確率論入門 第13章 §13.6
13.1 の解答
- 13.1-1 XndX と仮定する。第11章の補題から {Xn} は緊密である。したがって supnP(∣Xn∣>M)<21 となる M がある。ところが n≥M では P(∣Xn∣>M)=1−M/n→1 なので矛盾する。よって Xn は分布収束しない。特性関数は各点で収束し、極限は t=0 で 1、t=0 で 0 である。この極限は t=0 で連続でないので、定理 13.7 (ii) の「φ が 0 で連続」という仮定が満たされない。
- 13.1-2 Ga(α,λ) の特性関数は (1−it/λ)−α である(第8章の表)。したがって φXn(t)=(1−it/n)−n である。補題 13.9 で cn=c=−it とすると (1−it/n)n→e−it なので
φXn(t)=(1−it/n)n1→e−it1=eit
である(極限は 0 でないので逆数の極限は極限の逆数)。eit は定数 1 の特性関数で連続なので、定理 13.7 から Xnd1 である。極限が定数なので XnP1 である。これは次の値と Chebyshev の不等式からも確かめられる。
E[Xn]=1,V[Xn]=n2n=n1→0
3. 13.1-3 p=pn、s=t/n と書く。幾何分布の特性関数は
E[eisXn]=k≥1∑p(1−p)k−1eisk=1−(1−p)eispeis
である(公比の絶対値 1−p<1 の等比級数)。分子と分母を n 倍すると
φXn/n(t)=n(1−eit/n)+λeit/nλeit/n
である。n→∞ で次が成り立つ(関数 eix の原点での微分係数が虚数単位であることを使う)。
n(1−eit/n)→−it,eit/n→1,φXn/n(t)→λ−itλ
極限は Ex(λ) の特性関数で連続なので、定理 13.7 から Xn/ndEx(λ) である。4. 13.1-4 独立性から φXn+Yn(t)=φXn(t)φYn(t) である。命題 13.1 から、各因子は φX(t) と φY(t) に収束する。したがって積は φX(t)φY(t) に収束する。 X′,Y′ は独立なので φX′+Y′=φX′φY′=φXφY であり、これは特性関数なので連続である。定理 13.7 (ii) と一意性から Xn+YndX′+Y′ である。(X′,Y′ は第4章の積測度で作ることができる。各 n での独立性がないと、和の分布は同時分布によって変わり、結論は成り立たない。)
13.2 の解答
13.2-1 Zn=(Sn−nμ)/n と置くと ZndN(0,σ2) である。
- a>21 のとき。(Sn−nμ)/na=n1/2−aZn で、係数は n1/2−a→0 である。Slutsky の定理からこの量は 0 に分布収束し、極限が定数なので 0 に確率収束する。
- 0<a<21 のとき。δ>0 を任意にとる。n が十分大きければ Mna−1/2<δ なので
P(na∣Sn−nμ∣≤M)=P(∣Zn∣≤Mna−1/2)≤P(∣Zn∣≤δ)→P(∣σZ∣≤δ)≤σ2π2δ
である(±δ は正規分布の分布関数の連続点)。δ は任意なので、左辺は 0 に収束する。
拡大率 n が「ちょうどよい」唯一の冪である。2. 13.2-2 Poisson 分布の再生性(第9章 §9.3)から、X は和 Y1+⋯+Y100 と同じ分布をもつ。ここで Yk は独立な Po(1) である。E[Yk]=V[Yk]=1 なので中心極限定理が使える。E[X]=100、標準偏差は 10 である。連続補正をして
P(X≤110)≈Φ(10110.5−100)=Φ(1.05)≈0.8531
となる。正確な値は約 0.8529 で、差は 0.0003 程度である(連続補正をしない Φ(1)≈0.8413 との差は約 0.012)。3. 13.2-3 各誤差は平均 0、分散 121 である。したがって48個の和 E は平均 0、分散 48/12=4、標準偏差 2 である。正規近似で
P(∣E∣>3)≈2(1−Φ(1.5))≈0.1336
である。Chebyshev の不等式では P(∣E∣≥3)≤4/9≈0.444 で、上界としては正しいが、正規近似の約3.3倍の大きさである。4. 13.2-4 モーメントは次のとおりである。
E[Xk]=0,E[Xk2]=2k1∫−kkx2dx=3k2,E[Xk4]=5k4
sn2=31k=1∑nk2=18n(n+1)(2n+1)≥182n3=9n3
なので sn4≥n6/81 であり、∑k≤nE[Xk4]=51∑k4≤5n⋅n4 だから
sn41k=1∑nE[Xk4]≤n6/81n5/5=5n81→0
である。Lyapunov の条件(δ=2)が成り立つので、系 13.13 から Sn/sndN(0,1) である。n=100 では
sn2=18100⋅101⋅201≈112783,sn≈335.8
である。5. 13.2-5 ε>0 を与える。 sn→∞ なので、ある番号から先で εsn>M となる。そのとき ∣Xk−μk∣≤M<εsn がすべての k で成り立つ。したがって事象 {∣Xk−μk∣>εsn} は空で、(13.10) の左辺は 0 である。よって左辺は 0 に収束する。
13.3 の解答
- 13.3-1 各成分は Z と ±Z である。−Z=dZ なので、どちらの成分も分布は番号によらず標準正規分布であり、成分ごとには分布収束する。t=(1,1)⊤ をとると
t⊤Xn=Z+(−1)nZ={2Z0(n が偶数)(n が奇数)
である。偶数番目の部分列は N(0,4) に、奇数番目は定数 0 に収束するので、t⊤Xn は分布収束しない。もし Xn が分布収束するなら、定理 13.15 の順向きから、t⊤Xn も分布収束するはずである。これは矛盾である。2. 13.3-2 E[Uk]=k+11 を使うと
V[U]=31−41=121,V[U2]=51−91=454,Cov(U,U2)=E[U3]−E[U]E[U2]=41−61=121
なので
Σ=(1/121/121/124/45)
である。相関係数は (1/12)(4/45)1/12=4845=415≈0.968 である。t=(−1,1)⊤ について
t⊤Σt=121−122+454=−121+454=1801
なので、極限は N(0,1801) である(定理 13.16 と定理 13.15)。2つの平均が強く相関しているので、差の分散は個々の分散よりずっと小さい。3. 13.3-3 Σ=diag(p)−pp⊤ の成分は
Σjj=pj(1−pj),Σij=−pipj(i=j)
なので
Σ=1/4−1/6−1/12−1/62/9−1/18−1/12−1/185/36
である。行の和は
41−61−121=0,−61+92−181=0,−121−181+365=0
である。一般に ∑jpi(δij−pj)=pi−pi=0 である(∑jNj=n の拘束)。t=(1,−1,0)⊤ では
t⊤Σt=41+92−2⋅(−61)=369+8+12=3629
なので、極限は N(0,3629) である。4. 13.3-4 Z∼Nd(0,Σ) とし、s∈Rm を固定する。次のように書ける。
s⊤(AXn+b)=(A⊤s)⊤Xn+s⊤b
定理 13.15 の ⇒ から (A⊤s)⊤Xnd(A⊤s)⊤Z である。定数 s⊤b を足しても(連続写像)分布収束は保たれるので
s⊤(AXn+b)d(A⊤s)⊤Z+s⊤b∼N(s⊤b, s⊤AΣA⊤s)
である。V∼Nm(b,AΣA⊤) とすると、右辺は s⊤V の分布に等しい。s は任意なので、定理 13.15 の逆向きから AXn+bdV である。
13.4 の解答
- 13.4-1 Z∼N(0,1) とする。中心極限定理から nXˉndσZ である。
g′(0)=0 なので、定理 13.19 から nXˉn2d0 である。
直接には、nXˉn2=Xˉn⋅nXˉn と Slutsky の定理から分かる。一方、次が成り立つ。
nXˉn2=(nXˉn)2dσ2Z2
これは命題 13.21(g′′=2)の σ2χ12 である。σ2Z2 の分布関数は連続なので
P(nXˉn2≤3.84σ2)→P(Z2≤3.84)=P(∣Z∣≤1.96)≈0.95
である(3.84≈1.96)。2. 13.4-2 E[X1]=1/λ、V[X1]=1/λ2 なので、中心極限定理から
n(Xˉn−λ1)dN(0,λ21)
である。2つの変換を順に見る。
- g(x)=1/x。g′(1/λ)=−λ2 なので
n(λ^n−λ)dN(0,λ2λ4)=N(0,λ2)
である。
- g(x)=−logx(logλ^n=−logXˉn)。g′(1/λ)=−λ なので
n(logλ^n−logλ)dN(0,1)
で、分散が λ によらない。
n=100、λ^=2 のときの区間は次のとおりである。
- 前者では分散の中の λ を推定値で置き換えて(Slutsky の定理)、2±1.96⋅2/10=[1.608, 2.392] である。
- 後者では log2±1.96/10 を指数で戻して、次の区間を得る。
[2e−0.196, 2e0.196]≈[1.644, 2.433]
後者は右に長く、λ^ のゆらぎが λ に比例することを反映する。3. 13.4-3 g(p)=arcsinp の微分は
g′(p)=1−p1⋅2p1=2p(1−p)1
なので、デルタ法の分散は g′(p)2p(1−p)=41 である。したがって
n(g(p^n)−g(p))dN(0,41),すなわち2n(g(p^n)−g(p))dN(0,1)
である。n=100、p^=0.36 とする。変換した値は arcsin0.6≈0.6435 である。区間は
0.6435±201.96=[0.5455, 0.7415]
で、p=sin2x で戻すと [0.2692, 0.4562] となる。4. 13.4-4 Wn=n(Tn−θ) は分布収束するので緊密である(第11章)。ε,η>0 を与える。緊密性から、supnP(∣Wn∣>M)<η となる M がとれる。n>M2/ε2 なら M/n<ε なので
P(∣Tn−θ∣≥ε)=P(∣Wn∣≥εn)≤P(∣Wn∣>M)<η
である。η は任意なので P(∣Tn−θ∣≥ε)→0 である。すなわち TnPθ となる。
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