確率論入門 第8章 §8.6
8.1 の解答
- 8.1-1 偶数番目と奇数番目の和に分けると、次の2式が成り立つ。
GX(−1)GX(1)=k∑pk(−1)k=k偶数∑pk−k奇数∑pk,=k偶数∑pk+k奇数∑pk=1
2式を足して2で割ると、P(X が偶数)=21(1+GX(−1)) を得る。X∼Po(λ) では GX(−1)=e−2λ である。したがって確率は 21(1+e−2λ) である。2. 8.1-2 ∣s∣≤1 で ∣(1−p)s∣<1 だから、等比級数の和の公式より
G(s)=k≥1∑(1−p)k−1psk=psj≥0∑((1−p)s)j=1−(1−p)sps
である。この式は ∣s∣<1/(1−p) まで有効で、1の近くで微分できる。q=1−p と書くと
G′(s)=(1−qs)2p(1−qs)+psq=(1−qs)2p,G′′(s)=(1−qs)32pq
である。したがって
G′(1)E[X]=p2p=p1,G′′(1)=p32pq=p22q,=p1,V[X]=p22q+p1−p21=p22q+p−1=p2q=p21−p
を得る。3. 8.1-3 定理 8.5 から
GS(s)=GN(GX(s))=exp(λ(1−p+ps−1))=exp(λp(s−1))
である。これは Po(λp) の確率母関数なので、命題 8.2 から S∼Po(λp) である。Poisson 分布に従う数の事象を独立に確率 p で残すと、残った数はまた Poisson 分布に従い、平均は p 倍になる。4. 8.1-4 rk=P(X>k)=∑j>kpj と置く。∣s∣<1 で、非負の項の二重和の順序を入れ替えて(あるいは絶対収束から)
(1−s)k≥0∑rksk=k≥0∑rksk−k≥1∑rk−1sk=r0+k≥1∑(rk−rk−1)sk=(1−p0)−k≥1∑pksk=1−GX(s)
となる。ここで r0=1−p0、rk−rk−1=−pk を使った。rk≤1 より、左辺の級数は ∣s∣<1 で絶対収束する。
s↑1 とする。
- 左辺の ∑krksk は、単調収束定理により ∑krk に近づく。
- 右辺の比は、平均値の定理により、ある c∈(s,1) での GX′(c) に等しい。定理 8.3 から、これは E[X] に近づく。
よって E[X]=∑k≥0P(X>k) である(両辺が無限大の場合も含む)。
8.2 の解答
- 8.2-1 定義から
MaX+b(t)=E[et(aX+b)]=ebtE[e(at)X]=ebtMX(at)
である。したがって t∈DaX+b と at∈DX は同値である。
a=−2 では条件は −2t∈(−1,2) である。これは t∈(−1,21) と同じである。よって D−2X+1=(−1,21) である。2. 8.2-2 M(t)=exp(λ(et−1)) を順に微分する。
M′M′′M′′′=λetM,=λetM+λetM′=(λet+λ2e2t)M,=(λet+2λ2e2t)M+(λet+λ2e2t)λetM
原点で M=1 だから、次のようになる。
E[X3]=M′′′(0)=λ+2λ2+λ2+λ3=λ3+3λ2+λ
3. 8.2-3 t=0 で MX(t)=∫01etxdx=tet−1 である。また MX(0)=1 である。指数関数の級数から
tet−1=k≥1∑k!tk−1=k≥0∑(k+1)!tk=k≥0∑k+11⋅k!tk
となる。(8.13) と係数を比べて、E[Xk]=k+11 を得る。4. 8.2-4 ∣t∣<1 のとき
MX(t)=21∫0∞e−(1−t)xdx+21∫−∞0e(1+t)xdx=21(1−t1+1+t1)=1−t21
である(∣t∣≥1 ではどちらかの積分が発散する)。1−t21=1+t2+t4+⋯ を ∑k!E[Xk]tk と比べる。E[X2]=2!=2、E[X4]=4!=24 を得る。5. 8.2-5 μ=E[X] と置く。不等式 ey≥1+y を y=t(X−μ) に使う。両辺に定数 etμ を掛ける。
etX≥etμ(1+t(X−μ))
右辺は可積分で、期待値は etμ である。したがって MX(t)≥etμ を得る(MX(t)=∞ の場合も成り立つ)。
凸性については、s,t∈DX、0≤θ≤1 とする。指数関数の凸性から、各点で次が成り立つ。
e(θs+(1−θ)t)X≤θesX+(1−θ)etX
期待値をとれば MX(θs+(1−θ)t)≤θMX(s)+(1−θ)MX(t) となる。
8.3 の解答
- 8.3-1 前半は φX(t)=21eit+21e−it=cost である。後半の確率変数については、次のようになる。
φX(t)φ−X(t)=43eit+41e−it=cost+2isint,=43e−it+41eit=cost−2isint
−X は −1 を確率3/4、1を確率1/4でとるからである。これは φX(t) に等しい。2. 8.3-2 φX(t)=GX(eit)=exp(λ(eit−1)) である。微分すると
φ′φ′′=iλeitφ,=(−λeit+(iλeit)2)φ=−(λeit+λ2e2it)φ
である。原点で φ′(0)=iλ、φ′′(0)=−(λ+λ2) である。定理 8.18 より
E[X]=λ,E[X2]=λ+λ2,V[X]=λ.
3. 8.3-3 複素数 c=−(λ−it) について、dxdecx=cecx である(実部と虚部を微分すれば確かめられる)。したがって
φX(t)=∫0∞λe−(λ−it)xdx=[−(λ−it)λe−(λ−it)x]0∞=λ−itλ
である。e−(λ−it)x=e−λx→0 なので、上端の値は0である。分母を実数化すると
λ−itλ=λ2+t2λ(λ+it)=λ2+t2λ2+iλ2+t2λt
となる。∣t∣→∞ で ∣φX(t)∣=λ/λ2+t2→0 である。4. 8.3-4 ψ がある X の特性関数だったとする。ψ(t)=1−t4+o(t4) だから、ψ は原点で2回微分可能である。1階と2階の微分係数はともに0である。命題 8.19 から E[X2]=−ψ′′(0)=0 で、ほとんど確実に X=0 である。すると特性関数は恒等的に1のはずだが、ψ(1)=e−1=1 で矛盾する。よって ψ は特性関数ではない。5. 8.3-5 pj=P(X=j) と置く。φX(t)=∑jpjeijt であり、∑jpjei(j−k)t=1 である。したがって Fubini の定理(あるいは優収束定理)により、積分と和を交換できる。
2π1∫−ππe−iktφX(t)dt=j∑pj⋅2π1∫−ππei(j−k)tdt=pk
最後の等号は次による。
- j=k なら、積分は 2π である。
- j=k なら、積分は [i(j−k)ei(j−k)t]−ππ=0 である。
8.4 の解答
- 8.4-1 命題 8.24 から、2次以上で κk(Y)=akκk(X) である。したがって
γ1(Y)=(a2κ2)3/2a3κ3=∣a∣3a3γ1(X)=sgn(a)γ1(X),γ2(Y)=a4κ22a4κ4=γ2(X).
2. 8.4-2 すべての次数でキュムラントは λ だから、次のようになる。
γ1=λ3/2λ=λ1,γ2=λ2λ=λ1
λ=4 では、歪度は1/2、尖度は1/4となる。3. 8.4-3 usinhu=1+6u2+120u4+O(u6) に u=t/2 を代入すると、次のようになる。
MX(t)=1+24t2+1920t4+O(t6)
log(1+v)=v−2v2+⋯ を使うと
KX(t)=24t2+1920t4−21(24t2)2+O(t6)=24t2+(19201−11521)t4+O(t6)=24t2−2880t4+O(t6)
となる(19201−11521=57603−5=−28801)。係数を比べて
κ2=242!=121,κ4=−28804!=−1201
である。尖度は γ2=1/144−1/120=−56 で、正規分布より裾が軽い(γ2<0)。4. 8.4-4 次の値から始める。
μ0=1,μ1=0,μ2=κ2,μ3=κ3,μ4=κ4+3κ22
n=5 では
μ5=(14)κ2μ3+(24)κ3μ2+(34)κ4μ1+(44)κ5μ0=4κ2κ3+6κ3κ2+0+κ5=κ5+10κ2κ3
である。n=6 では
μ6=(15)κ2μ4+(25)κ3μ3+(35)κ4μ2+(45)κ5μ1+(55)κ6=5κ2(κ4+3κ22)+10κ32+10κ4κ2+0+κ6=κ6+15κ2κ4+10κ32+15κ23
となる。5. 8.4-5 確認テスト 8.2-4 から、∣t∣<1 で次が成り立つ。
MX(t)=1−t21,KX(t)=−log(1−t2)=t2+2t4+3t6+⋯
係数を比べて κ2=2!⋅1=2、κ4=4!⋅21=12 である。奇数次は0である。尖度は γ2=2212=3 で、正規分布より裾が重い。独立な n 個の和の尖度は、命題 8.27 から n3 である。
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