電磁気学入門 第9章 §9.6
§9.1 波動方程式と平面波
- 9.1-1 Ampère–Maxwell の式 ∇×B=c−2∂tE の回転をとり、Faraday の法則を入れると
∇×(∇×B)=c21∂t∂(∇×E)=−c21∂t2∂2B.
∇⋅B=0 なので、左辺は ∇(∇⋅B)−∇2B=−∇2B である。したがって
∇2B−c21∂t2∂2B=0
を得る。2. 9.1-2 進む向きは k^=y^ である。(9.8) から
B=c1y^×z^E0cos(ky−ωt)=cE0cos(ky−ωt)x^.
Poynting ベクトルとエネルギー密度は
Su=μ01E×B=μ0cE02cos2(ky−ωt)z^×x^=cε0E02cos2(ky−ωt)y^,=ε0E2=ε0E02cos2(ky−ωt)
である。エネルギー密度の時間平均は ⟨u⟩=ε0E02/2 である。3. 9.1-3 電場は cos(A−B)−cos(A+B)=2sinAsinB から
E=E0[cos(kz−ωt)−cos(kz+ωt)]x^=2E0sinkzsinωtx^.
入射波と反射波の磁場は、反射波が −z 向きに進むことに注意して
c1z^×Eic1(−z^)×Er=cE0cos(kz−ωt)y^=cE0cos(kz+ωt)y^(入射波)(反射波)
である。合成すると
B=cE0[cos(kz−ωt)+cos(kz+ωt)]y^=c2E0coskzcosωty^.
どちらも空間の形 sinkz、coskz と時間の振動の積で、進まない定在波である。電場の節は kz=−jπ(j=0,1,…)にあり、導体面を含む。そこでは ∣coskz∣=1 で、磁場の腹になる。導体面で E=0 となり、境界条件 (9.41) を満たしている。Poynting ベクトルは
S=μ01E×B=μ0c4E02sinkzcoskzsinωtcosωtz^=μ0cE02sin2kzsin2ωtz^
である。sin2ωt の時間平均は0なので、⟨S⟩=0 である。エネルギーは節と腹のあいだを行き来するだけで、正味には流れない。4. 9.1-4 z=0 での実部は
Ex=2Ecosωt,Ey=ERe[(1+i)e−iωt]=E(cosωt+sinωt)
である。大きさの2乗は
∣E∣2=E2[4cos2ωt+1+2sinωtcosωt]=E2[3+2cos2ωt+sin2ωt]
である(4cos2ωt=2+2cos2ωt を使った)。2cos2ωt+sin2ωt の値の範囲は ±22+12=±5 である。したがって楕円の長半径と短半径は
E3+5=2.29E,E3−5=0.874E
となる。y 成分の位相は δ=arg(1+i)=π/4 である。これは0と π のあいだなので、正のヘリシティである。強度は
2cε0∣E0∣2=2cε0(4+2)E2=3cε0E2
である。長半径と短半径の2乗の和 (3+5)+(3−5)=6 が ∣E0∣2/E2 に一致することも確かめられる。5. 9.1-5 Re[ae−iωt]=21(ae−iωt+a∗eiωt) を使うと
Re[ae−iωt]⋅Re[be−iωt]=41(a⋅be−2iωt+a∗⋅b∗e2iωt+a⋅b∗+a∗⋅b).
e±2iωt の1周期にわたる平均は0である。したがって残るのは
41(a⋅b∗+(a⋅b∗)∗)=21Re(a⋅b∗)
である。
§9.2 物質中の電磁波
- 9.2-1 Z0=(1.2566×10−6)/(8.8542×10−12)Ω=376.7Ω である。非磁性の物質では Z=μ0/(ε0n2)=Z0/n である。したがって Z=376.7/1.33Ω=283Ω である。
- 9.2-2 分散関係を k で微分する。
2ωdkdωvgvpvg=2c2k=ωc2k=kω⋅ωc2k=c2(ω2=ωp2+c2k2 を微分した)
ナトリウムでは
ωp=(8.854×10−12)(9.109×10−31)(2.65×1028)(1.602×10−19)2s−1=9.18×1015s−1,λp=ωp2πc=205nm
である。これより短い波長(ω>ωp)の紫外線に対してナトリウムは透明になる。観測される透明化の波長も約 210 nm で、この単純な模型でよく合う。3. 9.2-3 s=μεω2、t=μσcω とおく。k′2−k′′2=s、2k′k′′=t から
(k′2+k′′2)2=(k′2−k′′2)2+4k′2k′′2=s2+t2
なので k′2+k′′2=s2+t2 である。第1式と足し引きして
k′2=2s2+t2+s=2s[1+(t/s)2+1],k′′2=2s[1+(t/s)2−1]
である。t/s=σc/(εω)、s=ωεμ から (9.28) を得る。x=σc/(εω)≪1 のときは 1+x2−1≃x2/2 なので
k′′≃ωεμ2x=ωεμ2εωσc=2σcεμ
である。4. 9.2-4 磁場の複素振幅は B0=(k~/ω)z^×E0 である。良導体では k~2=2/δ2=μσcω なので
∣B0∣2=ωμσc∣E0∣2
である。時間平均のエネルギー密度は (9.13) から
⟨uE⟩=4ε∣E0∣2,⟨uB⟩=4μ1∣B0∣2=4ωσc∣E0∣2
で、比は ⟨uB⟩/⟨uE⟩=σc/(εω) である。銅で 1.0 GHz なら
8.854×10−12×2π×1095.96×107=1.07×109
である。5. 9.2-5 連続の式 ∂tρf+∇⋅Jf=0 に Jf=σcE を入れる。さらに Gauss の法則 ∇⋅E=ρf/ε を使う(一様な物質で ∇⋅(εE)=ρf による)。すると
∂t∂ρf=−εσcρf
となる。各点で独立な1階の線形微分方程式なので、
ρf(r,t)=ρf(r,0)e−t/τr,τr=σcε
である。銅では τr=8.854×10−12/(5.96×107)s=1.49×10−19s となる。
この時間は、第5章の衝突時間 τ≈2.5×10−14s よりずっと短い。したがって実際の金属では Ohm の法則が成り立つ時間の範囲を外れており、電荷はプラズマ振動をしながら衝突時間の程度で消える。どちらにしても、電磁波の周期に比べて十分短い時間で自由電荷は0になる。
§9.3 境界での反射と屈折
- 9.3-1 (9.35) から R=((1.33−1)/(1.33+1))2=(0.33/2.33)2=0.020 で、約2% が反射される。
- 9.3-2 a′=n2cosθi、b′=n1cosθt とおくと
rp=a′+b′a′−b′,tp=a′+b′2n1cosθi
である。(9.36) の係数は n1cosθin2cosθt なので
Tp=n1cosθin2cosθt⋅(a′+b′)24n12cos2θi=(a′+b′)24(n2cosθi)(n1cosθt)=(a′+b′)24a′b′
で、Rp+Tp=[(a′−b′)2+4a′b′]/(a′+b′)2=1 である。後半について、s 偏光の磁束密度の z 成分を求める。k^×y^ の z 成分を使えばよい。
μ0Hz=Z1μ0sinθiE (入射波と反射波),Z2μ0sinθtEt (透過波)
μ0/Zj=nj/c なので、Bz の連続は次の式になる。
cn1sinθi(Ei+Er)=cn2sinθtEt
Snell の法則と接線成分の条件 Ei+Er=Et から、この式は自動的に成り立つ。3. 9.3-3 tanθB′=1.00/1.50 から θB′=33.7∘ である。tanθB=1.50 なので、tanθBtanθB′=1 である。つまり
tanθB′=cotθB=tan(90∘−θB)
で、θB+θB′=90∘(56.3∘+33.7∘)となる。これは、空気からガラスへの Brewster 角での屈折角が 90∘−θB=θB′ であることと同じ内容である。臨界角は 41.8∘ なので、θB′ はそれより小さい。4. 9.3-4 sinθc=1/2.42=0.413 から θc=24.4∘ である。臨界角が小さいので、ダイヤモンドに入った光は内部で全反射を繰り返しやすい。5. 9.3-5 n1=1、n2=n~ とする。反射係数は r=(1−n~)/(1+n~) である。σc≫ε0ω では
n~≃ε0ωiσc=(1+i)ν,ν=2ε0ωσc≫1
なので
R=∣1+ν+iν∣2∣1−ν−iν∣2=(1+ν)2+ν2(1−ν)2+ν2=2ν2+2ν+12ν2−2ν+1=1−2ν2+2ν+14ν≃1−ν2
となる。2/ν=22ε0ω/σc である。銅で 10 GHz なら
1−R≃25.96×1072×(8.854×10−12)×(2π×1010)=2×1.37×10−4=2.7×10−4
で、入射した電力のうち 0.03% 程度だけが金属に吸収される。
§9.4 導波管と共振器
9.4-1 b=a/2 なので fmn=2acm2+4n2 である。低い方から並べると次のとおりである(単位は c/(2a))。
- 1:TE10。
- 2:TE20 と TE01。
- 5=2.24:2つのモードが縮退する。TE11 と TM11 である。
TE10 だけが伝わる範囲は 1<f/(c/2a)<2 で、上端と下端の比は2倍である。2. 9.4-2 発散と2組の壁を順に調べる。
- 発散:Ey は y によらない。したがって ∇⋅E=∂yEy=0 である。磁場は
∇⋅B=∂xBx+ikzBz=−πikzaB0aπcosaπx+ikzB0cosaπx=0
である。
- 側壁 x=0,a:sin(πx/a)=0 である。接線成分のうち Ey はこの因子で0になり、Ez はもともと0である。法線成分 Bx∝sin(πx/a) も0になる。
- 上下の壁 y=0,b:接線成分 Ex=Ez=0 が恒等的に成り立つ。法線成分 By=0 も恒等的に成り立つ。
- 9.4-3 時間平均の Poynting ベクトルの z 成分は (9.13) から
⟨Sz⟩=2μ01Re(ExBy∗−EyBx∗)=−2μ01Re(EyBx∗)
である。
EyBx∗=πiωaB0sinaπx⋅πikzaB0sinaπx=−π2ωkza2B02sin2aπx
なので、⟨Sz⟩=2μ0π2ωkza2B02sin2aπx となる。断面で積分すると、∫0asin2(πx/a)dx=a/2 と ∫0bdy=b から
⟨P⟩=2μ0π2ωkza2B02⋅2a⋅b=4π2μ0ωkza3bB02
を得る。kz→0(遮断周波数)で電力は0になる。4. 9.4-4 分散関係を kz で微分する。
ωdkzdωvpvg=c2kz=kzω⋅ωc2kz=c2(ω2=c2(kz2+kc2) を微分して2で割った)
管内波長は λg=λ0/1−(fc/f)2 である。f=1.25fc なら根号の中は 1−0.64 で、その平方根は0.6である。したがって λg=λ0/0.6=1.67λ0 である。5. 9.4-5 立方体では fmnp=2Lcm2+n2+p2 で、少なくとも2つの指数が1以上でなければならない。最小は m2+n2+p2=2 である。指数の組は次の3つである。
(1,1,0),(1,0,1),(0,1,1)
それぞれ1つの指数が0なのでモードは1つずつで、縮退度は3である。周波数は f=2Lc2=2Lc で、L=10cm なら 2.12 GHz である。
後半について、Faraday の法則から iωBx=∂yEz−∂zEy である。(9.49) では、右辺に現れる2つの成分がどちらも因子 sin(mπx/a) を持つ。したがって右辺の2つの微分も同じ因子を持ち、壁 x=0 で0になる。よって Bx=0 である。
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