確率論入門 第14章 §14.7
14.1 の解答
14.1-1 (a)(b)(d) が停止時刻で、(c) は停止時刻でない。
- (a) 集合 {−3} への到達時刻なので、命題 14.6 から停止時刻である。
- (b) {τ+2=n}={τ=n−2}∈Fn−2⊂Fn(n≤1 なら空集合)。
- (c) {τ−1=1}={τ=2}={ξ1=ξ2=+1} である。ξ1=+1 の標本点のうち、2歩目も +1 のものだけがこの事象に入る。したがって1歩目だけでは判定できず、F1 に入らない。
- (d) 事象 {min{τ,5}≤n} は、次のとおりでどちらも Fn に入る。
{min{τ,5}≤n}={Ω{τ≤n}(n≥5)(n<5)
2. 14.1-2 S2 と S4−S2 は、独立な跳びの別の組の和なので、独立で同じ分布に従う。P(S2=0)=21、P(S2=2)=41 なので
P(S2=0, S4=2)=P(S2=0)P(S4−S2=2)=21⋅41=81.
共分散は Cov(S2,S4)=V[S2]+Cov(S2,S4−S2)=V[S2]=2 である(V[ξk]=1)。3. 14.1-3 両向きの包含を示す。
- k≤n のとき、位置 Sk=ξ1+⋯+ξk は跳びの組の連続関数である。第3章 §3.1 から、σ(ξ1,…,ξn)-可測である。
- 逆に、跳び ξk=Sk−Sk−1 は位置の組 (S1,…,Sn) の連続関数である。ここで S0=0 とする。
したがって σ(S1,…,Sn)=σ(ξ1,…,ξn) である。4. 14.1-4 次の3つの事象の表し方から、どれも Fn に入る。
{min{τ,σ}≤n}{max{τ,σ}≤n}{τ+σ=n}={τ≤n}∪{σ≤n},={τ≤n}∩{σ≤n},=k=0⋃n({τ=k}∩{σ=n−k}).
3つ目では {τ=k}∈Fk⊂Fn、{σ=n−k}∈Fn−k⊂Fn を使い、(14.3) で判定した。5. 14.1-5 相異なる t1,…,tn について、次の等式が成り立つ。
{(Yt1,…,Ytn)=(0,…,0)}=k⋃{U=tk}
U は密度を持つので、右辺の各事象の確率は 0 である。
したがって (Yt1,…,Ytn)=(0,…,0) a.s. で、その分布は (Xt1,…,Xtn) と同じく原点の Dirac 測度である。一方、X の見本路は恒等的に 0 で連続である。Y の見本路は時刻 U(ω) でだけ値 1 をとり、その他では 0 なので、その時刻で不連続である。有限次元分布は見本路の連続性を決めない。
14.2 の解答
- 14.2-1 (14.6) から
V[Bt+Bs]=V[Bt]+V[Bs]+2Cov(Bs,Bt)=t+s+2s=t+3s.
2. 14.2-2 X=B1 と Y=B2−B1 は独立で、標準正規分布に従う。また B2=X+Y である。
(X,Y) の同時密度 2π1e−(x2+y2)/2 は回転で不変である。したがって偏角 Θ は [0,2π) 上で一様に分布する(第7章 §7.2)。2つの事象は、偏角の範囲で次のように書ける。
{X>0}: (−2π,2π),{X+Y>0}: (−4π,43π)
共通部分は (−4π,2π) で、角度は 43π である。
P(B1>0, B2>0)=2π3π/4=83.
3. 14.2-3 N1∼Po(3) と N2−N1∼Po(3) は独立なので
P(N1=2, N2=5)=P(N1=2)P(N2−N1=3)=e−32!32⋅e−33!33=481e−6≈0.0502.
P(N2=5)=e−665/5!=5324e−6 で割ると
P(N1=2∣N2=5)=324/581/4=165=(25)(21)5.
4. 14.2-4 Nt の値で場合分けする(全確率の公式)。Nt=n のもとで Yt=ξ1+⋯+ξn である。跳びの列は N と独立なので、この和の特性関数は φξ1(u)n である(第9章 §9.3)。
E[eiuYt]=n=0∑∞e−λtn!(λt)nφξ1(u)n=e−λteλtφξ1(u)=exp(λt(φξ1(u)−1)).
平均と分散は、第7章 §7.4 のランダム和の公式から次のとおりである。
E[Yt]=E[Nt]E[ξ1],V[Yt]=E[Nt]V[ξ1]+V[Nt](Eξ1)2=λtE[ξ12]
ここでは次の値を使う。
λt=6,E[ξ1]=23,E[ξ12]=21+4=25
したがって E[Yt]=9、V[Yt]=15 である。5. 14.2-5 各増分は N(0,1/n) に従う。Z∼N(0,1) について E∣Z∣=2/π なので、次が成り立つ。
EBk/n−B(k−1)/n=πn2
E[k=1∑nBk/n−B(k−1)/n]=nπn2=π2n⟶∞.
2次変動の期待値は n⋅n1=1 で n によらない。増分の大きさが 1/n の程度なので、絶対値の和は n の程度で発散し、2乗の和は一定になる。
14.3 の解答
- 14.3-1 定理 14.17 で回数を1とすると、Nt=1 のもとで S1∼U(0,t) である。したがって求める確率は s/t である。直接計算しても同じ値になる。分子は
P(S1≤s, Nt=1)=P(Ns=1)P(Nt−Ns=0)=λse−λse−λ(t−s)
で、これを P(Nt=1)=λte−λt で割ると s/t になる。2. 14.3-2 定理 14.16 から S3∼Ga(3,2) である。第6章のガンマ分布の平均と分散から、E[S3]=23、V[S3]=43 である。(14.8) から P(S3≤1)=P(N1≥3) で、N1∼Po(2) なので
P(S3≤1)=1−e−2(1+2+222)=1−5e−2≈0.3233.
3. 14.3-3 定理 14.19 から、合わせた流れの各車の色は独立で、赤である確率は 1+21=31 である。最初の2台がどちらも赤である確率は (31)2=91 である。最初の赤の前に青が3台以上通るのは、最初の3台がすべて青のときで、その確率は (32)3=278 である。4. 14.3-4 0≤k≤n とする。Ns と Nt−Ns が独立であることを使うと
P(Ns=k∣Nt=n)=P(Nt=n)P(Ns=k)P(Nt−Ns=n−k)=e−λtn!(λt)ne−λsk!(λs)k⋅e−λ(t−s)(n−k)!(λ(t−s))n−k.
指数の因子は打ち消し合い、λn も約分されて
P(Ns=k∣Nt=n)=(kn)(ts)k(1−ts)n−k
となる。これは Bin(n,s/t) の確率関数である。5. 14.3-5 P(Nh=1)=λhe−λh で、e−λh=1−λh+O(h2) である。したがって
P(Nh=1)=λh−λ2h2+O(h3)=λh+o(h)
である。また P(Nh≥2)=1−e−λh−λhe−λh で、次が成り立つ。
e−λh(1+λh)=(1−λh+2λ2h2+O(h3))(1+λh)=1−2λ2h2+O(h3)
したがって
P(Nh≥2)=2λ2h2+O(h3)=o(h).
14.4 の解答
- 14.4-1 次の回の目を Dn+1 とすると、Xn+1=max{Xn,Dn+1} である。X1,…,Xn はそれまでの目の関数なので、Dn+1 はこれらと独立である。これは定理 14.22 と同じ「現在の状態と独立な新しい乱数から次の状態を作る」形なので、同じ計算から (M2) が成り立つ。
P(Xn+1=j∣X1=i1,…,Xn=i)=P(max{i,Dn+1}=j).
右辺は、j と i の大小で次のように分かれる。
pij=⎩⎨⎧0P(Dn+1≤i)=i/6P(Dn+1=j)=1/6(j<i)(j=i)(j>i)
2. 14.4-2 例題 14.6 の式に、次の値を入れる。
a=0.1,b=0.5,1−a−b=0.4
p21(3)p11(3)=a+bb(1−(1−a−b)3)=65(1−0.064)=0.78,=a+bb+a+ba(1−a−b)3=65+61×0.064=0.844.
3. 14.4-3 2つの場合を比べる。
- Y0=Y1=a となるのは、(X0,X1)=(1,2) のときだけである。この確率は 31 である。そのとき X2=3 なので、次が成り立つ。
P(Y2=a∣Y0=a,Y1=a)=0
- (Y0,Y1)=(b,a) となるのは、(X0,X1)=(3,1) のときだけである。そのとき X2=2 なので、次が成り立つ。
P(Y2=a∣Y0=b,Y1=a)=1
現在の値が同じでも、次の値の条件つき確率が過去の値によって 0 と 1 に分かれる。したがって (M2) は成り立たない。4. 14.4-4 Xn は (X0,ξ1,…,ξn) の関数で、次の跳びはそれと独立である。条件の事象の確率が正のとき
P(Xn+1=j∣X0=i0,…,Xn=i)=P(i+ξn+1=j)=P(ξ1=j−i).
1つ目の等号は、条件の事象が (X0,ξ1,…,ξn) で決まり ξn+1 と独立であることによる。pij=P(ξ1=j−i) は差 j−i だけの関数である。n ステップでは pij(n)=P(ξ1+⋯+ξn=j−i) である。qn(l)=P(ξ1+⋯+ξn=l) と書くと、Chapman–Kolmogorov 方程式は
qm+n(j−i)=k∑qm(k−i)qn(j−k)=l∑qm(l)qn((j−i)−l)
となる。これは第7章 §7.3 の離散分布の畳み込み qm+n=qm∗qn の式である。
14.5 の解答
14.5-1 i が吸収状態なら pii=1 である。このとき1歩以上のどの歩数でも、他の状態への遷移確率は 0 である。したがって i からは他の状態に到達できず、そのクラスは {i} である。定義からこのクラスは閉じている。逆に {i} が閉じていれば、他の状態への遷移確率 pij はすべて 0 である。行の和が 1 なので pii=1 である(クラスであることは使わない)。
14.5-2 1→2→1 なので 1 と 2 は連結している。3→4→3 なので 3 と 4 も連結している。3 と 4 からは 1 と 2 に行けないので、クラスは {1,2} と {3,4} である。 {1,2} は p23>0 で外へ出られるので閉じていない。{3,4} は閉じている。1 へ戻る経路は 1→2→1 の繰り返しだけなので d(1)=2 である。3 へ戻る経路は 3→4→3 の繰り返しだけなので d(3)=2 である。
14.5-3 (a) 状態 1 に長さ 3 と 2 の閉路で戻れるので、2,3∈A1 で d(1)=gcd(2,3)=1。既約なので連鎖の周期は 1 である。(b) 状態 1 に戻る経路は、長さ 2 と長さ 4 の閉路をつないだものだけで、その長さはすべて偶数である。2∈A1 なので d(1)=2 で、連鎖の周期は 2 である。
14.5-4 左右どちらの向きにも正の確率で動けるので既約である。0→1→0 で 2∈A0 である。
- 奇数のとき。同じ向きに1周進むと戻るので、m∈A0 である。gcd(2,m)=1 なので周期は 1 である。
- 偶数のとき。状態を偶数と奇数に分けると、1歩ごとに偶奇が入れ替わる。円周の継ぎ目 m−1→0 の歩でも入れ替わる。したがって戻る歩数は偶数に限られ、2∈A0 なので周期は 2 である。
14.5-5 M=4 では、隣への遷移確率は次のとおりで、どれも正である。
pk,k+1=44−k(k≤3),pk,k−1=4k(k≥1)
したがって隣どうしが互いに到達可能で、既約である。各歩で値は1だけ変わるので偶奇が入れ替わり、戻る歩数は偶数である。0→1→0 で 2∈A0 なので周期は 2 である。
p00(2)=p01p10=1⋅41=41.
4歩で戻る経路は 0→1→0→1→0 と 0→1→2→1→0 の2本で
p00(4)=(1⋅41)2+1⋅43⋅42⋅41=161+323=325.
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