確率論入門 第9章 §9.6
9.1 の解答
- 9.1-1 (9.11) の計算で X=c と置けばよい。積分は JT(c)=π1(Si(T(c−a))−Si(T(c−b))) で、a=c なので
JT(c)=π1(Si(0)−Si(−T(b−c)))=π1Si(T(b−c))⟶π1⋅2π=21
である(b−c>0、Si は奇関数)。右辺の P(a<X<b)+21P(X=a)+21P(X=b)=0+21+0 と一致する。2. 9.1-2 e−∣t∣ は偶関数なので、e−itx=costx−isintx の虚部は奇関数となって積分が消え、
2π1∫−∞∞e−itxe−∣t∣dt=π1∫0∞cos(tx)e−tdt
である。部分積分を2回行うか、∫0∞e−teitxdt=1−ix1=1+x21+ix の実部をとって ∫0∞cos(tx)e−tdt=1+x21 を得る。よって密度は π(1+x2)1 で、例題 9.1 と整合する。3. 9.1-3 (9.14) で a=0 とすると
2T1∫−TT(21+21e−t2/2)dt=21+4T1∫−TTe−t2/2dt
である。第2項は 4T2π 以下なので 0 に収束し、P(X=0)=21 である。a=1 では
2T1∫−TTe−it(21+21e−t2/2)dt=21⋅TsinT+4T1∫−TTe−ite−t2/2dt
で、第1項は 2T1 以下、第2項は絶対値が 4T2π 以下なので、ともに 0 に収束する。P(X=1)=0 である。4. 9.1-4 Y を X と独立で同分布にとる。(9.2) と φ−Y=φY=φX から φX−Y(t)=φX(t)φX(t)=∣φX(t)∣2 である。命題 9.4 を X−Y と a=0 に使うと
T→∞lim2T1∫−TT∣φX(t)∣2dt=P(X−Y=0)=P(X=Y)
である。P(X=Y) を X の値で分けて計算する。Y の分布を μ と書くと、独立性から
P(X=Y)=∫P(Y=x)PX(dx)=∫μ({x})PX(dx)
である。μ({x})>0 となるのは原子 xk だけなので、この積分は次に等しい。
k∑P(Y=xk)P(X=xk)=k∑P(X=xk)2
この結果から、X が原子をもたないことと 2T1∫−TT∣φX∣2→0 が同値であることが分かる。
9.2 の解答
- 9.2-1 e2it は定数 2 の特性関数 E[eit⋅2] に等しい。定理 9.5 から X=d2、つまり P(X=2)=1 である。
- 9.2-2 与えられた特性関数は
31(1+2cost)=31e−it+31+31eit
と書ける。これは −1,0,1 を等確率でとる確率変数の特性関数である。定理 9.5 から X はこの分布に従う。X+Y の特性関数は (9.2) から
91(e−it+1+eit)2=91(e−2it+2e−it+3+2eit+e2it)
である。各項 ceikt を、「値 k をその係数の確率でとる」と読む。そのうえで一意性定理を使う。和の分布は次の表のとおりである。
値確率−291−192093192291
3. 9.2-3 φE1(t)=1−it1(第8章の確認テスト 8.3-3)と φ−E2(t)=φE2(−t)=1+it1 から、独立性により
φE1−E2(t)=1−it1⋅1+it1=1+t21
である。これは Laplace 分布の特性関数(第8章 §8.3)なので、定理 9.5 から E1−E2 は Laplace 分布に従う。4. 9.2-4 U=X+Y、W=X−Y と置く。uU+wW=(u+w)X+(u−w)Y なので、同時特性関数は
φ(U,W)(u,w)=φ(X,Y)(u+w,u−w)=exp(−21((u+w)2+2ρ(u+w)(u−w)+(u−w)2))
である。指数の中は (u+w)2+(u−w)2=2u2+2w2 と 2ρ(u2−w2) の和なので
φ(U,W)(u,w)=exp(−(1+ρ)u2)exp(−(1−ρ)w2)
と分解する。w=0 と置けば
φU(u)=exp(−21⋅2(1+ρ)u2)
で、U∼N(0,2+2ρ) である。同様に W∼N(0,2−2ρ) である。同時特性関数が周辺の特性関数の積に分解したので、定理 9.11 から2つは独立である。5. 9.2-5 (9.2) と φ−Y(t)=φY(t)=φX(t) から φX−Y(t)=φX(t)φX(t)=∣φX(t)∣2 である。これは実数値なので、系 9.6 から X−Y=d−(X−Y) である。
9.3 の解答
- 9.3-1 命題 9.12 から ∏kexp(λk(eit−1))=exp((λ1+⋯+λn)(eit−1)) で、一意性定理から和は Po(λ1+⋯+λn) に従う。
- 9.3-2 φ2X(t)=φX(2t)=exp(2it−8t2)、φ−Y(t)=φY(−t)=exp(2it−25t2) である。独立なので
φ2X−Y(t)=exp(4it−21(16+5)t2)
となり、一意性定理から 2X−Y∼N(4,21) である。P(2X−Y>0)=P(Z>−214)=Φ(214)≈Φ(0.873)≈0.809 である。3. 9.3-3 φakXk(t)=φXk(akt)=e−∣ak∣∣t∣ なので、命題 9.12 から φ∑akXk(t)=exp(−∑k∣ak∣∣t∣) である。例題 9.1 (3) と一意性定理から ∑kakXk∼Cauchy(0,∑k∣ak∣) である。すべての係数を 1001 とすると、Xˉ100∼Cauchy(0,1) である。よって
P(Xˉ100>10)=2(21−π1arctan10)=1−π2arctan10≈0.0635
である。4. 9.3-4 X+Y∼U(c−h,c+h)(h>0)と仮定して矛盾を導く。同分布ならモーメントも等しい。
- 平均を比べる。E[X+Y]=0 から c=0 である。
- 分散を比べる。V[X+Y]=31+31=32 である。U(−h,h) の分散は 3h2 である。これと等しいとおいて h=2 を得る。
すると特性関数は
φX+Y(t)=(tsint)2,φU(−2,2)(t)=2tsin2t
でなければならない。左は常に 0 以上だが、右は t=223π で −3π2<0 になるので、2つは一致しない。同分布なら特性関数は等しいので、仮定は誤りで、X+Y はどんな区間の一様分布にも従わない。5. 9.3-5 φY(t)=exp(eit−1) の絶対値は ecost−1>0 なので、0 にならない。φX+Y=φXφY から
φX(t)=exp(eit−1)exp(3(eit−1))=exp(2(eit−1))
で、一意性定理から X∼Po(2) である。
9.4 の解答
- 9.4-1 独立性から(第5章 §5.4)
E[X2Y2]=E[X2]E[Y2],E[XY]=E[X]E[Y]=0
である。よって右辺は E[X2]E[Y2]−E[X2]E[Y2]−0=0 である。2. 9.4-2 1. 密度は対称なので奇数次のモーメントは 0 である。公式 ∫0∞xne−bxdx=bn+1n! を b=2 で使うと
E[S22]E[S24]=2⋅21⋅(2)32=1,=2⋅21⋅(2)524=6
である。よって κ4(S2)=6−3=3 である。2. 定理 9.16 (1) と例題 9.7 (1) から
κ4(Yθ)=−56cos4θ+3sin4θ
である。絶対値は
∣κ4∣≤56cos4θ+3sin4θ≤3(cos2θ+sin2θ)2=3
と抑えられる。等号は定理 9.16 (2) から、θ=2π(Y=S2)のときだけ成り立つ。3. κ4(Yθ)=0 は次の条件と同値である。
tan4θ=36/5=52,θ=arctan((2/5)1/4)≈0.672
このとき4次のキュムラントは 0 である。一方、正規分布なら3次以上のキュムラントはすべて 0 である(第8章 §8.4)。そこで6次のキュムラントを調べる。
κ6(Yθ)=cos6θκ6(S1)+sin6θκ6(S2)
平均 0 のとき、6次のキュムラントは κ6=μ6−15μ4μ2−10μ32+30μ23 である(第8章 §8.4 の漸化式から得られる)。これを2つの源信号に使う。
- 一様分布 U(−3,3) では、κ6=727−27+30=748 である。
- Laplace 分布では、E[S6]=2⋅21⋅(2)7720=90 から κ6=90−15⋅6+30=30 である。
どちらも正なので κ6(Yθ)>0 となり、Yθ は正規分布に従わない。3. 9.4-3 共分散行列と、求める下三角行列を
Σ=AA⊤=(5111),L=(l11l210l22)
とする。LL⊤=Σ を成分ごとに解く。
l112l11l21l212+l222=5=1=1⇒ l11=5,⇒ l21=51,⇒ l22=52
detL=2 で
L−1=21(52−5105)=(51−251025),L−1A=51(2−112)
となる。2つの行の長さは 54+1=1 で、内積は 5−2+2=0 である。よって L−1A は直交行列である(回転行列で、角度は −arctan21)。4. 9.4-4 (9.20) から φZ(t)=e−∣Q⊤t∣2/2=e−∣t∣2/2 で、一意性定理から Z∼N2(0,I) である。同時積率母関数も同じ計算で E[et⊤Z]=e∣t∣2/2 となり、KZ(t)=21(t12+t22) は2次式である。4階の偏微分はすべて 0 なので、4次の同時キュムラントはすべて 0 である。
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