相対論入門 第2章 §2.6
2.1 の解答
2.1-1 変換の式は次のとおりである。
t′=γ(t−c2vx),x′=γ(x−vt)
c→∞ とする。このとき β=v/c→0、γ→1 となる。t′ の式では vx/c2 の項が 0 になる。結果は t′=t、x′=x−vt で、Galilei 変換に戻る。
2.1-2 β=0.8 なので γ=1/1−0.64=1/0.6=5/3 である。
ct′=35(10−0.8×6) m=35×5.2 m=8.67 m,x′=35(6−0.8×10) m=35×(−2) m=−3.33 m.
(ct)2−x2 を2つの系で比べると、次のように一致する。
KK′: (ct)2−x2=100−36=64 m2,: (ct′)2−x′2=(26/3)2−(10/3)2=(676−100)/9=64 m2
2.1-3 cΔt′=γ(cΔt−βΔx)=0 から β=cΔt/Δx=3/5=0.6 である。γ=1.25 で、その系での距離は
Δx′=γ(Δx−βcΔt)=1.25(5−0.6×3) km=1.25×3.2 km=4 km
である。不変量からも確かめられる。Δt′=0 なので、次が成り立つ。
−(Δx′)2=(cΔt)2−(Δx)2=9−25=−16 km2
したがって Δx′=4 km である。
2.1-4 連立方程式
ct′=γct−γβx,x′=−γβct+γx
の係数行列は L(β) で、その行列式は γ⋅γ−(−γβ)(−γβ)=γ2(1−β2)=1 である。2×2 行列の逆行列の公式 (acbd)−1=ad−bc1(d−c−ba) を使うと
L(β)−1=11(γγβγβγ)
となり、ct=γct′+γβx′=γ(ct′+βx′)、x=γβct′+γx′=γ(x′+βct′) を得る。これは (2.13) と同じである。
2.2 の解答
2.2-1 腕時計の時間が固有時である。2つの事象(駅を通過する瞬間)は、列車の系では腕時計と同じ場所で起きるので、1個の時計で測れる。地上では2つの事象は別の場所で起き、駅の2つの時計を使う。(2.16) により地上の時計で測った時間の方が γ 倍長い。
2.2-2 γ=1/1−0.992=1/0.0199=7.09 である。平均の距離は
γβcτ0=7.09×0.990×2.998×108 m/s×26.0×10−9 s=54.7 m
である。時間の遅れが無ければ βcτ0=7.72 m で、その 7.09 倍になる。
2.2-3 K′ での棒の成分は次のとおりである。
Lx′=1.00cos60∘=0.500 m,Ly′=1.00sin60∘=0.866 m
γ=5/3 で、縮むのは x 成分だけである。
Lx=γ0.500=0.300 m,Ly=0.866 m
長さは
L=0.3002+0.8662 m=0.090+0.750 m=0.917 m,
x 軸となす角は arctan(0.866/0.300)=70.9∘ である。棒は短くなり、運動に垂直な向きへ起き上がって見える。
2.2-4 2つの事象の K での座標 (t,x) は、次のとおりである。
(0,0),(T,0)
(2.12) から、K′ での時刻は次のようになる。
t1′=0,t2′=γ(T−v⋅0/c2)=γT
差は γT である。K の時計はその原点に固定されているので、T は固有時である。K′ の時計の列は、それより長い γT を測る。K′ から見ても動く時計(K の時計)が遅れている。
K′ の原点にある時計を考える。この時計が、K′ で2つ目の事象と同時刻 t′=γT を指す事象に注目する。その事象の K での座標は、(2.13) から次のようになる。
t=γ(γT+0)=γ2T,x=γv⋅γT
K で見ると、この事象は2つ目の事象と同時刻でない。γ2T−T=γ2β2T だけ後にある。
K′ の原点の時計を K の立場で見る。時刻 γ2T に、この時計は γT を指している。すなわちこちらの立場では、K′ の時計が 1/γ 倍に遅れている。「どちらの時計が遅れるか」は、どの事象どうしを「同時」として比べるかで決まり、その同時刻が系によって違うので、2つの主張は矛盾しない。
2.3 の解答
2.3-1 (2.21) から u=(0.9+0.9)c/(1+0.81)=1.8c/1.81=0.9945c である。
2.3-2 水の静止系を K′ とする。K′ での光の速度は u′=c/n である。K′ は実験室に対して速さ v で動く。(2.21) から
u=1+v/(nc)c/n+v.
v/c の1次まで展開すると、(1+v/(nc))−1≃1−v/(nc) なので
u≃(nc+v)(1−ncv)=nc+v−n2v−ncv2≃nc+v(1−n21)
である(最後に v2 の項を落とした)。n=1.333 では 1−1/n2=1−0.5628=0.437 である。流れの速さのうち約44% だけが光に上乗せされる。この係数は Fresnel の随伴係数と呼ばれ、1851年に H. Fizeau が流水中の光の実験で観測した。
2.3-3 uy=uz=0 では、u=∣ux∣ である。同様に u′=∣ux′∣ である。D=1−vux/c2 として
c2D2−(ux−v)2=c2−2vux+c2v2ux2−ux2+2vux−v2=c2−ux2−v2+c2ux2v2=c2(1−c2ux2)(1−c2v2).
左辺は c2D2(1−ux′2/c2) である。c2D2 で割れば
1−c2u′2=D2(1−u2/c2)(1−v2/c2)
である。
2.3-4 K′ で光源から見て前半分(α′≤90∘ の向き)に出た光が、全体の半分である。光の進む向きが運動方向の軸となす角を考える。この角を K′ では ψ′ と書く。K では ψ と書く。
進む向きは u/c で表される。(2.19) の逆変換
ux=1+vux′/c2ux′+v
に ux′=ccosψ′ を入れると、次を得る。
cosψ=1+βcosψ′cosψ′+β
ψ′=90∘ では cosψ=β である。したがって sinψ=1−β2=1/γ となる。β=0.99 では γ=7.09 で
ψ=arcsin7.091=arcsin0.141=8.11∘
である。光の半分が半頂角約 8∘ の円錐に集まる。
2.4 の解答
2.4-1 (2.27) から θ=21ln0.51.5=21ln3=0.5493 である。coshθ=(eθ+e−θ)/2=(3+1/3)/2=2/3=1.1547 で、γ=1/1−0.25=2/3 と一致する。
2.4-2 tanhθ=(eθ−e−θ)/(eθ+e−θ)=(e2θ−1)/(e2θ+1)=β を e2θ について解く。e2θ−1=βe2θ+β から
e2θ=1−β1+β,θ=21ln1−β1+β
である。平方根をとれば eθ=(1+β)/(1−β)(eθ>0 なので正の根)。
2.4-3 θ1=21ln0.41.6=21ln4=ln2=0.6931、θ2=21ln0.21.8=21ln9=ln3=1.0986 である。和は ln6 で、β=tanh(ln6)=(36−1)/(36+1)=35/37=0.9459 である。合成則では (0.6+0.8)/(1+0.48)=1.4/1.48=0.9459 で一致する。
2.4-4 γ1=γ2=1.25、γ1β1=γ2β2=0.75 なので、(2.30) は
ByBx=1.5625−0.75−0.9375−0.93751.250.5625−0.7501.25
である。次の2組の成分が異なるので、対称でない。
- 第1行第2列は −0.9375、第2行第1列は −0.75 である。
- 第2行第3列は0、第3行第2列は0.5625である。
K の原点に静止した物体の世界線は (ct,x,y)=(ct,0,0) である。変換後は、行列の第1列に ct を掛けた次の形になる。
(1.5625,−0.75,−0.9375)ct
速度は ux′=c×(−0.75)/1.5625=−0.48c、uy′=c×(−0.9375)/1.5625=−0.60c である。速さは 0.482+0.602c=0.768c である。これは γ=1.5625 から求めた 1−1/1.56252=0.768 と整合する。(2.31) から回転の角は cosω=2.5/2.5625=0.9756、ω=12.7∘ である。
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