相対論入門 第10章 §10.6
- 10.1-1 (10.7) で μ と ν を入れ替えると
Rρσνμ=∂νΓρμσ−∂μΓρνσ+ΓρνλΓλμσ−ΓρμλΓλνσ
で、4つの項がもとの式の第2・第1・第4・第3項の −1 倍になっている。したがって Rρσνμ=−Rρσμν。2. 10.1-2 (ρ,σ,μ,ν)=(r,φ,r,φ) とおく。
Rrφrφ=∂rΓrφφ−∂φΓrrφ+ΓrrλΓλφφ−ΓrφλΓλrφ.
各項は次のとおりである。
- 第1項は ∂r(−r)=−1。
- 第2項は Γrrφ=0 で 0。
- 第3項は Γrrr=Γrrφ=0 で 0。
- 第4項は λ=φ だけが残り、ΓrφφΓφrφ=(−r)(1/r)=−1。
したがって Rrφrφ=−1−(−1)=0。同様に
Rφrφr=∂φΓφrr−∂rΓφφr+ΓφφλΓλrr−ΓφrλΓλφr=0−∂rr1+0−ΓφrφΓφφr=r21−r21=0.
ここで Γλrr=0 を使い、第4項では λ=φ だけが残った。2次元で独立な成分はこの1つなので、Riemann テンソルはすべて 0 で、平面が平坦であることと合っている。3. 10.1-3 スカラー場では ∇νf=∂νf で、∇μ∇νf=∂μ∂νf−Γλμν∂λf。第1項は μ,ν について対称、第2項もねじれが無いので対称で、[∇μ,∇ν]f=0 である。任意のベクトル場 V をとり、f=ωσVσ とおく。共変微分は積の微分の規則を満たすので
∇μ∇ν(ωσVσ)=(∇μ∇νωσ)Vσ+∇νωσ∇μVσ+∇μωσ∇νVσ+ωσ∇μ∇νVσ.
μ,ν を入れ替えて引くと、中の2項は対称なので消え、
0=([∇μ,∇ν]ωσ)Vσ+ωρRρσμνVσ
となる(第2項で (10.6) を使い、和の添字の名前を付け替えた)。Vσ は任意なので [∇μ,∇ν]ωσ=−Rρσμνωρ。4. 10.1-4 計量の成分 gφφ=a2、gzz=1 はどちらも定数なので、すべての Christoffel 記号が 0 で、(10.7) から Riemann テンソルもすべて 0 である。円柱の表面を1本の母線に沿って切り開くと、伸び縮みさせずに平面に広げることができる。広げても曲面の上の長さと角度は変わらないので、曲面の上の測定で決まる Riemann テンソルは平面と同じ 0 になる。 3次元の空間の中で曲がって見えるのは、曲面の外から見た曲がり方(外在的な曲がり)であり、Riemann テンソルが表すのは曲面の上だけで測れる曲がり(内在的な曲がり)である。円柱を1周する閉じた道も、切り開いた平面の上では1点からその平行移動先の点への道になる。平面の上の平行移動はベクトルの向きを変えないので、円柱を1周したベクトルは元の向きに戻る。5. 10.2-1 証明の最後の段で、第2項どうし Γρμσuμξσ と Γρμσξμuσ が等しいとした。その所で、下の添字の対称性を使った。ねじれがあると、第1項どうしは同じく消え、
dτDξρ−dsDuρ=Γρμσuμξσ−Γρμσξμuσ=(Γρμσ−Γρσμ)uμξσ=Sρμσuμξσ
が残る。6. 10.2-2 水平方向を x 方向にとり、地表の点を x=0 とする。ポテンシャル Φ=−GM/r の水平方向の2階微分は
∂x2(−rGM)=r3GM−r53GMx2
で、地表の点では GM/RE3 である。地表で g=GM/RE2 なので
RE3GM=REg=6.371×1069.81 s−2=1.540×10−6 s−2.
(10.19) から ξ¨=−(g/RE)ξ である。間隔の加速度は −1.540×10−6×10 m/s2=−1.54×10−5 m/s2(近づく向き)。静かに放したので、2 s の間は加速度がほぼ一定とみなせて、縮む量は
21×1.540×10−5 m/s2×(2 s)2=3.08×10−5 m
である。2つの物体がどちらも地球の中心へ向かって落ちるので、落下とともに互いに近づく。7. 10.2-3 Φ=32πGρ(x2+y2+z2)+(定数) から ∂i∂jΦ=34πGρδij。(10.19) は
ξ¨i=−ω2ξi,ω2=34πGρ
となり、どの向きの成分も同じ角振動数 ω で振動する。ρ=5514 kg/m3 では
ω2=34π×6.674×10−11×5514 s−2=1.541×10−6 s−2,
T=ω2π=1.2414×10−32π s=5061 s=84.3 分.
これは地表すれすれを回る人工衛星の周期と同じ値である(ω2=GM/RE3 だから)。8. 10.2-4 2GML/r3=98.1 m/s2 を r について解く。GM=1.3275×1021 m3/s2、L=2 m なので
r=(98.12×1.3275×1021×2)1/3 m=(5.413×1019)1/3 m=3.78×106 m.
rs=2.954×104 m の 128 倍で、地平面よりはるかに外側(地球の半径の約 0.6 倍の距離)で、すでに地表の重力の10倍の潮汐がはたらく。9. 10.3-1 (a) Rνμ=Rρνρμ=gρσRσνρμ である。(10.23) で組を入れ替えると Rσνρμ=Rρμσν となる。逆計量は対称なので、和の添字の名前を入れ替えて
gρσRσμρν=Rρμρν=Rμν
を得る。
(b) 次に (10.23) を導く。第1 Bianchi 恒等式を ρ を先頭にして書いた式
Rρσμν+Rρμνσ+Rρνσμ=0
と、先頭を σ,μ,ν にした3つの式を考える。
Rσρνμ+Rσνμρ+Rσμρν=0,Rμνρσ+Rμρσν+Rμσνρ=0,Rνμσρ+Rνσρμ+Rνρμσ=0.
1つ目と2つ目の和から3つ目と4つ目の和を引き、(10.21)・(10.22) で各項を前の組・後ろの組の並びがそろった形に直す。Rσρνμ=Rρσμν、Rνμσρ=Rμνρσ などに注意する。すると残るのは 2Rρσμν−2Rμνρσ=0 で、(10.23) を得る。途中では、次の4組が (10.21)・(10.22) で打ち消し合う。
- Rρμνσ と −Rμρσν。2つの反対称性で、後者は −Rρμνσ に等しい。
- Rρνσμ と −Rνρμσ。
- Rσνμρ と −Rνσρμ。
- Rσμρν と −Rμσνρ。
- 10.3-2 Rρρμν=gρσRσρμν である。逆計量は前の2つの添字について対称、Riemann テンソルは (10.22) により反対称なので、和は 0 になる。1番目と4番目の縮約は、(10.8) で後ろの2つを入れ替えて Rρμνρ=−Rρμρν=−Rμν。
- 10.3-3 第1 Bianchi 恒等式の左辺を Bρσμν=Rρσμν+Rρμνσ+Rρνσμ とおく。
- μ=ν のとき:Bρσμμ=Rρσμμ+Rρμμσ+Rρμσμ=0+Rρμμσ−Rρμμσ=0((10.21))。σ=μ、σ=ν のときも同様。
- ρ=σ のとき:Bρρμν=0+Rρμνρ+Rρνρμ。(10.23) で Rρνρμ=Rρμρν、(10.21) で Rρμνρ=−Rρμρν なので、和は 0。ρ=μ、ρ=ν も同様。
- 4つが異なるとき:3つの対称性を使うと B は4つの添字について完全反対称になる。したがって独立な条件は添字の組 {ρ,σ,μ,ν} の選び方ごとに1つで、(4n) 個である。
数の等式は、N=n(n−1)/2 を代入して
2N(N+1)=8n(n−1)(n2−n+2)
なので
2N(N+1)−(4n)=8n(n−1)(n2−n+2)−24n(n−1)(n−2)(n−3)=24n(n−1)[3(n2−n+2)−(n2−5n+6)]
で、角括弧の中は 2n2+2n=2n(n+1)。したがって n(n−1)⋅2n(n+1)/24=n2(n2−1)/12。12. 10.3-4 gμνgμν=n なので gμνGμν=R−2nR=(1−2n)R。4次元では −R。2つの向きを順に示す。
- Rμν=0 なら、スカラー曲率も0なので Gμν=0。
- 逆に Gμν=0 なら、跡をとって −R=0 となる。したがって Rμν=Gμν+21gμνR=0。
- 10.3-5 (a) r=x2+y2+z2 とすると
∂ir1=−r3xi,∂i∂jr1=r53xixj−r2δij
である。Φ=−GM/r なので
∂i∂jΦ=r5GM(r2δij−3xixj),i∑∂i∂iΦ=r5GM(3r2−3r2)=0.
(b) 点 (0,0,r) では ∂i∂jΦ=r3GMdiag(1,1,−2) である。
(c) (10.19) から
ξ¨x=−r3GMξx,ξ¨y=−r3GMξy,ξ¨z=+r32GMξz
で、質量の方向(第3軸)には引き伸ばし、垂直な2方向には圧縮がはたらく。跡が 0 なので、雲の体積は放した瞬間には変わり始めない。14. 10.4-1 角の和の超過は K×(面積) で、K=1/a2 なので
(6.371×106 m)21.0×1010 m2=2.46×10−4 rad=2.46×10−4×π180×3600′′=50.8′′.
一辺がおよそ 150 km の三角形でも、角の和は 180∘ から1分角にも満たない量しかずれない。15. 10.4-2 計量の成分は gθθ=b2、gφφ=b2sinh2θ である。球面の計算の三角関数を双曲線関数に置き換えればよい。0 でない Christoffel 記号は
Γθφφ=−21gθθ∂θgφφ=−sinhθcoshθ,Γφθφ=21gφφ∂θgφφ=cothθ.
球面と同じ手順で
Rθφθφ=∂θΓθφφ−ΓθφφΓφθφ=−(cosh2θ+sinh2θ)+sinhθcoshθcothθ=−sinh2θ.
もう1つの成分は
Rφθφθ=−∂θΓφφθ−ΓφθφΓφφθ=sinh2θ1−coth2θ=sinh2θ1−cosh2θ=−1
である。Ricci テンソルは Rθθ=Rφθφθ=−1、Rφφ=Rθφθφ=−sinh2θ で、
R=b2−1+b2sinh2θ−sinh2θ=−b22.
Gauss 曲率は K=R/2=−1/b2 で、球面と符号が逆である。この曲面(双曲平面)では、平行に出発した測地線は離れていき、三角形の角の和は 180∘ より小さい。16. 10.4-3 (10.36) を縮約すると Rσν=Kgσν、R=2K である。したがって
Gμν=Kgμν−21gμν(2K)=0.
(10.36) は、2次元では独立な成分が1つしかなく、対称性 (10.21)〜(10.23) を満たす (0,4) 型テンソルが gρμgσν−gρνgσμ の定数倍(点ごとの関数倍)に限られることから、どんな計量に対しても成り立つ。17. 10.4-4 計量を g→−g とすると、逆計量も g−1→−g−1 になる。各量は次のようになる。
- Christoffel 記号 21gρσ(∂g+∂g−∂g) は、逆計量と計量の微分の積なので変わらない。
- Riemann テンソル Rρσμν は Christoffel 記号だけで書けるので変わらない。それを縮約した Ricci テンソルも変わらない。
- 変わるのは逆計量を1つ含む R=gμνRμν で、符号が反転して R=−2/a2 になる。添字を下げた Rρσμν も符号が反転する。
- 10.4-5 極冠の面積は
∫02π∫0θ0a2sinθdθdφ=2πa2[−cosθ]0θ0=2πa2(1−cosθ0)
で、K=1/a2 を掛けると 2π(1−cosθ0) となり、第8章の結果に一致する。
赤道(θ0=π/2)では、北半球の面積 2πa2 に Gauss 曲率を掛けた値が、ちょうど1回転の角になる。1回転の回転は元の向きと同じなので、赤道を1周したベクトルの向きは変わらない。このことは直接にも確かめられる。赤道は大円(測地線)で、平行移動されるベクトルは赤道の接ベクトルとの角を保つので、1周すると元の向きに戻る。
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