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出てくるもの(3):Faraday 効果と非相反性

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第16章 電気光学と磁気光学
目次
  1. 偏光の回転の角度
  2. 共鳴から遠い所:Becquerel の式
  3. 共鳴の近く
  4. 非相反性:往復で打ち消さない回転
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第16章 §16.5 ★★★ 磁場に平行に進む光では2つの円偏光の屈折率が分かれ、直線偏光の向きが θ=VB0L\theta=\mathcal VB_0L だけ回る。回る向きは光の進む向きでなく磁場の向きで決まるので、往復で打ち消さない。これが時間反転対称性の破れである

偏光の回転の角度

磁場 B0=B0ez\bm{B}_0=B_0\bm{e}_z に平行に +z+z 方向へ進む光を考える。固有偏光は円偏光 e±\bm{e}_\pm で、屈折率は n±=1+χ±n_\pm=\sqrt{1+\chi_\pm}(式 (16.6))である。z=0z=0 で xx 方向の直線偏光 ex=(e++e−)/2\bm{e}_x=(\bm{e}_++\bm{e}_-)/\sqrt2 を入れると、長さ LL の後の偏光は

12(e+ein+ωL/c+e−ein−ωL/c)=einˉωL/c(excos⁡θ+eysin⁡θ),nˉ=n++n−2\frac{1}{\sqrt2}\bigl(\bm{e}_+\mathrm{e}^{\mathrm{i} n_+\omega L/c}+\bm{e}_-\mathrm{e}^{\mathrm{i} n_-\omega L/c}\bigr) =\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bar n\omega L/c}\bigl(\bm{e}_x\cos\theta+\bm{e}_y\sin\theta\bigr),\qquad \bar n=\frac{n_++n_-}{2}

になる。ここで

θ=ωL2c(n−−n+)(16.23)\theta=\frac{\omega L}{2c}(n_--n_+)\tag{16.23}

で、偏光は直線偏光のまま、+z+z から見て反時計回りに θ\theta だけ回る(θ<0\theta<0 なら時計回り)。Poincaré 球の上では、S3S_3 の軸のまわりの角 2θ2\theta の回転である。弱い磁場で θ\theta は B0B_0 に比例するので、

θ=VB0L(16.24)\theta=\mathcal VB_0L\tag{16.24}

と書き、V\mathcal V を Verdet 定数と呼ぶ(単位は rad T−1 m−1\mathrm{rad\,T^{-1}\,m^{-1}})。

共鳴から遠い所:Becquerel の式

共鳴から十分離れた所(∣ω0−ω∣≫ωc,γ\lvert \omega_0-\omega\rvert \gg\omega_{\mathrm c},\gamma)では、式 (16.6) の分母は ω02−(ω∓ωc/2)2\omega_0^2-(\omega\mp\omega_{\mathrm c}/2)^2 と ωc\omega_{\mathrm c} の1次まで一致するので、χ±(ω)=χ(ω∓ωc/2)\chi_\pm(\omega)=\chi(\omega\mp\omega_{\mathrm c}/2)、つまり n±(ω)=n(ω∓ωc/2)n_\pm(\omega)=n(\omega\mp\omega_{\mathrm c}/2) である。磁場の中の電子の運動は、Larmor の角周波数 ωc/2\omega_{\mathrm c}/2 で回る座標系から見ると ωc\omega_{\mathrm c} の1次で磁場の無い運動になる(Larmor の定理)。円偏光はその座標系で周波数が ωc/2\omega_{\mathrm c}/2 だけずれて見えるので、磁場の無い分散 n(ω)n(\omega) をずらしたものが屈折率になる。したがって n−−n+=ωc dndωn_--n_+=\omega_{\mathrm c}\,\frac{\mathrm{d} n}{\mathrm{d} \omega} で、

θ=eB02mc ωdndω L,V=−e2mc λdndλ(16.25)\theta=\frac{eB_0}{2mc}\,\omega\frac{\mathrm{d} n}{\mathrm{d} \omega}\,L,\qquad \mathcal V=-\frac{e}{2mc}\,\lambda\frac{\mathrm{d} n}{\mathrm{d} \lambda}\tag{16.25}

を得る(ω dn/dω=−λ dn/dλ\omega\,\mathrm{d} n/\mathrm{d}\omega=-\lambda\,\mathrm{d} n/\mathrm{d}\lambda)。これが Becquerel の式で、Verdet 定数が磁場の無いときの分散 dn/dλ\mathrm{d} n/\mathrm{d}\lambda だけで決まることを言う。正常分散(dn/dλ<0\mathrm{d} n/\mathrm{d}\lambda<0)の透明な物質では V>0\mathcal V>0 で、偏光は磁場の向きに右ねじを進める向きに回る。

自由電子の気体(ω0=0\omega_0=0, γ=0\gamma=0)では χ±=−ωp2/(ω(ω∓ωc))\chi_\pm=-\omega_{\mathrm p}^2/(\omega(\omega\mp\omega_{\mathrm c})) で(e+\bm{e}_+ が電子のサイクロトロン運動と同じ向きに回り、ω=ωc\omega=\omega_{\mathrm c} で共鳴する)、ω≫ωp,ωc\omega\gg\omega_{\mathrm p},\omega_{\mathrm c} なら n±≈1−ωp22ω2(1±ωcω)n_\pm\approx1-\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{2\omega^2}(1\pm\frac{\omega_{\mathrm c}}{\omega})、

θ=ωp2ωcL2cω2=e38π2ε0m2c3 λ2NB0L(16.26)\theta=\frac{\omega_{\mathrm p}^2\omega_{\mathrm c}L}{2c\omega^2}=\frac{e^3}{8\pi^2\varepsilon_0m^2c^3}\,\lambda^2NB_0L\tag{16.26}

になる。回転の角は波長の2乗に比例する。電波天文学では、パルサーなどの偏った電波の偏光の向きを複数の波長で測り、λ2\lambda^2 の係数(回転量度)から視線に沿った ∫NB0 dz\int NB_0\,\mathrm{d} z を出す。係数 e3/(8π2ε0m2c3)e^3/(8\pi^2\varepsilon_0m^2c^3) は 2.63×10−13 rad T−12.63\times10^{-13}\,\mathrm{rad\,T^{-1}} である。

共鳴の近く

共鳴の近くでは、2つの円偏光の共鳴が ωc\omega_{\mathrm c} だけ離れるので、屈折率の曲線(第10章の分散型の曲線)も左右にずれる(図 16.2)。回転の角に比例する n−−n+n_--n_+ は、共鳴から遠い所では Becquerel の式に従い、共鳴の中では符号が反転して大きくなる。共鳴の中では吸収も2つの円偏光で違い(磁気円二色性)、直線偏光は回りながら楕円偏光になる。

図

図 16.2 磁場の中の希薄な原子の気体の、2つの円偏光の屈折率(近共鳴の形、ωc/γ=1.5\omega_{\mathrm c}/\gamma=1.5)。縦軸は第10章の共鳴での消衰係数 κ0\kappa_0 で割った。e+\bm{e}_+ の共鳴は ω0+ωc/2\omega_0+\omega_{\mathrm c}/2 へ、e−\bm{e}_- の共鳴は ω0−ωc/2\omega_0-\omega_{\mathrm c}/2 へずれる。破線は偏光の回転の角に比例する n−−n+n_--n_+ で、共鳴から遠い所では正(Becquerel の式)、共鳴の中では負になる。

非相反性:往復で打ち消さない回転

−z-z 方向に進む光を考える。光の進む向きが逆になっても、式 (16.4) は変わらない。電子の運動方程式に入るのは光の電場の時間変化と B0\bm{B}_0 だけで、光の進む向きは入らないからである。したがって固有偏光は同じ e±\bm{e}_\pm(実験室の +z+z から見た回転の向きで定義したもの)で、屈折率も同じ n±n_\pm である。−z-z 方向に長さ LL を進むと、偏光は +z+z から見てやはり反時計回りに θ\theta だけ回る。鏡で反射させて往復させると、回転の角は 2θ2\theta になり、打ち消さない(図 16.3)。

第15章で扱う旋光性(キラルな分子の溶液や水晶の、自然な旋光)は、これと対照的である。旋光性は感受率の波数 k\bm{k} についての1次の項(第10章で触れた空間分散)から出て、反対称な項は k\bm{k} に比例する。k\bm{k} は光の側の量なので、光の向きを逆にすれば反対称な項の符号も逆になり、偏光は光の進む向きから見て同じ向き(実験室から見て逆向き)に回る。往復すると回転は打ち消し合い、元の偏光に戻る。

2つの違いは時間反転で整理することができる。磁場の項 ig∝B0\mathrm{i} g\propto\bm{B}_0 も旋光性の項 ∝k\propto\bm{k} も、時間反転で符号を変える量に比例する反対称な項である。しかし時間反転で光の向きを逆にするとき、旋光性では k\bm{k} も一緒に逆になるので媒質は元の媒質と同じであり、光が来た道を戻れる(相反)。Faraday 効果では B0\bm{B}_0 は外から掛けた場で、光を逆向きにしても B0\bm{B}_0 は逆にならない。磁場を掛けた媒質は時間反転について対称でなく、式 (16.11) が結ぶのは、B0\bm{B}_0 を逆にした別の媒質との関係だけである。εij\varepsilon_{ij} が対称でない媒質では、Lorentz の相反定理(点 A から点 B への伝達と点 B から点 A への伝達が等しいこと)が成り立たない。光アイソレータ(総合問題)は、この非相反性を使って一方向にだけ光を通す。

図

図 16.3 往復で見た旋光性と Faraday 効果。短い線は実験室に固定した向きで見た偏光の向き。(a) 旋光性は光の進む向きから見て同じ向きに回すので、往復すると打ち消し合い、元の偏光 00 に戻る。(b) Faraday 効果は磁場の向きから見て同じ向きに回すので、往復で回転の角は 2θ2\theta になる。

例題 16.5 電離層を通る電波の偏光の回転 ★★

オリジナル電離層を、電子の数密度 N=1.0×1012 m−3N=1.0\times10^{12}\,\mathrm{m^{-3}}、視線に沿った磁場の成分 B0=3.0×10−5 TB_0=3.0\times10^{-5}\,\mathrm T が厚さ L=300 kmL=300\,\mathrm{km} にわたって一様な層とみなす。

  1. (1) プラズマ周波数 ωp/(2π)\omega_{\mathrm p}/(2\pi) とサイクロトロン周波数 ωc/(2π)\omega_{\mathrm c}/(2\pi) を求め、100 MHz100\,\mathrm{MHz} 以上の電波で式 (16.26) が使えることを確かめよ。
  2. (2) 100 MHz100\,\mathrm{MHz} と 1.0 GHz1.0\,\mathrm{GHz} の電波で、偏光の回転の角を求めよ。
  3. (3) 回転の角は 2π2\pi の整数倍の不定性を持つ。2つの周波数で偏光の向きを測って ∫NB0dz\int NB_0\mathrm{d} z を決めるには、どうすればよいか。
解答

(1) ωp/(2π)=Ne2/(mε0)/(2π)=8.98 MHz\omega_{\mathrm p}/(2\pi)=\sqrt{Ne^2/(m\varepsilon_0)}/(2\pi)=8.98\,\mathrm{MHz}、ωc/(2π)=eB0/(2πm)=0.840 MHz\omega_{\mathrm c}/(2\pi)=eB_0/(2\pi m)=0.840\,\mathrm{MHz}。100 MHz100\,\mathrm{MHz} はどちらより1桁以上高いので、ωp2/ω2\omega_{\mathrm p}^2/\omega^2 と ωc/ω\omega_{\mathrm c}/\omega の1次の展開を使うことができる。

(2) 式 (16.26) の係数 2.63×10−13 rad T−12.63\times10^{-13}\,\mathrm{rad\,T^{-1}} に NB0L=1.0×1012×3.0×10−5×3.0×105=9.0×1012 T m−2NB_0L=1.0\times10^{12}\times3.0\times10^{-5}\times3.0\times10^{5}=9.0\times10^{12}\,\mathrm{T\,m^{-2}} を掛けて、θ=2.37λ2 rad\theta=2.37\lambda^2\,\mathrm{rad}(λ\lambda は m で測る)。100 MHz100\,\mathrm{MHz}(λ=3.0 m\lambda=3.0\,\mathrm m)で θ=21.3 rad\theta=21.3\,\mathrm{rad}(3回転半)、1.0 GHz1.0\,\mathrm{GHz}(λ=0.30 m\lambda=0.30\,\mathrm m)で θ=0.213 rad=12.2∘\theta=0.213\,\mathrm{rad}=12.2^\circ。衛星との通信で直線偏光を使うと、低い周波数ほど偏光の向きが大きく、しかも電離層の状態で変わるので、衛星の通信には円偏光(固有偏光なので回らない)を使うことが多い。

(3) θ=RM λ2\theta=\mathrm{RM}\,\lambda^2(RM=2.63×10−13∫NB0dz\mathrm{RM}=2.63\times10^{-13}\int NB_0\mathrm{d} z)と書くと、2つの波長で測った角の差 θ1−θ2=RM(λ12−λ22)\theta_1-\theta_2=\mathrm{RM}(\lambda_1^2-\lambda_2^2) から RM が決まる。2π2\pi の不定性を避けるには、角の差が π\pi を超えないくらい近い2つの波長を選ぶか、3つ以上の波長で測って θ\theta が λ2\lambda^2 について直線になる組を探す。

例題 16.6 Cauchy の式に従うガラスの Verdet 定数 ★★

オリジナル屈折率が Cauchy の式 n(λ)=A+BC/λ2n(\lambda)=A+B_{\mathrm C}/\lambda^2(BC=1.0×10−14 m2B_{\mathrm C}=1.0\times10^{-14}\,\mathrm{m^2})に従う反磁性のガラスを考え、Verdet 定数が Becquerel の式で決まるとする。

  1. (1) V\mathcal V を BCB_{\mathrm C} と λ\lambda で表し、波長 633 nm633\,\mathrm{nm} での値を求めよ。
  2. (2) 磁場 1.0 T1.0\,\mathrm T で偏光を 45∘45^\circ 回すのに要る長さを求めよ。
  3. (3) 同じガラスで往復させたら回転の角は何度になるか。旋光性で 45∘45^\circ 回す水晶の板で往復させた場合と比べよ。
解答

(1) λ dn/dλ=−2BC/λ2\lambda\,\mathrm{d} n/\mathrm{d}\lambda=-2B_{\mathrm C}/\lambda^2 なので、式 (16.25) から V=emcBCλ2\mathcal V=\frac{e}{mc}\frac{B_{\mathrm C}}{\lambda^2}。e/(mc)=586.7 T−1 m−1e/(mc)=586.7\,\mathrm{T^{-1}\,m^{-1}}、BC/λ2=0.0250B_{\mathrm C}/\lambda^2=0.0250 から V=14.6 rad T−1 m−1\mathcal V=14.6\,\mathrm{rad\,T^{-1}\,m^{-1}}。分散が大きいガラスほど Verdet 定数が大きく、短い波長ほど λ−2\lambda^{-2} で大きい。

(2) L=(π/4)/(VB0)=0.785/14.6=5.4 cmL=(\pi/4)/(\mathcal VB_0)=0.785/14.6=5.4\,\mathrm{cm}。

(3) Faraday 効果では往復で 90∘90^\circ になる。水晶の板では往路で 45∘45^\circ 回った偏光が、復路で実験室から見て逆向きに 45∘45^\circ 回り、元の向き(0∘0^\circ)に戻る。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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