確率論入門 第5章 §5.7
5.1 の解答
5.1-1 s のとる値は、場所ごとに次のとおりである。
- A∩B の上で 2。
- A△B=(A∖B)∪(B∖A) の上で 1。
- (A∪B)c の上で 0。
よって標準形は
s=2⋅1A∩B+1⋅1A△B+0⋅1(A∪B)c
である。P(A△B)=P(A)+P(B)−2P(A∩B)=0.6 なので、
E[s]=2×0.1+1×0.6=0.8
となり、P(A)+P(B)=0.8 と一致する。2. 5.1-2 k=1,2,… について
⌊1/ω⌋=k⟺k≤1/ω<k+1⟺ω∈(k+11,k1]
なので、P(X=k)=k1−k+11=k(k+1)1 である。単関数 sm=∑k≤mk1{X=k} は増加列で、sm↑X である。定理 5.5 から
E[X]=mlimk=1∑mk⋅k(k+1)1=k=1∑∞k+11=∞
である。同様に 1/X について
E[1/X]=k=1∑∞k1⋅k(k+1)1=k=1∑∞(k21−k1+k+11)=6π2−1
となる。部分分数分解 k2(k+1)1=k21−k1+k+11 と、∑k(k1−k+11)=1 を使った。各級数は収束するので分けてよい。数値は約 0.6449 である。3. 5.1-3 −∣X∣≤X≤∣X∣ である。定理 5.7 (ii) から −E[∣X∣]≤E[X]≤E[∣X∣] となる。これは ∣E[X]∣≤E[∣X∣] と同じである。4. 5.1-4 P(X=(−1)kk)=k(k+1)1 である。X+ は、偶数番目の区間で k、それ以外で 0 である。5.1-2 と同じく単関数の増加列で近似して、
E[X+]E[X−]=k偶数∑k(k+1)k=31+51+71+⋯=∞,=k奇数∑k+11=21+41+⋯=∞
である。よって E[X]=E[X+]−E[X−] は ∞−∞ となり定義されない。
級数 ∑k(−1)kk+11 は条件収束するが、絶対収束しない。したがって項を並べ替えると、任意の値に収束させることができる(Riemann の再配列定理)。標本点の番号の付け方に依存する値を期待値と呼ぶことはできない。
5.2 の解答
- 5.2-1 各点で Xn(ω) は 0 と 1 を交互にとる。A の点では 1, 0, 1, 0, … と並び、Ac の点では 0, 1, 0, 1, … と並ぶ。よって liminfnXn=0 で、E[liminfXn]=0 である。一方、期待値の列は P(A) と 1−P(A) を交互にとる。よって liminfE[Xn]=min(P(A),1−P(A))>0 であり、不等号は等号にならない。
- 5.2-2 (a) 正の整数 a,b について、Beta 積分
∫01ωa−1(1−ω)b−1dω=(a+b−1)!(a−1)!(b−1)!
が成り立つ(部分積分を繰り返して得られる)。a=2, b=n+1 とすると
E[nω(1−ω)n]=n⋅(n+2)!1!n!=(n+1)(n+2)n→0
である。
有界収束定理でも確認する。1−ω≤e−ω から
0≤nω(1−ω)n≤nωe−nω≤u>0supue−u=e−1
である。各点で (1−ω)n は幾何級数的に 0 に近づくので、nω(1−ω)n→0 である。よって期待値は 0 に収束する。
(b) 同じ計算で E[n2ω(1−ω)n]=(n+1)(n+2)n2→1 である。一方、各点では n2ω(1−ω)n→0 なので、各点極限の期待値は 0 である。
一致しないのは、可積分な優関数が存在しないからである。0<ω≤21 について n=⌊1/ω⌋ を選ぶ。
- n≥ω1−1≥2ω1 なので、n2ω≥4ω1 である。
- n≤1/ω である。また (1−ω)1/ω は減少関数である。よって
(1−ω)n≥(1−ω)1/ω≥(21)2=41.
よって supnn2ω(1−ω)n≥16ω1 である。∫01/216ωdω=∞ なので、どの優関数も可積分でない。3. 5.2-3 0<ω<1 で 0<ω/2<21 なので、幾何級数の展開が成り立ち、各項は非負である。系 5.10 から
E[1−ω/21]=k=0∑∞2kE[ωk]=k=0∑∞(k+1)2k1=2j=1∑∞j(1/2)j=−2log(1−21)=2log2
である(−log(1−x)=∑j≥1xj/j を x=21 で使った)。直接の積分
∫011−ω/2dω=[−2log(1−ω/2)]01=2log2
とも一致する。4. 5.2-4 E[X1]<∞ なので X1<∞ a.s. である。確率 0 の集合を除いて、X1−Xn が定まる。X1−Xn は非負の増加列で X1−X に収束する。単調収束定理から E[X1−Xn]↑E[X1−X] である。
0≤Xn≤X1 なので、すべて有限である。線形性から E[X1]−E[Xn]→E[X1]−E[X]、すなわち E[Xn]↓E[X] を得る。
例:Ω=(0,1) で Xn(ω)=nω1 と置く。Xn↓0 だが、すべての番号で
E[Xn]=n1∫01ωdω=∞
が成り立つ。よって E[0]=0 に収束しない。
5.3 の解答
- 5.3-1 (a) 標本点の上の和は 61(4+1+0+1+4+9)=619 である。(b) Y=g(X) の分布は次のとおりである。
P(Y=0)=61 (X=3),P(Y=4)=62 (X=1,5),P(Y=1)=62 (X=2,4),P(Y=9)=61 (X=6)
よって
E[Y]=0⋅61+1⋅62+4⋅62+9⋅61=619
である。変数変換公式のとおり一致する。2. 5.3-2 裾の公式から
E[X]=∫0∞(1+t)−3dt=[−21(1+t)−2]0∞=21
である。p=2 の形から
E[X2]=∫0∞2t(1+t)−3dt=2∫0∞((1+t)−2−(1+t)−3)dt=2(1−21)=1
である(t=(1+t)−1 と分けた)。3. 5.3-3 変数変換公式から E[Z]=∫0∞2e−xe−xdx=2⋅21=1 である。0 以上の x について
Q(X≤x)=E[Z;X≤x]=∫0x2e−t⋅e−tdt=1−e−2x
なので、Q のもとで X∼Ex(2) である。(5.15) から
EQ[X]=E[2Xe−X]=∫0∞2xe−2xdx=21
で、Ex(2) の平均 21 と一致する。4. 5.3-4 X(ω)=m とする。指示関数 1{X≥k}(ω) は、k≤m で 1、それより大きい番号で 0 である。よって ∑k≥11{X≥k}(ω)=m=X(ω) である。値が無限大の点でも、両辺は無限大で等しい。
各項は非負なので、系 5.10 から次を得る。
E[X]=k≥1∑E[1{X≥k}]=k≥1∑P(X≥k)
5.4 の解答
- 5.4-1 μ=E[X] とすると E[aX+b]=aμ+b である。よって
V[aX+b]=E[(aX+b−aμ−b)2]=E[a2(X−μ)2]=a2V[X].
2. 5.4-2 周辺は P(X=1)=0.2+0.3=0.5、P(Y=1)=0.1+0.3=0.4 である。よって E[X]=0.5, E[Y]=0.4 である。E[XY]=p(1,1)=0.3 なので、Cov(X,Y)=0.3−0.5×0.4=0.1 である。0,1 値なので E[X2]=E[X] である。V[X]=0.5×0.5=0.25、V[Y]=0.4×0.6=0.24 となるので
ρ(X,Y)=0.25×0.240.1=0.060.1≈0.408
である。3. 5.4-3 箱 i が空である事象を Ei とする。M=∑i=131Ei である。
- 3個の玉がどれも箱 i 以外に入る確率は、P(Ei)=(32)3=278。
- i=j で両方が空になる確率は、P(Ei∩Ej)=(31)3=271。
よって E[M]=3⋅278=98 であり、
E[M2]=i∑P(Ei)+i=j∑P(Ei∩Ej)=2724+6⋅271=2730=910,V[M]=910−8164=8126
である。3つとも空になることは無い(E1∩E2∩E3=∅)。4. 5.4-4 密度は (−1,1) の上で 21 である。奇関数の積分なので
E[X]=∫−112xdx=0,E[X⋅X2]=∫−112x3dx=0
である。よって Cov(X,X2)=0−0⋅E[X2]=0 である。
独立でないこと:A={∣X∣<21} と置くと、{X2<41}=A である。したがって
P(∣X∣<21,X2<41)=P(A)=21,P(∣X∣<21)P(X2<41)=21⋅21=41
であり、積の等式が成り立たない。
5.5 の解答
- 5.5-1 差 q−p は、点 1, 2 で 41−61=121 である。点 3, …, 6 では 81−61=−241 である。(5.21) から
dTV=21(2⋅121+4⋅241)=61
である。上限は {q>p}={1,2}(またはその補集合 {3,4,5,6})で達成される。実際 q({1,2})−p({1,2})=21−31=61 である。2. 5.5-2 密度は f=1(0,1)、g=a11(0,a) である。f>g となるのは (0,1) の上である。そこで f−g=1−a1 である。よって dTV=∫01(1−a1)dx=1−a1 である。3. 5.5-3 ϕ(x)=2π1e−x2/2 と置く。2つの密度は ϕ(x)、ϕ(x−μ) である。
ϕ(x)>ϕ(x−μ)⟺x2<(x−μ)2⟺2μx<μ2⟺x<μ/2
なので、A∗=(−∞,μ/2) である。よって
dTV=∫−∞μ/2(ϕ(x)−ϕ(x−μ))dx=Φ(μ/2)−Φ(−μ/2)=2Φ(μ/2)−1
である(Φ(−y)=1−Φ(y))。μ=1 では 2Φ(0.5)−1≈2×0.69146−1=0.383 である。4. 5.5-4 任意の Borel 集合 B をとる。g が Borel 可測なので、A=g−1(B) も Borel 集合である。
P(g(X)∈B)−P(g(Y)∈B)=P(X∈A)−P(Y∈A)
右辺の絶対値は dTV(X,Y) 以下なので、B について上限をとって結論を得る。関数を通すと、異なっていた値が同じ値に移ることはあっても、新しい違いが生じることは無い。
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