相対論入門 第13章 §13.6
- 13.1-1 計量の成分は座標を変えると変わるので、成分の発散は座標の選び方のせいでも起きるが、曲率から作ったスカラーはどの座標でも同じ値をとるので、それが発散すれば座標によらない時空そのものの異常と判定できるからである。
- 13.1-2 r0 で静止していれば dr/dτ=0 である。(13.5)(L=0)から
2c2(E2−1)=Veff(r0)=−r0GM=−2r0c2rs
で、E2=1−rs/r0 である。このとき (13.5) は
(dτdr)2=c2(E2−1)+rc2rs=c2rs(r1−r01)
である。r=r0sin2α とおく。落ちる間に、α は π/2 から 0 へ変わる。このとき
dr=2r0sinαcosαdα,r1−r01=r0sin2αcos2α
で
cdτ=−rs(1/r−1/r0)dr=−rs/r0cosα/sinα2r0sinαcosαdα=−2rsr03sin2αdα.
α について積分すると、∫0π/22sin2αdα=π/2 から
τ=2πcrsr03/2
を得る。Newton 力学で静止状態から中心へ落ちる時間と同じ式である。r0=rs では τ=πrs/(2c)=πGM/c3 である。M=10M⊙ では
τ=2×2.998×108π×2.953×104s=1.55×10−4s=155μs
である。3. 13.1-3 (13.14) に r=rs/2 を入れると、外向きの光は dr/d(cv)=21(1−2)=−21 である。内向きの光は dv=0 で、dr/d(cv)=−∞ である。v を変えずに半径だけが減る光である。時間的な曲線(角度の運動なし)では g(V,V)>0 で、定理 13.3 の証明の式から 2V0Vr<−(rs/r−1)(V0)2=−(V0)2 である。V0>0 で割ると Vr/V0<−21 である。これは dr/d(cv)<−21 を意味する。時間的な曲線は、外向きの光(−21)よりも速く r を減らす。4. 13.1-4 (13.10) で r=rs とおくと Δa=c2Δr/rs2 である。したがって
rs=cΔaΔr=2.998×108×1002m=4.24×107m
である。太陽の rs=2953m で割ると M=1.4×104M⊙ である。これより重いブラックホールでは、人は地平面で 100m/s2(約 10g)より弱い潮汐しか受けない。5. 13.2-1 (13.15) の分母 r−3GM/c2 は、光子球とその内側で 0 以下になり、L2>0 の解が無いからである(円軌道を保つには光速を超える速さが要る)。6. 13.2-2 本文の式から
E2=1−c2r2GM+c2rGM1−3GM/(c2r)1−2GM/(c2r)
である。s≡GM/(c2r) と書くと、通分して
E2=1−3s(1−2s)(1−3s)+s(1−2s)=1−3s(1−2s)(1−3s+s)=1−3s(1−2s)2
で、2s=rs/r、3s=3rs/(2r) から (13.16) を得る。E=1 の条件は
(1−2s)2=1−3s,すなわち4s2−s=0
で、s=1/4、r=4GM/c2=2rs である。この円軌道は ISCO より内側にあるので不安定である(4GM/c2<6GM/c2)。図 13.2 の L2=16 の曲線の極大(Veff=0)がこれにあたる。7. 13.2-3 単位 GM=c=1 をとる。L2=16 を (13.15) に入れると r2−16r+48=0 である。根は 12 と 4 で、大きい方の r=12 が安定な円軌道である。V′′ を直接計算すると
V′′=−1232+1243×16−12512×16=−1.1574×10−3+2.3148×10−3−7.716×10−4=3.858×10−4
である。(13.17) は (12−6)/(123×(12−3))=6/15552=3.858×10−4 で一致する。
動径の小さな振動は δr¨=−V′′δr に従う。これは (13.5) を固有時で微分した式を、円軌道のまわりで1次に展開したものである。したがって角振動数は V′′=1.96×10−2c3/(GM) である。8. 13.2-4 質量と距離から
c2GMD=4.0×106×1.477×103m=5.91×109m,=8.2×103×3.086×1016m=2.53×1020m
で、視直径は
2.53×10202×33×5.91×109=2.43×10−10rad=50μas
である。距離は M87 の約 1/2000 だが質量も約 1/1600 なので、2つの影はほぼ同じ大きさに見える。9. 13.3-1 3つの数の由来は次のとおりである。
- 10 は、対称な hμν の成分の数である。
- 最初の 4 は、調和ゲージの条件 ∂αhˉαν=0 の数である。
- 次の 4 は、調和ゲージを保ったまま残る座標の取り替え(□ξν=0 を満たすずらし)で消せる成分の数である。
- 13.3-2 (13.25) のトレースは h′=h−2∂αξα なので
hˉμν′=hμν−∂μξν−∂νξμ−21ημν(h−2∂αξα)=hˉμν−∂μξν−∂νξμ+ημν∂αξα
である。発散をとると
Dν′=∂μhˉμν′=Dν−□ξν−∂ν∂μξμ+∂ν∂αξα=Dν−□ξν
を得る。11. 13.3-3 R(θ)=(cosθsinθ−sinθcosθ) として RTh^R を計算する。(1,1) 成分は
h+′=h+(cos2θ−sin2θ)+2h×sinθcosθ=h+cos2θ+h×sin2θ,
(1,2) 成分は
h×′=−2h+sinθcosθ+h×(cos2θ−sin2θ)=−h+sin2θ+h×cos2θ
である。(2,2) 成分は −h+′ でトレースは 0 のままである。θ=45∘ では
h+′=h×,h×′=−h+
で、元のプラス偏光は新しい座標でクロス偏光に見える。12. 13.3-4 hρν=∂ρξν+∂νξρ などを (13.23) の4つの項に入れると
2Rρσμν=∂μ∂σ(∂ρξν+∂νξρ)+∂ν∂ρ(∂σξμ+∂μξσ)−∂μ∂ρ(∂σξν+∂νξσ)−∂ν∂σ(∂ρξμ+∂μξρ)
である。偏微分は交換するので、8つの項は次の4組で打ち消し合う。
- 第1項の ∂μ∂σ∂ρξν と、第3項の −∂μ∂ρ∂σξν。
- 第1項の ∂μ∂σ∂νξρ と、第4項の −∂ν∂σ∂μξρ。
- 第2項の ∂ν∂ρ∂σξμ と、第4項の −∂ν∂σ∂ρξμ。
- 第2項の ∂ν∂ρ∂μξσ と、第3項の −∂μ∂ρ∂νξσ。
したがって全体が 0 になる。13. 13.4-1 質量の双極子モーメントの1階微分は全運動量で、運動量の保存によって一定なので、2階微分が 0 になり、放射の源にならないからである。14. 13.4-2 M=1.989×1030kg(地球を加えても変わらない桁)、μ≃5.97×1024kg を (13.41) に入れると
P=532(2.998×108)5(1.496×1011)5(6.674×10−11)4(5.97×1024)2(1.989×1030)3=196W
である。合体までの時間は (13.43) で
τ=2565(6.674×10−11)3×5.97×1024×(1.989×1030)2(2.998×108)5(1.496×1011)4=3.4×1030s=1.1×1023 年
で、宇宙の年齢 1.4×1010 年よりはるかに長い。太陽系では重力波は観測にかからない。15. 13.4-3 f=π−1(GM)1/2a−3/2 を時間で微分すると f˙=−23fa˙/a である。(13.42) を入れて
f˙=23f⋅564c5a4G3μM2=596c5G3μM2fa−4
である。a=(GM)1/3(πf)−2/3 から a−4=(GM)−4/3(πf)8/3 で
f˙=596c5G5/3μM2/3π8/3f11/3
を得る。μM2/3=(μ3/5M2/5)5/3=M5/3 なので G5/3μM2/3/c5=(GM/c3)5/3 で、(13.44) になる。16. 13.4-4 M=(1.4×1.4)3/5/2.81/5M⊙=1.497/1.229M⊙=1.219M⊙ である。GM/c3=1.219×4.925×10−6=6.00×10−6s で
τ=2565(6.00×10−6)−5/3(10π)−8/3=1.0×103s
すなわち約 17 分である。軽い連星は振動数がゆっくり上がるので、検出器の帯域に長くとどまる。
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