)=r1∂r∂(2πΦ)=0(r>0).
半径 r の円での線積分は、Aφ⋅2πr=Φ となり、半径によらない。1形式では A=2πΦdφ で、閉形式だが完全形式でない。16. 15.4-4 定義 15.1 を使って、回した枠の微分を計算する。
∇Xe1′=X(Λ)(−sinΛe1+cosΛe2)+cosΛω12(X)e2−sinΛω12(X)e1=(dΛ(X)+ω12(X))e2′.
したがって新しい枠の接続1形式は ω12+dΛ である。
Gauss 曲率は、ddΛ=0 なので −dω12 から変わらない。
閉じた道の回転角は −∮ω12 で、枠を替えると −∮dΛ だけ変わる。枠が道の上で1価なら、∮dΛ は 2π の整数倍である。したがって回転角は、2π を法として変わらない。道が円板を囲むなら、回転角は Stokes の定理で曲率の積分に等しく、完全に一致する。17. 15.5-1 規格化の条件 ⟨n∣n⟩=1 を微分すると、次の式になる。
⟨dn∣n⟩+⟨n∣dn⟩=⟨n∣dn⟩+⟨n∣dn⟩=0.
したがって ⟨n∣dn⟩ は純虚数で、それに i を掛けた Berry 接続は実数である。位相の選び方によらないのは Berry 曲率で、閉じた道の Berry 位相は 2π を法として選び方によらない。Berry 接続そのものは dΛ だけ変わる。18. 15.5-2 微分の dϑ の項は打ち消し合い、dφ の項は第2成分からだけ出る。
A−=i⋅icos22ϑdφ=−cos22ϑdφ,Ω−=dA−=+21sinϑdϑ∧dφ.
緯線に沿う Berry 位相は次の値になる。
γ−=−2πcos22ϑ0=−π(1+cosϑ0)≡π(1−cosϑ0)=+2SC(mod2π).
Chern 数は C−=+1 で、2つの状態の Chern 数の和は0になる。19. 15.5-3 第1成分は実数で dφ を含まず、dϑ の項は規格化から打ち消し合う。第2成分と第3成分の寄与は、それぞれ次のとおりである。
i⋅2sin22ϑcos22ϑdφ,2isin42ϑdφ.
i を掛けて足すと、Berry 接続は次のようになる。
A=−2sin22ϑ(cos22ϑ+sin22ϑ)dφ=−(1−cosϑ)dφ.
緯線に沿う Berry 位相は γ=−2π(1−cosϑ0)=−SC である。Berry 曲率は dA=−sinϑdϑ∧dφ で、Chern 数は −2 となる。この接続は、単位球面の接続1形式 cosϑdφ と dφ だけ違う。Chern 数の大きさ2は、球面の Euler 標数2と一致する。20. 15.5-4 Berry 接続が球面全体で滑らかなら、境界の無い球面に Stokes の定理を使って次の式になる。
∫S2Ω=∫S2dA=∮∂S2A=0.
したがって Chern 数は0である。スピン 1/2 の基底状態では C+=−1 なので、球面全体で滑らかな Berry 接続は存在しない。つまり、球面全体で1価かつ滑らかな位相の選び方は存在しない。(15.12) が南極で1価でなかったのは、選び方が下手だったからではなく、この理由による。
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