相対論入門 第9章 §9.6
- 9.1-1 慣性系では計量 ημν が定数なので、(9.1) から Γρμν=0 である。測地線の方程式は d2xρ/dλ2=0 となる。各成分を2回積分すると、定数 aμ、bμ を使って次のように書け、これ以外の解はない。
xμ=aμλ+bμ
時間的なら ημνaμaν>0 で、とくに a0=0 である。3次元の速度は
dtdxi=cdx0/dλdxi/dλ=ca0ai
で一定なので、等速直線運動である。別の慣性系へは、定数の行列による変換 x′μ=Λμνxν で移る。すると
x′μ=(Λa)μλ+(Λb)μ
も径数の1次式なので、やはり等速直線運動である。2. 9.1-2 ˙=d/ds とする。測地線の方程式の2成分は
θ¨−sinθcosθφ˙2=0,φ¨+2cotθθ˙φ˙=0
である。
(a) 経線では θ=s/a、φ=φ0 なので
θ¨=0,φ˙=0,φ¨=0
で、両方の式が成り立つ。弧長であることは a2θ˙2=1 で確かめられる。
(b)(c) 緯線では θ=θ0 である。弧長の条件 a2sin2θ0φ˙2=1 から、φ=s/(asinθ0) となる。方位角の式は、φ¨=0 と θ˙=0 から成り立つ。θ の式の左辺は
dsDx˙θ=θ¨+Γθφφφ˙2=0−sinθ0cosθ0⋅a2sin2θ01=−a2cotθ0
で、これが0になるのは cotθ0=0、すなわち θ0=π/2(赤道)のときに限る。北半球(θ0<π/2)では −cotθ0/a2<0 である。したがって Dx˙/ds は余緯度の減る向き、すなわち北極の向きを指す。
その大きさを球面上の長さで測ると gθθDx˙θ/ds=a⋅cotθ0/a2=cotθ0/a である。緯線に沿って進むには、測地線から北極の側へ向きを変え続ける必要があり、その曲がり方の大きさが cotθ0/a である。3. 9.1-3 命題 9.2 のアフィン径数を τ と読みかえると、f=τ′′/τ′ である。τ=τ0eσ なら τ′=τ′′=τ0eσ である。したがって f(σ)=1 である。逆に f=2/σ なら、アフィン径数 λ は
λ′=exp∫fdσ=exp(2lnσ)=σ2
を満たせばよい。したがって λ=σ3/3(に定数倍と定数を加えたもの)である。確かめると λ′′/λ′=2σ/σ2=2/σ で一致する。4. 9.1-4 S=gμνx˙μx˙ν を微分すると
dλdS=∂αgμνx˙αx˙μx˙ν+2gμνx˙μx¨ν=∂αgμνx˙αx˙μx˙ν−2gμνx˙μΓναβx˙αx˙β
である。gμνΓναβ=21(∂αgμβ+∂βgμα−∂μgαβ) なので、第2項は
−(∂αgμβ+∂βgμα−∂μgαβ)x˙μx˙αx˙β
である。3つの x˙ はどれも同じなので、和の添字の名前を付け替えると、括弧の第2項と第3項は次のように等しく、打ち消し合う。
∂βgμαx˙μx˙αx˙β=∂μgαβx˙μx˙αx˙β
ここでは添字の付け替え (β,μ,α)→(μ,α,β) と、計量の対称性を使った。残る −∂αgμβx˙μx˙αx˙β は第1項と同じ形で符号が逆なので、dS/dλ=0 である。5. 9.2-1 例題 9.2 から ∣Φ∣/c2=2.122×10−6 である。静止した時計は dτ/dt=1+Φ/c2 なので、1年 =365.25×86400s=3.15576×107s のあいだの遅れは
2.122×10−6×3.15576×107s=67.0s
である。6. 9.2-2 (a) 静止状態から放した瞬間は uξ=0 なので、測地線の方程式の高さ成分は
dτ2d2ξ=−Γξ00(u0)2
である。ここで u0=cdT/dτ である。また dξ/dτ=0 のこの瞬間は
dτ2d2ξ=(dτdT)2dT2d2ξ
なので
dT2d2ξ=−c2Γξ00=−Nα=−α(1+c2αξ).
(b) 高さ ξ に静止した観測者の固有時は dτ静=NdT である。物差しで測る長さは dξ そのものである(gξξ=−1 のため)。したがって観測者の測る加速度は
dτ静2d2ξ=N21dT2d2ξ=−Nα=−1+αξ/c2α
である。これは第7章 §7.4 で求めた、高さ ξ に静止した観測者の固有加速度 α/(1+αξ/c2) の大きさと一致する。静止した観測者から見ると、自由落下する粒子は、観測者自身の固有加速度と同じ大きさで逆向きに加速して離れていく。
(c) αξ≪c2 では係数 N がほぼ1になる。したがって (a)(b) のどちらも、同じ一様な加速度 −α になる。また g00=N2≃1+2αξ/c2 を (9.14) と比べると、Φ=αξ である。これは一様な重力加速度 α の重力場(ξ¨=−∂ξΦ=−α)である。7. 9.2-3 (a) 時間成分の Christoffel 記号を計算する。混ざった成分が0なので、逆計量は g00=1/g00、g0i=0 である。∂0g=0 を使うと
Γ000=2g001∂0g00=0,Γ00i=2g001∂ig00,Γ0ij=2g001(∂ig0j+∂jg0i−∂0gij)=0
である。測地線の方程式の時間成分は
dτdu0+g001∂ig00uiu0=0
である。両辺に g00 を掛けると
g00dτdu0+(∂ig00ui)u0=dτd(g00u0)=0(dg00/dτ=∂ig00ui を使った)
となる。u0=cdt/dτ なので、これは d(g00dt/dτ)/dτ=0 と同値である。
(b)(c) 弱い場では (9.15) から dt/dτ≃1−Φ/c2+v2/(2c2) なので
g00dτdt≃(1+c22Φ)(1−c2Φ+2c2v2)≃1+c21(21v2+Φ)
である。これが一定であることは、1/c2 の係数 21v2+Φ(単位質量あたりの力学的エネルギー)が一定であることと同じである。mc2 を掛けたものが (9.20) のエネルギーである。なお (a) の式から
dτ2d2t=−g00∂ig00uidτdt
で、これは ∂h00 と ui の積である。§9.2 で捨てた項が小さいことの根拠になっている。8. 9.2-4 (a) gh/c2=9.81×1/8.98755×1016=1.09×10−16 である。1日では 1.09×10−16×86400s=9.4×10−12s の差になる。
(b) Φ/c2=−0.1723 なので、2つの値は
1+c2Φ=0.8277,g00=1−0.3446=0.6554=0.8096
である。差は (0.8277−0.8096)/0.8096=0.0224 で、約 2.2 % である。1+2x=1+x−21x2+⋯ の2次の項 21x2=0.0148 が無視できない大きさであることが原因で、中性子星の表面では弱い場の展開は使えない。9. 9.3-1 計量の成分は時刻・方位角・高さ(t,φ,z)によらない。したがって補題 9.8 により、次の3つが Killing ベクトルである。
∂t (=∂0),∂φ,∂z
保存量は
E=mc2dτdt,ℓz=−mgφφuφ=mr2dτdφ,pz=−mgzzuz=mdτdz
である。順にエネルギー、z 軸まわりの角運動量、z 方向の運動量で、後の2つには空間部分の負号を打ち消す符号を付けた。
∂r は Killing ベクトルでない。gφφ=−r2 が動径によるので、∂rgφφ=−2r=0 となるからである。平らな空間の x 方向の並進は Killing ベクトルだが、円柱座標では動径と方位角の混ざった形
cosφ∂r−rsinφ∂φ
になる。10. 9.3-2 計量とベクトル場の成分は
gθθ=a2,gφφ=a2sin2θ,ξθ=−sinφ,ξφ=−cotθcosφ
である。(9.17) の右辺を各成分で計算する。
- (θθ):ξλ∂λgθθ+2gθθ∂θξθ=0+2a2⋅0=0。
- (φφ):ξθ∂θgφφ+2gφφ∂φξφ=−sinφ⋅2a2sinθcosθ+2a2sin2θ⋅cotθsinφ=0。
- (θφ):gφφ∂θξφ+gθθ∂φξθ=a2sin2θ⋅sin2θcosφ+a2(−cosφ)=0。
(∂θ(−cotθ)=1/sin2θ を使った。)すべて0なので Killing ベクトルである。保存量は
ξμx˙μ=gθθξθθ˙+gφφξφφ˙=−a2(sinφθ˙+sinθcosθcosφφ˙)
である。これは球面上を運動する粒子の、x 軸まわりの角運動量に(定数倍を除いて)あたる。11. 9.3-3 発する側 Φ1=0、受ける側 Φ2=gh なので、(9.24) から
ω発ω受−1≃c2Φ1−Φ2=−c2gh=−8.98755×10169.81×22.5=−2.46×10−15
で、上で受けた光は 2.46×10−15 だけ赤方偏移する。第7章 §7.3 の Pound–Rebka の実験はこの大きさのずれを測ったものである。12. 9.3-4 Killing 方程式 (9.16) に gμν を掛けて縮約する。∇g=0 なので
gμν∇μξν=∇μ(gμνξν)=∇μξμ
である。2つの項は同じものになるから、2∇μξμ=0 である。例題 9.3 の ξμ=(x1,x0,0,0) では、慣性系で ∇μξμ=∂μξμ=∂0x1+∂1x0=0+0=0 で一致する。13. 9.3-5 ξμ=(0,−x2,x1,0)、ξμ=(0,x2,−x1,0) である。0でない偏微分は ∂2ξ1=1 と ∂1ξ2=−1 だけである。したがって ∂1ξ2+∂2ξ1=0 となり、Killing 方程式が成り立つ。保存量は
−mξμuμ=−m(x2u1−x1u2)=m(xuy−yux)=γum(xvy−yvx)
である(ui=γuvi を使った)。14. 9.4-1 (a) 光的な曲線では gμνdxμdxν=0 なので dτ=0 である。固有時は曲線に沿って増えず、点を区別する径数にならない。 (b)(c) λ′=aλ+b とすると k′μ=dxμ/dλ′=kμ/a である。gμνk′μk′ν=gμνkμkν/a2=0 は保たれる。 kμuμ も 1/a 倍になる。a を決めるには、どこか1点で観測者の測る振動数を1つ指定すればよく、§9.4 ではそれを kμ が4元波数に一致するように選んだ。振動数の比(赤方偏移)は a によらない。15. 9.4-2 表面と遠方のポテンシャルは
c2Φ1=−Rc2GM=−5.8×1061476.6=−2.546×10−4,Φ2=0
である。(9.24) から ω2/ω1≃1−2.546×10−4 なので、1次で
z=ω2ω1−1≃2.546×10−4,cz=2.546×10−4×2.99792×105km/s=76.3km/s
である。白色矮星のスペクトル線は、この大きさの後退速度に相当するだけ赤い側へずれる。16. 9.4-3 GM⊕/c2=3.986004×1014/8.98755×1016=4.435×10−3m なので
δ=6.371×1064×4.435×10−3=2.785×10−9rad=2.785×10−9×206264.8′′=5.74×10−4′′=0.574 ミリ秒角
である。太陽の縁の値の約3000分の1である。17. 9.4-4 (a) 次の3式を (9.1) に入れる。
g~μν=e2χgμν,g~μν=e−2χgμν,∂λg~μν=e2χ(∂λgμν+2∂λχgμν)
すると
Γ~ρμν=Γρμν+21gρσ(2∂μχgσν+2∂νχgσμ−2∂σχgμν)=Γρμν+δρν∂μχ+δρμ∂νχ−gμνgρσ∂σχ
である。
(b)(c) xμ(λ) を g のアフィン径数の光的測地線とする。(a) を使うと
x¨ρ+Γ~ρμνx˙μx˙ν=(x¨ρ+Γρμνx˙μx˙ν)+2x˙ρx˙μ∂μχ−(gμνx˙μx˙ν)gρσ∂σχ=2dλdχx˙ρ
となる(第1項は測地線の方程式で0、最後の項は光的なので0)。これは g~ についての (9.5) の形で、f=2dχ/dλ である。命題 9.2 により、次の式で定めた λ~ を径数にとれば g~ の測地線の方程式を満たす。
dλdλ~=exp∫fdλ=e2χ
g~μνx˙μx˙ν=e2χ⋅0=0 なので g~ でも光的である。したがって光の進路は計量の全体に掛かる場所ごとの因子によらず、光円錐の形だけで決まる。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com