確率論入門 第7章 §7.6
7.1 の解答
- 7.1-1 X の密度は f(x)=λe−λx1(0,∞)(x) である。(7.7) で a=c、b=0 とすると
fcX(y)=c1f(cy)=cλe−(λ/c)y1(0,∞)(y)
で、これは Ex(λ/c) の密度である。時間の単位を c 倍に取り直すと、単位時間あたりの率は 1/c 倍になる。2. 7.1-2 g(x)=x は正の実数の上で g′>0 を満たす。像と逆関数は
J=(0,∞),h(y)=y2,h′(y)=2y
である。定理 7.1 から y>0 で
fY(y)=e−y2⋅2y=2ye−y2.
P(Y>1)=P(X>1)=e−1≈0.368 である。分布関数は FY(y)=P(X≤y2)=1−e−y2 である。FY(m)=21 から m2=log2 となる。中央値は m=log2≈0.833 である。3. 7.1-3 I1=(−1,0) と I2=(0,1) に分ける。どちらの枝でも Jk=(0,1) であり、
h1(y)=−y,h2(y)=y,∣hk′(y)∣=2y1
である。定理 7.2 から 0<y<1 で
fY(y)=(21−y+21+y)2y1=2y1.
f の非対称な部分 2x は、2つの枝で打ち消し合う。Y は、X∼U(−1,1) のときの2乗と同じ分布になる。
P(Y≤41)=∫01/42ydy=1/4=21
4. 7.1-4 X の密度は f(x)=2πσ1exp(−2σ2(x−μ)2) である。(7.7) から
faX+b(y)=∣a∣1⋅2πσ1exp(−2σ2((y−b)/a−μ)2).
分子と分母に a2 を掛けると、指数の中は 2a2σ2(y−b−aμ)2 と書き直せる。また ∣a∣σ=a2σ2 である。したがって
faX+b(y)=2πa2σ21exp(−2a2σ2(y−(aμ+b))2)
で、N(aμ+b,a2σ2) の密度である。a<0 でも絶対値と2乗しか現れないので、同じ計算が成り立つ。5. 7.1-5 分布関数を場合分けで求める。
- y<0 では、Y は負にならないので分布関数は0である。
- y≥0 では、{Y≤y}={X≤y} である。したがって FY(y)=Φ(y) である。
したがって FY は0で、0から Φ(0)=21 へ跳ぶ。すなわち P(Y=0)=21>0 である。密度を持つ確率変数は原子を持たない(P(Y=c)=∫{c}f=0)ので、Y は密度を持たない。
Y の分布は、次の2つの混合である。
- 0の原子(重み1/2)。
- (0,∞) 上の密度 ϕ の部分(重み1/2)。
7.2 の解答
- 7.2-1 g(x,y)=(x+y,x−y) は線形で、行列と行列式は
A=(111−1),detA=−2
である。(7.11) から fS,D(s,d)=21f(A−1(s,d)) である。A−1(s,d)=(2s+d,2s−d) が単位正方形に入るときに f=1 となる。したがって
fS,D(s,d)=21(0<2s+d<1, 0<2s−d<1)
で、それ以外では0である。値をとる範囲は ∣d∣<s<2−∣d∣ である。これは頂点 (0,0),(1,1),(2,0),(1,−1) の正方形で、面積2に密度1/2が一様に乗る。2. 7.2-2 g(x,y)=(xy,x) は、(0,1)2 から次の集合への全単射である。
V={(z,w):0<z<w<1},h(z,w)=g−1(z,w)=(w,z/w)
ヤコビ行列と行列式は
Dh=(01/w1−z/w2),detDh=−w1
だから、0<z<w<1 で fZ,W(z,w)=w1 である。w について積分すると、0<z<1 で
fZ(z)=∫z1wdw=−logz.
分布関数と求める確率は
FZ(z)=∫0z(−logt)dt=z−zlogz,P(Z≤21)=21+21log2≈0.847
である。3. 7.2-3 (U,V)=Q(X,Y) と書ける。ここで
Q=21(111−1),QQ⊤=I,∣detQ∣=1
であり、Q は直交行列である。(7.11) から
fU,V(u,v)=f(Q−1(u,v))=2π1exp(−21Q−1(u,v)2)=2π1e−(u2+v2)/2.
直交行列は長さを保つので、Q−1(u,v)2=u2+v2 である。右辺は次のように積に分かれる。
2π1e−u2/2⋅2π1e−v2/2
したがって U,V は独立で N(0,1) に従う。X+Y=2U で、確認テスト 7.1-4 から 2U∼N(0,2) である。4. 7.2-4 (X,Y) の密度は円板の上で 1/π である。極座標 (R,Θ) に移ると、定理 7.4 から (0,1)×(0,2π) 上で
fR,Θ(r,θ)=πr=2r⋅2π1
となる。したがって R と Θ は独立である。また fR(r)=2r、Θ∼U(0,2π) である。S=R2 は、定理 7.1 により 0<s<1 で
fS(s)=2s⋅2s1=1
を満たし、U(0,1) に従う。S は R の関数なので、偏角と独立である。
次に (X,Y)/S=(cosΘ,sinΘ) だから
(XS−2logS, YS−2logS)=(−2logScosΘ, −2logSsinΘ).
S∼U(0,1) と Θ∼U(0,2π) は独立である。Θ=2πU2、S=U1 と置けば、右辺は Box–Muller の式 (7.14) と同じ分布を持つ。定理 7.7 から、2つの成分は独立で N(0,1) に従う。
正方形 (−1,1)2 上の一様な点を、円板に入るまで取り直せば、円板上の一様分布が得られる。したがってこの方法は、三角関数を計算せずに正規乱数を作る。
7.3 の解答
- 7.3-1 (7.15) で2つの測度の役を入れ替える。畳み込みの可換性から
(δa∗μ)(B)=(μ∗δa)(B)=∫Rμ(B−y)δa(dy)
と書ける。δa は点 a に質量1を置く測度である。したがって積分は、被積分関数のその点での値 μ(B−a) になる。確率変数の言葉では、分布 μ の確率変数に定数を足すと、その分布は μ をずらしたものになる、ということである。2. 7.3-2 k≥2 について (7.16) から
P(X+Y=k)=j=1∑k−1(1−p)j−1p(1−p)k−j−1p=j=1∑k−1p2(1−p)k−2=(k−1)p2(1−p)k−2.
和の各項が j によらないので、条件付き確率は一様分布になる。
P(X=j∣X+Y=k)=(k−1)p2(1−p)k−2p2(1−p)k−2=k−11(j=1,…,k−1)
X+Y は2回目の成功までの試行回数で、その分布を負の二項分布と呼ぶ(第6章 §6.1)。3. 7.3-3 z>0 で (7.18) から
fX+Y(z)=∫0zλe−λxμe−μ(z−x)dx=λμe−μz∫0ze(μ−λ)xdx=μ−λλμ(e−λz−e−μz).
μ→λ の極限を調べるため、μ=λ+ε と置く。
e−λz−e−(λ+ε)z=e−λz(1−e−εz)=e−λz(εz+O(ε2))
だから
fX+Y(z)=ελ(λ+ε)e−λz(εz+O(ε2))→λ2ze−λz
となる。これは (7.19) の n=2、すなわち Ga(2,λ) の密度に一致する。4. 7.3-4 定理 7.9 の (7.15) を B={z} に使うと、
P(X+Y=z)=∫RPX({z}−y)PY(dy)=∫RP(X=z−y)PY(dy)=∫R0PY(dy)=0.
X が原子を持たないので、どの点でも被積分関数が0になるからである。Y が原子を持つかどうかは関係しない。
7.4 の解答
- 7.4-1 冪級数 (7.22) に s=0 を入れると、定数項だけが残る。したがって、任意の非負整数値の Z について GZ(0)=P(Z=0) が成り立つ。定理 7.14 から
P(SN=0)=GSN(0)=GN(GX(0))=GN(P(X1=0))
である。意味としては、n 個すべてが0になる確率を、個数の分布で平均したものである。
P(SN=0)=n∑P(N=n)P(X1=0)n
2. 7.4-2 二項定理と定義から
GN(s)=k∑(kn)qk(1−q)n−ksk=(1−q+qs)n,GX(s)=1−p+ps
である。定理 7.14 から
GSN(s)=(1−q+q(1−p+ps))n=(1−pq+pqs)n.
これは Bin(n,pq) の確率母関数である。確率母関数は分布を決めるので、SN∼Bin(n,pq) である。各試行が「確率 q で数えられ、さらに確率 p で成功する」と読めば、成功確率がその積の試行を繰り返すのと同じである。3. 7.4-3 p0=0 なので、ランダム和はガンマ分布 Ga(n,λ)(個数は1以上)の混合である。(7.21) を B=(−∞,z] に使い、非負の項の和と積分を入れ替える(単調収束定理)。m=n−1 と置いて指数関数の冪級数を使うと、z>0 で次の密度が得られる。
f(z)=n=1∑∞(1−q)n−1q(n−1)!λnzn−1e−λz=qλe−λzm=0∑∞m!((1−q)λz)m=qλe−λze(1−q)λz=qλe−qλz
これは Ex(λq) の密度である。
平均の確認:E[SN]=E[N]E[X1]=q1⋅λ1 である。これは Ex(λq) の平均と一致する。4. 7.4-4 E[X1]=23、E[X12]=21+4=25 である。定理 7.15 の複合 Poisson の場合から
E[SN]=4⋅23=6,V[SN]=4⋅25=10.
SN=2 となるのは次のどちらかである。
- N=1 で X1=2。
- N=2 で X1=X2=1。
したがって
P(SN=2)=4e−4⋅21+242e−4⋅41=2e−4+2e−4=4e−4≈0.0733.
5. 7.4-5 次の事象は σ(X1,…,Xn−1) に属する。
{N≥n}={S1≤0,…,Sn−1≤0}
まとめ方の補題(第4章 §4.2)により、これは Xn と独立である。また E∣X1∣=1<∞、E[X1]=0 である。
仮に E[N]<∞ なら、定理 7.16 から E[SN]=E[N]⋅0=0 となる。ところが N<∞ の上では、定義から SN=1 である。P(N<∞)=1 だから E[SN]=1 となる。
0=1 なので矛盾し、E[N]=∞ でなければならない。+1 にはいつか必ず到達するのに、到達までの平均時間は無限大になる。
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