確率論入門 第3章 §3.7
3.1-1 F は、3つのブロック {1,2},{3,4},{5,6} の和集合として書ける集合からなる。その数は 23=8 個である。
- X は可測でない。{X≤1}={1} はどのブロックの和集合でもないので、F に入らない。
- Y は可測である。値 1, 2, 3 がそれぞれ1つのブロックに対応し、各ブロックの上で定数である(Y=1 が {1,2}、以下同様)。集合 {Y≤x} は次のように変わり、すべて F に入る。
{Y≤x}=⎩⎨⎧∅{1,2}{1,2,3,4}Ω(x<1)(1≤x<2)(2≤x<3)(x≥3)
2. 3.1-2 c の符号で分ける。
- c<0 なら、不等式 X2≤c を満たす点はない。よって {X2≤c}=∅ である。
- c≥0 なら、不等式 X2≤c は次と同値である。
−c≤X≤c
よって
{X2≤c}={X≤c}∖{X<−c}
である。定理 3.3 の (c) と (d) から右辺の2つの集合は F に入り、差集合も F に入る。
すべての c で {X2≤c}∈F である。よって (c) により X2 は確率変数である。3. 3.1-3 Z の値は次のとおりである。
Z(ω)=⎩⎨⎧0123(ω∈[0,41))(ω∈[41,21))(ω∈[21,43))(ω∈[43,1))
W=Zmod2 は
{W=0}=[0,41)∪[21,43),{W=1}=[41,21)∪[43,1)
となる。W の値は 0, 1 の2つなので、σ(W) は次の4個である。
σ(W)={∅, {W=0}, {W=1}, Ω}
Z は4つの値をとる。{Z∈B} は、B がどの値を含むかで決まる4区間の和集合である。よって σ(Z) は 24=16 個の元をもつ。4. 3.1-4 c∈R を固定し、Lc={x:g(x)≤c} とおく。点 x∈Lc と y≤x をとると、次が成り立つ。
g(y)≤g(x)≤cなのでy∈Lc.
したがって Lc は「ある点が入れば、それより左の点もすべて入る」集合である。s=supLc とおくと、Lc は次のいずれかになる。
∅,R,(−∞,s),(−∞,s].
実際、Lc が空でなく上に有界なら s は実数である。s より小さい点はすべて Lc に入り、大きい点は入らない。s 自身が入るかどうかで2通りになる。
どれも Borel 集合である。よって定理 3.3 の (c) を (Ω,F)=(R,B(R)) に適用して、g は Borel 可測である。5. 3.2-1 PX({c})=P(X=c) なので、条件は P(X=c)=1 である。すなわち X がほとんど確実に定数 c に等しいことである。このとき Borel 集合 B について、2つの場合がある。
- c∈B なら、包含 {X∈B}⊃{X=c} が成り立つ。よって PX(B)=1 である。
- c∈/B なら、{X∈B}⊂{X=c} より次が成り立つ。
PX(B)≤P(X=c)=0
したがって PX=δc である。6. 3.2-2 X=1/ω は区間 (0,1) の上で 1 より大きい値をとる。よって x≤1 なら事象 {X≤x} は空で、確率は 0 である。1 より大きい x では、次の同値が成り立つ。
ω1≤x⟺ω≥x1
よって
P(X≤x)=P(ω∈[1/x,1))=1−x1
である。したがって P(X>10)=1−(1−101)=101 である。7. 3.2-3 36通りの組 (ω1,ω2) のうち、差の絶対値が k になる組の数を数える。
- k=0 では、対角の6通りである。
- k≥1 では、第1の目が第2の目よりちょうどその差だけ大きい組が 6−k 通りある。その逆も同数あるので、計 2(6−k) 通りである。
したがって
PD({0})=366, PD({1})=3610, PD({2})=368, PD({3})=366, PD({4})=364, PD({5})=362
となる。合計は (6+10+8+6+4+2)/36=1 である。8. 3.2-4 (3.8) から次が成り立つ。
Pg(X)=PX∘g−1,Pg(Y)=PY∘g−1.
PX=PY なので右辺どうしが等しく、g(X)=dg(Y) である。
後半の例として、確率 1/2 ずつで ±1 をとる確率変数 X を考える。Y=−X とおく。Y も同じ分布をもつので、X=dY である。
しかし X+X=2X は ±2 をとる。一方 X+Y は常に 0 なので、2つの分布は異なる。和の分布は各成分の分布だけでは決まらず、同時分布(第4章)が必要になる。9. 3.3-1 - (a) は分布関数である。導関数は次のとおり正なので、F は増加する。
F′(x)=(1+e−x)2e−x>0
連続なので右連続であり、x→−∞ で 0、x→∞ で 1 に近づく。
- (b) は分布関数でない。F(0)=21 だが limh↓0F(h)=1 なので、原点で右連続でない。
- (c) は分布関数でない。x<0 で F(x)<0 となり、値が区間 0〜1 に入らない。x→−∞ では −∞ に発散するので、性質 (iii) が成り立たない。
- 3.3-2 表 (3.12) と (3.11) を使って順に計算する。
P(X=0)P(X=1)P(0<X<1)P(1≤X≤2)P(X>2)=F(0)−F(0−)=31−0=31,=F(1)−F(1−)=(1−21)−31=61,=F(1−)−F(0)=31−31=0,=F(2)−F(1−)=(1−21e−1)−31=32−2e1≈0.4827,=1−F(2)=2e1≈0.1839.
検算として、互いに素な4つの事象の確率を足す。
P(X=0)+P(0<X<1)+P(1≤X≤2)+P(X>2)=31+0+32−2e1+2e1=1
11. 3.3-3 次のように変形できる。
FY(y)=P(−X≤y)=P(X≥−y)=1−P(X<−y)=1−F((−y)−)
事象 X≥−y が端点 −y を含むので、左極限が現れる。3.3-2 の分布では、次の2通りの計算が一致する。
P(Y≤−1)P(Y≤−1)=1−F(1−)=1−31=32,=P(X≥1)=P(X=1)+P(X>1)=61+21=32(直接計算).
12. 3.3-4 実数 x を任意にとる。D は稠密なので、右から収束する点列 dn↓x をこの集合の中にとれる。各 n で FX(dn)=FY(dn) であり、分布関数の右連続性から
FX(x)=n→∞limFX(dn)=n→∞limFY(dn)=FY(x)
となる。よって FX=FY が実数全体で成り立つ。定理 3.12(a) から PX=PY、すなわち X=dY である。13. 3.4-1 - (a) 離散(αd=1)。N は非負整数に値をとり、非負整数全体は可算集合だからである。
- (b) 離散と絶対連続の混合。V=min(U,21) の値は、U の範囲で次のように決まる。
V={21U(U≥21, 確率 21)(U<21)
したがって P(V=21)=21 の原子をもち、残りは [0,21) 上の密度 1 で分布する。係数は次のとおりである。
αd=21,αac=21,αsc=0.
- (c) 絶対連続(αac=1)。0≤x≤1 で次が成り立つ。
P(U2≤x)=P(U≤x)=x=∫0x2tdt
つまり密度 2t1(0<t<1)の積分に等しい。14. 3.4-2 到着時刻 T は、周期 [0,100) 上の一様分布に従うとする。区間 [0,60) を赤、[60,100) を青とする。
- 青に着けば W=0 で、その確率は 10040=0.4 である。
- 赤の時刻 T に着けば W=60−T である。到着時刻が [0,60) を一様に動くとき、待ち時間は (0,60] を動く。
0<w≤60 では
P(0<W≤w)=P(60−w≤T<60)=100w
である。したがって分布関数は
FW(w)=⎩⎨⎧00.4+100w1(w<0)(0≤w<60)(w≥60)
となる。w=60 で 0.4+0.6=1 となり、跳びは原点の1点だけである。係数は次のとおりである。
αd=0.4 (原子 0),αac=0.6 (Fac は U(0,60)),αsc=0.
最後に P(W>30)=1−FW(30)=1−0.7=0.3 である。15. 3.4-3 91=(0.01)3=(0.00222⋯)3 と書き直すと、桁は 0, 2 だけである。よって (3.18) が使える。
FC(91)=(0.00111⋯)2=41
次に 92=(0.02)3 なので、FC(92)=(0.01)2=41 である。区間 (91,92) は第2段で取り除いた区間なので、2つの値は等しい。
101 の3進展開は、3倍して整数部を取り出す操作で求める。
101×3103×3109×3107×3=103=109=2+107=2+101(整数部 0)(整数部 0)(整数部 2)(整数部 2)
以後繰り返す。よって 101=(0.0022)3 で、桁は 0, 2 だけである。対応する2進数は
FC(101)=(0.0011)2=163⋅1−1/161=153=51
である。したがって答えは次のとおりである。
P(X≤91)=P(X≤92)=41,P(X≤101)=51.
16. 3.4-4 x<y とすると
∣F(y)−F(x)∣=∫xyf(t)dt≤∫xyMdt=M(y−x)
となる。x>y でも同じである。したがって F は(Lipschitz)連続である。(3.11) から P(X=x)=F(x)−F(x−)=0 となり、原子はない。
(f が有界でない場合も結論は正しいが、その証明には第5章の Lebesgue 積分の性質を使う。)17. 3.5-1 分布関数は次のとおりである。
F(x)=⎩⎨⎧01−p1(x<0)(0≤x<1)(x≥1)
F(x)≥u となる最小の点は、u の大きさで決まる。u≤1−p なら 0、u>1−p なら 1 である。したがって
F−1(u)={01(0<u≤1−p)(1−p<u<1),F−1(U)=1{U>1−p}
であり、P(F−1(U)=1)=P(U>1−p)=p となって確かに Bernoulli 分布に従う。18. 3.5-2 F は連続で狭義増加なので、u=21+π1arctanx を解けばよい。
F−1(u)=tan(π(u−21))
値は F−1(0.75)=tan(π/4)=1、F−1(0.975)=tan(0.475π)≈12.706 である。正規分布では上側2.5%点が約1.96であるのに比べてはるかに大きく、Cauchy 分布の裾が重いことが分かる。19. 3.5-3 F の形は次のとおりである。
- 区間 [0,1) で、0 から 41 へ傾き 1/4 で増える。
- 区間 [1,2) で、1/2 から 43 へ傾き 1/4 で増える。
- 点 1 と点 2 で、41 ずつ跳ぶ。
F(x)≥u となる最小の x を区間ごとに求めると
F−1(u)=⎩⎨⎧4u11+4(u−21)2(0<u≤41)(41<u≤21)(21<u≤43)(43<u<1)
となる。第1行は x/4=u を解いたもの、第3行は 21+4x−1=u を解いたものである。
境目の u=41 を確かめる。x<1 のすべての点で F(x)=x/4<41 である。一方 F(1)=21≥41 なので、F−1(41)=1 となる。
第1行の式も 4⋅41=1 を与えるので、どちらの行に含めても値は同じである。境目 u=43 も同様に F−1(43)=2 である。
F−1(u)=1 となるのは 41≤u≤21 のときである。この区間の長さは 41 なので、P(F−1(U)=1)=41 である。これは例題 3.4 の P(X=1) と一致する。20. 3.5-4 u∈(0,1) を固定し、L={x:F(x)≤u} とおく。F は非減少なので、L は 3.1-4 の解答と同じく左に閉じた形の集合である。つまり次のいずれかである。
∅,(−∞,s),(−∞,s].
F(x)→1>u なので、L=R にはならない。また {F(X)≤u}={X∈L} である。場合ごとに確率を抑える。
- L=∅ なら、確率は 0≤u である。
- L=(−∞,s] なら、右端が入るので P(X∈L)=F(s)≤u である。
- L=(−∞,s) なら、右端より左のすべての点で F(x)≤u である。よって次が成り立つ。
P(X∈L)=P(X<s)=F(s−)=x↑slimF(x)≤u
いずれの場合も P(F(X)≤u)≤u が成り立つ。F が連続なら、定理 3.21 により等号になる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com