電磁気学入門 第6章 §6.6
- 6.1-1 磁気モーメントの単位は、電流 × 面積 =A⋅m2 である。これを体積 m3 で割るので、磁化の単位は A/m である。ニッケルでは
Ms=(9.14×1028)(0.60×9.274×10−24)A/m=5.09×105A/m,μ0Ms=0.64T.
鉄(例題 6.2)の約 0.3 倍である。2. 6.1-2 円柱座標の回転の式(第1章 §1.4)で Mφ=ks だけが 0 でないので
Jb=∇×M=s1∂s∂(sMφ)z^=s1∂s∂(ks2)z^=2kz^.
側面 s=a では外向き法線が s^ なので
Kb=M×s^=kaφ^×s^=−kaz^
である。z 一定の円板を貫く電流は、次の2つの和である。
- 体積電流 2k⋅πa2。
- 円板の縁(円周 2πa)を横切る表面電流 −ka⋅2πa。
和は
2πka2−2πka2=0.
体積の中を +z に流れた電流が、側面を −z に戻る。3. 6.1-3 側面の外向き法線は s^ なので、側面では Kb=Mz^×s^=Mφ^ である。上下の端面では z^×(±z^)=0 である。磁化した円柱は、単位長さあたり M の電流が周回する面電流と同じである。
- 長いソレノイドの内部の磁束密度 μ0nI(第5章 §5.3)を使う。nI を単位長さあたりの面電流 M に置き換える。すると B=μ0M である。
- 側面を流れる全電流は、厚さを t として Mt である。これは半径 R の円形電流とみなせる。円形電流の中心の磁束密度 μ0I/(2R)(第5章 §5.2)から、B=μ0Mt/(2R) である。t≪R では μ0M よりずっと小さい。
- 6.1-4 表面では r=ar^、dS=a2sinθdθdφ である。r^×φ^=−θ^ である。このベクトルの軸方向の成分は sinθ なので、磁気モーメントの z 成分は
μz=21∫02π∫0πa⋅Msinθ⋅sinθ⋅a2sinθdθdφ=21a3M⋅2π⋅34=34πa3M.
−θ^ の横の2成分は
−cosθcosφ,−cosθsinφ
である。これらを方位角で積分すると 0 になる。一方 ∫MdV=34πa3Mz^ なので、両者は等しい。途中で ∫0πsin3θdθ=∫−11(1−u2)du=34 を使った。5. 6.2-1 (a) 長い円柱の内部では B=μ0M なので、H=B/μ0−M=0 である。 (b) 薄い円板の内部では、Bz=μ0Mt/(2R)≈0 である。円板の面の外側の近くでも B≈0 で、法線成分の連続とも整合する。したがって内部では H=B/μ0−M≈−M である。反磁場の係数 Nd を H=−NdM で定める。長い円柱で 0、薄い円板で 1、球で 1/3 である。6. 6.2-2 軸対称なので H=H(s)φ^ である。半径 s の円に (6.11) を使う。自由電流は導線の電流だけなので、円柱の内外でH=2πsIφ^ である。
s<a: B=2πsμ0μrIφ^, M=χm2πsIφ^;s>a: B=2πsμ0Iφ^, M=0.
ここで χm=μr−1 である。磁化電流は次のとおりである。
- 内部:軸から離れた所(s>0)では、∇×M=s1∂s∂(sMφ)z^=0 である。
- 軸上:軸を囲む半径 s の円で ∮M⋅dr=χmI となる。Stokes の定理から、軸上に磁化電流 χmI が流れている(導線に沿う線電流)。
- 表面:s=a では
Kb=M×s^=2πaχmIφ^×s^=−2πaχmIz^
で、その総量は −χmI である。
総和は 0 である。円柱の内部の磁束密度は、軸上の全電流 (1+χm)I=μrI がつくる磁束密度に等しい。外部では表面電流が打ち消して、I だけの磁束密度に戻る。7. 6.2-3 (6.16) で領域1を鉄、領域2を空気とすると
tanθ2=tanθ1⋅μ1μ2=1000tan85∘=100011.43=1.143×10−2
なので θ2=0.65∘ である。鉄の中では表面にほとんど沿っていた磁束線が、空気中では表面にほぼ垂直に出る。8. 6.2-4 自由電流が無ければ H1t=H2t=Ht である。線形磁性体では M=χmH なので
M1t=χm1Ht,M2t=χm2Ht
となり、2つの磁化率が異なれば連続でない。
境界を、厚さ δ の層で磁化が連続に変わる極限とみなす。定理 6.6 の証明と同じ長方形で、∮M⋅dr を計算する。層を貫く磁化電流 Kb⋅uℓ は、(M2−M1)⋅tℓ に等しい。同じ計算で
Kb=n×(M2−M1)=(χm2−χm1)n×Ht
を得る。領域2を真空(M2=0)とし、n を磁性体の外向き法線とする。このとき Kb=−n×M1=M1×n で、(6.9) に一致する。なお、この面電流があるので、磁束密度の接線成分は n×(B2−B1)=μ0Kb だけ跳ぶ。9. 6.3-1 3つの場合は次のとおりである。
- 反磁性体:χm<0 で温度によらない。大きさは 10−5 程度である。
- 常磁性体:χm>0 で 1/T に比例する(Curie の法則)。
- Curie 温度より上の強磁性体:χm>0 で 1/(T−TC) に比例する。温度が Curie 温度に近づくと発散する(Curie–Weiss の法則)。
χm=−1 なら B=μ0(1+χm)H=0 で、内部の磁束密度は 0 になる(完全反磁性)。10. 6.3-2 B=kBT/μB で、
T=300K: B=9.274×10−241.381×10−23×300T=4.47×102T,T=1K: B=1.49T.
室温では、実験室の磁束密度(数 T)で x∼10−2 にしかならない。1 K の低温では、数 T で x が 1 を超え、Langevin 関数の飽和の領域に入る。11. 6.3-3 (6.26) から C=χm(T−TC)=1.0×10−3×100K=0.10K である。T=900K では χm=0.10/300=3.3×10−4 である。12. 6.3-4 H=0 とし、m=M/Ms とおく。本文のとおり m=L(3TCm/T) である。τ=TC/T と書く。磁化が小さいとして (6.5) の展開を使うと
m=33τm−45(3τm)3+O(m5)=τm−53τ3m3+O(m5).
0 でない解では、両辺を m で割って 1=τ−53τ3m2、つまり
m2=35τ3τ−1=35(TCT)2TCTC−T.
Curie 温度の近くでは (T/TC)2→1 なので、主要項は m≃35(1−T/TC) である。τ>1、つまり T<TC のときだけ、右辺は正になる。自発磁化は (TC−T)1/2 に比例して現れる。13. 6.4-1 1Wb=1T⋅m2 である。磁束 =LI なので、インダクタンスの単位は 1H=1Wb/A である。したがって A/Wb=1/H である。また μ0 の単位は H/m である。したがって ℓ/(μA) の単位は
(H/m)⋅m2m=1/H
となり整合する。対応は次のとおりである。
- 起磁力 NI は起電力に対応する。
- 磁束 Φ は電流に対応する。
- 磁気抵抗 R は電気抵抗に対応する。
- 6.4-2 左右の脚は並列なので、合成は
R∥=2.0+6.02.0×6.0×105=1.5×105A/Wb
である。中央の脚と直列で
Φ=1.0×105+1.5×105300Wb=1.2×10−3Wb.
左右の脚の両端の「磁位差」は ΦR∥=180A である。各脚の磁束は
左: 2.0×105180=9.0×10−4Wb,右: 6.0×105180=3.0×10−4Wb
である。和は 1.2×10−3Wb で、分岐点での磁束の保存を満たす。15. 6.4-3 鉄板を dx だけ引き離すと、磁極面と鉄板のあいだに体積 Adx の空隙ができる。引き離すあいだ、磁束を一定に保つ(コイルの電流を調節する、または素早く動かす)。
このとき空隙の磁束密度は変わらない。鉄の中のエネルギー密度は μr≫1 で無視できるので、磁場のエネルギーは 2μ0B2Adx だけ増える。磁束一定では電源と仕事をやりとりしないので、この増加は外から加えた力学的仕事 Fdx に等しく
F=2μ0B2A=2×4π×10−7(1.0)2×2.0×10−3N=7.96×102N.
約 81 kg の物体の重さに相当する。16. 6.4-4 2つの磁気抵抗の比は
RgRi=g/(μ0A)ℓ/(μ0μrA)=μrgℓ
なので
Bg=A(Ri+Rg)NI=ARgNI⋅1+ℓ/(μrg)1=gμ0NI⋅1+ℓ/(μrg)1.
数値では
gμ0NIμrgℓ=1.0×10−3(4π×10−7)(500)T=0.628T,=20.30=0.15
なので Bg=0.628/1.15T=0.546T で、例題 6.7 と一致する。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com